大熊社労士の分かりやすい人事労務管理相談室

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改正労働基準法で当社は中小企業に当たるのでしょうか?

 3月も中旬を過ぎて、春の訪れを感じる大熊であった。


大熊社労士:
 おはようございます!
宮田部長宮田部長:
 大熊先生、おはようございます。なんだかここに来て、急に春の到来が感じられるようになりましたね。今年は花粉がすごいですが、花粉症は大丈夫ですか?
大熊社労士:
 はい、花粉症については数年前からちょっとした対策をしているんですよ。実は背中にカイロを貼ると花粉症の症状が軽減されるのです。でも今年は最強花粉と言われるくらいですから、それでも結構つらいですね。
福島さん:
 へーっ、そうなんですか?!一度試してみます!
大熊社労士:
 だまされたと思って是非試してみてください。さてさて、今日はなにかありましたでしょうか?
福島さん:
 はい、4月からの労働時間上限規制の話なのですが、念のため確認させていただきたいことがあります。
大熊社労士:
 どのようなことでしたでしょうか?
福島照美福島さん:
 今回の上限規制については中小企業は1年間施行が猶予されますよね。この中小企業の範囲については「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する労働者数」の2つで判断することになろうかと思います。その際、「資本金の額または出資の総額」は良いのですが、「常時使用する労働者数」についてどのように判断すればよいのか、確認させていただければと思っています。まず、パートやアルバイトは算入するのでしょうか?
大熊社労士大熊社労士:
 これはいい質問ですね。この「常時使用する労働者数」については、臨時的に雇い入れた労働者を除いた労働者数で判断します。なお、休業などの臨時的な欠員の人数については算入する必要があります。ですから、パート・アルバイトであっても、臨時的に雇い入れられた場合でなければ、常時使用する労働者数に算入する必要があります。御社であれば、超繁忙期に学生バイトを数日間雇用されることがあろうかと思いますが、そのようなアルバイトは除外することができますが、それ以外の常用のパートさんは算入する必要がありますね。
福島さん:
 ありがとうございます。それでは、出向者や派遣労働者はどのように取り扱えばよいですか?
大熊社労士:
 この点については、労働契約関係のある労使間で労働者数に算入します。具体的に言えば、在籍出向者の場合は出向元・出向先双方の労働者数に算入され、移籍出向(転籍)者の場合は出向先のみの労働者数に算入されます。一方、派遣労働者の場合は、労働契約関係は派遣元との間にありますので、派遣元の労働者数に算入します。
福島さん:
 なるほど!頭が整理できました。ありがとうございます!
服部社長服部社長:
 となると当社は中小企業に該当するので、上限規制は1年後からということになりますね。大熊さん、このあたりの話題は経営者の集まりでもよく出るので、追加で何点か質問させてください。「資本金の額または出資の総額」についてですが、個人事業主や医療法人など、資本金や出資金の概念がない場合はどのように判断されるのですか?
大熊社労士:
 これまたいい質問ですね。資本金や出資金の概念がない場合は、労働者数のみで判断することとなります。
服部社長:
 なるほど、まあそれしかやりようもないですからね。あと、中小企業に当たるか否かを判断する際、グループ企業についてはグループ単位で判断するのですか?
大熊社労士:
 いえいえ、これは企業単位です。ですから、親会社と子会社で法律の施行時期が異なるということが発生します。人事制度を共通化している場合など、それはそれで煩雑なんですけどね。
服部社長:
 確かにそうですね。今日はこれまで感じていたいろいろな疑問が一気に解消されましたよ。
大熊社労士:
 そうですか?ありがとうございます。次回も改正労働基準法に関する実務的な課題について取り上げようと思います。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は働き方改革関連法のセミナーなどでもよく質問を受ける中小企業の範囲について取り上げました。大企業区分の企業においてはあと2週間後には上限規制の適用が始まります。管理方法の確認を行うと共に、現場の生産性向上への取り組みを継続していきましょう。
関連blog記事
2019年3月13日「【速報】改正労働基準法に関するQ&Aが公開」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52167672.html

2018年12月26日「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51551282.html
2019年3月5日「36協定の時間数の決め方は?〜基礎的事項が説明されている厚労省のリーフレット」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52167277.html
2019年2月28日「厚労省の36協定作成支援ツール 2019年4月からの新様式にも対応」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52166984.html
2019年1月8日「働き方改革関連法 改正労働基準法・改正労働安全衛生法等のQ&Aが掲載された通達が発出!」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52164368.html

参考リンク
厚生労働省「改正労働基準法に関するQ&A(平成31年3月」
https://www.mhlw.go.jp/content/000487097.pdf?fbclid=IwAR2AOID7uEhMgp9__w9iipi21GP-FDE_y_630lfRSIWLH5qT81VdKDZEsTM

