2022年 元旦によせて【ライブ At the Theater 2022】終演しました

2022年01月04日

ものがたり At  the Theater2022 Tokyo 

マギー作




いよいよ本番7日が間近に迫ってきました!!
日々のテンションはうなぎのぼり~。
ですが、落ち着いたフリをして最終稽古に励んでおります(笑)。

今回、ご来場の皆様には、本作を「深読み」しながら楽しんでいただくために、「ものがたり」をご紹介します。
もちろん!欠席の方にもお楽しみいただけると嬉しい~♡


この「ものがたり」は、At The Theater以前のお話しです。
登場人物の開演前までのスト―リー、と、いうことです。


「オフオフ・ブロードウェーの隅にある「ラパン・エ・アロ」は、その名の通り、地下の小さい劇場。

場内の規模はごくごく小さいものの、支配人であり、歌い手でもあるディーバGのセンスがいかんなく発揮され、上品で洗練された雰囲気を保っている。


ディーバGは、ブロードウェイのステージで名の知れた歌姫の一人だったが、作品に恵まれず現在では「過去の人」と呼ばれるようになってしまった。けれど、当の本人は他人の評価などはどこ吹く風。


小さい劇場で長年のファンと親しい仲間たちに囲まれ、リラックスして行えるこのショーをことのほか気に入っている。

そんな歌姫を支え続けてきた付き人の「お針子」は、舞台の掃除から、衣装小道具管理、食事の手配や当日のタイムキープまで、方の仕事の大半をやらされている。


そんな日の目を見ない彼女がこの物語の主人公。


お針子の年齢は不詳だが、ディーバGとほぼ同年代であることから、50代半ばと推定される。物静かで ほとんど喋ることは無く、舞台の隅にたたずむ姿は掃除道具のひとつかと見間違えるほど。


その動き方
は機械的で、事務的。ビン底眼鏡とマスク、大きな頭を覆う頭巾といういでたちからは、感情の機微を読み取ることは難しい。

なぜなら、それは、お針子自身にも、もはや分からないことだからだ。



お針子がディーバGのステージを見たのは、まだ彼女がハイスクール時代の頃だった。当時のディーバGは学校のマドンナ的存在で、当時から光り輝いて見えた。

生来地味で裁縫だけが得意なお針子にとっ
て、ディーバGは別世界の存在だったが、そんな彼女から装のオファーがやってきたのだ。

そのオ
ファーを受けたことが全ての始まりで、数年後ショービジネスの渦に巻き込まれたお針子は、目の前のタスクをこなしているうちに、時間はあっと言う間に過ぎていってしまった。


物事を深く考えないディーバは、面倒くさいことを全てお針子に押し付け、お針子はディーバに言われるがまま、機械のように作業をこなし続けた。

快楽主義のディーバと成果重視のド近眼なお針子の組
み合わせは、ある意味バランスのとれた関係性であったものの、「ヴィジョン」を持たない日々の連続に、お針子のココロはいつしかオイル切れの機械のようにサビついていた。


そんなある日のこと、劇場は突如として閉じられた。世界規模で感染症が流行り、街がロックダウンさ

れたのだ。

ディーバ
Gもお針子も共演者たちも、皆、ステイホームを余儀なくされ、今まで経験したことのない「閉じた時間」が2年間続いた。


この閉じた2年間のもたらした影響はさまざまで、仕事に追われない日々を30年以上ぶりに経験したお針子の中でも、確実に変化したものが感じられた。


幸い、感染症の難を逃れたお針子だったが、病の苦
しみや死への恐怖が、皮肉にも彼女に「人間らしさ」を思い出させていたのだ。


その不安は、ひとりでいるコトの不安や寂しさを誘い、仲間への愛着や、開演前の劇場のざわめきを懐かしくさえ思わせるのだった。同時に、ジェットコースターのような忙しさが日常だったという異常さに気が付くのには、さほど時間を要しなかった。


その朝は、ロックダウン中のため車も人通りもなく、街の空気は澄み、ただ、鳥たちのさえずりが青い空に響いていた。


小さな窓辺にあるプランターには、黄色い名も知らない花が咲いていた。その朝露が
光るのを見たとき、お針子は自分が生き返ったように感じられた。

それは長い夢から覚めたような清々しさだった。 


劇場が再開され、2年ぶりに日常が戻ってきた。再会を喜び合う仲間たちだったが、その半分はショービジネスを去り、客席も埋まらない状況からのスタートとなった。


それでもディーバ
Gは変わらずにステージで輝いていた。
「この日を待っていたのよ!」と歌う彼女は
ハイスクール時代と変わらない、いや、当時以上のエネルギーを発していると、袖で見守るお針子には感じられた。


お針子は、開演前にディーバと交わした会話を思い出していた。

「辞めてもいいのよ。あなたも。」

ディーバはことさらそっけなくそうつぶやいた。

「あなたもね。」

と、お針子が間髪おかずに返したのを、まるで鳩が豆鉄砲でもあてられたかのように目を見張るディーバだったが、そのまま大笑いに変わった。


気が付くと、お針子も笑っていた。

信じられない思いで、笑っていた。


Don’t Miss It !」見逃さないで!と叫ぶように歌うディーバは、きっとこの先も許される限りステージに立ち続けるのだろう。

お針子もまた、そんなディーバを見守り続けるのだと、今はそう信じている。


忙しさや不安や慣れや緊張で見失われがちな小さな幸せを、時々思い出すことが人間には必要だ。

それは誰かを大切に思うことだったり、一緒に笑うことだったり、空想したり、空を見上げたり、美味しいものを食べたり、温かな毛布にくるまったりすることで、朝、小さな花が咲くような、あたりまえの奇跡だったりする。


Don't Miss It !

 
それをみつけられるかどうか、が、人間らしさを決めるのだ。

だから、幸せなキモチは、自分で育てられるってことなのだ。」


さあ、観客の皆さん

袖からディーバのショーを見守るお針子に、この後訪れる奇跡を、どうかお見逃しなくー。

Don't Miss It !


https://roneandgigi.com/liveat-the-theater-2022-tokyo/4016/
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clown_gigi at 22:52│Comments(0)

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