服部社長は最近の働き方改革に関する動きに大きな関心を持っており、今日の大熊との面談を楽しみにしていた。


大熊社労士:
 おはようございます。社労士の大熊です。
服部社長:
 おお、大熊さん。おはようございます。今日はお待ちしていましたよ。さぁ、こちらへどうぞ。
大熊社労士:
 ありがとうございます。それにしても4月に入って春めいてきましたね。近くの公園の桜も満開でした。
服部社長服部社長:
 そうですね。新年度に入ったこともあり、私も気合が入っているところですよ。それはそうとして、今日は最近話題の働き方改革のお話をお聞きしたいと思っていたところです。なかでも新聞でよく目にする労働時間の上限規制は結局どうなったのかと関心を持っています。
大熊社労士:
 やはりそうですよね。今日は当然、その話を用意していますよ。というのも、先週の2017年3月28日に政府の働き方改革実現会議が「働き方改革実行計画」というものを公表しました。この中では労働時間の上限規制をはじめとして、同一労働同一賃金や高齢者雇用、生産性向上、病気と仕事の両立など働き方に関する様々な方向性が示されています。
宮田部長宮田部長:
 病気と仕事の両立のような話までされているのですね。そのあたりはあまり新聞では見なかったような気がするなぁ。
大熊社労士:
 そうなんですよ。新聞などで報道されているのは実は全体からすればほんの一部であって、実際にはこれからの働き方全体に対する非常に大きな提言となっています。さて、服部社長が関心をお持ちの労働時間の話ですが、最終的には以下のようになりました。
週40時間を超えて労働可能となる時間外労働の限度を、原則として、月45時間、かつ、年360時間とし、違反には罰則を課す。
36協定を締結して時間外労働時間を行わせる場合であっても、その上限を年間720時間とする。
更に一時的に事務量が増加する場合についても最低限上回ることのできない以下の上限を設ける。
(1)2か月〜6か月の平均で、いずれにおいても休日労働を含んで、80時間以内
(2)単月では、休日労働を含んで100時間未満
服部社長:
 なるほど。報道では経団連と連合が協議をして合意に至ったという話を目にしましたが、概ねその内容でまとまったということですね。
大熊社労士:
 はい、そのとおりです。
福島照美福島さん:
 大熊先生、単月100時間、2〜6ヶ月で80時間というのは、要は過労死認定基準で示されている時間に合わせたということなのでしょうか?
大熊社労士:
 さすが福島さんですね。そのとおりです。脳・心臓疾患に関するいわゆる過労死認定基準の時間は最悪でも超えないようにということになっています。
服部社長:
 それで施行時期など、今後のスケジュールはどのようになっているのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 この内容を実現するためには労働基準法の改正が必要になりますが、その施行は2019年4月1日が想定されているようです。今週金曜日(2017年4月7日)に、第131回労働政策審議会労働条件分科会が行われるのですが、その議題が「時間外労働の上限規制について」とされています。この日から労働政策審議会での議論が始まり、その後、諮問・答申を経て、法律案が作成されることになります。今後は選挙なども見込まれることから流動的な部分はありますが、聞くところによれば、年内に改正法案がまとめられ、2018年1月からの通常国会で審議されるという話もあります。
福島さん:
 ということは36協定に影響が出るのは2019年4月以降と考えれば良さそうですね?
大熊社労士:
 それでよいと思います。
服部社長:
 なるほど、よく分かりました。当社の場合は基本的にそこまでの残業はないので特に大きな影響はないと思いますが、一部の業界や企業は大変でしょうね。
大熊社労士:
 まったくそのとおりです。中でも建設業や運送業については、特に大きな影響が出ると予想されています。そのあたりの話はまた次回、お伝えしたいと思います。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今回は注目の労働時間の上限規制に関する働き方改革実現会議の発表内容について取り上げました。この実行計画の中に「長時間労働は、構造的な問題であり、企業文化や取引慣行を見直すことも必要である。「自分の若いころは、安月給で無定量・無際限に働いたものだ。」と考える方も多数いるかもしれないが、かつての「モーレツ社員」という考え方自体が否定される日本にしていく。労使が先頭に立って、働き方の根本にある長時間労働の文化を変えることが強く期待される」という記載が見られます。

 現実に労働時間の削減を進める際には、この指摘にあるように経営陣や幹部を中心とした意識改革が大きなポイントとなります。36協定で上限を設定するのは所詮、紙の上の話に過ぎません。しかし、それを本当に実現しようとするのであれば、粘り強く意識改革を行い、業務の継続的な見直しが不可欠です。2019年4月まであと2年。まだ2年先と考えるのではなく、働き方を改革する時間を2年間もらったと考えて、着実に取り組みを進めていきたいものです。

関連blog記事
2017年3月29日「働き方改革実現会議 大注目の「働き方改革実行計画(案)」を公開」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52126469.html
2017年3月20日「勤務間インターバルってなんですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65773216.html

参考リンク
首相官邸「働き方改革実行計画(平成28年3月28日決定)」
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/hatarakikata.html#headline
厚生労働省「第131回労働政策審議会労働条件分科会」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000159793.html


(大津章敬)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu