服部印刷に到着した大熊。今回は、労働時間適正把握ガイドラインの第2回目の説明ということで、始業・終業時刻の把握について、改めてガイドラインの内容を確認することとした。
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2017年2月6日「労働時間適正把握ガイドライン(1)労働時間ってなんですか?
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65768508.html


大熊社労士:
 前回は労働時間の適正把握ガイドラインで、労働時間の考え方について押さえましたが、今回は、このガイドラインの名前でもある「労働時間の適正な把握のために会社がやるべきこと」を確認しておきましょう。
宮田部長宮田部長:
 前回もお話しましたが、当社ではタイムカードで時間を把握しています。大熊先生、これって問題ないですよね?
大熊社労士:
 はい。まずタイムカードで労働時間を把握し、管理しているということ自体は問題ありません。少し基本的な内容から確認しておきましょう。
宮田部長:
 よろしくお願いします!
大熊社労士:
 まず、労働時間として、毎日、始業・終業の時刻を確認して記録する必要があります。
宮田部長:
 へ?そんなの当たり前なんじゃないですか?
大熊社労士:
 いえいえ、例えば、出勤簿のようなものをまだ利用している企業も多くあります。その場合、出社したかどうかということ自体は、確認し記録することができるのですが、始業・終業の時刻は確認できませんよね。
福島さん:
 到着したら出勤簿に判を押すだけだから、ということですね。以前から気になっていたのですが、そういう企業の場合、残業時間はどうやって管理しているのですか?管理していないのですか?
大熊社労士:
 なるほど、確かに疑問に感じるかも知れませんね。こういう場合・・・もちろん、残業代が未払いになっているケースがあるかも知れませんが・・・残業は別途、申請書のようなもので時間を明記し、申請するようなケースが多いかと思います。つまり、その申請がなければ早出も残業もない。出勤はしている確認は取れるので、定時の時間、勤務をしたということになるのでしょう。
宮田部長:
 へぇ、そんなんでいいんだ〜。
大熊社労士:
 いやいや、いけませんよ(笑)。だからこそ、通達、そしてガイドラインが適正な把握方法を示しているのですから。そして、ガイドラインで、始業・終業時刻の把握としては、原則として以下の方法をとるようにすることとしています。
使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。
福島さん:
 弊社はこのの方法をとっているということですよね。
大熊社労士:
 そうですね。この部分は以前の通達にもあったのですが、今回、若干変更されました。まずは2箇所ある「適正に」という文言が加わったこと、そして、「パソコンの使用時間の記録」も記録方法に加わったことがあります。
福島さん:
 「適正に」という表現、重いですね。単純に記録するだけではダメだよ、といわれている気がします。
大熊社労士大熊社労士:
 はい、私も同様に感じました。始業・終業時刻の記録の方法はこれが原則的な取扱いなのですが、自己申告で行わざるを得ない場合もあるかと思います。ガイドラインではこのことにも触れています。まずは自己申告で行う際には、「労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行う」ようにすることを求めています。これは以前の通達からあったのですが、今回のガイドラインにはこれに加え、労働時間を管理する人に対し、「自己申告制の適正な運用を含め、本ガイドラインに従い、講ずべき措置について十分な説明を行うこと」としています。自己申告の場合の労働時間は、実際の労働時間と合致しているかを確認し、異なっている場合には補正するようにもとめています。このようなことをしっかりと説明するということですね。
宮田部長:
 確かに自己申告だと、自分がミスをしたものだからとか、能力が低いから時間がかかるんだ、というような理由で残業時間を削って申告している人もいるかも知れませんよね。
大熊社労士:
 そうですね。そして、36協定の上限時間を超えてしまうから、ということで削減しているケースもあると思います。実際にもガイドラインで、そのようなことがないようにと示しています。
福島照美福島さん:
 会社からは残業時間を削減しなさい、36協定で締結した時間を超えると法律の違反になるので、超えないようにしなさい。でも、36協定の上限時間は年々減らしていきます、なんて状況があるのですよね。
大熊社労士:
 そうですね。法律違反はもちろん大問題ですが、それよりも法律違反を犯さないようにということで、実態を改ざんすることはもっと問題のある行動となります。ですから、今回ガイドラインでは以下のような文言が追加されました。
「自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。」
 冒頭部分は通達のときからあった文言で、ガイドラインでは「特に・・・」以下のくだりが追加されたのですが、これまでも労働基準監督署の調査では、パソコンのログの確認や、労災が発生した場合には、ビルの入退館記録の確認をされたりしましたから、これがガイドラインに明記されたということに感じます。
福島さん:
 大熊先生、お話を聞いていると、いまの追加された部分は、自己申告制をとっている場合ということですよね?
大熊社労士:
 するどいですね。確かにガイドラインとしてはそうなっていますが、個人的には御社のようにタイムカードを利用している企業でも実態調査は必要なのでしょうね。
宮田部長:
 了解しました。うちでもタイムカードと実態に乖離がないかを注意しておきます。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今回は、始業・終業時刻の把握について確認しました。ここでも「休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならないこと」と改めて記載があります。前回の労働時間はどのような時間かを整理して、適正な把握をするようにしましょう。

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2017年2月6日「労働時間適正把握ガイドライン(1)労働時間ってなんですか?
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65768508.html

参考リンク
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-04.pdf
厚生労働省「長時間労働削減に向けた取組」
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/151106.html


(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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