映画 「わ行」

2009年11月01日

わたし出すわ2

watashidasuwa





 もしあなたがしたい事や欲しい物に対しての大金を誰かが払ってくれる。といったら
どうするだろう。親しき仲でも飛びつくか、もしくは躊躇して遠慮するか・・・でも出してあげると言われたら、何か裏があると思わない限りは飛びつくのではないか。

 これはある旧友が故郷に帰ってきて友人と再会し、友人の夢や希望に対して旧友がお金を出してくれる話、そしてその後の人間の姿を描いた話である。

 お金というものに対しての感覚は人それぞれであり、多種多様である。お金に守られる者もいれば、お金によって堕落する者もいる。お金というものに対して持ち合わせる執着の度合いがまざまざと描かれていく。

 なぜ彼女はお金を出してくれるのだろう、どこにそんな大金を持ち合わせていたのだろうといぶかしむのも当然であって、作品全体に色濃いミステリアスな雰囲気が纏う。

 だけれどもこのお金にまつわる物語を辿っていくと、歯に物が挟まって取れないような演出というか、何だか異世界の物事を追っているかのような違和感にまみれる事になる。

 とにかく演出、シーン構成がなんとなく変としかいいようの無いほどに風変わりなのだ。何だか小雪もいつもの彼女のような雰囲気だけど浮世離れした得体の知れない存在に思えてくる。

 故郷に戻ってきたのは山吹摩耶(小雪)という女性。一人一人高校時代の同級生と再会し、それぞれの事情へとまるで短編小説を紐解くように入り込んでいき、何とはなしに昔の同級生を気にしていたという体でそれぞれの再会が日常の延長のような演技かつ田舎の風景に妙に溶け込みながら進行する。

 世界中の路面電車を巡る夢、怪我を治したいマラソンランナーの心情、仕事の研究に対して必要な資金を巡るあれこれ、玉の輿に乗って順風満帆の女性、お金にはまるで無頓着そうな欲の無い女性。

 人々の欲望はあれこれあって、それがお金という媒介を通じて捉えられていくというのはなんとなく感じるところであろうが、一方で摩耶はなぜそうも簡単にお金をポンと出し友人を助けようとするのか。またなぜそんな大金を持っているのであろうか。

 不思議といえば不思議だが、そこには何かしらあると思いきや、思わず感じたのは摩耶は自分の思った事や感じて来た事に対してどれほどに傍観者になれるかという究極の選択を友人に知らず知らずのうちにもたらしながらも、自分の信じるもの、自分が最も望むものを際立たせたかったのではないか。

 そしてかつての同級生が摩耶に対して感じていたことや、彼女の存在が昔もそして再会した今も何だか大きな畏怖として感じさせるほどにとりわけ大きなようで、また自然のままに傍らにいる諦観する友情の持ち主でもあるのかもしれないと思わせる余地もある。

 この作品の興味深いところは、お金の使い道によってその人物への評価は変わらないという摩耶の視点でもある。作品を観ている私も思わず納得行きそうで行かないその視点と、摩耶のお金の出所と、彼女が希望していた事柄の乖離が激しくこの淡々とした進行劇に温和な感情を抱くことは出来なかった。まあそれが狙いなのかもしれないが。

 さて冒頭からアナウンスされる郵便ポストに大金が投げ込まれる事件?ニュース?の解決は思わぬところから語られた少し驚く。それはお楽しみに。


監督・脚本 森田芳光
出演 小雪
   黒谷友香
   井坂俊哉
   山中崇
   小澤征悦
   小池栄子
   仲村トオル

11月1日 新宿バルト9にて鑑賞

『わたし出すわ』
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2009年10月12日

私の中のあなた4

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 人生をどう過ごすかという選択というのは、それぞれ人によって違う。命の長さももちろんそれぞれ違い、また死というものに対しての距離感や心構えというのも多種多様に広がっていく。

 だからこそこの作品を観終わったときに、決して一様に捉える事のできない。また一言で語るには難しく、ただ感動したねとか、超泣けるなどという陳腐な言葉で語るにはもったいない生きる人間へのただひとつのまなざしが存在したとしか言えないのだ。

 さて、物語は一見して悲劇のヒロインを仕立て上げているようであるが、ここ近年邦画で乱発されている難病モノ+泣けるという構図を持ち合わせる駄作とは一線を画し、もしあなたがこの立場にいたとしたらどのような気持ちで臨むであろうかという真摯な一面をただひたすらに追いかけていく。

