2013年3月19日に行われた茨城県議会第1回定例会・予算特別委員会での大内久美子県議の質問(大要)はつぎのとおりです。


【質問項目】
1. 子ども医療費助成制度の拡充策について(答弁・知事)
2. くらしと地域経済立て直しについて(答弁・知事)
(1)賃上げ促進策
(2)雇用の改善
(3)県職員の給与削減をやめる
3. 原子力行政について(答弁・知事)
(1)福島原発事故
(2)地域防災計画
(3)東海第二原発の廃炉の決断
4. 開発用地の処理について(答弁・知事)
(1)環境・都市計画
(2)財政運営



1. 子ども医療費助成制度の拡充策について(答弁・知事)

日本共産党の大内くみ子です。
最初に子どもの医療費助成制度の拡充について伺います。
群馬県は、中学3年生まで完全無料化を実施しています。県が行った県民アンケートに「安心、感謝、助かる」「重症化の防止になる」「子育てしやすい」など、圧倒的多数の声が寄せられました。
本県でも小学6年、中学3年まで完全無料化を実施したら、どんなに子育てに安心を与えられるでしょうか。実施した場合の財政負担と、拡充策について知事の所見を伺います。(参考・小学卒=42億円、中学卒=52億円)(答弁)

県立こども病院で働いている方が、「所得制限があって、受けられない方が窓口で支払いに困っている姿を見ると胸が詰まってしまいます」と話しておりました。
本件の所得制限は、旧児童手当特例給付額を参考にして、扶養1人で422万円と、全国でも大変厳しい基準で、下位レベルです。そのため、全県で3割、水戸市では4割の子どもは受けられません。
所得制限を撤廃しているのは県内の自治体で68%です。所得制限の見直しについて、知事の所見を伺います。(答弁)

売れ残り土地の借金返済に平成24年に365億円も税金投入するより、まず子育て支援を優先すべきではないでしょうか。「未来への投資」と、群馬県知事は表明しています。橋本知事は「子育て家庭の経済的負担を軽減する」という4年前の公約を果たすべきです。

2. くらしと地域経済立て直しについて(答弁・知事)

次にくらしと地域経済の立て直しについて質問いたします。
パネルをご覧下さい。

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平成13年から22年の10年間の茨城県の企業所得と雇用者報酬、非正規労働者の推移です。企業所得は19%増加しましたが、1人当たりの賃金は年39万8千円と、8%も低くなり、非正規労働者は30%も増えました。非正規労働者は県内雇用者の4割にまで広がっています。
デフレ不況の原因は賃金が下がり続けていること、低賃金の非正規労働者が増えていること、本県の実態でも明らかです。

そこで、不況打開のためには、知事は企業に対して内部留保金を活用して、賃金を上げるよう、要請すべきではないでしょうか。
1時間当たりの最低賃金は本県で699円、全国平均を50円も下回っています。1時間1000円以上に最低賃金を引き上げることは非正規労働者のくらしの向上と、内需拡大につながります。どう取り組むのか、伺います。(答弁)

国会での日本共産党の提案をうけ、政府も直接、経済界に賃上げを要請いたしました。日立製作所は内部留保金を1.88%取り崩せば、1人当たり1万円の賃上げができます。1%で9,165人の正規雇用を増やすことができます。1万円の賃上げには、コマツは0.58%、キヤノンは0.71%の取り崩しでできるのです。企業への賃上げと正社員化の要請について、踏み込む時ではないでしょうか。(答弁)

本県の中小企業は、企業数で99.9%、雇用者数で88.3%と、中小企業が地域経済を担っています。
中小企業の賃上げには支援策が必要です。アメリカでは5年間で8,800億円の支援を行い、日本は3年間でわずか111億円の支援です。
中小企業支援について、国と県の課題であることを強調いたします。

本県では、知事就任の平成5年から、県職員を2千人減らし、知事自ら評価しています。しかし、平成10年から24年で、非常勤嘱託は2.1倍も増えました。24年は非常勤嘱託と臨時職員は全職員の21%も占めております。
職員削減の見直しと、県の非正規労働者の待遇改善を早急に行うべきです。

次に、県職員の給与削減についてです。国は7.8%の地方公務員給与削減を押し付け、そのため、地方交付税や義務教育国庫負担金を7.8%削減してしまいました。
本来、地方交付税は地方固有の財源であり、地方自治の本旨にのっとり、国が責任をもって確保すべきです。地方公務員の給与は自治体が条例で自主的に決定するものであり、地方自治体への介入は許されません。全国知事会など地方6団体も共同声明を出しております。

