服部印刷で、病気になった従業員がいるとの連絡を受け、大熊は会社に向かった。


大熊社労士:
 こんにちは。
福島さん:
 先生、お待ちしていました。
宮田部長宮田部長:
 今日は相談したいことがあります。実は、当社のある男性従業員が病気になってしまいまして…。
大熊社労士:
 それは心配ですね。どんな病気ですか?
福島さん:
 うつ病とのことで、診断書の提出がありました。療養のため、1ヵ月の休業が必要とのことです。
宮田部長:
 いま、本人は一人暮らしなので、地元に戻って療養するそうです。
大熊社労士:
 メンタルの病気は、特に家族の支えが重要となりますので、そうした方がいいですね。それで病気になった原因について本人は何か言っていましたか?
宮田部長:
 いいえ、特に言ってはいませんでした。
大熊社労士:
 そうですか。会社としては、仕事が原因ではないか確認しておく必要があります。残業時間は直近半年間、月45時間を超える月がどのぐらいあったのか。職場でパワハラなどいじめがなかったどうか。また、仕事内容が急に変わったとか、その点はどうですか?
福島さん:
 はい、残業時間については調べておきました。この半年間、多い月で35時間で、いずれも45時間は超えてはいません。
宮田部長:
 上司から強く叱られていたといったこともないようですし、同僚とも人間関係は上手くいっていたと思います。本人は真面目な性格ですし、仕事内容も変わりなくきちんとこなしていました。
福島さん:
 本人と同期の社員から聞いたのですが、最近お付き合いしていた彼女と別れたようで、とても落ち込んでいたようです。また、一人暮らしに馴染めず、会社を辞めて地元に帰りたいとも漏らしていたようです。
宮田部長:
 そうだったんだ…。とすると、残業時間も多くないですし、パワハラもないと思いますから、仕事が原因ではなさそうですね。
大熊社労士:
 そうですね。仕事が病気の原因である可能性は低そうですね。まずは安心しましたが、今後の対応について、整理しておく必要がありますね。
宮田部長:
 はい、今後療養が続くようであれば、就業規則の休職規定に則って休職の適用になると思うのですが、それでよろしいですよね?
大熊社労士:
 はい、就業規則の休職規定の通りに対応してください。
福島照美福島さん:
 先生、お聞きしたかったのですが、休職期間が満了しても病気が治らない場合は、退職となってしまうのですよね?休職期間満了による退職者はこれまでいなかったのですが、その場合の雇用保険の失業手当はどうなるのでしょうか。本人の病気による退職だから、自己都合となりますか?
大熊社労士:
 いいえ、離職理由は自己都合退職ではなく「休職期間満了による離職」となります。失業手当の日数は、自己都合と同じ取扱いの通常の受給資格者となります。
福島さん:
 自己都合と同じ取扱いということは、3ヵ月の給付制限もかかるのですか?
大熊社労士:
 いいえ、3ヵ月の給付制限はかかりません。期間の定めがある従業員の契約期間満了と同じ考え方で、従業員と事業主の同意のもとで計画期間満了による離職となる訳なので、給付制限はかからないことになります。
福島さん:
 なるほど。休職期間満了の退職は、給付制限はないのですね。そこは自己都合退職より有利となりますね。
大熊社労士大熊社労士:
 休職期間満了による退職の場合は、離職票発行の際に添付書類が必要になりますので、注意してください。就業規則の休職規定の箇所と休職通知書等で休職期間満了日が確認できるものが必要です。
宮田部長:
 となると、きちんと通知書を出しておかなければいけませんね。
大熊社労士:
 はい、そうしてください。休職の適用は、お互い齟齬のないように、休職期間はいつまでなのか、期間中はどのような報告をするのか、健康保険の傷病手当金の取扱いや本人負担分の社会保険料等も会社の口座に振り込んでもらうなどの説明も必要です。
福島さん:
 わかりました。そこに記載するようにします。先生、通知書を作成したら確認してください。
大熊社労士:
 もちろんです。出来次第ご連絡ください。しかし、退職とならずに、早く病気を直して復帰してもらいたいですね。
宮田部長:
 はい、そう願ってます。しかし、万が一病気が治らなかった場合のことも考え、休職期間満了の場合の取扱いについても説明することにします。
大熊社労士:
 よろしくお願いします。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今回は、休職期間満了による離職の場合の失業手当の要件について確認をしました。休職期間満了による離職の場合は、あらかじめ満了日が決まっている期限が到来した離職となり、給付日数は自己都合と同様ですが、3ヵ月の給付制限はかかりません。離職票発行の際には、―業規則の休職規定の箇所と休職通知書等で休職期間満了日が確認できるものが必要となります。しかし、退職後も治療のためすぐに求職活動ができない場合や健康保険の傷病手当金を受給している場合は、失業手当を受給することはできませんので、受給期間の延長の申請を行っておくとよいでしょう。


参考リンク
ハローワーク「基本手当について」
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html


(小浜ますみ)

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