 語り手は11歳の少女アナ(アビゲイル・ブレスリン)。『リトル・ミス・サンシャイン』の活発ですばらしいエンドロールを見事に盛り立てた子役もいまや人となり、複雑な成長過程にある少女を新鮮に演じる。

 彼女にはケイト(ソフィア・ヴァジリーヴァ)という白血病の姉がおり、まさに姉に臓器を提供するドナーという役割を半ば父ブライアン(ジェイソン・パトリック)とサラ(キャメロン・ディアス)に押し付けられているようで、それを享受していだけではないという視点からストーリーラインは動いていくのだ。

 遺伝子操作によって生まれた以上に、彼女にとっては家族の中で最も大切にされるもの、最も基調となる存在がケイトということは、幼いころから、そして物心がついた今も当たり前のように感じていた様子がアナ、そして兄のジェシー(エヴァン・エリングソン)の表情からも表出されていく。

 さて、アナは臓器提供者としてその生を抑圧されているのであろうか。ある日、アナは弁護士のキャンベル(アレック・ボールドウィン)を雇い、両親を相手取りケイトのために手術を受けるドナーを拒否する訴訟を起こす。

 アナとケイト、そして家族の中は険悪なのか。といったらそうでもなく兄弟のように仲睦まじく、慈愛に満ちているのだ。

 そこで面白いといったら作品に意にそぐわないのかもしれないが、なぜアナはケイトへのドナー提供を拒否するのかというミステリー仕立ての秘密に至る過程を家族の中での視点、そして家族とは違った視点でアナをやさしくキャンベルがナビゲートして行く。

 語り口は鮮やかで、ケイトが難病に対峙しているあらゆる瞬間に笑いが訪れるように、あらゆるケイトにとっての思い出がきらびやかで素晴らしいものであるように、という光に満ちた道筋を仕立てるのは家族の姿なのであろう。

 実はアナがケイトのドナー提供を拒否したのも、この家族のまざまざとした温かみのある姿あってこそのものであろうと思わずにはいられないのだ。

 だからこそこの作品を観て涙を流すのならば、悲しみの涙ではなく、ある優しくも暖かい家族の姿を反映したかのような真意を知ったときの、人間のありのままの喜びに満ち溢れた涙であろう。


監督・脚本 ニック・カサヴェテス
出演 キャメロン・ディアス
   アビゲイル・ブレスリン
   アレック・ボールドウィン
   ジェイソン・パトリック
   ソフィア・ヴァジリーヴァ
   ジョーン・キューザック

10月11日 新宿ピカデリーにて鑑賞

『私の中のあなた』 (原題 My Sister's Keeper)
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2009年10月09日

ワイルド・スピード MAX3

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 カーチェイスのカタルシスというのはどんなシーンや舞台で訪れるのか、という命題は予想外の嬉しさというか、まさかこんなところでスピードを体感させてくれるとはという妙な驚きを感じさせてくれる。

 まるで観客も平走しているかのような臨場感を感じさせてくれる舞台設定は、冒頭の強奪シーンから飛びぬけて何だか気合の入り方が違う。

 まるで危険な賭けに出るかのごとくスピードを精査し、トラックからオイルを見事に奪う様はなんて無茶なと思うがインパクトとしては絶大だ。

 どうやらドミニク(ヴィン・ディーゼル)はレティ(ミシェル・ロドリゲス)とともに南米に逃亡していて、あまりに悪い事を繰り返すものだから、お上も許すまじと何とか彼を捕まえようとしているようだ。

 一方で、動き出すのはFBI捜査官ブライアン(ポール・ウォーカー)は麻薬カルテルのブラガを捕らえようとし、思わぬ形でドミニクに再会することになるのだが。

 潜入捜査的な緊張感が味わえるという意味では一風変わったカーアクションではある。ただスクリーンの前を車が疾走するスピード感に妙な色濃い人間関係というか、ある種の復讐劇をまといつつもそれらが重なり合って最後の最後にカタルシスを味あわせるような爽快感もある。

 何と言っても見所は物語とカーアクションがどのようにかみ合うかの末のラストのカーチェイスであろうか。まさかこの場所で行われるとは思ってもみなかったという予想外の嬉しさがある。

