暑い日が続く中、大熊は服部印刷の定期訪問に向かっていた。ふと気づくと、今年の社労士試験日まで1ヶ月ないことに気づく。自分も暑い中、受験したなぁ、と受験時代を思い出していたところ、服部印刷に到着した。


大熊社労士:
 こんにちは、大熊です。
宮田部長:
 こんにちは、大熊先生。最近は最高気温35度が当たり前の暑い日が続いていますね。
大熊社労士大熊社労士:
 そうですね。この時季になると、自分が社会保険労務士試験を受けたときのことを思い出しますよ。今年は8月22日が試験日とのことですが、ここのところ資格取得ブームが続いていますので、受験者も多くなるのでしょうね。
福島さん:
 実は私も受験しようか迷っているうちに、今年は申し込み期間が終了してしまいました。来年に向けて勉強して1回で合格することを目指したいと思っています。
大熊社労士:
 そうですか!福島さんであれば既に実務経験が長いので、抵抗感なく勉強を始められると思いますよ。頑張ってくださいね。
宮田部長:
 僕も応援しているよ。仕事と勉強の両立はたいへんだと思うけど頑張って!
福島さん:
 ありがとうございます。計画を立てて、じっくりと勉強していきたいと思います。ところで大熊先生、一つお尋ねしてもいいですか?
大熊社労士:
 はい、社労士試験に関することですか?
福島さん:
 いえいえ、今回は書店で社労士受験本を立ち読みしていたときに目に入ったことで、少し気になることがあったので、そのことについて頭を整理しておきたいなと思いまして。内容としては健康診断のことなのですが...。
大熊社労士:
 そうでしたか、健康診断については以前も何度かお話に出ましたよね。
福島さん:
 はい、定期健康診断や二次健康診断のことなど教えていただきました。今回は海外派遣労働者の健康診断について教えていただきたいのです。
大熊社労士:
 海外派遣の前後に健康診断を受診させなければならないというものですね?
宮田部長:
 えっ、そんなルールがあるんですか。
福島さん:
 部長〜、確か以前、大熊先生とのお話のときにチラッと出てきていましたよ!
大熊社労士:
 はははっ。そうですね(笑)。以前少しだけお話したかも知れませんが、今日はきちんと整理をして説明していきましょう。この健康診断は短期の海外出張については規定しているものではなく、6ヶ月以上海外に派遣する労働者に対し、行わなければならないとされているものです。また派遣時だけでなく、6ヶ月以上海外に派遣された社員が帰国し、国内の業務に就くときにも行うものとされています。
福島さん:
 となると派遣終了前後に行う手配しなければなりませんね。健康診断結果によっては、海外派遣を取りやめたり、帰国後に従事する業務を変更したりする必要があるでしょうね。
宮田部長宮田部長:
 確かに日本よりも医療環境がよくない国に派遣されることも多いだろうし、何らかの病気に罹って帰国する人もいるだろうからな。
大熊社労士:
 そうですね。そういう意味では短期の出張でも、体調不調を訴える社員がいた場合には健康診断を実施することが望まれます。
福島さん:
 少し具体的な話になるのですが、海外派遣労働者の健康診断項目は定期健康診断と同じ項目なのでしょうか?
大熊社労士:
 そうですね。実施しなければならない基本項目は定期健康診断と同じですよ。ただ、省略できる項目が若干違っています。
宮田部長:
 やはり、海外に行く前にはあまり省略せずにきちんとやれってことですかねぇ?
大熊社労士:
 いいえ、実は違うのです。折角ですから、条文を少し確認してみましょうか。労働安全衛生規則 第45条の2に規定されているのですが、第1項では「事業者は、労働者を本邦外の地域に六月以上派遣しようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、第四十四条第一項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。」と書かれているのです。
福島照美福島さん:
 定期健康診断については、医師が必要でないときは省略となっているのに、海外派遣の健康診断の場合は医師が必要であると認めたという表現なのですね。条文って難しいですね。
大熊社労士:
 そうですね。法ではこのように定めていますが、もちろん、半年以上海外に行くことを考えると、健康状態をキチンと把握することが重要ですので、なるべく全項目もしくはその他の気になる部分を診断してもらっておくことが望まれますね。
宮田部長:
 そうですね。海外は歯の治療に保険が使えないとか聞きますしね。
福島さん:
 先生、ところで定期健康診断が終了すると、労働基準監督署に健康診断の結果報告書を提出していますが、海外派遣労働者の健康診断後にも同様のことが必要なのですか?
大熊社労士:
 いいえ、そこまでの義務はないため、健康診断結果を本人に通知すればよいですよ。もちろん、福島さんがおっしゃっていたように結果によっては海外派遣そのものの見直しも必要ですけどね。
福島さん:
 分かりました。当社ではすぐにそのような長期の海外派遣労働者が出るわけではありませんが、短期の海外出張も含め、健康管理には十分に注意するよう気に掛けておきますね。
大熊社労士:
 よろしくお願いしますね。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は海外派遣労働者の健康診断について取り上げました。条文を同じ健康診断という括りでも微妙に異なる点があるのですよね。社労士試験を勉強中のみなさん、このような細かな点も試験に出るかも知れませんね。残りわずかな期間ですが、悔いの残らないように勉強してくださいね。

[関連法規]
労働安全衛生規則 第45条の2(海外派遣労働者の健康診断)
 事業者は、労働者を本邦外の地域に六月以上派遣しようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、第四十四条第一項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。
2 事業者は、本邦外の地域に六月以上派遣した労働者を本邦の地域内における業務に就かせるとき(一時的に就かせるときを除く。)は、当該労働者に対し、第四十四条第一項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。
3 第一項の健康診断は、第四十三条、第四十四条、前条又は法第六十六条第二項 前段の健康診断を受けた者(第四十三条第一項ただし書に規定する書面を提出した者を含む。)については、当該健康診断の実施の日から六月間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。
4 第四十四条第二項の規定は、第一項及び第二項の健康診断について準用する。この場合において、同条第二項中「、第四号、第六号から第九号まで及び第十一号」とあるのは、「及び第四号」と読み替えるものとする。


関連blog記事
2009年6月17日「[ワンポイント講座]健康診断の費用は会社が負担しなければならないのか」
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2008年11月5日「[ワンポイント講座]派遣社員の健康診断は派遣先・派遣元のどちらが行うのか」
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2008年7月16日「社員の健康づくりに力をいれる企業が増加」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51372252.html
2008年6月4日「平成20年4月から始まった特定健康診査と特定保健指導の積極支援にかかる医療費控除」
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2008年2月7日「平成20年4月スタート!メタボの「特定健康診査」と「特定保健指導」の概要」
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2007年12月6日「定期健康診断で「所見あり」とされた場合に受給できる二次健康診断給付」
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2007年10月12日「健康診断を受診させる必要のあるパートタイマーの条件」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51109855.html
2007年10月3日「平成20年度からの健康診断項目 腹囲が追加されるなど変更に!」
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2007年2月18日「健康診断は従業員とともに企業も守る」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50889741.html
2007年2月28日「健康診断を受診しない社員を放置するのは会社のリスクです!」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/52662965.html

参考リンク
福岡労働局「一般健康診断について」
http://www.fukuoka-plb.go.jp/7eisei/eisei02.html

(宮武貴美)

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