最近、法令違反をした企業は厚生労働者のホームページで企業名が公表になっているが、どんな違反で公表されているのか気になった宮田部長は大熊に尋ねてみた。


宮田部長宮田部長:
 先生、少し前にネットでブラック企業の社名を厚生労働省のホームページで公表するというニュースを見たのですが、どんな企業が公表となってしまうのですか?
大熊社労士:
 おや、今日はシビアな話題ですね、宮田部長。何か問題でもあったのですか?
宮田部長:
 いいえ、我が社はブラックではないと思っていますが、どのような企業が対象となるのか、先生にお聞きしたかったのです。
大熊社労士:
 そうですね。厚生労働省は、今年5月より、長時間労働や賃金不払いなどで書類送検となった企業名を公表しています。5月10日に初めて公開されたものは、全国の企業・事業場名、所在地や違反内容などが記載されていて334件ありました。
福島さん:
 え〜、334件もあったのですか?
大熊社労士:
 多いですよね。この公表は、5月の1回で終わりではなく、毎月更新され、公表されてから原則1年間掲載することとなっています。
宮田部長:
 毎月更新?事案が発生するたびに、掲載していくということですか?
大熊社労士:
 リアルタイムではありませんが、まず都道府県労働局が労働局のホームページに公表し、厚生労働省が全国の送検事案をとりまとめ、厚生労働省のホームページを毎月更新します。
福島さん:
 うわ〜、厳しいですね。
大熊社労士:
 この企業名公表は、その事実を広く社会に情報提供することで、他の企業にも遵法意識を啓発して法令違反を防止、自主的な改善を促すことが目的なのです。
宮田部長:
 実際に公表となった案件はどんなものがあるのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 36協定が未締結の状態で時間外労働をさせたもの、36協定の延長時間を超えて時間外労働をさせたもの、最低賃金を支払っていなかったもの、労働安全衛生法で定めている危険防止措置や検査をしていなかったもの等が挙げられます。中でも注目したいのは、労働者死傷病報告を遅滞なく提出しなかった、という案件も少なくありません。
宮田部長:
 労働者死傷病報告?
福島さん:
 労災があったときに労働基準監督署へ提出するものですよね。
大熊社労士:
 そうですね。この労働者死傷病報告は、労災が発生し従業員が休業したときに労働基準監督署へ提出するものですが、労災申請とは別のものです。労災申請は、治療費、休業補償等に対する請求ですが、労働者死傷病報告は、労働安全衛生法に基づき事故の発生原因を明らかにして、労災事故防止に役立てることを目的としています。
宮田部長:
 そうでしたね、思い出しました。
大熊社労士:
 その労働者死傷病報告を、故意に行わない、虚偽の報告をしたという案件で、企業名公表となってしまうのであれば分かるのですが、「すぐに提出をしなかった」という場合も公表対象となっていることに注意が必要です。
福島照美福島さん:
 「すぐに提出しなかった」ということですが、いつまでに提出しなければいけないのですか?
大熊社労士:
 休業が4日以上か、3日以下で提出時期が異なります。休業が4日以上の場合は遅滞なく提出となっています。遅滞なくとは概ね1週間〜2週間以内、1か月を超えると、遅延理由書によりなぜ提出が遅れたのか説明を求められることがあります。休業が3日以下の場合は、四半期ごとに各期間の翌月末までに提出することになっています。
福島さん:
 4日以上の休業の場合は、2週間以内を目途に提出した方がよいですね。
大熊社労士:
 そうですね。
宮田部長:
 福島さん、労働者死傷病報告を忘れないように、気を付けるようにしましょう。我が社が、企業名公表となっては困りますからね。
福島さん:
 はい、気をつけます!
大熊社労士:
 労災を起こさないことが一番ですが、万が一労災があったときは、すぐに知らせてください。労働者死傷病報告が必要なときは、私からもお伝えします。
福島さん:
 心強いです、先生。よろしくお願いします。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今年度から始まった厚生労働省の労働基準関係法令違反にかかる企業名の公表については、一度公表されてしまうと、原則1年間企業名が公表され続けることになります。違反となる事案で注意したいのは、近年よく話題になる長時間労働や過重労働のみではなく、労働者死傷病報告を忘れてしまった、提出が遅れてしまった、という場合も対象となることです。労働基準監督署は労働者死傷病報告が提出されないと事故防止への取組みができなくなることから、厳しく取り締まっています。労災で休業が発生したときは、労災申請とともに、労働者死傷病報告も忘れないように注意しましょう。なお、通勤災害による休業の場合は、この労働者死傷病報告は不要です。

関連blog記事
2009年6月15日「労働者死傷病報告はどのような場合に提出する必要があるのですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65105931.html


(小浜ますみ)

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