ある朝、服部は新聞の朝刊を手に取り、そのトップ記事の内容に驚いた。そこで今日の大熊との面談ではその件について確認することにした。
前回のブログ記事はこちら
2019年5月20日「70歳までの継続雇用制度が義務化されるのですか?!」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65810712.html


大熊社労士:
 おはようございます!
服部社長:
 大熊さん、おはようございます。さて、今日は70歳までの継続雇用制度の内容ですね。
大熊社労士大熊社労士:
 はい、今日は前回に引き続き、そのテーマでお話ししたいと思います。前回はこれまでの流れをまとめましたが、今回はそれを受け、2019年5月15日の未来投資会議で示された方向性について解説していきたいと思います。
服部社長:
 よろしくお願いします。
大熊社労士:
 こちらは内閣官房日本経済再生総合事務局が作成した「高齢者雇用促進及び中途採用・経験者採用の促進」という資料の内容になりますが、順番に解説していこうと思います。まず法改正のスケジュールとしては2段階で考えられています。第一段階は、今年の夏に実行計画が作成され、その後、厚生労働省労働制政策審議会での審議を経て、2020年の通常国会で法改正が行われるようです。このスケジュールだとすれば、2021年4月に第一段階の法改正が行われることになるでしょう。
宮田部長:
 2021年4月ということは、もう2年弱ということですね。あっという間にやって来そうな感じがしますね。
大熊社労士:
 そうですね。私も同じ印象を受けています。さてその内容ですが、70歳までの就業機会の確保の選択肢として以下の7つが明示され、いずれかの雇用確保について努力義務にするとしています。
定年廃止
70歳までの定年延長
継続雇用制度導入(現行65歳までの制度と同様、子会社・関連会社での継続雇用を含む)
他の企業(子会社・関連会社以外の企業)への再就職の実現
個人とのフリーランス契約への資金提供
個人の起業支援
個人の社会貢献活動参加への資金提供
服部社長:
 この内容は新聞でも見ましたが、これまでの政策とはかなり印象が変わっていますね。は従来からの継続雇用制度の内容を踏襲したものですが、は関連会社以外への再就職でもよいとしています。
大熊社労士:
 そうですね。従来は関連企業での雇用についても継続雇用の選択肢とされていましたが、関連企業以外という選択肢はありませんでしたので、これはかなり自由度が増す内容になっていると思います。
服部社長:
 更に驚きはですよね。
大熊社労士:
 はい、フリーランスや社会貢献活動への支援という選択肢ですね。確かに近年、副業兼業の議論の中でも、雇用ではない働き方が注目されていますが、継続雇用制度の選択肢にまで入ってくるとは、国もかなり思い切った政策を考えていると感じました。具体的な内容は夏以降にしか分からないところではありますが、非常に興味深い方針ではあると思います。
宮田部長宮田部長:
 大熊先生、先ほど第一段階は努力義務というお話だったと思うのですが、第一段階ということは、第二段階もあるということですよね?
大熊社労士:
 はい、時期は分かりませんが、第二段階としては、現行法のような企業名公表による担保(いわゆる義務化)のための法改正を検討するとしています。
宮田部長:
 なるほど、最終的には義務されるということなのですね。
大熊社労士:
 そしてこの方向性の中には、更に注目の記述があります。それが以下の2点です。
(1)混乱が生じないよう、65歳(現在63歳。2025年に施行完了予定)までの現行法制度は、改正を検討しないこととする。
(2)70歳までの就業機会の確保に伴い、年金支給開始年齢の引上げは行わない。他方、年金受給開始年齢を自分で選択できる範囲(現在は70歳まで選択可)は拡大する。
服部社長服部社長:
 なるほど。あくまでも現在の65歳までの継続雇用制度はこのままで、その制度の上に新しい70歳までの継続雇用制度が乗っかるような形になるということですね。
大熊社労士:
 その通りです。その結果、我が国の人事管理は、60歳定年までの現役世代の制度、60歳台前半の継続雇用制度、60歳台後半の継続雇用制度の3層構造になるわけです。更にはそこに同一労働同一賃金などの課題も加わりますので、かなり大規模な仕組みの構築を行っていく必要があるように思います。
服部社長:
 本当にそうですね。この件については私もかなりの関心がありますので、また報告書などが出ましたら内容を教えてください。
大熊社労士:
 承知しました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は先日の未来投資会議で示された70歳までの継続雇用制度の方向性について取り上げました。まだ7つの選択肢が示された程度でその詳細は夏の報告書以降となりますが、長澤運輸事件以降の継続雇用者の処遇問題もあり、非常に難しい舵取りが求められる分野となっています。情報収集を欠かさず、着実な対応を進めていきましょう。

関連blog記事
2019年5月20日「70歳までの継続雇用制度が義務化されるのですか?!」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65810712.html

参考リンク
未来投資会議「未来投資会議(第27回)配布資料(令和元年5月15日)」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai27/index.html


(大津章敬)

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