最近は人事労務関連の話題がかなり多くあるなと、年度末に向けて公的機関から出ている情報をチェックしながら、大熊は服部印刷に向かった。


宮田部長宮田部長:
 最近、「勤務間インターバル」という言葉をよく耳にするようになったのですが、これってなんですか?
大熊社労士:
 今日は最新のキーワードですね。確かに聞くことが多くなった人事労務関連のキーワードですね。最近は、厚生労働省も専用のサイトを開設し、周知に力を入れています。
福島さん:
 確か、私、助成金もあるとどこかで見たような気がします。
大熊社労士:
 そうでしたか。それでは順を追って説明していきましょう。まず、勤務間インターバルですが、前日の勤務終了後から、翌日の勤務開始まで、一定時間以上の「休息期間」を設けるというものです。例えば、勤務間インターバルの時間を11時間と設定した場合に、前日の勤務が残業で午後11時になった場合に翌日は午前10時以降にしか勤務できないとするものです。
宮田部長:
 始業時刻が午前9時となっていてもですか?
大熊社労士:
 そうなります。そもそもこの勤務間インターバルは、労働者の生活時間や睡眠時間を確保することを目的に導入されるものです。これまでは、どれだけ勤務終了が遅くなっても、労働契約上、次の日の始業時刻に出社しないといけないというのが、労働時間の原則的な考え方でしたから、業務を抱えていると必然的に残業になり、そして、それに連動して生活時間や睡眠時間も短くなるという現象がありました。
宮田部長:
 確かに仕事が忙しくなって時間がなくなると何が削られるかといったら、睡眠時間となりやすいですよね。
福島さん:
 特に私は子育て中なので、疲れた〜、と思って多少家事を放置しても、子どもの食事をやめるわけにはいかないですし、お風呂にも入れないといけない。手を抜くのにも限界があるなと感じています。
大熊社労士:
 そうですよね。社会環境が変わってきて、男性も育児参加といわれている時代、福島さんのような状況の男性も出てきていると思いますね。また、睡眠時間の確保というのは、過重労働対策やメンタルヘルスに関する対策にもなるでしょうから、注目度が高いということなのでしょう。
宮田部長:
 では、実際に勤務間インターバルを入れるとなると、どのような制度になるのですか。
大熊社労士:
 そうですね、形としてはいろいろあると思うのですが、ポイントは勤務間インターバルの時間をまず設定するということでしょう。例えば、その時間を11時間と設定したのであれば、前日の勤務から11時間以上を開いていない場合には11時間後を始業時刻として繰り下げるということが考えられます。
福島さん:
 始業時刻が繰り下げになるということは終業時刻も繰り下げになるということですよね?そうなると、また帰るのが遅くなりそうですね。
大熊社労士大熊社労士:
 そうですね。午後11時まで働いたので、翌日は午前10時出社。業務が多くなって深夜0時終業で翌々日は午前11時出社・・・なんてことにならないようにしないといけません。結局どんどん夜型になってしまうというリスクさえありますからね。その対応としてはフレックスタイム制の採用も有力と思っています。
宮田部長:
 そうかぁ、なるほど。例えば、勤務間インターバルを6時間くらいにするというのはどうですか?
大熊社労士:
 確かに名案!といいたいところですが、あまりに短いと勤務間インターバル制度の主旨から外れることになります。先ほど話題に上がった助成金でも、助成金が支給されるのは9時間以上の勤務間インターバルを導入した場合であり、11時間以上の制度を導入した場合には助成の上限額が大きくなります。
宮田部長:
 そっか、そりゃそうですよね。
大熊社労士:
 ですので、勤務間インターバルでとして時間のみを決めて制度を運用するのではなく、終業時刻も管理していかないといけないと私は考えています。本来、9時始業の会社で11時間の勤務間インターバルを入れるのであれば、午前9時始業に合うように前日の午後10時までには終業するべきですからね。
福島照美福島さん:
 確かに働き過ぎだから翌日の始業を遅くするというよりも、翌日の始業を適切に迎えることができるように前日の終業をきちんと調整するということをすべきだなぁと感じます。
大熊社労士:
 とはいえ、その日のうちに必ずやっておくべきことがあるというのであれば、なかなか難しいということになります。ですので、ある程度、納期管理も適切にやっていくべきなのでしょうね。
宮田部長:
 そうですね。従業員各人別に仕事を任せすぎるのではなく、管理をしていくということが重要になりますね。
福島さん:
 ふと、私が従業員の皆さんのタイムカードを見ている限りでは、10時間くらいは現在でも事実上、勤務間インターバルがあるような気がします。一度、少ない人でどれくらいなのか、一度、タイムカードのシステムからデータで分析できないかを確認してみますね。
大熊社労士:
 そうですね。案外、制度を導入しなくても近い状態になっているというケースもあります。是非、一度、確認してみてください。
宮田部長:
 ありがとうございました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。勤務間インターバルは、法制化の前に助成金が設けられて推進が図られる流れにありましたが、先日、日本経済団体連合会と日本労働組合総連合の「時間外労働の上限規制等に関する労使合意」で、「勤務間インターバル制度を労働時間等設定改善法及び同指針に盛り込む」とされました。今後、法制化によりますます注目を浴びてくるものと思われます。
参考リンク
厚生労働省「勤務間インターバル」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/interval/index.html
厚生労働省「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html
日本経済団体連合会「時間外労働の上限規制等に関する労使合意」
http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/018.html


(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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