服部印刷では、4月に新入社員が3名入社したが、さらに来月にも社員が1名入ることになった。


大熊社労士:
 こんにちは。
福島さん:
 こんにちは、先生。
宮田部長:
 先生。来月、また社員が入ることになりました。
大熊社労士:
 本当ですか!この人材難のときに、それはよかったです。
宮田部長宮田部長:
 はい、35歳の男性で、現在は小さい製造業の会社で勤務されているのですが、彼は理系でインクに興味があるそうです。当社で印刷技術も学んで、ゆくゆくはインクがよく映える機械の設計に取り組みたいようで、当社では願ってもない人材です。
大熊社労士:
 それは素晴らしい志ですね。先日は大手印刷会社を定年退職されたベテランの方も入社されましたし、その方からもみっちり教えてもらえますね。
宮田部長:
 はい、面接のときにその話も彼にしたら安心したようで、入社が決まりました。家族もいるのでしっかり働きたいと言ってました。
大熊社労士:
 頼もしい限りです。その方は結婚されていて、お子さんもいらっしゃるのでしょうか?
福島さん:
 はい、2歳の女の子がいて、奥様はパートで扶養の範囲内で勤めているそうです。
大熊社労士:
 そうですか。3歳未満のお子さんがいる方なので、入社の手続きは通常の社会保険、雇用保険の取得手続きに加えて、厚生年金の養育特例の手続きも検討しておいた方がよいかも知れませんね。
福島さん:
 養育特例の手続きですか?養育特例は育児休業が終了して、育児休業終了時月額変更届により標準報酬月額が下がったときに提出するものですよね?
宮田部長:
 えーっと、養育特例って、何か年金額が優遇されるとかの制度でしたよね?それを入社のときに出すのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、養育特例の制度について、もう一度整理しましょう。子どもが3歳までの間、勤務時間短縮などで働いたことによって標準報酬月額が下がった場合、子どもが生まれる前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができる制度です。養育特例の申出をする時期は、育児休業終了時の月額変更届により標準報酬月額が下がったときが圧倒的に多いのですが、他にも申出する時期があります。3歳未満の子の養育を開始したとき 3歳未満の子を養育する者が新たに被保険者資格を取得したときなどです。
福島さん:
 今回は、3歳未満の子を養育する者が新たに被保険者資格を取得したとき、にあたる訳ですね。
宮田部長:
 えっ?子どもが生まれる前の標準報酬月額は、当社では分かりませんよね?
大熊社労士:
 そうですね。前職の子どもが生まれる前の標準報酬月額はこちらでは分かりませんので、入社時の標準報酬月額と比べることはできません。しかし、取得届と一緒に養育特例の手続きも行っておけば、入社時の標準報酬月額が低かった場合は優遇措置が受けられることになります。また入社時には下がっていなかった場合でも、子どもが3歳になるまでに下がることがあれば優遇措置を受けることができます。
福島さん:
 なるほど。入社の時点で養育特例を出しておけば、いずれにしても標準報酬月額が下がることがあれば優遇措置を受けられるってことですね。
大熊社労士:
 はい、そのとおりです。この養育特例の申出は、a)子の戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書 と b)子と同居していることが確認できる住民票 の2点が必要となり、申出するかどうかは任意です。この制度を説明したうえで、本人に選択してもらえばよいと思います。
福島さん:
 実際に該当するかどうかは分かりませんが、せっかくの優遇措置なので出しておいた方が安心ですよね。
大熊社労士:
 はい、私もそう思います。
宮田部長:
 もう一つの3歳未満の子の養育を開始したとき、とはどういう意味ですか?
大熊社労士:
 はい、社員に子どもが生まれたときという意味です。女性の場合は産前産後休業中なのでこの時期に提出しませんが、男性社員で育児休業を取得しない場合は、子どもが生まれた時点でこの養育特例を出しておくことで、3歳までに標準報酬月額が下がることがあれば優遇措置が受けられます。
宮田部長:
 はぁ〜。男性も養育特例の申出ができるのですね。
福島さん:
 この養育特例は、3歳になるまで算定基礎届や通常の月額変更届で標準報酬月額が下がった場合も適用となるのでしたよね?
大熊社労士:
 そのとおりです。下がった理由は問われません。
福島照美福島さん:
 とすると、3歳になるまでにいつ下がることがあるかわかりませんから、申出時期に出しておいた方がいいってことですよね。総務としても、算定基礎届や月額変更届のときに、標準報酬月額が下がった人で3歳未満の子どもがいる人の対象者を拾い出す作業はとても大変ですから。
大熊社労士:
 はい、福島さんのおっしゃるとおりです。私も申出できる時期に、提出することをお勧めします。
宮田部長:
 確かに、本人にとっては有利になることですからね。来月入社の彼にも説明しておきます。
大熊社労士:
 はい、よろしくお願いします。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス


 こんにちは、大熊です。今回は、厚生年金の養育特例の制度について確認しました。次世代育成支援を目的とし、子どもが3歳になるまでの間の報酬の低下が将来の年金額に影響しないようにするための優遇措置です。育児休業終了時の月額変更届が発生したときは、セットとしてこの養育特例を提出することは多くとられていますが、上記´△両豺腓砲歪鷭个気譴討い覆ぅ院璽垢みられます。万が一標準報酬月額が下がったときには優遇措置が受けられることを被保険者に周知し、制度を利用できるようにしましょう。また、平成29年1月より育児・介護休業法の改正により、養子縁組の監護期間中の子など対象となる子どもの範囲も広がっていますので、年金機構のホームページで詳細を確認しておきましょう。
参考リンク
日本年金機構「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20150120.html
日本年金機構「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置をうけようとするとき」
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/kenpo-todoke/hoshu/20141203.html


(小浜ますみ)

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