
九州場所 12日目

目次
- ◆ 朝青龍、日馬富士に敗れ初黒星 九州場所12日目
- ◆ 朝青龍初黒星 日馬富士の奇襲にしてやられる
- ◆ 26年ぶりの決戦消滅=朝青龍あえなく土
- ◆ 白鵬、年間最多勝記録に“M1”
- ◆ 豊ノ島10勝目、三賞も視野に
- ◆ 鶴竜くるりっ「体が勝手に反応」
- ◆ 栃ノ心、パワー発揮し高見盛を下し2敗守る
- ◆ 右肩上改名後初勝ち越し・・・「森うらら」より先
- ◆ 幕下は黒沢、秋乃峰が6戦全勝
- 【 力士の一言 】 琴欧洲、完敗に「きょうのこと忘れる」
◆ 朝青龍、日馬富士に敗れ初黒星 九州場所12日目
朝青龍は日馬富士に突き落としで敗れる
大相撲九州場所(福岡国際センター)は12日目の26日、朝青龍に土がついた。立ち合いで変わり気味に立った日馬富士の突き落としに転がった。白鵬は魁皇を危なげなく降し、ただ一人勝ちっぱなし。
○…琴欧洲と豊ノ島の2敗対決は豊ノ島が一方的に押し出した。同じく2敗の栃ノ心は高見盛を寄り切ったが、嘉風は雅山に押し出され、3敗に後退した。小結・豪栄道は負け越した。
○…白鵬が魁皇を退け、優勝争いの単独首位に立った。取組前、朝青龍の敗戦を土俵下で見たが、「自分の相撲を取り切る気持ちだった」。突っ張り合いから得意の右四つに組み、鋭い上手出し投げで大関を土俵にはわせた。年間勝ち星も78年の北の湖を抜いて歴代単独2位の83個目。朝青龍の最多記録まであと一つと迫ったが、風呂上がりの支度部屋では厳しい表情を崩さず、「うまく気持ちをコントロールしながらやりたいと思う」。
○…琴奨菊が得意の左四つからの猛攻で豪栄道を破って5連勝、8個目の白星を手にした。「めっちゃ気分がいいですね。もう、場所が終わってもいい」と会心の笑み。来場所での三役復帰も有望となり、「それはおまけみたいなもので。地元(福岡出身)で勝ち越せたことがうれしいです」。
○…169センチの小兵・豊ノ島が203センチの琴欧洲を破って10勝目を挙げた。過去の対戦成績は全くの五分。「やりにくいと思ってくれれば、自分の流れになる」と積極的に前に出て押し出した。08年名古屋場所以来の2けた白星に「すごく頑張ってる」と照れ笑い。「技能賞が一番欲しい」と三賞への意欲も口にした。
今日の主な勝敗
横綱朝青龍が大関日馬富士の立ち合い変化で突き落とされ、初黒星を喫した。
横綱白鵬は大関魁皇を左上手出し投げで退け、12戦全勝で単独トップ。
日馬富士は6勝6敗、魁皇は5敗目。他の大関陣は琴欧洲が平幕の豊ノ島に一方的に押し出され、3敗に後退。
琴光喜は関脇把瑠都の突き落としに敗れ、5敗目を喫した。把瑠都は星を五分に戻した。
中入り後の勝敗は次の通り(左側が勝った力士)
栃乃洋 おしだし 山本山
白 馬 うわてなげ 土佐豊
翔天狼 きめだし 猛虎浪
朝赤龍 よりきり 春日王
雅 山 おしだし 嘉 風
栃ノ心 よりきり 高見盛
木村山 おしだし 玉乃島
霜 鳳 よりきり 豊真将
黒 海 うわてなげ 若の里
旭天鵬 よりきり 豊 響
垣 添 つきおとし 玉 鷲
阿 覧 うっちゃり 岩木山
栃煌山 よりきり 武州山
北勝力 おしだし 時天空
稀勢里 はたきこみ 豪 風
琴奨菊 よりきり 豪栄道
鶴 竜 おくりだし 安美錦
豊ノ島 おしだし 琴欧洲
把瑠都 つきおとし 琴光喜
日馬富 つきおとし 朝青龍
白 鵬うわてだしなげ魁 皇
☆(太字は勝ち越し力士)
◆ 朝青龍初黒星 日馬の奇襲にしてやられる
朝青龍(左)が突き落としで日馬富士に敗れる
大相撲九州場所12日目、朝青龍からいつもの威勢は消えていた。12日目に初黒星を喫した日馬富士との取組後。支度部屋で報道陣に囲まれると、視線を落としてぼそっ、とつぶやいた。「今日はちょっと、おかしいな」
右で張り、左を狙ってかち上げたところまでは朝青龍の立ち合いだった。しかし直後、日馬富士が右に変化することまでは、読めなかった。「うまく回り込まれた」。目標を失い、体勢を崩した横綱は、あっけなく土俵に転がった。
