大熊が会社に到着すると、福島さんが忙しそうに書類をチェックしていた。

大熊社労士:
 こんにちは、福島さん。お忙しそうですね、何の書類をチェックされているのですか?
福島照美福島さん:
 先生、こんにちは。4月に向けて嘱託社員の労働条件通知書の更新があるので、その通知書をチェックしていたのです。
大熊社労士:
 そうでしたか。労働条件通知書を始め、4月は何かとしなければいけないことがたくさんありますね。
宮田部長:
 本当です。新入社員の受入準備もしなくちゃいけないし。嘱託社員の数も増えてきて、今回は10人の通知書の更新ですよ。
大熊社労士大熊社労士:
 そういえば、先日、御社では嘱託社員の無期転換の特例の認定が下りたので、今回からの労働条件通知書には、「有期雇用特別措置法による特例の対象者」として、「無期転換申込権が発生しない期間:定年後引き続いて雇用されている期間」の事項を追加しなければいけませんが、追加されましたか?
福島さん:
 はい、先生。そこは忘れずに、ばっちり追加してあります。
大熊社労士:
 さすが福島さん、対応ありがとうございます。
宮田部長:
 他に変更しなきゃいけないことはなかったよね、福島さん?
福島さん:
 はい、給与の変更もないですし、大丈夫だと思うのですが…。あっ、1人、扶養していた家族が扶養から抜けたので、家族手当の支給がなくなる人がいました。よかった〜、いま気がついて。
宮田部長:
 危ないところでしたね。給与計算も家族手当の変更忘れないようにお願いしますね。
福島さん:
 はい、わかりました。それに、社会保険の月額変更に該当するかどうかも、3ヵ月後にチェックすることも忘れないようにメモしておきます!
大熊社労士:
 その方の家族手当の変更は、労働条件通知書を更新するタイミングで変更となるのですよね?
福島さん:
 はい、そうです。固定的手当の変動となるので、月額変更に当たるかどうかのチェックでよろしいですよね?
大熊社労士:
 通常はその通りでいいのですが、60歳以上の方で、ちょうど有期契約の更新時に給与・手当が改定され、標準報酬が1等級でも下がる場合は、同日得喪の手続きをすることができます。
宮田部長宮田部長:
 ええっ?同日得喪って、定年退職時に再雇用された人で標準報酬が下がることがあれば、すぐに新しい標準報酬に切り替えができるって手続きですよね?同日得喪の手続きは、定年退職のときだけじゃないんですか?
大熊社労士:
 はい、定年退職後も契約更新時に標準報酬が下がることがあれば、同日得喪の手続きをすることができるのです。
福島さん:
 そうなんですね!その方の標準報酬の等級は変わるかな…。あっ、1等級下がります!
宮田部長:
 ふう〜ん。契約更新時に給与の変更がある場合も、同日得喪の手続きができるんだ。それは朗報だね。
福島さん:
 契約期間の途中で変更となった場合も同日得喪となりますか?
大熊社労士:
 それはできません。契約期間の途中の給与変更の場合は、通常の月額変更に該当するかどうかで判断されます。この同日得喪は、あくまで契約更新時に給与改定があった場合に手続きすることができるというものです。
福島さん:
 それでは、今回の方の同日得喪の手続きは、新しい労働条件通知書、就業規則の写しをつけるということでよろしいでしょうか?
大熊社労士:
 はい、それと、直近の労働条件通知書もつけてください。新旧の標準報酬を比べることになります。
福島さん:
 はい、わかりました。今日は嘱託社員の契約更新時の同日得喪のことも分かって、よかったです。先生、これからも手続きなどで漏れがないか、教えてください。
大熊社労士:
 はい、もちろんです。考えられることは、すべてお伝えします!

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。平成25年4月より社会保険の同日得喪の取扱いが変わり、従来は「特別支給の老齢厚生年金の受給権者」に限られていましたが、「60歳以上の者で退職後継続して再雇用される者」へ対象範囲が広がりました。嘱託社員は一般的に有期雇用契約が多いかと思いますが、契約更新時に給与改定があり、標準報酬が1等級でも下がることがあれば、この同日得喪の手続きをすることができます。契約期間の途中の給与改定の場合は、月額変更として2等級以上の差が生じる場合にしか手続きすることはできません。特に60歳以上で在職老齢年金を受給されている方については、標準報酬月額が下がることにより在職老齢年金が増えますので、契約更新時に同日得喪の手続きが発生するかどうかも併せて確認するようにしましょう

関連blog記事
2018年1月22日「定年退職者の無期転換特例は労働条件通知書に盛り込むことが必要です」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65791239.html

参考リンク
日本年金機構「Q&A 60歳以上の厚生年金の被保険者が退職し、継続して再雇用される場合、どのような手続きが必要ですか」
http://www.nenkin.go.jp/faq/kounen/kounenseido/shokutakusaikoyo/20140911.html

(小浜ますみ)

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