 そして一方でここで最後だと思われた場所に入る前段としては、このラインでどのようなアクションの展開を見せるのかという期待と不安が入り混じったかのような苦い気持ちを覚えさせてもくれる。

 キャスト陣はまるで板についたかのようにアクションを肝とした存在感を示す。ヴィン・ディーゼルは渋いんだか、男気があるんだか・・・まあ犯罪者に変わりは無いのだけれども、思わず頼りにしたくなる存在感はある。だが彼演じるドミニクにとっては最も信じがたい出来事がこの作品にて訪れる。

 一方で存在感だけは妙に薄いポール・ウォーカーは大健闘。ドミニクの影に隠れつつもしっかりと捜査官としての、また人間としての引き際を見せつつもちゃっかりおいしいところを持っていくのだ。

 さてさてとあるトライアルに入った瞬間。物凄いスピード感と狭量感が押し寄せる圧倒的なドライブの狂おしいまでに動く描写に身を委ねたくなる。

 急襲に継ぐ急襲。ありえないことが起こっても感心させてしまうパフォーマンスの妙技。壮絶でそこはかとないエクストリームな競争劇の挙句に訪れた邂逅はドミニクとブライアンの鬱憤に継ぐ鬱憤と、ふがいないまでの人生をまるで大きないかづちを振り下ろすかのごとく心地よい大打撃を振り下ろすのだ。

 車好きにもやはりたまらないだろう、このスピードに乗り続けてどこまでもどこまでも視線の先にある目的地を目指すのだから。



監督 ジャスティン・リン
出演 ヴィン・ディーゼル
   ポール・ウォーカー
   ミシェル・ロドリゲス
   ジョーダナ・ブリュースター
   ジョン・オルティス
   ラズ・アロンソ
   ガル・ガドット

10月9日 新宿ピカデリーにて鑑賞

『ワイルド・スピード MAX』 (原題 Fast & Furious)
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2009年03月20日

ワルキューレ3

valkyrie




 祖国のために闘うという動機は彼をそこに至らせる。作品として、過去に起こった出来事として、失敗している自明の作戦へいたる過程とその経過をものの見事に見せるという果敢なプログラムに挑戦したブライアン・シンガーの思惑はいかに。

 舞台は第二次世界大戦の最中。猛烈な戦火の中にいるシュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)の顔は冒頭の少ししか映らない。アフリカ戦前にて彼は左目を失った。

 彼の登場をクローズアップしつつも、ヒトラーを暗殺しようと動き出しているトレスコウ少将(ケネス・ブラナー)らの動き、どこかシュタウフェンベルクが無くした左目の役割を果たすかのように、機会をじっと窺う嫌な緊張感が蔓延する。

 大々的に宣伝するのならば、あまりに暗殺劇としてはドラマチックすぎるきらいはある。シュタウフェンベルク大佐が目ざとくかけるワーグナーのレコードから聞こえてくるワルキューレを背景に作戦という知能が動き出す演出はさておき、トム・クルーズ主演という事もあって物語の表と正当性を絵によって知らしめるのだ。

 さて、作戦の全貌はさておき、観る者が作戦の流れを予め知らされ、それがどのように遂行されていくか。それがどのように失敗という手はずを整えてしまうのかという見応えという部分ではやはり弱い。

 スタイリッシュさを全面に押し出そうとするが、一見して成功しそうで精緻に思われた作戦はふとした人間の動きやら天候やらその当時その場所にいた人々の思惑でずらされてしまうという事をまざまざと感じさせられる。

 一方で、ふとした作戦の遂行までの場面、一事が万事で作戦を実行するか否かの瀬戸際のハラハラ感は中々のもの。カメラで登場人物の顔をクローズアップしながら、所作と手に表出させて撮る動きの結果がどうなるかをあくまでも予測させない展開にはやはりひきこまれる。

 地道にヒトラー暗殺を計画した彼ら。そこにはクーデターという隠れ蓑もあり、あくまでも成功する事を前提に動き出していたのだ。しかし、一度失敗と分かると右に左に右往左往し、あくまでも成功と信じきった人間と反対の人間が入れ混じりあまりにも悲惨でもの悲しい結果になってしまう人間味、窮地に陥った人々の哀愁には畏れ入る。

