先日、福島さんは仕事中にケガをしたパート従業員の休業補償について計算をしていたところ、疑問が湧いてきた。
先日のブログ記事はこちら
2018年6月4日「業務上のケガで休業し、待期3日間に休日がある場合には休業補償が必要ですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65797174.html
福島さん:
 先生、こんにちは。先日仕事中にケガをしたパート従業員が無事復帰しました。
大熊社労士:
 それはよかったですね。
宮田部長:
 まだ通院は続くようですが、予定通り1週間で復帰できてよかったです。
福島照美福島さん:
 ところで先生。業務上のケガの場合は、待期の3日間について、会社が平均賃金の6割以上を支払わなければいけないのですよね。
大熊社労士:
 その通りです。
福島さん:
 今回、ケガをしたのは所定労働時間中だったので、その日から起算するということでしたが、ケガをした日は2時間勤務しています。その場合、ケガをした日の休業補償はどのように計算したらよいのですか?
大熊社労士:
 はい、ケガをした日に一部勤務した場合の取扱いについては、次のように計算します。
(平均賃金−労働した分の賃金)×60%〔労働基準法施行規則第38条〕
まずは、平均賃金額を計算して、一部働いた分の給与額を控除した額の6割を補償するということになります。
福島さん:
 そうすると、例えば、平均賃金額が10,000円、時給が1,000円だった場合、10,000円から1,000円×2時間を引いた8,000円の6割となる4,800円を休業補償として支払うということですね。
宮田部長:
 ふう〜ん。ケガをした日は、給与が発生していない分の6割を補償するって考えですね。
大熊社労士:
 その通りです。
福島さん:
 わかりました。平均賃金を出して、その差額分の6割を慎重に計算します。
大熊社労士:
 お願いします。
福島さん:
 それでふと疑問に思ったのですが、労災保険の休業補償って、いつまでという期限があるのですか?健康保険の傷病手当金は、支給開始日から1年6ヵ月と期限が決まっていますよね。
大熊社労士:
 いい質問ですね。結論からいいますと、医師が労務不能と認め、賃金を受けていなければ、期限なく支給され続けます。また、1年6ヵ月を経過した時点で、負傷または疾病が治っていなくて、その負傷または疾病による障害の程度が一定の傷病等級に該当するときには、休業補償給付に変わって、傷病補償年金に切り替わることがあります。療養が長引き重い症状の場合には、年金になることがあるということです。
宮田部長:
 そうかぁ、休業補償は期限がないのですね。労務不能状態なら、ずっと支給され続けるのですか?
大熊社労士:
 そういうことです。仮に退職することになっても、退職日で支給が打ち止めになる訳でもありません。
福島さん:
 へぇ〜、健康保険と違って、労災保険は支給開始からいつまでという期限はないのですね。退職後に休業補償給付を受け続ける場合、金額は変わるのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 基本は変わりません。休業補償給付の日額は、最低限度額と最高限度額が設けられていますが、その限度額が適用になる場合以外、大幅な金額変更はないと考えてよいでしょう。ここで重要なのが、症状固定という考え方です。労災保険では「治癒」した際には、給付が打ち切られることになりますが、労災保険においてこの治癒というのは、傷病が完全に回復した状態のみをいうものではなく、傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態を言います。この状態を労災保険では「治癒」と言うのです。
宮田部長:
 えぇっ、完全に治っていなくても治癒とされてしまうことがあるのですか?それで給付が打ち切られたら困ってしまいますよね?
大熊社労士:
 そうですよね。そのような状態で障害が残った場合には、障害補償給付へ切り替わっていくこともあります。
福島さん:
 そうなんですね。我が社では長期療養となった事案がなかったので意識していませんでしたが、治癒するまでは退職しても労務不能であればずっと休業補償給付が支給されるのは、ありがたい制度ですね。
宮田部長宮田部長:
 病院の治療代も健康保険だと3割負担になりますが、労災保険は、本人負担分はありませんしね。ここも大きな違いですね。
大熊社労士:
 そうですね。労災保険は、労働者保護の観点で考えられていますから、事業主が保険料を全額負担し、業務上災害が発生した場合はその保険で補うことになります。労災保険の対象とならないような、待期3日については、事業主の責任として、休業補償をしなければならないということになります。
宮田部長:
 よくわかりました。いずれにしても、労災事故は発生させないようにしなければいけませんね。
大熊社労士:
 はい、引き続き工場での安全管理については、しっかり体制を取ってください。

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。今回は、労災保険の給付について確認しました。業務上災害の待期期間3日の事業主の補償について、一部労働がある場合は、賃金が発生していない部分の6割の補償が必要です。また、労災保険の休業補償給付は、退職によって打ち切りになる訳ではなく、労務不能等一定の要件を満たす限り支給され続けます。労働者保護という観点からも健康保険より厚い給付となっています。

[参考条文]
労働基準法施行規則第38条
 労働者が業務上負傷し又は疾病にかかつたため、所定労働時間の一部分のみ労働した場合においては、使用者は、平均賃金と当該労働に対して支払われる賃金との差額の百分の六十の額を休業補償として支払わなければならない。


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2018年6月4日「業務上のケガで休業し、待期3日間に休日がある場合には休業補償が必要ですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65797174.html

参考リンク
厚生労働省「労働災害に関するQ&A」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/rousaihoken/

(小浜ますみ)

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