この変化、日馬富士のもくろみ通りだった。「変わって頭をつけていこうと思っていた。余裕がないから何をしても勝とうと。こんな勝ち方では喜べないけど」。既に6敗を喫した大関が、普段はこだわりを見せる正攻法を捨ててまで、奇襲を仕掛けた。その執念が波乱を呼んだ。
「朝青龍は変化すると思ってなかったんじゃない?」と武蔵川理事長。変化を予想していなかったとはいえ、集中力が自慢の横綱にしては、あっさりした敗北にも見えた。
支度部屋ではショックよりも虚脱感を漂わせた。前日からひいているという風邪の影響か、時折せき込み、「体調に不安? まあね。息が苦しい」と弱音まで吐く始末。まだ自力優勝の可能性が残るとはいえ、盤石の相撲が続く白鵬との星一つの差は大きいと言わざるをえない。
◆ 26年ぶりの決戦消滅=朝青龍あえなく土
朝青龍(左)は日馬富士に突き落としで敗れ初黒星
朝青龍が日馬富士の変化に転がった。あっけない初黒星。元気のない相手の奇襲を食い、隆の里−千代の富士以来、26年ぶりの千秋楽横綱全勝対決へ、膨らみかけた期待は一瞬で消え去った。
日馬富士が「何をやっても勝とうと思っていた」と言う気配を、朝青龍は感じなかったようだ。右張り差しから左を差そうとした時には、すでに回り込まれ、右からの突き落としになすすべなく宙を泳いだ。「悔しいな。立ち合いちょっとミスった」。自分への怒りや、正面から当たってこなかった日馬富士への憤りを表すでもなく、神妙な顔で話した。
荒々しい攻めを抑えて、慎重な取り口で白星を重ねてきた。今年2度の優勝は、ともに白鵬に1差をつけて追い付かれた後、決定戦を制した。本割では今年、白鵬に5連敗。逆に白鵬を追いかける展開は苦しい。
支度部屋では口数少なく、せきを2回。「ちょっと息苦しいね」。場所前からの風邪が尾を引いているようだ。ここ一番の集中力は定評のあるところ。千秋楽まで賜杯争いを持ち込むのが最低限の責務だ。
◆ 白鵬、年間最多勝記録に“M1”
白鵬が上手出し投げで魁皇を下す
大相撲九州場所12日目、目の前で朝青龍が初黒星を喫しても、白鵬は動じなかった。結びで魁皇を左上手出し投げで退け、ただ1人全勝を守り「自分の相撲を取ることだけを考えた」と取り口同様、冷静に話した。
これで年間83勝目とし、朝青龍が2005年につくった84勝の年間最多勝記録まであと1勝に迫った。「ここまで来たら年間最多勝もある。うまく気持ちをコントロールしながらやっている」と、心境を説明する。
賜杯レースでも単独トップに立った。「まだ安心できない。疲れは多少あるけど、そんなことは言ってられない」と表情を引き締めた。
白鵬 年間最多勝記録更新へ自信満々
白鵬は九州場所で14勝以上で朝青龍の持つ年間最多勝記録(84勝)を更新するが「いつも通りにいけば、そう遠い数字ではない」と自信をみせた。
さらには「目指せ8連覇!(達成するのは)30歳だしちょうどいい頃」と、千代の富士(現九重親方)が1981〜88年に達成した九州場所8連覇の達成も視野に入れた。今後は日馬富士のいる伊勢ケ浜部屋への出稽古などで調整予定。まずは九州3連覇に向けてピッチを上げていく。
◆ 豊ノ島10勝目、三賞も視野に

豊ノ島が押し出しで琴欧洲を破る
12日目、琴欧洲に快勝し、10勝目を挙げた豊ノ島は「頑張ってると思う」と満足げに自賛した。
幕内で最も身長が低い169センチの豊ノ島が最も高い2メートル3センチの大関を低い立ち合いから一気に押し出した。これで対戦成績でも7勝6敗とリード。「何も考えずにいけたのが良かった。今場所は体が動いて前に出る相撲が取れている」と笑みを浮かべた。
昨年の名古屋場所以来となる2けた勝利で三賞も視野に入ってきた。豊ノ島は「やっぱり欲しい」と意欲的に話した。
◆ 鶴竜くるりっ「体が勝手に反応」
