今年はなかなか寒くならないと思っていた大熊であったが、先週からの急な気温の低下で少し風邪気味となっていた。
これまでの関連ブログ記事はこちら
2018年9月17日「年休取得義務化に対応し、どのように年休を取得させればよいですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65801310.html
2018年9月10日「年次有給休暇の斉一的取り扱いとはどのようなものですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65800704.html
2018年9月3日「2019年4月より年5日の年次有給休暇取得が義務付けられます」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65800703.html


大熊社労士:
 おはようございます。今日も寒いですね。
服部社長:
 おはようございます。あれ、大熊さん、少し鼻声ですね。
大熊社労士:
 はい、先週から急に寒くなったじゃないですか。どうも軽く風邪を引いてしまったようで。申し訳ないです。
服部社長服部社長:
 いやいや、いいですよ。強い寒気が流れ込んだというようにニュースでは伝えられていましたが、確かに急に寒くなったので体調を壊しやすいですよね。本当にお大事に。これから繁忙期でしょうしね。
大熊社労士:
 そうですね。ありがとうございます。さて、宮田部長、この週末に「相談したいことがある!」とメールを頂きましたが、どのような内容だったでしょうか?
宮田部長:
 はい、少し前に年次有給休暇の取得義務化への対応についてお話を頂いていたと思いますが、先日、知り合いの会社の総務部長と飲みに行ったときにもその話になったのです。
大熊社労士:
 あらら、飲み屋でも年休の話とはご苦労様です。それでなにが問題になったのでしょうか?
宮田部長宮田部長:
 その総務部長が言うには、今回の年次有給休暇の取得義務化にあたっては、会社は必ず5日の年次有給休暇の時季指定を行わなければならない。法律にそのように書いてあると言うんです。それこそ社員自らが5日を取得していたとしても、指定しなければいけないって。スマホで法律の条文を見せてもらったら確かにそんな感じに条文になっていまして。大熊先生、実際のところはどうなのですか?
大熊社労士:
 なるほど。その話ですね。結論としては、社員自らが5日以上の年休を取得している場合、会社は別途年休の時季指定を行う必要はありません。その条文を見てみましょうか。今回の論点に関係ない点は若干省略しますが、以下がその内容になります。
改正労働基準法39条(年次有給休暇)
7.使用者は、第1項から第3項までの規定による有給休暇の日数のうち5日については、基準日から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。
宮田部長:
 ほら、そうでしょう?
大熊社労士大熊社労士:
 確かに。ここだけ見るとそうですね。ただできれば次の項まで読んでもらうともっと良かったかも知れません。
改正労働基準法39条(年次有給休暇)
8.前項の規定にかかわらず、第5項又は第6項の規定により第1項から第3項までの規定による有給休暇を与えた場合においては、当該与えた有給休暇の日数分については、時季を定めることにより与えることを要しない。
福島照美福島さん:
 何項、何項って書いてあってややこしいですね。ちょっと確認してみますね、えーっと、5項は労働者の時季指定権、6項は労使協定による計画的付与のことのようですね。
大熊社労士:
 福島さん、ありがとうございます。そうなのです。つまり、7項では使用者により5日の時季指定が定められていますが、次の8項で、本人の時季指定または計画的付与で取得した年休の日数を5日から差し引くことができるとしているのです。
福島さん:
 つまり、社員自らが5日以上の年休を取得しているのであれば、その日数を差し引くことができるので、結果的に会社は時季指定しなくてよい。そういうことですね。
大熊社労士:
 そのとおりです!
宮田部長:
 なるほど、そのように条文が作られていたのですね。わたくしも7項だけ見せられて、なんてことだ!と焦ってしまったのですが、よくよく考えたら、本人が取得しているのに更に会社が時季指定するというのはおかしいですよね。
大熊社労士:
 普通の感覚で考えればそうですが、7項の書きっぷりをみるとそのように誤解する方も少なくないと思います。たぶんこれは使用者の時季指定義務を明確にし、それに違反した場合には罰則を適用するため、この条文の定め方になったのだと思います。
宮田部長:
 ありがとうございます。誤解が解けました。その総務部長にも教えてあげようと思います。この話を教えたら、感謝してご馳走してくれるかも知れないから、まずは今夜飲みに誘うことにしようかな。
大熊社労士:
 (笑) まあ、飲みすぎにはご注意くださいね。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は来春からスタートする年次有給休暇の取得義務化の話の中でも基本中の基本の内容を取り上げました。実は今回の質問は現場では結構聞かれるものです。マスコミや厚生労働省のパンフレットでも「使用者が5日の年休の指定をする必要がある」という話が前面に出てくるので、そのような勘違いに繋がっているのではないかと思います。年次有給休暇の大原則は、社員自らによる時季指定です。使用者による時季指定はそれで取得が進まない場合の最終手段と考えるのがよいでしょう。

関連blog記事
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(大津章敬)

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