大熊社労士の分かりやすい人事労務管理相談室

人事労務コンサルタント大熊が人事労務管理の様々な問題をストーリー仕立てで解決します!

社会保険

今年(2019年)は9月に健康保険の被扶養者資格の再確認が実施されます

 大熊が服部印刷に到着すると、福島さんが待っていてくれて、いつもの会議室に通してくれた。
福島さん:
 こんにちは、大熊先生。今日も私から聞きたいことがありまして、お待ちしていました。
大熊社労士:
 そうでしたか。どのようなことでしたか。
福島照美福島さん:
 はい。例年、6月頃に協会けんぽで従業員の被扶養者の確認が実施されていたように思うのですが、今年はまだ届いていません。大丈夫ですか?
大熊社労士:
 そうでしたね。例年、この時期に協会けんぽから確認すべき人のリストが送付されていましたね。ご案内をしていませんでしたが、今年は9月下旬から10月下旬に実施することに変更されたようです。
福島さん:
 そうでしたか。それであればよかったです。毎年の業務として計画していたので、弊社だけリストが送られていないのかと思いました。
宮田部長:
 大熊先生、その被扶養者資格の再確認ってどのようなことをするものでしたか?
大熊社労士:
 健康保険では、従業員が被保険者となり、一定の要件を満たした家族は被扶養者となることができます。その要件の一つに年収がありますが、例えばこの年収が一定額未満であるかといったような確認が行われます。
福島さん:
 おそらく4月になり、学校を卒業した子どもがいたり、働き始める配偶者がいたりということを想定して6月に実施されてているのだろうと思っていました。
大熊社労士:
 そうですね。私もそう思っていました。今回、実施時期が変更となった理由はよく分かりませんが、実施時期だけでなくその他にも変わった点があります。
宮田部長:
 どのような点ですか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい。例年、対象となる被扶養者は、18歳以上の被扶養者だけだったのですが、今年はすべての被扶養者について実施することになりました。
福島さん:
 えっ!そうなのですね。対象者がかなり増えそうで、確認の手間が心配です。
宮田部長:
 それって、何か書類を配布して確認するんだっけ?
大熊社労士:
 福島さんがどのように用意されているかは分かりませんが、流れとしては「被扶養者状況リスト」が会社に届くので、このリストに載っている従業員の方の状況を確認してもらうことになります。
福島さん:
 これまでは、対象者が限られていることもあって、個別にメールで状況を確認していました。メールですと、記録に残りますし、みなさん、きちんと返信もしてくれるので、助かっていました。
宮田部長宮田部長:
 そっか〜。当社では子どもがいる従業員も多いのですが、共働きで自分で社会保険に加入している配偶者も多いからなぁ。
福島さん:
 ですから、少し悩ましいなぁと思って。でも、確認する必要があるのであれば、やらないといけないですからね。
大熊社労士:
 そうですね。この被扶養者資格の再確認で、加入要件から外れている人が多く見つかっています。加入できない人が加入することで、協会けんぽ全体の医療費が上がりますし、高齢者医療制度への拠出金も増えます。
宮田部長:
 つまり、私たちが負担する保険料の負担が大きくなるということですね。
大熊社労士:
 はい、その可能性は大いにありますね。
福島さん:
 しっかり実施しないといけないですね。宮田部長、今年は今の段階で、「健康保険の被扶養者で、就職した人等はいませんか?いらっしゃいましたら総務まで申出をしてください」といった告知をしようと思いますがいかがでしょうか。
宮田部長:
 そうだね。一度、いまの段階で自主的に実施することで、9月頃に確認すべき被扶養者の数が減るかも知れないしね。
大熊社労士:
 そうですね。うっかり手続きを忘れている方がいらっしゃると想像するので、ぜひ、告知してあげてください。よろしくお願いいたします。
福島さん:
 承知しました。早速準備に取り掛かります。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。被扶養者資格の再確認自体の流れは例年と同じになっています。提出期限は、令和元年11月20日となっています。この時期は、年末調整も近づいてきて、所得税の扶養親族との要件を混同しやすくなります。確認する際には従業員が理解できるような内容にする必要がありそうです。


関連blog記事
2019年6月6日「今年は9月下旬に全被扶養者に対し実施される協会けんぽの被扶養者資格再確認」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52172059.html

参考リンク
協会けんぽ「事業主・加入者のみなさまへ「令和元年度被扶養者資格再確認について」」
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/home/g5/cat590/info10531

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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今年度の算定基礎で注意すべき点はありますか?

