今日は同一労働同一賃金のガイドライン案の説明の最終回。今回も服部社長を交えて打ち合わせをすることとなっていた。


過去の関連記事はこちら
2017年1月23日「同一労働同一賃金(2)パートさんにも社員同等のボーナスを払わなければならないのですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65767073.html
2017年1月16日「同一労働同一賃金(1)正社員とパートの給料を同じにしないといけないのですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65766417.html
大熊社労士:
 おはようございます。今日は同一労働同一賃金のガイドライン案の説明の最終回ですね。
服部社長服部社長:
 前回、大熊さんに手当の話などを伺ってから、正社員にとっても会社にとっても厳しい話だなぁと改めて感じていました。
大熊社労士:
 そうですね。そして、非正規労働者にとっても。
宮田部長:
 え?非正規労働者にとっても・・・ですか!?みんなお給料が正社員並みにもらえるようになるから、ウハウハなんじゃないですか?
大熊社労士:
 ウハウハ(笑)。そうだとよいのですが、よく考えてみてください。人件費に割くことのできる金額ってある程度、決まっているわけじゃないですか。湯水のように使えるわけでもなく、一旦、引上げた給与を引き下げるのは容易ではなく、また、業績不振だからといって、簡単に従業員を解雇できるわけでもない。
服部社長:
 そういう状況を踏まえると、同一労働同一賃金にするということは、少なからず、正社員の給与を抑制する必要が出てくる。
宮田部長:
 あわわ・・・なるほど。
大熊社労士大熊社労士:
 その他の選択肢を探るとすると、同一労働との指摘を受けないように非正規労働者の仕事を限定していくということも出てくるでしょう。となると、もっぱら定型的な仕事に限定されることになるので、能力向上やキャリアアップの機会が制限され、結果的に正規労働者と非正規労働者の格差が固定化していくという狙いとは逆の結果になることも考えられます。あ、もちろん、正社員も契約社員もパートもみんなで頑張っていままで以上の業績を上げ、それによって賃金も上げていこうということも考えられますけれども・・・いまはモノを作れば売れるという時代ではなく。なかなか難しい時代ですよね。
服部社長:
 そうですね。
大熊社労士:
 とはいえ、非正規労働者が4割という時代ですから、正規と非正規で大幅な賃金格差があることはやはり社会的にも問題であり、それを是正していくことも必要だとは思っています。さて、前置きはこれくらいにして、本題に入りましょう。今日は、基本給と福利厚生について確認するのでしたよね。
宮田部長:
 はい、よろしくお願いします。
大熊社労士:
 まず基本給ですが、以下の4つのケースにまとめられていて、基本的な考え方、そして、問題とならない例、問題となる例について、具体的な例示が行われています。
基本給について、労働者の職業経験・能力に応じて支給しようとする場合
基本給について、労働者の業績・成果に応じて支給しようとする場合
基本給について、労働者の勤続年数に応じて支給しようとする場合
昇給について、勤続による職業能力の向上に応じて行おうとする場合
服部社長:
 中小企業の基本給は、正社員の場合、経験や能力等の総合的に勘案して決めることも多くて、このいずれかでというわけではないので、考え方として難しいですね。
大熊社労士:
 そうですね。一番分かりやすい例としては、なのだろうと思います。問題となる例として「基本給について、労働者の勤続年数に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の勤続年数である有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、勤続年数に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。また、勤続年数に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない」としています。例えば、正社員には勤続給があり、一定の勤続年数までは1年に1回、月額1,000円を勤続給として積み上げていくようなケースがありますが、パートにはなかなかそのような制度がなかったりしますね。
福島照美福島さん:
 私にもパートで長く働いている友人がいますが、彼女は1年に時給が5円上がることになっているそうです。でも、逆に言えば、5円しか上がらず、上限も1,000円となっているそうで、さらには最近は最低賃金が大幅に引上げられていることもあり、入ってきたばかりのパートとの差も小さくなって、結局あまり変わらないと嘆いていました。さらには新卒の正社員が現場研修で来ていて、いろいろ教えているのは私なのに、倍以上の年収をもらっているのかと思うと腹立たしくも感じると言っていましたよ。
大熊社労士:
 なるほど、それが実際に働いている人の声の一部ということなのでしょうね。
服部社長:
 そう考えるとわが社のパートさんのこともしっかりと考える必要があるということなんだろうな。
宮田部長宮田部長:
 そうですね。パートさんたちの声を聞く機会はなかなか作ってきませんでしたが、そのあたりも見直す必要があるかも知れませんね。4月に向けて、少し考えてみますね。
福島さん:
 私も何かお手伝いできることがあれば、言ってくださいね!ところで大熊先生、お話していた「福利厚生」はどのようなことがあるのですか?
大熊社労士:
 あ、そうだった、忘れそうでした。福利厚生についてもいろいろあるのですが、今回は休職のことについて触れておきたいと思います。一般的には、有期雇用の場合、その期間に働いて欲しいので長期間、働くことができない場合の解雇猶予の措置である休職という制度はなじまない。つまり、休職という制度自体を設けていないことが多くあります。また、パートタイマーについても、制度がないことが多いように感じます。
福島さん:
 確かに、当社でもそのように扱っていますね。
大熊社労士:
 これについて、ガイドライン案では、「無期雇用パートタイム労働者には、無期雇用フルタイム労働者と同一の付与をしなければならない。また、有期雇用労働者にも、労働契約の残存期間を踏まえて、付与をしなければならない」としているのです。
服部社長:
 なるほど。パートにも病気の場合には、休職の制度を適用し、また契約社員であっても契約期間中は休職を適用できるように制度を作らなければならないということですね。
大熊社労士:
 はい、そうですね。契約社員については、あくまでも契約期間がある中での休職制度ということになります。こうなると、就業規則の見直しも細かな点まで、実際の運用を想定して整備する必要が出てきそうです。
宮田部長:
 た・・・たいへんそうだぁ。
大熊社労士:
 これがどのように法律になるかは今後の動きになりますが、いずれにしても注目しなければならないことには違いありません。ですので、今後も動きがあった際には、説明させていただきますね。
服部社長:
 そうですね、よろしくお願いします。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。繰り返しになりますが、今回、出されたガイドラインはあくまでも「ガイドライン案」になります。まだ法制化されておらず、現時点では法的拘束力もありません。今後、どのように法律に落とし込まれ、義務化されていくのか、そして、そうなった際に何をしなければならないのか、必要な情報をうまくキャッチしていくようにしましょう。
関連blog記事
2017年1月23日「同一労働同一賃金(2)パートさんにも社員同等のボーナスを払わなければならないのですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65767073.html
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http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65766417.html

参考リンク
首相官邸「働き方改革の実現」
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/hatarakikata.html
首相官邸「同一労働同一賃金ガイドライン案」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf
厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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