 そんなヒトラー暗殺を舞台にしたある種の群像劇スタイルを人間の姿を通じて描く一大歴史絵巻ではあるが、そこにどんな思いがあったか、彼らがどのような覚悟で、動機でパブリックエネミーに立ち向かったかの姿は良く描けていたが、その裏側にある人生にまでは到達していないような気もする。

 だが、この作品を観た後に色々な事を改めて思い起こすと、人の命はあくまでも時に運命に左右され、また必然的に時代の中に埋もれ奪い去られる事もあるのかもしれないと思う。そんな儚い野望の一端もあるのかもしれないと思うのだ。だから争いはまたとなく悲しいのだ。

 
監督 ブライアン・シンガー
出演 トム・クルーズ
   ケネス・ブラナー
   ビル・ナイ
   トム・ウィルキンソン
   カリス・ファン・ハウテン

3月20日 渋東シネタワーにて鑑賞

『ワルキューレ』 (原題 Valkyrie)
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2009年01月21日

ワンダーラスト3

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 生き方は光と闇の間を行き来するものなのかもしれない。人間の心の旅はずっと続くいつまでも。

 これはマドンナが意を決して臨んだ感がある初監督作品。予告を観た限りでは奇抜で少々おかしな方向に行きそうな男女の悲喜劇かと思ったら、それよりももっと込み入っているようで気難しい。

 誰一人として共感出来ないというか共感する必要がないキャラクターの個性が光るのはロンドンを舞台とした男女の生き様にこそある。

 AKはミュージシャンを目指すが普段はSM調教師、ホリーはストリップバーでその真価を発揮しユニセックスな雰囲気を醸し出す、ジュリエットはアフリカへ行きボランティア活動をしたいと夢見るが現実は勤務先の薬局で目の前にある薬を盗む毎日。

 彼らのはけ口はどことなく、あそこでもなく、心の中をぐるぐると巡るだけ、正しい道を歩もうとするが方向はズレにズレて夢を語るだけで自分の心と体の行動が乖離していくいらだたしさも救いが無い。

 一転してこの作品が何を言いたいかという問題については観る者それぞれが感じ取る事ではあろうが、まず人は夢を追い求めそれを現実化する術を模索している間は人は善にでも悪にでも成り得る事、そしてその間を思わぬうちに行き来するであろうという事。

 また同時に一度たとえ方向性がずれたとしても軌道修正は十分に可能であり、またとないチャンスは知らず知らずのうちに転がっていて掴み損ないさえしなければ一歩でも近づきうるものではあると信じたマドンナの思いもあったのであろう、それがラストに向けてじわりじわりとステップを踏んでいく。

 3人の周りを囲む登場人物たちも夢のなれの果てなのか、もしくは現実に押しつぶされつつも目の前の快楽やら、生活の些事に追われて、夢どころではないのかもしれない。

 たとえ堅気でも奇抜でも関係無しに人間は闇と光の間で打ちのめされるものなのかもしれないのだ。だからこそ3人の姿を追っていくと彼らこそどこにでもいる将来を追いかける人間のありのままの姿を持ち合わせた存在として迫ってくる。もしくはこれから来る夢やら生活やらにそのうち追いかけられる立場になりうるかもしれない危険性をもはらむ。
 
 かつてマドンナがスターになる前に見た将来、夢を追いかけてきた心の思いや葛藤はこんなものであったのであろうか。いやおそらくこのストーリーは今もなおこうして活躍する彼女自身の現在の心境を実しやかに語っているのではないかとも思う。

 彼女もずいぶんと若々しくまるで新芽のような新鮮な心を今でも持ち合わせているのだなと、AKの歌とそれに乗り合わせた二人の女性の心の軽やかさと涙を見てふとそんな事を思ってしまった。



監督・脚本 マドンナ
出演 ユージン・ハッツ
   ホリー・ウェストン
   ヴィッキー・マクルア
   リチャード・E・グラント

1月21日 ヒューマントラストシネマ渋谷にて鑑賞

『ワンダーラスト』 (原題 Filth and Wisdom)
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2008年12月21日

ワールド・オブ・ライズ3

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 安全域と危険域。どちらにいようとも頭を使わなければいとも簡単に出し抜かれてしまう、無論命の危険さえある。

 危険域にいる者はCIAのエージェント、ロジャー・フェリス(レオナルド・ディカプリオ)。彼がその足で追いかけるのは中東にて爆弾テロを主導し仕掛けるテロ組織のリーダー、アル・サリーム。

