「残業を減らす」という掛け声は多くの会社で聞かれるが、その一方で本当に残業の削減をうまくできている会社は少ないと感じていた大熊。今日の服部印刷ではそのような話になっていった。
過去の関連記事はこちら
2017年2月13日「労働時間適正把握ガイドライン(2)始業・終業時刻の把握はどのようにすればよいですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65769247.html
2017年2月6日「労働時間適正把握ガイドライン(1)労働時間ってなんですか?
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65768508.html


大熊社労士:
 こんにちは。もう2月下旬に入りましたね。そろそろ36協定を準備する時期ですね。
福島さん:
 はい、そろそろやらなくてはと思っていたところでした。
服部社長服部社長:
 大熊さん、新聞報道で36協定の上限時間を設定するというような記事が出ていましたが、やっぱり実現するのですかね。かなり前ですが、うちの製造部長と話をしたときに、従業員は忙しいときに残業をやらなければならないことはよく理解していて自主的に残業をしてよいかと確認してきてくれる。だけれども、上限の時間を気にしすぎて「あと5時間しかできない」というような発言が見られる、と言っていたのですよね。このときに「あぁ、きちんと残業の上限がクリアできる範囲での業務量の調整というのはすごく重要なのだな」と感じました。
大熊社労士:
 なるほど。おそらく、「残業は1ヶ月45時間までですよ」と総務がアナウンスをしているから、それより少ない時間で収めなくてはと従業員の皆さん自身が考えていらっしゃるということですね。
服部社長:
 はい。もちろん、特別条項等の運用も管理職は理解しているので、うまくコントロールしてくれているのですが、先ほどの発言を聞くと、36協定を守るために、サービス残業をすることにならないかと思いまして。
福島照美福島さん:
 残業時間が基準を超えると問題ですよ、と総務が案内しすぎなのでしょうか。
服部社長:
 いやいや、総務はそれが仕事の一つなので、それは続けよう。残業が多くなったときの課題は、残業が多くなってしまった原因を追及して、その原因をなくすように努力すること。そもそも人員が不足しているのか、営業が短納期の仕事を取ってくるのが影響しているのか、手直しが多くてロスする時間が多いのか。
大熊社労士:
 そうですね。残業を減らすにはその原因が分からないと、ただ単に会社が残業代削減のために無理を言っているとなってしまいますからね。
服部社長:
 そう。製造部は、基本的に設備がないとできない仕事が多いので、職場以外でのサービス残業はほぼ発生しないだろうけれども、営業部はパソコンがあれば、そしてそれが会社のパソコンでなくても、企画書の作成などはできてしまうからね。そうなるとサービス残業が多くなり、また、そもそもの残業削減にもつながらないことになる。
大熊社労士大熊社労士:
 結局は、旧態依然のままで、実際に行った業務の時間が見えなくなり、サービス残業が増え、会社のリスクは高まる。そんな最悪のシナリオになってしまいます。
服部社長:
 その最悪のシナリオにならないような対応が必要だと感じています。
大熊社労士:
 そうですね。実は先日からお話をしている労働時間適正把握ガイドラインでも、これに関連することが取り上げられており、「労働基準法の定める法定労働時間や時間外労働に関する労使協定(いわゆる36協定)により延長することができる時間数を遵守することは当然であるが、実際には延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、実際に労働時間を管理する者や労働者等において、慣習的に行われていないかについても確認すること」と、「自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置」で示していますからね。
宮田部長宮田部長:
 残業を好きでやっているのに総務からは口うるさく言われ、でも業務を放置するわけにも行かず、人員の増加をしてくれるわけでもない、確かに現場にとってはつらい位置づけってことか。
大熊社労士:
 そうですね。実際に大きく報道された公告代理店の女性新入社員が過労自殺した件でも、36協定の特別条項を守るような、残業時間の調整(カット)を本人自らが行っていたような状況がありますから、この部分は前回お話をした実態との乖離と合わせて、きちんとしておきたいところです。特に今後、服部社長がはじめにおっしゃった特別条項の上限時間も規制されると思いますし、そうなると、ますます残業していることが「悪」になり、それを隠すという行動にもなりやすくなる。
服部社長:
 そうですね。そう考えるともう小手先のことだけではなく、抜本的に何に取り組んでいくのかということを現場も巻き込みながらやっていく必要があるのですね。
大熊社労士:
 そうですね。それをやらない限りは本質的な問題解決はなされないのでしょう。まさに企業の体質を変える必然性を感じています。
服部社長:
 うちの会社も本気で考えていこうと思います。ありがとうとございました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。厚生労働省が発行しているパンフレット(中小事業主に役立つ時間外労働削減の事例集)を見ると、時間外労働が生じる理由(複数回答)の第1位は「取引先からの要求に応えるため」(58.0%)となっています。日本全体でサービスが過剰というような話も出ている中、自社が本当にやるべきことを考えるべき時代になっているのかも知れません。

関連blog記事
2017年2月13日「労働時間適正把握ガイドライン(2)始業・終業時刻の把握はどのようにすればよいですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65769247.html
2017年2月6日「労働時間適正把握ガイドライン(1)労働時間ってなんですか?
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65768508.html

参考リンク
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-04.pdf
厚生労働省「長時間労働削減に向けた取組」
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/151106.html


(宮武貴美)
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