12日目、土俵際の際どい勝負となった鶴竜−安美錦戦に館内が沸いた。
先手を取ったのは安美錦。右でいなして相手の左腰に付くと、俵の寸前まで寄った。だが、そこで鶴竜がクルリと回転。際どく残すと、泳いだ相手を送り出した。「最後は体が勝手に反応してくれた」と鶴竜。綱渡りの勝利を冷静な口調で振り返った。
あと一歩まで迫りながら白星を逃がした安美錦はサバサバとした表情。「あんなもんでしょう。久しぶりに自分で攻めることができたので、悪くない」と話した。
◆ 栃ノ心、パワー発揮し高見盛を下し2敗守る
高見盛を寄り切りで下した栃ノ心
九州場所12日目、グルジア出身で22歳の有望株、栃ノ心が持ち前のパワーを発揮し、2敗を守った。過去4戦全敗だった高見盛を右四つからつりながら攻め、最後は寄り切り「初めて勝った。四つになって大丈夫だと思った」と、笑みを交えて話した。
幕内での2けた勝利は自身初。東前頭筆頭だった先場所は上位の壁にぶつかり、4勝止まりだっただけに「本当によかった。先場所の悔しさが今場所につながっている」と、言葉に力を込めた。
◆ 右肩上改名後初勝ち越し・・・「森うらら」より先
改名後初めて勝ち越しを決め、笑顔の右肩上
◇11日目 ◇
珍名力士の先輩、三段目の右肩上(みぎかたあがり)は「改名後初」の勝ち越しを決めた。魁心を上手ひねりで転がして4勝目。2連敗スタートからの4連勝に「上がることができました」と笑った。名古屋場所で「右肩上り」に改名し、話題となったが、2場所連続で負け越し。今場所から「り」を取って再改名し「やっと勝ち越した感じです。『三度目の正直』ですね」と安堵(あんど)の表情だ。部屋の兄弟子、序ノ口森麗の初勝ち越しはお預けになり「モリウララより、あとじゃなくて良かった」と意地? を見せた。
◆ 幕下は黒沢、秋乃峰が6戦全勝
幕下以下各段の力士は7番中6番を取り終え、幕下は黒沢(愛知県出身、阿武松部屋)と秋乃峰(神奈川県出身、峰崎部屋)が6戦全勝とした。
三段目は鳥取・鳥取城北高出身の貴ノ岩(モンゴル出身、貴乃花部屋)、先場所序二段優勝の千代鳳(鹿児島県出身、九重部屋)、無双傑(熊本県出身、放駒部屋)の3人が勝ちっ放し。序二段は先場所の序ノ口を制したブルガリア出身の碧山(田子ノ浦部屋)、ともに陸奥部屋の太源(愛知県出身)と土佐(熊本県出身)、風斧山(カザフスタン出身、錦戸部屋)の4人が6連勝。
序ノ口は東洋大出身の寺下(石川県出身、阿武松部屋)が6戦全勝としている。
【 力士の一言 】 琴欧洲、完敗に「きょうのこと忘れる」
豊ノ島に一方的に押し出された琴欧洲
○…琴奨菊(勝ち越して三役復帰も視野に)
「あー、ほっとした。もう場所が終わってもいい。(三役復帰は)おまけみたいなもの。感傷に浸るのは今日だけです」
●…豪栄道(琴奨菊戦で8敗目を喫し、三役からの転落が確実)
「相手の形になってしまった。まだ3日あるんで、それに集中するだけです」
●…琴欧洲(豊ノ島に一方的に押し出される)
「きょうのことは忘れて、明日からまた頑張ります」
○…把瑠都(琴光喜に快勝も左手首を負傷)
「痛い。外れているんじゃないかな。(13日目以降も)大丈夫ですよ。後で付け人に入れてもらうわ」
○…日馬富士(注文相撲で朝青龍破る)
「きょうは狙っていた。何をやっても勝とうと思った。まさか横綱も変わるとは思ってないんじゃない」
●…魁皇(白鵬得意の右四つになり完敗)
「突いていったら、右が入っちゃった。一番なってはいけない形。厳しい相手が続くけど、最後まで思い切りやるだけです」

富士の裾野にて 2009年10月26日 撮影
白鵬全勝守る、朝青龍は連敗
十両は、北太樹と春日綿の2人が4敗でトップ、光龍と徳瀬川と若荒雄と土佐ノ海と白乃波と星風の6人が5敗で追う展開です。
各段優勝
幕下は、阿武松部屋の黒澤が7戦全勝で優勝。
序ノ口は、阿武松部屋の寺下が7戦全勝で優勝。
三段目と序二段は千秋楽に優勝決定戦が行われる。