 そしてロジャーを指揮下に置きながらも、安全な場所でアルを追い詰めようと頭を巡らし指示を発進する上司、エド・ホフマン(ラッセル・クロウ)。

 面白いのはこの2人同じ組織、仲間であるにも関わらずそれぞれの相手へのカードを握りながら任務を遂行している点。エドには嘘をつき着々と計画を遂行し、時にはある者と手を結び、動いていくロジャー。

 一方でロジャーの動きに目を見張らせながらも決してその計画の全貌を明かさないロジャーの行動範囲を少々妨害したりするちょっと困った上司エド。

 そんな2人の姿が折々で交錯していく上でもっとも極めつけなのは、これだけの危機的状況に対処しながらもそれぞれのエージェントの性格や生き方、考え方というものがこれほどまでに顕された作品も珍しいのではないかというほど。

 現場を知らない上司へのうっぷんと命令を聞かずに勝手に行動する部下を見過ごせないイライラももちろんあるが、それぞれのやり方というものを決して譲らないというCIAという組織の男同士の闘いはそんな事を通り越してやがてある計画に結実してくのだが・・・

 すっかり現場に足を踏み入れなくなって長らくなのか、そこら辺にいそうなおっさん状態のラッセル・クロウは体重を増量し指揮官を見事な立ち位置で熱演、それに呼応するかのようにレオナルド・ディカプリオはまるで中東の現場に溶け込む体を楽しそうに演じている。

 まあ結局は似た者同士の共闘を描いた作品なのだが、居る場所が違えば考え方もスタイルも微妙に誤差が生じてしまうもの。

 思わず何で俺の気持ちが分かってくれないのだろう・・・という叫びをぶつけるロジャーとそれをしたたかに、そうじゃないのにと訂正ちようとするエドの不敵な笑みが憎らしい。

 何だかんだで最後にロジャーが下した結論に思わずうなずいてしまうというか、見逃してあげるエドも実は誰よりも彼の気持ちが分かっていたりしたのではないかと思い微笑ましい。

 リドリー・スコットも肩の力が良い按配に抜けつつも力作を作り上げた。中東を舞台にしつつもスッと入っていけるストーリーラインと緊迫感も含めてお勧めの一品ではある。

 
監督・製作 リドリー・スコット
原作 デイビッド・イグネイシアス
出演 レオナルド・ディカプリオ
   ラッセル・クロウ
   マーク・ストロング
   ゴルシフテ・ファラハニ

12月20日 吉祥寺東亜にて鑑賞

『ワールド・オブ・ライズ』 (原題 BODY OF LIES)
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2008年10月10日

ワイルド・バレット4

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 窮地に陥った男のトラブル収拾劇としては着地点が見事。いかにもチョイ悪なジョーイ(ポール・ウォーカー)はマフィアに所属するチンピラ風情だが・・・

 冒頭の銃撃戦から展開する警官殺しに使用された銃の始末を頼まれたジョーイは、習慣からか地下室に隠したが、それを見ていたのは息子の友人のオレグ(キャメロン・ブライト)。

 彼は日々高圧的に息子を手なずけ、虐待する父親をその銃で撃つ。銃弾は見事にジョーイの家族の食卓に舞い込みそこから事態は二転三転していく。

 二つの交錯軸が共有していく様がこれほどまでに物語を盛り立てるとは。何とかして銃をオレグから回収したいジョーイの視点。そして銃を持ったまま家を飛び出したオレグの視点。

 しかも二重奏のように流れる物語は、オレグの父親・ユゴルスキーが撃たれた銃の弾を回収する術、ユゴルスキーの親戚がロシアンマフィアのボスという裏設定までが噛み合い、そこにジョーイの所属するマフィアの駆け引きと追い討ちがじわりじわりと。

 そうあたかもジョーイとオレグがそれぞれに取る行動は正に撃ち損なった銃弾のように次々と予測不能の展開を見せていくから、先が読めないというサスペンスの醍醐味も思う存分味合わせてくれる。

 やはり物語を牽引していくのは、この2人のキャラクターであろう。ポール・ウォーカー演じるジョーイという人物は一体どんな人間なのか。ただのマフィアの下っ端ながらも、必死で銃を回収しようとする際には、自分の息子をも連れて行く。

