前回、服部社長より勤務間インターバル制度導入の考えを聞いた大熊。今回はその制度設計を行うこととした。
前回のブログ記事はこちら
2018年10月8日「勤務間インターバル制度設計(1)勤務間インターバル制度の導入を検討してみようと思うのです」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65802550.html


大熊社労士大熊社労士:
 社長、それでは勤務間インターバル制度の設計をしてみましょうか。勤務間インターバル制度の設計を行う際に検討すべきポイントは基本的に3点となります。
服部社長:
 そうですか。その3点というのはどのような内容になるのでしょうか?
大熊社労士:
 はい、まずはインターバルの時間数、そして休息時間が翌日の始業時刻に及んだ場合の取り扱い、最後が例外の取り扱いです。それでは順番に見ていきましょうか。
服部社長:
 よろしくお願いします。ということはまずはインターバルの時間数ですね。この点については私も調べてみました。そもそもこの勤務間インターバル制度が導入されているEUでは11時間と定められているようですね。
大熊社労士:
 はい、前回お話に出た厚生労働省の「勤務間インターバル制度導入事例集」を見ると、 株式会社フレッセイやAGS株式会社の事例では11時間のインターバルが設定されていますね。
宮田部長:
 ひやー、11時間というのは結構長いですよね。例えば、今日、仕事のトラブルが発生して、その対応で夜中の0時まで働くことになったとすると、明日出勤していいのは午前11時。もうお昼前ですよ。まあ、それだけの休息が取れるのであれば体は楽でしょうけどね。
大熊社労士:
 そうですね。通常、このインターバルには通勤時間も含みますから、例えば往復通勤時間で1時間半必要とすると、残りは9時間半。そこから夕食と朝食、お風呂の時間やリラックスの時間、そして朝の準備時間などを引いていくと睡眠時間は6〜7時間といったところでしょうか。
福島照美福島さん:
 これくらいあると一般的には十分な気がしますね。毎日が毎日、そんな勤務ということではなく、通常の日はもっと早く帰れるのでしょうから。ただ、女性の場合、朝のメイクなどで準備時間がかかりますから、なかなか余裕がないのが実情ですけど。
大熊社労士:
 確かにそうですね。参考までにという話ですが、情報労連が以前調査した加盟組合の勤務間インターバル制度の協定締結状況の資料を見ると、11時間は0組合、10時間が2組合、9時間が1組合、8時間が16組合、7時間が2組合となっています。
福島さん:
 圧倒的に8時間が多いのですね。ちょっとびっくり。8時間しかインターバルがないとすると、確実に睡眠時間が削られますね。
服部社長服部社長:
 確かにそうだね。通勤時間や食事の時間、お風呂の時間はそうそう短くならないので、結果的に睡眠時間にしわ寄せがいくことになるだろうね。とはいえ、最悪の日でも8時間はインターバルを取り、徹夜勤務などはさせないということであれば、一定の意味はあるのだと思うよ。
大熊社労士:
 そうですね。そういった意味からは8時間でも意味はあると思います。ただ、本当の意味で健康防止を図るのであればもう少し長めの設定をした方がよいのだろうと思います。ちなみに勤務間インターバル制度の導入にあたっては、中小企業限定ではありますが、時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)という助成金制度が用意されています。この助成金の対象となるのは9時間以上のインターバルですので、厚生労働省としては9時間以上の設定を想定しているということが言えるのかも知れません。
服部社長:
 なるほど、そういう見方もできますね。大熊さん、先ほど通勤時間の話が出ましたが、遠方から通勤している社員はどうしても在宅時間が短くなり、結果的に睡眠時間が短くなる傾向が強まりますよね。この点はどう考えればよいのでしょうか?
大熊社労士:
 はい、特に首都圏は通勤時間が長い人が多いので、影響は大きいですね。
宮田部長宮田部長:
 片道2時間なんていう話も聞きますもんね。ほんと大変。私は通勤時間15分なので、2時間なんて聞いたら倒れちゃいますよ。
大熊社労士:
 そうですね。通勤手当の長さに着目する場合には、インターバルの時間数を通勤時間を含めない時間で設定する方法もあります。例えば通勤時間を除き、8時間のインターバルを設定するという感じですね。
服部社長:
 なるほど。通勤手当が長い場合には、その方が実態的な対応ができそうですね。そのような仕組みにしている会社は多いのですか?
大熊社労士:
 いえ、少数派だと思います。先ほどの情報労連の調査でも、全21組合の中で、通勤時間を含めずに協定しているケースは2つしかないようです。
服部社長:
 そうなのですね。トータルで考えると、当社の場合は通勤時間も含めてインターバルを設定し、まずは9時間くらいから検討をしてみたいと思います。あまり欲張って、仕事がうまく回らないと困ってしまいますからね。実際に運用してみて問題がなければ、時間数を伸ばす方向ということで。宮田部長、大丈夫そうですか?
宮田部長:
 はい、全然大丈夫です!
大熊社労士:
 わかりました。それでは今日の時点ではまず9時間ということで考えましょうか。それでは時間は残る論点について議論したいと思います。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は勤務間インターバル制度におけるインターバル(休息)時間数について取り上げてみました。実際にこの点を検討するにあたっては、例外の取り扱いも重要になります。詳細は次回取り上げますが、例えば原則は11時間とするが、月に一定回数までは11時間の取得までは求めず、最低8時間の休息時間を確保すればよいといった設定などが考えられます。来春の時点でもまだ努力義務ということですので、まずは無理のない設定から開始し、徐々に見直しを行っていくというのが実務的ではないかと思います。

関連blog記事
2018年10月8日「勤務間インターバル制度設計(1)勤務間インターバル制度の導入を検討してみようと思うのです」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65802550.html
2018年9月18日「名南経営 2018年10月1日から勤務間インターバル制度を導入」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/52460164.html
2017年3月20日「勤務間インターバルってなんですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65773216.html
2017年4月12日「勤務間インターバル制度導入事例集」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51469144.html

参考リンク
厚生労働省「勤務間インターバル」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/interval/
厚生労働省「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html
厚生労働省「過労死等の防止のための対策に関する大綱」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000101654_00003.html
情報労連「「勤務間インターバル制度」の導入に向けて(第2版)」
https://www.joho.or.jp/download/wpdmpro-400


(大津章敬)

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