3万人余の県職員の給与引き下げは民間賃金にも影響を与え、地域経済をさらに冷え込ませてしまいます。
知事は、国の押し付けに反対し、職員給与の削減は行わないことを表明すべきと考えます。所見を伺います。(答弁)

3. 原子力行政について(答弁・知事)

次に原子力行政について質問いたします。
福島第1原発が地震と巨大津波で史上最悪の原発事故をおこして丸2年が経ちました。今も、15万人以上が避難生活を強いられ、放射性物質を空気中に放出し続けるなど、収束には程遠い状態です。
とりわけ深刻なのは、「高濃度放射能汚染水」の処理です。

壊れた原子炉の冷却のために、大量の水を送っています。原子炉建屋に地下水が流れ込み、合流して汚染水が増加し、27万トンもタンクに貯蔵し、東電は70万トンまでタンクを増設する計画ですが、2年で満杯になってしまいます。そのため東電は汚染水から放射性物質を取り除くアルプスという設備を建設中です。これでも放射性トリチウムは除去できないのにもかかわらず、海洋放出を狙っています。

生物、人間、漁業を守るためにも、海洋放出は絶対に許してはなりません。知事は、海洋放出は認められないこと、英知を結集して、収束と廃炉の大事業を国と東電が責任をもって行うよう要請すべきです。所見を伺います。(答弁)

本県でも県内の除染と仮置き場の設置、子どもの健康調査、賠償など福島原発事故の対策は大きな課題です。とりわけ、子どもの健康調査については、県内では龍ケ崎市、牛久市、東海村に続いて、かすみがうら市、北茨城市など、独自の取り組みがはじまっています。
これまでも提起してきましたが、原発事故子ども・被災者支援法に基づく国の具体化への要請と、県独自の取り組みを行うよう強く要望します。

次に茨城県地域防災計画・原子力災害対策計画編について質問します。
2月26日から3月15日まで県民の意見を聞き、3月25日に県防災会議で決定しようとしています。
東海第2原発が稼働している状態を想定して、策定されるものです。再稼働を前提にしたものは策定すべきでないと考えます。

第1に、福島原発事故を過酷事故と想定しており、放出放射能の60%の設定は根拠になりません。東海村には再処理部門もあり、過酷事故の極大化を想定しなければならず、計画は立てられません。

第2に、住民の避難計画が作れないことです。事故後ただちに避難する5キロ圏内の予防防護区域(PAZ)の住民は6万人、マイカー利用です。どの程度、渋滞になるか見当もつきません。
30キロ圏内の緊急時防護区域(UPZ)には、国内最大の94万人が住んでおり、バスで一斉に移動させることは不可能です。

3.11の震災で、東海村は久慈川・那珂川にかかる重要な橋は25本中6本が破損し、使用できなくなりました。常磐線は運転停止でした。
さらに30キロ圏内には病院が82、介護施設は104ヵ所もあり、生活弱者の避難先の確保、避難経路、輸送手段の確保は具体化できません。

第3に、防災計画には「生命、身体の安全」となっていますが、財産の明記がありません。
福島原発事故では、「帰還困難地域」の2万6千人もの方々の生活の営みは一瞬にして断ち切ってしまいました。
いくつか問題点をあげましたが、知事は現実的な計画をつくることについて責任を果たせるのでしょうか。所見を伺います。(答弁)

人間社会と原発は共存できません。止まったまま廃炉にすることは、県民の願いです。知事は、国や関係者の動向を見ながら、判断しようということですが、県民の生命・身体、財産を守る立場を明確にして廃炉の決断をすべきです。
東海第2原発の事業者は、日本原子力発電株式会社で、敦賀1号と2号、東海第2の3基を所有しています。
敦賀1号機は43年を経過し、1号機と2号機には直下に活断層があり再稼働はできません。東海第2原発も34年を経過し、老朽化に伴う危険が大きくなっています。

日本原電は、15年前に商業炉としては全国で初めて東海原発1号炉を廃炉にし、管理を行っている全国唯一の事業所です。
知事は、日本原電と国に対し、東海第2原発の廃炉と廃炉管理を安全に行うよう要請すべきではないでしょうか。(答弁)

日本共産党は、原発の廃炉に至るプロセスの管理、使用済み核燃料の管理などを目的にして、従来の原発推進から独立し、強力な権限をもった規制機関の確立を政府に提起してきました。
日本で最初に原発が運転された本県こそ、原発ゼロに踏み出すことを強く求めます。

