2009年08月12日
HACHI 約束の犬
アメリカ東海岸のベッドリッヂ駅ってどこにあるのだろう。と観ている間は気になっていたのだが、どうやら架空の駅らしい。そんな寒い寒い季節にその駅に降り立った大学教授のパーカー・ウィルソン(リチャード・ギア)はかわいらしい秋田犬の子犬を拾う。
もしも忠犬ハチ公の物語が海外に渡ったら。というリメイクではあるが、何と言ってパーカー演じるリチャード・ギアがもうハチ大好きなんですという満面の笑みを浮かべて演技とも素ともとれない絶妙な当たり役を演じます。
当初は飼い主が現れるまでとしぶしぶ妻を説得し、首輪についていた漢字八からハチと名付け(何て安易な・・・)、知らず知らずのうちにもう既に立派な飼い犬として朝晩パーカーを送り迎え。そう全くといって良いほどに、あの有名な忠犬ハチ公の物語にそっくり。
さてそっくりとは言えども、オリジナルへの敬意としたあくまでもさりげなく描かれるハチ公とパーカー、その家族の愛情の交感は、今までで一番お互いに信頼しあっていた飼い主が亡くなるという唐突な悲劇が訪れたとしても続いていく。
何といっても、この作品の起点は何にも変えがたいパーカーとハチの信頼関係、父と息子とも言えるほどの愛情の関係であろう。
いかにも東海岸の生活を満喫しながらも、勤務に出て帰ってくる時に送り迎えをしてくれる忠実でかわいらしい犬がパートナーとして存在することを誰よりもいとおしくうれしい人生の糧として実感していたパーカーという人物の表情や性格がものの見事に映画全体に浸透していく雰囲気は悪くない。
だからこそパーカーが亡くなった後もその軌跡を信頼するかのようにハチはベッドリッジ駅から離れない。そこに信頼の起点がありすべてはそこで始まり終わる事を知っているかのように、温もりを探し続けるのだ。
一方でパーカー亡き後の家族の反応がやや冷たい感じを受けるものの、何よりもハチの意志を基調とし、家族の中でも最もパーカーを拠り所としていた犬の表情に気づいたしまった彼らの立ち位置、表情は寂しい。
せっかく駅を起点としているのだから、主人を待つという犬に対しての重みというのをもう少し安寧に描いてみるのも悪くはないのかなと思った。だがやはり駅であるがゆえにその駅を生活の中心地としている駅員や商売人の素顔がさりげない重要なファクターとなるので、そこにある温かみにも思わず触れたくなる。
思わず渋谷駅の待ち合わせ場所にもなっている忠犬ハチ公の銅像。誰しもが人を待つ場合は多くの人がその人を信頼し、かけがえのない存在だと信じて待つ場所。そこにふと訪れる温かみというのは古今東西で全く変わらない真理であり、そこに触れる自由こそが平和の基調なのかもしれない。
監督 ラッセ・ハルストレム
出演 リチャード・ギア
ジョーン・アレン
サラ・ローマー
ケイリー=ヒロユキ・タガワ
ジェイソン・アレクサンダー
8月12日 新宿ピカデリーにて鑑賞
『HACHI 約束の犬』 (原題 Hachiko:ADog'sStory)
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