大熊社労士の分かりやすい人事労務管理相談室

人事労務コンサルタント大熊が人事労務管理の様々な問題をストーリー仕立てで解決します!

大雪などで通常と異なる経路で通勤した社員について別途交通費を支給する必要はありますか?

 最近はかなり寒い日が続いており、体調に注意をしている大熊であった。


大熊社労士:
 おはようございます。
宮田部長:
 大熊先生、おはようございます。今日も本当に寒いですね。
大熊社労士:
 本当に。朝起きるのが本格的につらい時季になってきました。
宮田部長宮田部長:
 それにしても先週は日本海側を中心に記録的な大雪で大変だったようですね。ニュースで見ましたが、新潟では電車が雪で15時間も立ち往生してしまい、430人が社内で夜を明かしたとか。
福島さん:
 そのニュース、私も見ました。立っている乗客も多かったようですから本当に大変だったでしょうね。
大熊社労士:
 そうですね。
福島さん:
 あのニュースを見ていて思ったのですが、大雪や台風などで公共交通機関がマヒすることって結構ありますよね。そんなとき、通勤手当が支払われている経路とは別の経路で通勤した社員がいたりしますが、その交通費の実費を支払う必要はあるのでしょうか?
服部社長服部社長:
 さすが福島さんだね。テレビのニュースを見ていても、自分の仕事に影響するであろうことにアンテナを張っている。
福島さん:
 いえいえ、たまたまです(笑)。大熊先生、この取り扱いはどうなのでしょうか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい。法的にはその別途の交通費の実費を支払う必要はありません。御社でもそうですが、通勤手当については賃金規程においてその定めがされており、そこでは通常の合理的な経路での通勤について定期券代相当額を支払うなどとされていると思います。今回のケースのように別の経路で通勤する場合の費用を支給すると定められていることはまずないはずですので、賃金としての支払い義務はないということになります。
服部社長:
 なるほど。賃金規程で支払うとされていないから、契約上、支給する必要はないということですね。確かに原則はそうなのでしょう。しかし、みんな、大変な思いをして、通勤してくれているので、そこをどう考えるかという実態的な問題はありそうですね。
宮田部長:
 さすが社長!そういう社員想いのところは社長らしくて素晴らしいと思います!
大熊社労士:
 本当にそうですね。労働契約としては支給する必要がないとしても、現実に社員が実費を負担してくれているわけですから、その点をどう考えるのかというのが実務なのだと思います。この検討においては社風や経営者の考え方が色濃く出るところでしょうね。
福島照美福島さん:
 確かに社員としてはその実費を会社が負担してくれるというのはありがたい話です。そんなことを言っていただける社長にも感謝しています。でも、タクシーを使ったというような場合に、それを無制限に認めてよいのかなどいろいろと考えなければならないように思います。
大熊社労士:
 そうですね。法律面と実務面の両方から今後の対応を検討されてみてはいかがでしょうか?ちなみに支給する場合には、その経路を申請させ、領収書がある場合には領収書を出させるであるとか、タクシーを利用する場合には事前の承認を必要とするといったルールは必要ではないでしょうか?
服部社長:
 確かにそうですね。宮田部長、福島さん、当社でもいつそのような事態になるかわからないので、これを機会に検討し、提案してみてください。
宮田部長:
 わかりました!

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。先週の大雪では被害を受けたという方も少なくないのではないかと思います。影響を受けられたみなさんの早い復旧を願っております。今回のケースは、法的な論点は非常にシンプルでそもそも就業規則や労働契約書において支給するという定めがない以上、支給する必要がないという結論になります。しかし、実務は法律面だけではなく、実態面を考慮する必要がありますので、今回の服部社長のように社員が安心して働くことができる環境を作るためにはどうすればよいかという視点を持つことは重要でしょう。法律と実務の両面からバランスのよい判断を意識したいものです。

(大津章敬)

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今年1月の職業安定法改正により、人材募集時の注意点があります