 今日も大熊は服部印刷に伺ったところ、待ち構えていたのは宮田部長一人だった。


宮田部長宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。今日は福島さんから社会保険について相談があるそうです。
大熊社労士:
 労働保険の年度更新に関することですかね?申告書も届いて、そろそろやらなくてはという時期ですよね。
宮田部長:
 多分、そうですね。何だか書類を見て電卓を叩いていましたから。

--ノックをして福島さんが応接室に入ってきた--

福島さん:
 お待たせしてすみません。従業員からの問合せ電話に対応して遅くなってしまいました。
大熊社労士:
 今日は、社会保険についてのご相談があると伺っていますが、年度更新ですか?
福島照美福島さん:
 あ、いえ。年度更新はすでに計算が完了しているので、後は宮田部長にチェックしていただいて、保険料の納付をすれば完了です。
宮田部長:
 え!そうなの!?早いね。
福島さん:
 私もベテランさんですので(笑)。それで、今日、大熊先生に確認したかったことは、社会保険の算定基礎のことなのです。
大熊社労士:
 算定基礎でしたか。日本年金機構からすでに「算定基礎届の記入・提出ガイドブック(令和元年度)」
が公開されましたし、すっかり算定基礎モードなのですね。
福島さん:
 はい。今年、月額変更(随時改定)に関して取扱いが変更になったと聞いたのですが、どのような内容でしょうか。
大熊社労士大熊社労士:
 はい、先ほどのガイドブックの2ページ目にもあるのですが、8月、9月の月額変更予定者について、算定基礎届の届出を省略することが可能となりました。具体的には、これらに該当した従業員は、算定基礎届の報酬月額欄を記入せず、空欄とした上で、備考欄の「3.月額変更予定」を○で囲むことになります。
福島さん:
 これまでは全部記入したいたのですが、不要となったのですね。
大熊社労士:
 そうですね。8月、9月の月額変更に該当したときは、算定基礎よりもこちらが優先になりますので、結果、算定基礎の届出は不要になりますからね。
福島さん:
 プラスして、7月の月額変更に該当した従業員もですね。
大熊社労士:
 あ、そうですね!ちなみに、電子媒体申請および電子申請の場合は、7月の月額変更対象者、8月、9月の月額変更予定者は除いて作成刷ることになります。
宮田部長:
 大熊先生、ふと思ったのですが、8月、9月の月額変更はあくまでも「予定者」じゃないですか。仮に要に件該当しなかったときはどうなるのですか?
大熊社労士:
 いい質問ですね。月額変更の要件に該当しないことが判明した場合は、速や
かに算定基礎届を提出する必要があります。
福島さん:
 承知しました。届出の際に注意するようにします。今年も早めに対応することにしますね。
宮田部長:
 福島さん、よろしくね。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。算定基礎について、昨年度から今年度にかけて変更になった点は、この月額変更予定者の対応のみですが、昨年の10月より、月額変更にも年間平均を利用できるようになりました。このような変更点も確認しておきましょう。


関連blog記事
2018年3月6日「10月1日より新たに始まる社会保険の月額変更における年間平均の取扱い」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52146779.html

参考リンク
日本年金機構「8月、9月の随時改定予定者にかかる算定基礎届の提出について」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20190531.html

(宮武貴美)
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マイナンバーカードと健康保険証が一体化するのですか?

