服部印刷のパート従業員が仕事中にケガをしたとの連絡を受け、大熊は会社に向かった。
大熊社労士:
 こんにちは、パートさんがケガをされたそうで…。
福島照美福島さん:
 そうなんです。昨日、パートさんが工場の敷地の縁石につまづいて転んでしまって、足の小指の骨にヒビが入ってしまったようです。
大熊社労士:
 あらら、それは痛そうですね。それでどのぐらい休業が必要なのでしょうか?
宮田部長:
 はい、全治には1ヵ月ぐらいかかると言われたそうですが、仕事には1週間ぐらいで復帰できそうです。
大熊社労士:
 そうでしたか。大ケガでなくてよかったです。
宮田部長宮田部長:
 はい、私も一報を受けたときはヒヤリとしましたが、先程、本人も会社に顔を出しに来て、元気そうでホッとしました。
福島さん:
 それで先生、労災の休業補償について確認したいのですが、よろしいですか?
大熊社労士:
 はい、もちろんです。何でしょう?
福島さん:
 今回は、4日以上の休業となりますので、様式8号を記載する必要がありますね。業務上の休業の場合、待期期間の3日間については、労災から給付がされないので、会社が休業補償をする必要があると記憶しているのですが、そうですよね?
大熊社労士:
 はい、その通りです。
福島さん:
 今回、ケガをした日は当然勤務日ですが、翌日、翌々日は、シフトが入っていないので、休日となります。その場合でも、休業補償は必要ですか?
大熊社労士:
 なるほど、待期期間の3日間に休日が含まれる場合の取り扱いですね。結論から言いますと、休業補償は必要です。
宮田部長:
 え〜っ、休日なのに、休業補償するのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、労災の休業補償は、休業期間中、勤務日、休日、公休日に関わらず、その期間労務不能かどうかで考えます。待期3日間は休日であってもカウントされます。休業4日目以降の休業補償給付は労務不能期間中、賃金が支払われていなければ、労務不能期間の全日数支給されます。勤務日だけを補償している訳ではありません。
福島さん:
 確かにそうですね。待期期間後10日間労務不能だったら、10日分支給されますね。
宮田部長:
 ふう〜ん、そういう考えか…。
福島さん:
 それでは、今回の待期3日間については、2日目と3日目は休日ですが、休業補償として、平均賃金の6割以上支払う必要があるってことですね。
大熊社労士:
 そういうことになります。整理しておきますと、御社の場合は、完全月給制を取っていないので該当しないのですが、時給制や日給月給制でなく、休んでも欠勤控除されない完全月給制の場合は、待期の3日間も給与が支払われていることになりますので、休業補償する必要はありません。時給制や日給月給制は、そもそも休日には賃金が発生していないので、待期の3日間に休日があった場合も補償が必要ということになります。
福島さん:
 なるほど、よくわかりました。
大熊社労士:
 ちなみに、待期期間の起算日は、所定労働時間中にケガをし、早退して病院に行った場合は、その日から起算しますが(昭27・8・8基収第3208号)、所定労働時間内にケガをし、所定労働時間終了後に病院へ行った場合や、所定労働時間外の残業中のケガの場合は、翌日から起算します。
福島さん:
 今回は、所定労働時間中のケガなので、当日起算でいいですね。
宮田部長:
 そういえば、待期期間中は、年次有給休暇を取ってもいいのでしたよね?
大熊社労士:
 はい、待期期間について、本人から年次有給休暇を取得したいという申出があった場合、付与することは問題ありません。年次有給休暇として賃金補償をしているので、別途休業補償を支払う必要はありません。しかし、年次有給休暇は勤務日にしか取得はできませんので、今回の場合、2日目、3日目は休日ですから、年次有給休暇を取得することはできませんね。
宮田部長:
 ああ〜、そういうことになりますね〜。
福島さん:
 う〜ん、今後も業務上のケガで休業が発生した場合、待期期間の休日に休業補償をすることを忘れないようにしなきゃ。
大熊社労士:
 はい、しっかりメモしておいてくださいね。
福島さん:
 これから、休業補償の書類を作成しますが、分からなくなったら教えてください。
大熊社労士:
 はい、いつでもご連絡ください!

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。今回は、業務上災害で休業した場合の待期期間について確認しました。労災の休業補償給付を受けるためには、待期期間として通算3日が必要となります。この3日間は連続している必要はありませんが、平均賃金の6割以上の休業補償をする必要があります。上記で述べたとおり、完全月給制でない場合は、休日であっても補償が必要となります。この休業補償について、支給を漏らしているケースも見られますので、注意が必要です。なお、通勤災害の場合の待期期間3日間につていは、事業主の責任はないため、休業補償の必要はありません。


参考リンク
厚生労働省「労働災害が発生したとき」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/rousai/index.htm
厚生労働省「労災保険請求(申請)のできる保険給付等パンフレット」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/091124-1_0001.pdf

(小浜ますみ)

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