 妻の心配をよそにして、尻に敷かれた感も生活観があって良いのだが、家族の大黒柱というよりかは、流れにまかせて生きているかのような不安定さを残す。

 一方で父親の虐待により家族というものに嫌悪感を募らせて父を殺害しようとする少年オレグの視点は凄まじい。

 夜の闇に逃げた先には様々な大人という存在の恐怖、特にある夫婦に連れられた先のくだりから、ジョーイの妻がオレグを助けに行くシーンの連続は正に、ジョーイの妻同様に吐き気が催すように決して許されない大人の姿がありありと描かれる。

 ジョーイだけの視点ではおそらく見せきれない、子供オレグの視点を絡めた事で見えてくるのは、街の姿。大人は闇を知っている、それゆえに闇を見た子供が持つ銃とその心を救う事が最終的に命題になってくる。

 ゆえにジョーイの妻が取った行動は思い切りが良いが歯に物が挟まった感じが残り、恐怖を倍増させるし、オレグが銃を持っていても対処できない大人の世界が広がっていく街に蠢く大人の行動はやがて爆発して手に負えなくなる。
 
 そんな感情の矛先が読めないかのように用意されたラストのアイススケートリンクでの銃撃戦はそれを見事に物語っているかのような泥仕合を見せてくれる。

 結局は先の利害にだけ目を向けた大人の誤算。そして予想もつかない展開に対処できない人間の浅はかさが浮き上がっていくかのようだ。

 マフィア、警察、子供を巻き込んだドラマは収束劇に継ぐどんでん返しに継ぐ転換の見事さを見せ、キャラクターが収束するラストの明かしには驚いた事は間違いない。正に目から鱗が落ちるかのよう。

 一丁の拳銃を巡る一夜の人間達が描く物語は、文句無しに面白いロマンチックなサスペンスアクション、また彼らの行動を映像ギミックによって見せ切った群像劇もまたとないのではないかと確信したくなる一本だった。




監督・脚本 ウェイン・クラマー
出演 ポール・ウォーカー
   ヴェラ・ファミーガ
   キャメロン・ブライト
   アレックス・ニューベルガー
   チャズ・パルミンテリ
   アーサー・ナスカレッラ
   ジョン・ノーブル

10月11日 新宿東亜にて鑑賞

『ワイルド・バレット』 (原題 RUNNING SCARED)
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2007年11月12日

once ダブリンの街角で3

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 おそらく、onceという原題は、かつてあったあの時というような意味が込められているのでは無いかと観ながら考えてしまった。

 実家の家電製品の修理をしながらダブリンのグラフトン・ストリートで歌うある男(グレン・ハンサード)は古いギターを片手に自作の曲をかき鳴らしている。

 とある夜の帳が下りた頃、1人の女(マルケタ・イルグロヴァ)が足を止め、彼の歌に聞き入る。彼女は、男に数々の質問を浴びせかけ、掃除機の修理を頼んでしまう。

 翌日、掃除機を引いた彼女とギターを片手にした男は、彼女曰くピアノを弾かせてくれる楽器店に入る。彼女がピアノを弾き始め、彼はその調べにギターをのせる。そこから生み出されたアンサンブルは音楽の可能性の広がりの始まりとなっていくかのように。

 音楽で語らしめるという男の夢は、彼女がいてこそ生み出される結末なのだろう。壁は厚く男が女にほのかな恋心を抱いたとしても、彼女は振り向けない。そこにはチェコ移民であるという生活の苦難とそれを守る故に付いていけない理由もそこかしこに存在するのであるが・・・

 そして、感謝しても感謝し切れない切ない思いを抱えるのは男の方である。そこに乗った恋心は強引ではなく静かに伸びやかに彼の歌詞に顕れて行くが、近寄りそうで近寄れないそのもどかしさと言ったら無い。

 やがて二人のアンサンブルが、メンバーを確立させ、男が外に飛び立とうとするまでを描くのが今作だが、男の夢に付いていけるほどに彼女の心持は決まっていない。何故ならば、手に入れた今の生活を壊す事、そしてそれを手放し、男に付いて行く事の保証も無いからであろう。

 二人のたゆたう気持ちは、必然性のある音楽とは裏腹に揺れ動いていく。こうして観ると、時代の流れに乗りどこまでも自由に行き来しようとする男に比べて、女の方は経済的理由もあるが、手堅く、賭けに出ない堅実な思考の持ち主ゆえに二人の心は切なくも乖離してしまうかに見えるのだが・・・