4. 開発用地の処理について(答弁・知事)

次に、開発用地の処理について質問します。
県住宅供給公社は679億円の借金を抱え、平成22年10月に破産しました。公社の破たん処理に、これまで369億円も税金を投入しています。開発した十万原地区水戸ニュータウンは135ヘクタール、1,700戸の計画、478億円の事業でした。
平成11年に新住宅市街地開発事業として都市計画決定、平成16年から分譲開始、6年後に破産したのです。

私は、見通しがなく、将来に禍根を残すと指摘し、事業化をやめるよう主張してきましたが、強行した県と公社の責任は重大です。
現在、計画の16%に当たる1戸建て135戸、県営住宅168戸の303世帯820人が生活しています。

この第1種低層住宅専用地域に、水戸ニュータウンメガソーラパーク合同会社による、50ヘクタール、3万2千キロワットの巨大事業が持ち込まれました。19万枚のソーラパネルと騒音がでるパワーコンディショナの60台の設置など、今年の5月に工事着工、来年6月に運転開始の計画です。
良好な住宅を求めて居住した住民から、反射光や騒音など住環境が悪化することへの不安と住民無視のやり方など、疑問と不安が出されています。
そこで伺います。環境アセスメントの実施、住民への説明はどのようにしてきたのか、お答え下さい。(答弁)

この事業は経済産業省資源エネルギー庁が行う、再生可能エネルギー発電設備等導入促進支援事業を活用しています。本体の10分の1、蓄電や送電に3分の1の補助がそれぞれ5億円の上限で受けられます。
計画したのは、平成24年2月に設立の「くにうみアセットマネージメント」という不動産投資会社です。
補助決定は、24年6月12日で、その3日後に合同会社が設立され、7月に固定価格買い取り制度が始まり、8月に土地売買契約となりました。売れ残っていた89ヘクタールはすべて事業者の土地となり、10分の1以下の超安値で売却されたといわれています。

そして9月2日に事業者は、はじめて住民説明会をもち、住民は納得しませんでした。
この事業の交付要件には、環境影響に関する調査等の実施及び地元説明会を実施し、地元の了解を得ることとしています。交付要件を満たしていないのではないでしょうか。お答えください。(答弁)

独立行政法人新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)が、平成23年3月に発表した「太陽光発電システム導入の手引書」では、「特に大規模な計画では付近住民への早期の事前説明が必須」としています。また、「日本では設置例がなく、環境への影響の検討が特に必要」とし「環境アセスメントやモニタリング調査の実施」を求めています。

計画した不動産投資会社の代表取締役は元ゴールドマン・サックス投信社長です。 このような、住宅地に巨大なメガソーラは、全国で例がありません。莫大な開発用地の破たんに付け込んで環境や住民生活を無視して、投機、もうけの対象にしています。
このまますすめていいのでしょうか。県は事業者に計画の見直しと環境アセスを求め、住環境を守る責任ある対応をとるべきと考えますが、ご答弁下さい。(答弁)

保有地対策は、県財政をゆがめています。パネルをご覧下さい。

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平成18年から、工業団地や開発用地の破たん処理として銀行への借金返済のために、保有土地対策として、1,613億円も支出しています。
やり方も補正予算での異常な増額です。平成21年度は当初の2.7倍、22年度は2.2倍、23年度と24年度は2.9倍とエスカレートしています。
財源は県税収入などの一般財源です。県民が納めた血税です。優先して破たん処理を行うことは抜本的に見直すべきですが、所見をうかがいます。(答弁)

平成24年は365億円です。中学3年生までの医療費無料化52億円、中学3年生までのすべての学年と学級に35人以下の実現はあと60億円でできるのです。
県民の福祉や教育、くらしの向上より、自ら行った開発の失敗と莫大な借金の後始末に優先して税金を投入することは、認められません。
県と市が関与した組合施行の鹿嶋市の平井東部区画整理の破たん処理の際、関係者が要望し、銀行は利子をゼロにしました。

知事は銀行への要請は当然すべきであり、開発行政の見直しは重要課題です。
橋本県政20年は「生活大県」どころか、1,200ヘクタールもの売れ残り土地をかかえて、全国4番目の後年度負担、「借金大県」にしてしまいました。
今こそ、住民福祉の向上という地方自治の原点にたった県政へ転換しなければならないことを強調して質問を終わります。

以上

(PDFは日本共産党茨城県委員会Webの「資料」をご覧ください)