 新年を迎え、今年初めての訪問で、大熊は服部印刷の門をくぐった。


大熊社労士大熊社労士:
 あけましておめでとうございます。昨年は大変お世話になり、ありがとうございました。今年もよろしくお願いします。
福島さん:
 先生、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
宮田部長:
 先生、働き方改革の動きもあり、今年から来年にかけて、様々な法改正が予定されいているようですので、いろいろ教えてください。
大熊社労士:
 はい、承知しました!早速ですが、現在、御社では、人材の募集を行っていらっしゃいますよね?
宮田部長:
 はい。昨年先生にご相談した男性社員が退職になることから、いま募集をかけているところです。
福島さん:
 残念ながら、まだ応募の問い合わせはないのですが…
大熊社労士:
 そうでしたか。実は今月(2018年1月)から職業安定法が改正されており、採用募集時に注意しなければならないことがありますのでお話しておきます。まず、人材の募集を行う際には、初回の面接までに原則としてすべての労働条件を明示しなければならないとされました。
福島さん:
 これまでも募集内容は明示していたかと思いますが、何が変わったのですか?
大熊社労士:
 はい、人材募集の際には、確かに業務内容、勤務時間、賃金等を明示していたかと思いますが、最低限明示しなければならない労働条件として、以下の項目が追加されました。
試用期間
裁量労働制を採用している場合はその記載
固定残業代を採用している場合は、基本給と区別した固定残業代の金額、何時間分の手当か、時間外労働の有無に関わらず支払うこと、当該時間外時間を超えた場合は、追加で割増賃金を支払うこと
募集者の名称、氏名
派遣労働者として雇用する場合は、派遣労働者であることの雇用形態
宮田部長宮田部長:
 ふむふむ、当社では裁量労働制や固定残業代は採用していませんし、派遣労働者として雇用することもありません。そして試用期間、募集者の名称はきちんと記載しているから問題なさそうですね。
福島さん:
 当社の場合には直接は関係ありませんが、固定残業代の内訳を記載するようになったということは、いわゆるブラック企業対策ということなのでしょうか?
大熊社労士:
 さすが、福島さん。基本給の中に残業代を含むとして、一切残業代を支払わないなどの悪質な会社があったりして問題となっていました。応募者が入社する前に残業代の支給方法についても、きちんと確認できるようになった訳です。ところで、今回の人材募集において、賃金はどのように明示されていますか?
宮田部長:
 基本給は、応募者の経験、能力に応じて決めようと思っていますので、25万円〜30万円としています。
大熊社労士:
 そうですか。そのように基本給に幅を持たせて明示している場合は、面接等によって基本給の金額が決まる訳ですよね。その場合、決定した基本給を入社前までに書面で応募者に知らせなければならないとされました。この点についても問題はありませんよね?
宮田部長:
 はい。これまでも決定した金額は内定通知書などで知らせています。
大熊社労士:
 今回の改正では、当初の募集内容と変更した内容を対照できる書面としています。内定通知書などで明示できない場合は、入社時の労働条件通知書で変更された事項に下線を引く、着色する方法などで明示する方法も可能としていますが、なるべく入社前までに書面で渡しておいた方がよいでしょうね。
福島照美福島さん:
 わかりました。今回から、募集条件に変更があった場合は、変更前と変更後の対照を内定通知書に記載するようにします。
宮田部長:
 年始早々、早速法改正の対応を取らなくてはいけませんね。
大熊社労士:
 そうですね。しかし、滞りなく法改正の対応を取っている会社は、応募者に安心感を与えることができますし、いい人材を採用できることにもつながりますからね。しっかり対応していきましょう。
福島さん:
 先生、今後もいろいろ教えてください。
大熊社労士:
 はい、わかりました。随時お伝えしていきます!

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。2018年1月より職業安定法が改正され、労働者の募集時には、最低限明示しなければならない労働条件の項目が追加され、また募集時の条件から変更があった場合には、変更前と変更後の対照を書面にて明示することが必要になりました。変更の対照については、原則書面ですが、応募者が希望した場合には電子メールでも可能です。法改正について詳細を確認し、不備が無いよう対応したいものです。

参考リンク
厚生労働省:平成29年職業安定法の改正について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000172497.html


(小浜ますみ)

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あけましておめでとうございます

HNY2018

みなさん、あけましておめでとうございます。

昨年も労務ドットコムをご愛顧頂き、ありがとうございました。昨年は1月と10月に育児介護休業法が改正され、また働き方改革が本格化した1年となりました。

今年はまもなく始まる通常国会において、過重労働対策と同一労働同一賃金を中心とした働き方改革法案の審議がスタートします。また4月には障害者の法定雇用率の引き上げが行われ、無期転換ルールの問題も本格化してきます。こうした環境の中、名南経営および労務ドットコムでは、今後もみなさんの企業の人事労務管理のレベルアップに繋がるような最新情報を提供していきます。今年も引き続き、よろしくお願いいたします。

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登場人物紹介:大熊純雄
大熊社労士
 中小企業を専門とする35歳の中堅人事コンサルタント/社会保険労務士。2005年に加藤社長の紹介から、服部印刷の適年改革を手掛ける。今回、服部社長より人事労務顧問を打診され、2007年より受託。
登場人物紹介:服部淳司
服部社長
 株式会社服部印刷の社長。服部印刷は中部地方にある社員数50名、資本金3,000万円の印刷業。1965年に服部社長の父が創業したが、2000年に創業者の死亡により、服部が2代目社長に就任。仕事には厳しいが、社員想いの優しい社長。
登場人物紹介:宮田和正
宮田部長

 株式会社服部印刷の総務部長。経理出身のため、人事労務は苦手。
登場人物紹介:福島照美
福島照美

 株式会社服部印刷の総務部担当者。高卒新卒入社の5年目社員。日頃は給与計算や人事労関連の手続、その他庶務を担当している。
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