 ラストでその答えは必然となる。男ってどこまでも人の幸せを願ってしまうものなのか。もしくは自分が夢を手に入れようとしている矢先であるが故に、小さな恩人にこれからを少しでも共有したいと思うそのプレゼントが微笑ましい。

 そしてかつてあった街角の音楽とそこで出会った女性への静かな謝意が素敵な余韻として心に響き渡り、楽器の奏でる音がアイルランドに残されているという嬉しさを感じさせてくれる。
 

監督・脚本 ジョン・カーニー
出演 グレン・ハンサード
   マルケタ・イルグロヴァ
   ヒュー・ウォルシュ
   ゲリー・ヘンドリック
   アラスター・フォーリー

11月11日 シネアミューズ ウェストにて鑑賞

『once ダブリンの街角で』 (原題 ONCE)
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2007年05月14日

ワイルド・アニマル3

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 男ってどうしようもないほどにハードな面とソフトな面を持ち合わせていたりして・・・フランスのパリが舞台なんだけど、どことなく雰囲気は香港映画のような趣をも感じさせます。

 同僚の絵を盗み生計を立てる画家もどきのチョンへ(チョ・ジェヒョン)は、密入国した北朝鮮特殊部隊の脱走兵ホンサン(チャン・ドンシク)と出会う。

 チョンへに騙されたホンサンは彼を迎撃し、ホンサンは逆にチョンへの口車に乗りだまされつつも、金銭をまかなう為に、闇に身を染めていく。

 次第に騙し騙されていた関係も、友情へと変わり、どうしようもない男二人は女性に翻弄されていく。

 チョンへが知り合うのは、街頭でボディペイントで生計を立てていたコリンヌという女性を助けた事に始まり、コリンヌの状況にも飲み込まれていく。重ねはあるが、どこと無く退廃的な彼女の存在に強く惹かれ離れられない。

 ホンサンは、不法入国を程よく助けられた縁か、ローラという女性に惹かれ、彼女の勤めるストリップ小屋に入り浸る。彼女の美しさを内面から覗きたい彼の思いも虚しい銃弾によって避けられてしまうとは知らずに。

 闇の世界に染まる過程が、チョンへとホンサンの関係性に浮き彫りになっていく。どうしようもない程に、バカな男二人。マフィアと関わりを持つもその恐ろしさを体感する事無く、まるで風来坊のように簡単に関係性を切ったりする。

 所々で出てくる絵画やコリーヌのボディペイントが彩り、冷凍した魚で叩くシーンなどは思わず笑いそうになってしまう・・・(なんで魚なんだろう)

 チョ・ジェヒョンがコミカルさを顕した演技で魅せるのは面白かった。彼はどこと無く危険な香りを漂わせる男を演じても秀逸だけれども、どうしようもないオカシサを滲み出すのも素晴らしい。

 先の事を考えずに、行き当たりばったり。とりあえず今ある現状をどうにかすることで一杯な二人。北と南に分かれていようが同じ民族であり、思想は現れずに衝動的な欲望と時間を浪費するのみ。

 散々荒らしまわった挙句の二人の思いも止まり、非情さを持って終わる。でも観終わった後でも不思議と悲壮感は感じず。キム・ギドクの若々しさも投影されているのかなとふと思った。


監督 キム・ギドク
出演 チョ・ジェヒョン
チャン・ドンジク
チャン・リュン

5月12日 ユーロスペースにて鑑賞


『ワイルド・アニマル』 (原題 野生動物保護区域)
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2007年05月07日

鰐 〜ワニ〜4

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 幻想的な冒頭から奏でられるキム・ギドク第一回監督作品。日本でもやっと公開という事でユーロスペースの空間で堪能してきた。

 漢江は昨年ポン・ジュノ監督の『グエムル 漢江の怪物』で一躍スポットともなった場所。

 そんな漢江の橋の下に住むワニというあだ名で呼ばれる青年ヨンぺは、まるで鰐のように漢江で獲物を探す。

 探している獲物は川に飛び込む自殺者。身を投げた骸から金銭を奪い生計を立てるという何とも言いがたい所業に身を染めるワニは『悪い男』同様ギラギラしている。

 そんなある日、川に身を投げた女性・ヒョンジョンの命を救ったワニだが、そんな彼は慰み者にするかのようにヒョンジョンの貞操を奪い続け、一緒に暮らす孤児エンボリの蔑視を露ともせず、生きたいように生きていくがやがてワニの行動を脅かす事態が連発していく。

