服部印刷では、時折、突発的に大量の受注が入ることが増え、残業も増えてきたことが気がかりな社長であった。
服部社長:
 大熊先生、最近、残業が増えてきたことが気になっていまして…。
大熊社労士:
 そうですか。残業が増えた原因は何でしょうか?
服部社長服部社長:
 はい、ありがたいことに、受注が増えているのですが、突発的な依頼も多く短期での納品が求められることからどうしても残業となってしまうのです。
大熊社労士:
 なるほど、納期が短い状況では作業工程の時期をずらすことはできませんから、必然的に残業となってしまうのですね。
服部社長:
 それで気になっていたことがあるのですが、我が社は36協定で特別条項を結んでいるので、月45時間を超えてもよいかと思うのですが、年何回まででしたか?毎月超えてよい訳ではなかったですよね?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、労基法の通達では年6回までとされていますが、御社の取り扱いについては実際の36協定を確認しましょうか。
宮田部長:
 (36協定届を机に出し)はい、我が社の36協定でも年6回までとしています。
服部社長:
 45時間を超える月については、まだ6回にはなっていませんよね?
福島さん:
 はい、協定期間は4月からですので、まだ6回には全然いっていません。
服部社長:
 しかし、突発的に4月、5月と続けて受注が入っていますから、今後もこの調子で受注が入ると、すぐ6回になってしまう可能性がありますね。
大熊社労士:
 そうですね。社長のおっしゃる通り45時間を超える残業の対象者については、注意して回数を管理していく必要があります。
福島照美福島さん:
 それについては、別途残業管理シートを作成して、45時間を超える社員のリストアップをしています。
服部社長:
 そうですか、それはきちんと対応してもらっていますね。福島さん、ありがとう。
宮田部長宮田部長:
 んん?36協定の特別条項のところに、「労使の協議を経て」1年に6回を限度として延長することができる、と記載があります。労使の協議って…?
大熊社労士:
 はい、45時間を超える残業の場合には、労使の手続きについてどのような方法をとるか定める必要があり、労使の協議とか、労働者代表への通知などの手続きをとる必要があるのです。
服部社長:
 なるほど。45時間を超えて残業をさせる場合には何かしらの手続きが必要で、我が社の場合、労使の協議をすることになっているということですね。
大熊社労士:
 そういうことです。
宮田部長:
 労使の協議とは、具体的に何をすればよろしいでしょうか。
大熊社労士:
 はい、対象となる社員、特別条項の適用となる特別な事由、適用する延長時間数などを労働者代表と協議します。
服部社長:
 労働者代表と協議した内容は、何か議事録が必要ですか?
大熊社労士:
 はい、書面で残しておくことが求められます。その書面のサンプルがありますので、こちらをご確認ください。
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55667654.html
宮田部長:
 ふむふむ、これらの内容を書面で残していくってことですね。
大熊社労士:
 そうですね。働き方改革関連法の成立も目前となっています。これまで以上に、労働時間管理や時間外労働の管理の徹底が求められます。36協定についても、協定した内容通りに行われているか、労働基準監督署の調査では厳しく問われることが想定されます。
服部社長:
 我が社でも、この36協定の特別条項の延長手続きがなされていないと指摘されないように、今後はこの記録をしっかり残していきましょう。宮田部長、福島さん、頼みましたよ。
宮田部長:
 はい、わかりました。
福島さん:
 承知しました。

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。36協定届で特別条項を設け、その特別条項を適用する場合には、「労使の協議を経て」延長するとしている企業も多いのではないでしょうか。労使の協議という手続きを経ることなく、45時間を超えて時間外労働をさせた場合は法違反となります。また、労使当事者間において取られた所定の手続の時期、内容、相手方等を書面等で明らかにしておく必要があります。手続きの瑕疵とならないように、書面で残すように対応しましょう。


関連blog記事
2018年5月30日「特別延長時間に関する適用手続き記録」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55667654.html

参考リンク
東京労働局「時間外労働・休日労働に関する協定届 労使協定締結と届出の手引」パンフレット
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/var/rev0/0145/3504/201417102954.pdf
厚生労働省「時間外労働の限度に関する基準」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/040324-4.html

(小浜ますみ)

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