(大津章敬)

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同一労働同一賃金に関する判決が続いているようですね

 この週末に開催されたマラソン大会に多くの知り合いが出場している大熊。雨の中、無事完走できたかなと思いながら服部印刷に向かった。
宮田部長:
 大熊先生、おはようございます!
大熊社労士:
 おはようございます。宮田部長はいつも元気で本当に素晴らしいですね。
宮田部長宮田部長:
 はい、なによりも元気が取り柄の宮田ですから!今日、元気がないとすれば福島さんですね。まもなくやってくると思いますが。

---- 福島さんが少し足を引きずって応接に入ってきた ----

大熊社労士:

 あら、ほんとだ。福島さん、おはようございます。足が痛そうですね、どうしたので...。あ、マラソンですか、もしかして?
福島さん:
 はい、そうなんです。昨日、フルマラソンを走って来まして。なんとか完走はしたのですが、雨の中、少し無理をしたので、足腰がボロボロ状態になってしまいました。
大熊社労士:
 まあ、お仕事に大きな支障があるような状況ではないと思いますが、ちょっと大変そうですね。でも、完走おめでとうございます。
福島照美福島さん:
 ありがとうございます。さて、仕事に話を移しますが、同一労働同一賃金に関する裁判のニュースをよく耳にするようになっているように感じるのですが、なにか動きがあるのですか?
大熊社労士:
 はい、ここに来て、高裁レベルの判決が相次いでいますね。中でも2月に判決が言い渡された大阪医科大学の事件とメトロコマース事件はかなり話題になっています。
宮田部長:
 それは、どのような内容なのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 いずれも労働契約法20条に関する裁判なのですが、大阪医科大学事件は有期アルバイトについて一定の賞与を支給を認めたもの。そしてメトロコマース事件は、売店業務に勤務していた有期契約社員に一定の退職金の支給を認めたというものになります。
服部社長:
 この2つの裁判については私も新聞で見て、驚きました。同一労働同一賃金は、大企業では2020年4月、中小企業では2021年4月から施行だったと思ったのですが。
大熊社労士:
 はい、法改正の施行はその通りですが、今回は既に施行されている労働契約法20条を根拠に行われているものです。昨年6月1日に最高裁の判断が示されたハマキョウレックス事件、長澤運輸事件と同じ流れのものになります。
服部社長服部社長:
 なるほど、現行法制化でもこのような問題になっているということですね。しかし、ここに来て、急に流れが変わってきたという印象を受けているのですが。
大熊社労士:
 そうですね。昨年12月に銅市労働同一賃金ガイドライン(指針)が示されましたが、今回の2つの裁判はその流れに沿った内容になっています。あのガイドライン自体は法的拘束力を持つようなものではありませんが、もしかすると裁判所の判断に一定の影響を与えているのかも知れませんね。
福島さん:
 これらの事件について今後、どのようになっていくのでしょうか。
大熊社労士:
 労働契約法20条に関しては、これら以外にも多くの裁判が行われています。当面はこれらの判決により様々な論点についての判断が示され、それが最高裁で統一的な解釈として示されることになるでしょう。その日もそれほど遠くありませんので、まずは自社内の様々な待遇に関しての比較・まとめを行い、不合理な点の抽出と対応の基本方針を検討する作業を行っておきましょう。その上で優先順位付けを行い、対応することになるでしょう。
服部社長:
 分かりました。宮田部長、まずは各雇用区分の待遇を比較するような資料をまとめることにしましょうか。
宮田部長:
 承知しました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。同一労働同一賃金に関する具体的な動きが出てきました。今回は裁判例を取り上げましたが、ここに来て、基本給、賞与、退職金といった重要論点を扱う高裁判決が続いています。最終的には最高裁がその考え方のフレームを明示することになりますが、その判決が出てから現状把握を行うようでは対応が遅れてしまいますので、まずは現状把握と明らかに不合理な点の是正だけは先行して進めておくとよいでしょう。また企業の側でも日本通運で非正規従業員の賃金を正規並みに引き上げるという動きが出るなど、この春闘の中でも同一労働同一賃金に関する対応事例が出てきています。そうした流れについても押さえておきたいものです。

(大津章敬)

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従業員の過半数代表者の選任は適正にできていますか?

