福島さんは、配偶者の海外赴任に同行するため退職となる社員について、大熊社労士に相談することにした。
大熊社労士:
 こんにちは。
福島さん:
 こんにちは、先生。今日は、先生に確認したいことがあるのですが…。
大熊社労士:
 はい、何でしょう?
福島さん:
 当社の女性社員なのですが、ご主人が海外赴任することになったため2ヵ月後に退職することになりました。
宮田部長:
 はぁ〜、彼女はバリバリ働いてもらっていたから、非常に残念なんですよ〜。
大熊社労士:
 そうでしたか、確かに御社にとっては痛手ですね。
福島照美福島さん:
 それで離職票についてですが、退職して3週間後にはもう出国するということで、退職後すぐに雇用保険の失業手当の受給期間延長の申請をするため、早く離職票が欲しいと依頼がありました。
宮田部長:
 3週間後に出国とは、それはまた大変だな〜。
福島さん:
 それで先生、基本手当の受給期間の延長申請は、確か法改正で大幅に延長されて、最長4年までに申出すればよかったですよね?
大熊社労士:
 そのとおりです。平成29年4月より失業手当の受給期間延長の申請期限の改正が行われました。従来は引き続き30日以上職業に就くことができなくなった日の翌日から1か月以内に延長の申請が必要でしたが、失業手当の受給期限である最長4年以内に延長申請をすればよいことになりました。
宮田部長宮田部長:
 ああ〜、何となく思い出してきた。定年退職の場合は、退職して2か月以内に延長の申請をしても最長2年までしか延長されないけど、出産とか病気の場合は、確か延長する場合は1ヵ月以内に延長申請をしなければいけなかったのが、いきなり4年までに期限が延びたというものでしたよね。
福島さん:
 宮田部長、惜しいです!正確には、退職後30日経過した日から1ヵ月以内の申請期限が4年に延びた、です。
宮田部長:
 んんっ?ああ、そうか!退職後すぐに延長申請ができるわけではなくて、30日経たないと申請ができないってことか…
大熊社労士:
 あはは、宮田部長、正解までもうちょっとでしたね(笑)。
福島さん:
 ということは、退職後3週間後に出国するので、延長申請ができないってことになりますよね?
大熊社労士:
 はい、退職後の3週間以内には延長申請はできないことになります。
宮田部長:
 ええっ?そうすると、1年以内に戻ってこないと、失業手当は受けれらないってことですか!?
大熊社労士:
 いえいえ、宮田部長、安心してください。退職後30日経過しないと延長申請はできませんが、海外から書類を郵送する方法や、日本のご家族等に依頼して、ハローワークへ提出してもらう方法で対応できます。
福島さん:
 そうなんですね。海外から郵送でも受付てもらえるのですね。
大熊社労士:
 はい、そうです。配偶者の海外赴任に帯同する場合の延長申請は、いずれにしても確認書類として、配偶者の海外赴任の辞令やパスポートで日本の出国と相手国の入国の記録が確認できるページの写なども必要となるのです。
宮田部長:
 うわ〜、それは大変だ〜。
福島さん:
 そうでしたか。出国・入国の記録も確認書類として必要ということは、日本にいる間に手続きができるものではないってことですね。
大熊社労士大熊社労士:
 そうなります。整理しますと、今回の場合の延長申請は、日本を出国し相手国に入国後、パスポートの写などの準備ができたら、海外から郵送または日本のどなたかに託して、ハローワークへ届出てもらう方法と、そしてもう一つ別の方法があります。
宮田部長:
 別の方法?
大熊社労士:
 はい、受給期間延長申請期限が最長4年まで延びましたので、日本に本帰国してから延長申請して失業手当を受給する方法もあります。
福島さん:
 なるほど、帰国してから申請もできるのですね。
大熊社労士:
 はい、ただし、帰国してから申請する場合は、失業手当の受給が終了する期間もよく考えて申請しないと、失業手当の給付日数分のすべてを受給できないこともあります。海外赴任期間と失業手当を受給する期間がどのくらいの期間になるのかもよく考える必要があります。
宮田部長:
 ああ〜、そうでした。給付日数分受け終わる期間も含んで、最長4年まででしたね。
大熊社労士:
 はい、そうなります。今回のケースは、準備する資料も複雑ですし、ご主人の海外赴任期間も考慮して延長申請するタイミングを考えなければなりませんので、退職後すぐに離職票をご本人に渡し、出国前にハローワークで延長申請の流れについてよく確認された方がよいことをお伝えください。
福島さん:
 はい、わかりました。そのように伝えます。
宮田部長:
 しかし、ご家庭の都合とはいえ、退職となるのは残念だな〜。
大熊社労士:
 本当にそうですね。宮田部長、御社でもそういった事情のある方が退職された場合の再雇用制度を設けることを検討されてはいかがですか?
宮田部長:
 確かに、数年のブランクがあったとしても、我が社の事情を分かっている人に戻ってきてもらうのは大歓迎です。
福島さん:
 賛成です!でも、再雇用制度って、具体的にどういったことを考えればいいんですか?定年退職後の再雇用制度とはまた違いますよね。
大熊社労士:
 はい、例えば、勤続3年以上勤務した方が再雇用となった場合は、年次有給休暇の勤続年数は通算するとか、勤続年数に関係する運用があるものは、従前の期間を考慮することが考えられます。
宮田部長:
 そうですね。また、彼女にも戻ってきてもらいたいですし、今後の採用時にも我が社のアピールになりますので、検討してみます。
大熊社労士:
 ぜひそうしてください。

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。今回は、配偶者の海外赴任帯同の場合の失業手当の受給期間延長申請について確認しました。海外赴任帯同の場合の延長申請は、必要書類も多岐にわたることからその種類と申請時期について、しっかりハローワークにて確認を行いましょう。

 上記のように家庭の都合により退職となるケースも多いと思います。最近では、鉄道大手11社が、勤務場所の都合等で仕事の継続が困難な社員を相互受け入れする制度を導入し話題となりました。よい人材をしっかり確保していくためにも、まだ定年退職によらない再雇用制度を設けていない企業では、ぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。


関連blog記事
2017年7月3日「妊娠・出産等で退職した時の「失業手当受給期間延長」の申請期限が大幅に延長されました」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/2017-07-03.html

参考リンク
厚生労働省「平成29年4月から、雇用保険の基本手当について受給期間延長の申請期限を変更します」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000163256.pdf
厚生労働省「Q&A〜労働者の皆様へ 〜(基本手当、再就職手当)〜」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html

(小浜ますみ)

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