 この春は人事労務に関連する様々な情報がでているな、と感じながら大熊は服部印刷の門をくぐった。


福島照美福島さん:
 大熊先生、おはようございます。今日は従業員から質問があったことについて、確認をしたいのですがよろしいですか。
大熊社労士:
 はい、もちろんです。どのようなことですか。
福島さん:
 以前、私も新聞報道で見た記憶があるのですが、健康保険証がマイナンバーカードと統合するというのは、もう間近に始まるのか、と質問がありました。
宮田部長:
 あ〜、それ、一時期話題になっていたよね。そういえばどうなるんだ!?
大熊社労士:
 新聞報道があると、ワッと話題にはなるのですが、それが案のレベルなのか決定なのか、検討は進んでいるのか分かりづらいですよね。現状のお話をすると、今の国会に法案として提出されています。
宮田部長:
 ということは、やっぱり健康保険証とマイナンバーカードは一つになっちゃうわけだ!
大熊社労士大熊社労士:
 法案が通るとそうなるかも知れませんね。この法案は「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」というものでして、その中に健康保険法の改正が盛り込まれています。そして、「電子資格確認」という用語が出てきて、これについてマイナンバーカード(個人番号カード)を利用するとなっています。
福島さん:
 電子資格確認・・・ですね。
大熊社労士:
 そうです。これまで病院等の窓口では健康保険証を提示していましたが、今後は電子資格確認を利用すること等により、給付を受ける、つまり窓口で医療費の3割を負担するといったことを可能にしようとしているのです。
宮田部長:
 でも、どうせ病院の窓口でマイナンバーカードを見せるんだったら、別に今の健康保険証と変わらないじゃないですか。なんでわざわざマイナンバーカードにするのかまったく分かりませんよ!
福島さん:
 え!私、病院の窓口で「ピッ」とするのかと思っていました。
大熊社労士:
 そうそう、マイナンバーカードにするからには福島さんのいうように、そして「電子資格確認」という用語にしていますので、リーダーにかざして確認することを想定していますね。
宮田部長:
 そんなことができるのですか!?
大熊社労士:
 ええ。マイナンバーカードにはICチップが埋め込まれています。このICチップには電子証明書が搭載されているのです。この電子証明書に加入する健康保険の情報を結びつけることになります。ですので、「ピッ」で確認できることになるのです。
福島さん:
 そうなると、病院はリーダーの準備とかがたいへんですね。
大熊社労士:
 確かにそうだと思います。ただ、病院等では、これまで転職などで患者の保険者が変わったときには、都度、確認をすることになりましたし、健康保険証には顔写真がないため、なりすましもあると聞いています。マイナンバーカードには顔写真がありますし、これを利用することでこのようなことを防ぐことができるのではないかと想像しています。
宮田部長:
 確かにそれはあるような気がするなぁ。
大熊社労士:
 ちなみに、マイナンバーカードに健康診断の結果や病歴が入るということを心配する人もいるようですが、これらの情報が入るわけではなく、あくまでもマイナンバーカードの電子証明書と健康保険の加入に関する情報が結びつくという仕組みになっているのみです。
福島さん:
 ちなみに、法案が成立するといつから始まることになるのでしょうか。
大熊社労士:
 気になるところですが、2020年の4月1日からの施行予定となっています。

宮田部長宮田部長:

 え!もう1年後じゃないですか!
大熊社労士:
 そうです。ですので、私も法案の審議状況を確認していて、成立状況をみて色々ご案内をしていこうと思っています。
福島さん:
 ありがとうございます。今後は、従業員から聞かれても大丈夫なようにしっかりと大熊先生もお話を聞くようにします。ありがとうございました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス  こんにちは 大熊です。マイナンバーカードの普及率はまだ10%強ということで、マイナンバーカードに健康保険証の機能が搭載されることで、普及率が急速に高まることを政府は期待しています。既に法案は衆議院で審議入りをしており、今後の情報には目が離せません。


参考リンク
内閣府「国と地方のシステムワーキング・グループ 第17回会議資料」
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg6/190315/agenda.html
厚生労働省「第198回国会(常会)提出法律案」
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/198.html
(宮武貴美)
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登場人物紹介:大熊純雄
大熊社労士
 中小企業を専門とする35歳の中堅人事コンサルタント/社会保険労務士。2005年に加藤社長の紹介から、服部印刷の適年改革を手掛ける。今回、服部社長より人事労務顧問を打診され、2007年より受託。
登場人物紹介:服部淳司
服部社長
 株式会社服部印刷の社長。服部印刷は中部地方にある社員数50名、資本金3,000万円の印刷業。1965年に服部社長の父が創業したが、2000年に創業者の死亡により、服部が2代目社長に就任。仕事には厳しいが、社員想いの優しい社長。
登場人物紹介:宮田和正
宮田部長

 株式会社服部印刷の総務部長。経理出身のため、人事労務は苦手。
登場人物紹介:福島照美
福島照美

 株式会社服部印刷の総務部担当者。高卒新卒入社の5年目社員。日頃は給与計算や人事労関連の手続、その他庶務を担当している。
 
 
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