服部印刷では人手不足の状態が続いており、パートタイマーの求人をかけたところ、外国籍の方が応募してきた。はじめてのことだったので、まずは大熊社労士に相談することにした。
宮田部長宮田部長:
 大熊先生、ここのところ急な受注で現場が大変なことになっているものですから、先日、短期のパートタイマーの求人をかけました。
大熊社労士:
 そうでしたか。それで応募はありましたか?
福島さん:
 はい、何人かあったのですが、そのなかで外国籍の方がいらっしゃいました。
宮田部長:
 日本語もすごく上手でコミュニケーションも問題なさそうなのですが、外国籍の方は就労ビザがないと働けないのですよね?
大熊社労士:
 そうですね。働けるビザかどうか、在留カードで確認をしなければなりません。在留資格は何でしょうか?
宮田部長:
 はい、「家族滞在」となっていました。在留カードの就労制限の有無の欄に「就労不可」って記載がありましたから働けないですよね?
大熊社労士:
 「家族滞在」の在留資格の方からの応募があったのですね。おっしゃるように「家族滞在」は就労することはできません。しかし、資格外活動の許可を取っていれば一定範囲内で働くことができます。
宮田部長:
 ええっ?そうなんですか?てっきり家族滞在の場合は働けないものと思っていました。
大熊社労士:
 在留カードの裏面を確認してみると、資格外活動の許可を受けているか確認できます。資格外活動の許可を受けている場合は、基本は短時間勤務になりますが勤務先を特定することなく働くことができます。
宮田部長:
 そういえば在留カードの裏面もコピー取ったはずだよね?
福島さん:
 はい、裏面には…、資格外活動許可の欄に「許可 原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載があります。
宮田部長:
 はは〜ん、それではその方は我が社で働いてもらってもいいのですね!
福島さん:
 でも、原則週28時間以内とありますので、毎日8時間の週5日のシフトはいけないということですよね?
大熊社労士:
 はい、そうなります。勤務時間で気を付けなければいけないのが、その方が掛け持ちで働く場合は、他社と合算して週28時間以内としなければなりませんので、他社でも働いていないかどうかきちんと確認してくださいね。
福島さん:
 はい、わかりました。
大熊社労士:
 そして資格外活動の許可期限も確認することも重要です。期限については、パスポートで確認してください。
宮田部長:
 わかりました。パスポートで許可期限を確認するようにします。
福島照美福島さん:
 今回は、単発の3ヵ月間で募集をかけているのですが、その外国籍の方に働いてもらうとしたら、雇用保険や社会保険の取得ははどうしたらよいのですか?
宮田部長:
 その方はいずれは本国へ帰る訳だし、3ヵ月だけの単発だから加入してもメリットないですよね?
大熊社労士:
 はい、ご説明しましょう。まず社会保険についてですが、御社は特定適用事業所ではないので、正社員と比較して勤務時間等が4分の3未満であれば、社会保険に加入する必要はありません。雇用保険については、日本人、外国籍に関わらず、雇用保険の被保険者となるかならないかの基準で考えます。
宮田部長:
 そうすると、雇用保険は、勤務時間が週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みの人は加入ですね。
福島さん:
 でも先生、昼間学生は勤務時間が週20時間以上であっても、雇用保険に加入できなかったですよね?
大熊社労士:
 そのとおりです。
宮田部長:
 この人は留学生ではないので、週20時間以上働いてもらおうとすると雇用保険に加入しなければいけないってことか…。
大熊社労士:
 そうなります。
福島さん:
 わかりました。もし、週20時間未満の場合は、雇用保険の手続きはしなくてもいいので、特に手続きは必要ないですね。
大熊社労士:
 雇用保険に加入しない場合でも、外国籍の方を雇う場合は、ハローワークに別途「外国人雇用状況届出書」の届出が必要になります。
宮田部長:
 ふう〜ん、そのような届出が必要なんだ。
大熊社労士大熊社労士:
 ハローワークは外国人雇用について確認しています。雇用保険に入る場合は、取得届に就労ビザ関係の記載欄があるのでそちらで確認していますが、雇用保険に加入しない場合は、別途届出をしてもらわないと把握できないので、届出を求めています。退職した場合も、同様に届出が必要になりますので、その方を雇う場合には、忘れないように届出してくださいね。
福島さん:
 はい、わかりました!実際に雇うことになった場合には、またご相談させてください。

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。今回は、外国籍の「家族滞在」の資格外活動許可について確認しました。日本で勤務する場合は、就労ビザがないと勤務することはできませんが、就労不可の資格であっても、資格外活動許可を得ている場合は、一定条件のもと勤務することが可能です。特に資格外活動許可の場合は、勤務時間に制約がありますので、実際に勤務してもらう場合には、制限時間を超えないようにしなければなりません。また、同じ資格外活動許可でも「留学生」とは取扱いが異なることにも注意が必要です。

 政府は、今後の外国人の受け入れについて、人手不足の業界である建設業等で新たに在留資格を認める方向で検討しています。これまでは単純労働は認めないという方針でしたが、単純労働にも門戸を広げていくことが想定されますので、今後の動向にも注目していきましょう。


関連blog記事
2018年6月18日「新たな在留資格の創設が盛り込まれた「骨太の方針」が閣議決定されました/日本政府
http://blog.livedoor.jp/kaigairoumu/archives/53665865.html

参考リンク
入国管理局「在留カードとは?」
http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/zairyukanri/whatzairyu.html
外務省「ビザ・日本滞在 就労や長期滞在を目的とする場合」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/chouki/index.html
法務省「家族滞在」の在留資格をもって在留する者に許可される資格外活動許可について
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00097.html
厚生労働省「届出様式について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/gaikokujin-koyou/07.html
厚生労働省「外国人の雇用」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page11.html
東京労働局「外国人雇用に関するQ&A」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/riyousha_mokuteki_menu/jigyounushi/13-01-19-4_test.html

(小浜ますみ)

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