 膨らみはじめた桃の花のつぼみを見ながら、大熊は「春も近いな」と感じていた。


宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。2月は逃げるなんていいますが、本当にあっと言う間に過ぎましたね。
大熊社労士大熊社労士:
 そうですね。私も働き方改革が施行される関係で、いつもよりも多くのご相談をいただいてきました。やはりたいへんでしたね。
福島さん:
 やはりそうなのですね。実は私からも・・・
大熊社労士:
あ!もちろん、お気軽にお聞きください!
福島さん:
 ありがとうございます。3月になったので、来年度の36協定を作ったので念のために見てもらいたいと思っていました。お願いできますか。
大熊社労士:
 もちろんです。ふむふむ、ここもOKだな。
宮田部長:
 福島さん、書式って前のものを使っていたんだよね?
福島さん:
 はい。当社は中小企業なのでこれまでと同じ様式です。内容も部長とお話したように、今年度と同じ内容にしました。もちろん、残業削減は重点テーマになりますが、まだまだ特別条項をなくすようなレベルには進めませんよね。
宮田部長:
 そうだね。これから1年、先を見通しても何が起こるかわからないしね。
大熊社労士:
 よし、っと。内容は問題ありませんよ。
福島さん:
 ありがとうございます。
大熊社労士:
 ところで、従業員の代表はどなたにされる予定ですか?
宮田部長:
 んー、製造部の林くんかな。彼であれば問題ないだろうし。
福島さん:
 そうですね。
大熊社労士:
 ちょっと待ってくださいね。その林さんはどうやって選ばれたのですか?

宮田部長宮田部長:
 彼は管理職にはなっていないし、勤続は長いし、従業員のみんなからも信望が厚いし。だからと言って会社に「物申す!」という感じでもないし。従業員の代表といったら彼が適任かなと。
福島さん:
 あ!もちろん、ちゃんと全従業員に選んでもらうという手続きはちゃんとしますけどね。
大熊社労士:
 了解です。ただ、その手続き、しっかりとやってくださいね。
宮田部長:
 ん?どういうことですか?
大熊社労士:
 実は今回の働き方改革の関係で、従業員代表の選任について少し変更がありました。と言っても選任方法が変わったわけではありません。
福島さん:
 どこが変わったのでしょうか。
大熊社労士:
 はい。今回関連する部分の改正は、36協定等を締結するときに選出する従業員の過半数代表者をについて、「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」というのが、労働基準法施行規則に明記されました(第6条の2)。
宮田部長:
 そっか、「林くんがなるかなぁ」というのは私たちの勝手な思いでいいのかも知れないけど、本来は従業員が選ぶものだから、当然、私が林くんを指名するようなことがあってはいけないということですね。
大熊社労士:
 そうですね。これまでは、会社側が指名するといった不適切な取扱いがみられていた要です。通達レベルで注意がうながざれ、指導もされてきたのですが、今回は規則に盛り込まれていますので、その効果はこれまでとまったく異なります。
福島照美福島さん:
 確かにそうですよね。私も、うっかり「林さん今年もよろしくお願いします。」と言いそうになってしまいそうですので注意します。
大熊社労士:
 そうですね。細かな点ですが、でも、仮に過半数代表者の選出が違法だということになると、36協定の締結自体が無効と言われかねません。朝礼などで、選出のための場を作ることは会社として重要なことですが、選出自体は従業員に任せるようにしなければなりません。
宮田部長:
 形式的にやってきたものも、本来の意味を従業員に知らせていく必要があるのでしょうね。
大熊社労士:
 本当にそう思います。36協定はどのようなものかを説明することで、「残業をさせられている」という意識や「残業を制限されている」という意識を少しでもなくしていくことも必要だと思います。
宮田部長:
 承知しました。適正にできるように注意しますね。ありがとうございました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス  こんにちは、大熊です。従業員の過半数代表者となる従業員がなかなか立候補で現れないという悩みを持つ企業もあります。しかし、過半数代表者の選出についてより厳格に見られるようになっているため、今後は過半数代表者がどういうものかも含め、従業員に説明し、また、会社が選出する(できる)ものではないことを伝えていく必要があるのでしょう。なお、36協定届を提出したときに選出方法が適切かも確認されるようです。




関連blog記事
2019年1月8日「働き方改革関連法 改正労働基準法・改正労働安全衛生法等のQ&Aが掲載された通達が発出!」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52164368.html

参考リンク
厚生労働省「「働き方改革」の実現に向けて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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 中小企業を専門とする35歳の中堅人事コンサルタント/社会保険労務士。2005年に加藤社長の紹介から、服部印刷の適年改革を手掛ける。今回、服部社長より人事労務顧問を打診され、2007年より受託。
登場人物紹介:服部淳司
服部社長
 株式会社服部印刷の社長。服部印刷は中部地方にある社員数50名、資本金3,000万円の印刷業。1965年に服部社長の父が創業したが、2000年に創業者の死亡により、服部が2代目社長に就任。仕事には厳しいが、社員想いの優しい社長。
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宮田部長

 株式会社服部印刷の総務部長。経理出身のため、人事労務は苦手。
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 株式会社服部印刷の総務部担当者。高卒新卒入社の5年目社員。日頃は給与計算や人事労関連の手続、その他庶務を担当している。
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