割増賃金について確認したいとの連絡を受け、大熊は服部印刷を訪れた。


大熊社労士:
 こんにちは。
福島さん:
 こんにちは、先生。今日は、残業代の計算について分からなくなりましたので、教えてください。
大熊社労士:
 はい、もちろんです。
宮田部長:
 先月は突発的な受注が入り、短納期で対応せざるを得ない案件があり、土・日の休日2日間、一部の社員が出勤となりました。
福島照美福島さん:
 土・日2日間とも出勤していることはこれまでほぼなかったので、再確認をしたいのですが、割増率については、1.25と1.35で分けて計算しないといけないですよね?
大熊社労士:
 はい、御社の場合は、休日について、4週間に4日の変形休日制を取っていないため、原則である1週間に1日の休日を確保する必要があります。1週間の起算日は何曜日で集計されていますか?
福島さん:
 はい、1週間は、月曜日を起算日として計算しています。
大熊社労士:
 わかりました。御社の場合、就業規則で法定休日を日曜日とは定めていませんでしたよね?
宮田部長:
 はい、法定休日については特に記載はしていなかったと思います。いま就業規則を確認します…。やはり特に何曜日との記載はありません。
大熊社労士:
 そうしますと、月曜日から連続7日間勤務していますから、法律で謳っている1週間に1日の休日が確保できていません。よって、休日出勤した2日のうち1日については、1.35の割増賃金を支払うことになります。
福島さん:
 はい、そうですよね。土曜日、日曜日のどちらを1.35で計算するのでしょうか?
大熊社労士:
 はい、例えば、就業規則で法定休日を土曜日と定めていた場合は、土曜日に勤務した時間を1.35で支払う必要がありますが、今回のように法定休日について曜日の定めがない場合、2日ある休日のうちどちらも勤務した場合は、後順の休日が法定休日となり、1.35の割増率で算出することになります。
宮田部長宮田部長:
 今回の休日出勤について、土、日のどちらか勤務時間が短い方を1.35で支払うってことができるのかなって、考えていたのですが…。
大熊社労士:
 そうですね〜。宮田部長と同じ質問を受けることがあります。しかし、法定休日を特定していない場合のどちらを法定休日として取扱うかについては、平成22年の労働基準法改正時に、厚生労働省が「改正労働基準法に係る質疑応答」を出し、後順の休日を法定休日として取扱うと、回答しています。
福島さん:
 先生、もう1つ質問なのですが、その1週間の平日に2日間、年次有給休暇を取得した社員がいて、その上で土日に出勤したのですが、1週間の実際の勤務時間数は、ちょうど40時間になります。その場合、土曜日も日曜日も割増分は発生せず、1.0で支払ってもよろしいですか?
大熊社労士:
 たまたま同じ週に年次有給休暇を取得された方がいたのですね。結論からいいますと、日曜日は、1.35で支払わなければいけません。土曜日は、1週間40時間を超えていませんから、1.0の算出で構いません。
宮田部長:
 ええっ、そうなんですか!?休日出勤しても、1週間の実際の勤務時間は40時間を超えていないですよ?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、実際の勤務時間数は40時間を超えていませんが、週1日の休日が確保できているかという観点でみると、年次有給休暇を取得した日はあくまでも勤務日ですから、休日扱いにはなりません。結果、その1週間は休日がとれていないことになります。非常に特殊なケースですから、そうそうないとは思いますけれども。
福島さん:
 なるほど、そういうことですね。年次有給休暇で休んでいても、休日ではないから、土・日出勤した場合の、日曜日は必ず1.35で支払う必要があるってことですね。
宮田部長:
 ふう〜ん、そうなんだ。では、土曜日はというと…?
福島さん:
 こちらは、週40時間を超えていないので、1.0で算出してもよろしいですよね?
大熊社労士:
 はい、福島さんのおっしゃるとおりです。
宮田部長:
 はぁ〜、法定休日の取扱い、ややこしいなぁ。
大熊社労士:
 たしかに、年次有給休暇を取得した場合は、注意して確認する必要がありますね。割増率は、実勤務時間数で発生するかどうか見ていきますが、法定休日については、あくまでも週1日の休日が確保できているかという観点で考えます。御社の場合、日曜日勤務しても、土曜日休むことができたら、日曜出勤は、1.0か1.25で算出するということになります。
福島さん:
 わかりました!これで整理できました。給与計算が進められます。先生、ありがとうございました。
大熊社労士:
 それはよかったです。宮田部長、給与計算チェック、よろしくお願いしますね。
宮田部長:
 は、はい〜。了解しました!

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。今回は、年次有給休暇を取得した場合の割増賃金について、確認しました。平日に年次有給休暇を取得し、休日勤務した場合の法定休日の取扱いには注意が必要です。割増賃金が発生するかどうかは、原則実労働時間で見ていきますが、法定休日については、1週間のうち休日が確保できているかどうかで判断します。確保できていない場合は、1週間の労働時間が40時間を超えていなくとも、1.35の割増率で算出することになります。また、法定休日を何曜日と特定していない場合は、後順の休日が法定休日扱いになりますので、再度、1週間の起算日についても確認しておきましょう。


参考リンク
厚生労働省「平成22年4月 改正労働基準法に係る質疑応答」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1k.pdf
厚生労働省「FAQよくある質問:法定労働時間と割増賃金について教えてください。」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyungyosei07.html


(小浜ますみ)

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