来春より施行される働き方改革関連法の中で、実務上、最初に対応が必要になるのが年次有給休暇の取得義務化。本日も大熊はその対応に関する説明をすることとした。
前回のブログ記事はこちら
2018年9月10日「年次有給休暇の斉一的取り扱いとはどのようなものですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65800704.html
2018年9月3日「2019年4月より年5日の年次有給休暇取得が義務付けられます」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65800703.html
大熊社労士:
 こんにちは。今日も年次有給休暇の取得義務への対応についてお話したいと思います。
福島照美福島さん:
 ありがとございます。早速質問があるのですがよろしいでしょうか?先日、先生より今回の法改正の概要をお聞きして、改めて改正法の条文を見てみました。労働基準法39条の7項に、今回の取得義務が書かれています。
大熊社労士:
 はい、確かにそうですね。
福島さん:
 条文ですと「使用者は、有給休暇の日数のうち5日については、基準日から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない」と書かれています。ということは、4月以降に10日以上の年休が付与される社員いついては、全員5日間の年休を会社が指定して取得させなければならないのでしょうか?
大熊社労士:
 7項はそうなっていますよね。福島さん、その流れで8項も読んでみてください。「前項の規定にかかわらず、第5項又は第6項の規定により第1項から第3項までの規定による有給休暇を与えた場合においては、当該与えた有給休暇の日数分については、時季を定めることにより与えることを要しない」とされています。5項は通常の労働者による時季指定、8項は労使協定による計画的付与のことを言っていますので、要は社員が自分で5日の年休を取得すれば、別途、会社が年収を指定して取得させる必要はないと考えてよいでしょう。
福島さん:
 そうなんですね〜、安心しました。
服部社長:
 福島さん、すごいじゃないか。改正法の条文までしっかり読み込んで大熊さんに質問できるとは。素晴らしいよ。なぁ、宮田部長。
宮田部長:
 はい、本当にそうですね。お陰で私も福島さんに頼りっぱなしで。福島さん、どこにも行かないでね(涙)
大熊社労士:
 宮田部長、なにを言っているんですか、まったくもう(笑)。本当にしっかりした部下を持って幸せだとは思いますが、御社ですと現実的に5日の年休を取得できていない社員は少なからずいらっしゃいますよね?
宮田部長宮田部長:
 そうですね。当社の場合は、まず管理職の取得日数が少ないですね。体調が悪いときに年間2〜3日の取得といった者が多いように思います。もっとも私は率先垂範ということで、しっかり休んでいますが!あとは製造部も一部あまり取得できていない社員が多いかも知れません。
大熊社労士:
 なるほど、管理職はどこの会社も取得率は低いですね。ところで、製造部の取得率が低い理由はどのように分析されていらっしゃいますか?
服部社長:
 やはりそれはチームで動いているからではないでしょうか。人員的にもそれほど余裕はないので、1人抜けるだけで結構負担が大きくなるので、みんな遠慮するのだお思います
大熊社労士:
 なるほど、それであれば製造部については労使協定を締結して計画的付与を行うとよいかも知れませんね。
福島さん:
 それはどのような制度なのでしょうか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、年次有給休暇はこれまで社員本人がその取得日を決定する(時季指定権)ことが大原則となっていました。その例外として認められているのが計画的付与です。これは会社と従業員代表が協定を結ぶことにより、本人が持つ年休のうち、5日を超える部分についてはその取得日を指定できるというものです。
福島さん:
 なるほど、製造部はパラパラと休むことは難しいので、労使協定を締結して、職場単位で年休を取得するのが向いているということですね。
大熊社労士:
 はい、そのとおりです。
服部社長:
 計画的付与は全社一律でなくても大丈夫なのですか?
大熊社労士:
 はい、労使協定の中で範囲を定めますから、今回のケースのように職場単位などでも活用できます。現実的にはお盆休みなどを全社一律で計画的付与するようなケースが多いですけどね。
服部社長:
 なるほど、わかりました。次に管理職についてはなにか名案はありませんか?
大熊社労士:
 はい、名案とまで言えるかどうかは分かりませんが、管理職については半日有給を上手に取らせるとよいのではないかと考えています。
服部社長:
 ほぉ、半日有給ですか。
大熊社労士:
 はい、管理職はなかなか終日会社を空けることが難しいと考えている方が多いように思うのです。実際にはその考え方自体を見直し、後継者を育成し、また仕組みを作っていくことが重要だと思いますが、そういったケースでも半日であれば休みは取れるはずです。例えば、午後は会議で会議室に缶詰なんていうことは現実によくある訳ですから、半日会議だと思えば、半日有給もそれほど抵抗感なく取れると思うのです。
宮田部長:
 確かにそうですよね。私も実は結構半日有給を使用しています。例えば生産性の高い午前中に集中して仕事を行い。午後からは年休を取って、日帰り温泉に行ったりすると、本当にゆっくりできますよ。
福島さん:
 宮田部長、たまに早く帰っていくと思ったら、温泉に行っていたんですか?最近、午後半休という日が急に増えたのでみんなどうしたんだろうって心配していたんですよ!
宮田部長:
 あら、そうなの?私は温泉でリフレッシュしているから、体調は完璧ですよ!
大熊社労士:
 まあ上手にメリハリをきかせているということで。でも管理職の年休取得策としては半日有給は結構おススメですので、宮田部長がその効果をみんなに話して回れば、取得率も上がるかも知れませんよ。
宮田部長:
 確かに!今度、管理職の飲み会の際にみんなに自慢してみます!
服部社長服部社長:
 大熊さん、要は職種や役職などで状況は様々ですから、それぞれの特性にあった年休の取得プランを考えることが重要になりそうですね。
大熊社労士:
 はい、まったくそのとおりかと思います。ちなみに特に計画的付与を活用し、会社休業日を作るような場合には、対外的な勤務カレンダーにおける休日はお取引様に伝える必要もありますので、特に早めの対応が望まれますね。
服部社長:
 分かりました。宮田部長、早速案を検討していこう。
大熊社労士:
 それがいいですね。なにかあればいつでもご連絡ください。

[関連条文]
改正労働基準法39条(年次有給休暇)
Щ藩兌圓蓮第一項から第三項までの規定による有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が十労働日以上である労働者に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)の日数のうち五日については、基準日(継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下この項において同じ。)から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。ただし、第一項から第三項までの規定による有給休暇を当該有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。
前項の規定にかかわらず、第五項又は第六項の規定により第一項から第三項までの規定による有給休暇を与えた場合においては、当該与えた有給休暇の日数(当該日数が五日を超える場合には、五日とする。)分については、時季を定めることにより与えることを要しない。

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。今回は業種などに対応した年次有給休暇の取らせ方について取り上げました。年次有給休暇の取得義務化については、その管理方法と共に、取得のさせ方についても様々なパターンがあり得ます。企業規模や業種が異なると、対応もまったく変わってきますので、早めの対応をおススメします。



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2018年9月10日「年次有給休暇の斉一的取り扱いとはどのようなものですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65800704.html
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http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65800703.html

参考リンク
厚生労働省「「働き方改革」の実現に向けて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html
厚生労働省「年次有給休暇ハンドブック」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/040324-17a.pdf
島根労働局「働き方・休み方の改善に役立つ様式・ひな型など」
https://jsite.mhlw.go.jp/shimane-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/_109553/roudoujikan-sankousiryou.html

(大津章敬)

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