 やっぱりキム・ギドク監督作品を観るとお腹一杯になる。彼の作る作品ってDVDで観る向きよりか、劇場で鑑賞してこその魅力を発揮する稀有な異常天才だと思う。

 第1作という事で、キム・ギドクの表す野性味や人間のまがまがしい粗野な部分が全面に押し出され、それは役者に頼ると同時に、演出もさりげなく自己主張していくあたりはこの頃から顕在だったのだな〜と妙に嬉しくもなってしまいました。

 彼の作品に共通することだけど、美術や芸術感溢れる描写と死や痛みが根底に介在するあたりは、美しい描写も痛みや血が流れるものなのかなとうっとりしたり、ブルーを基調とした漢江の底の映像や亀の甲羅に青い色を付けたりと行動は何となく意味不明なのだけど、塗ってみたい感情も分からなくもない・・・

 ワニことヨンぺを演じたのは『悪い男』でも強烈な存在感を放っていたチョ・ジェヒョン。決して同情出来る人間性の持ち主ではないけど、ストーリーが進むにつれて次第に生きてきた悲哀や底に眠っていた生来の優しさが滲み出るあたりを、横顔やたたずまいから感じさせる秀逸な存在感に感嘆。

 次第に物語が進むにつれ、付いていけない部分やスクリーンから立ち上る描写で登場人物の関係をほのかに語っていく手法に戸惑ったりもしたけど、ラストの構図には唖然・・・これってバカじゃんと思ったけど、笑えない・・・

 キム・ギドクって、とにかくこの映像が撮りたいという意志に溢れていて、作品のパワーには圧巻。とてもじゃないけど真似できる監督ではありませんね。

 漢江の底の獲物を狙うかのように潜んでいたワニ・・・どんなに荒々しくとも、曲がっていても欲しいのは愛であり、人間に触れたいという思い。逆説的な愛だけれども、そんな感情もこの世にはほとばしっている。むしろこの作品で描かれている愛のほうがよほど健全かもと思わせてしまうあたりは、やはり凄い。

 


監督 キム・ギドク
出演 チョ・ジェヒョン
   ウ・ユンギョン
   チョン・ムソン
   アン・ジェフン

5月3日 ユーロスペースにて鑑賞

『鰐 〜ワニ〜』
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2006年09月15日

ワールド・トレード・センター4

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 ニューヨークにあるワールド・トレード・センターには行った事が無い。

 日本に住む僕にとっては、あの事件以前はそれほど意に留める事もあまり無く、ニューヨークにある二つ並んだ大きいビルという認識しかなかった。貿易センターとも呼べるこの摩天楼の象徴は物語の冒頭からスクリーンの端を横切るように現れる。

 ニューヨークという街は、芸術的センスの持ち主が集まり、近代的なビルディングが並ぶ街並みはしばしば映画の舞台として登場する。多数の外国人労働者はこの街に職を求め渡り、タクシー運転手などをして生計を立てようとし、アメリカンドリームにすがりつきながらも、日々生きている。

 また生粋のブロンクスの人間という存在は度々映画の登場人物として現れる『プライベート・ライアン』のライベン二等兵を演じたエドワード・バーンズは生粋のブロンクス男ながら鮮烈な印象を残す役だった。ヤンキーズを愛し、週末のゲームを楽しみにする人々もこの街の住んでいる。

 あの日。9月11日。この街の住む人の衝撃は計り知れなかったのであろう。今までどこか心の頼りにしていたニューヨークという街の景観は崩れ、摩天楼に響き渡る救助と叫びの声・・・まるで地獄絵図のようなこの街には、ただ人を理屈抜きに助けようとした男達がいたのである。

 この作品は、ある5人の港湾警察官がワールド・トレード・センターに救助の為に入り、崩壊により命の危険と隣合わせになりながらも、地中深くに閉じ込められてしまう物語。

 その中でも運良く生き残り閉じ込められた二人とは、ジョン・マクローリン(ニコラス・ケイジ)とウィル・ヒメノ(マイケル・ペーニャ)。

 確かに、二人は何をしたのか!?という気持ちは働くだろう。ただ、ビルに入ったは良いものの、何も出来ずに閉じ込められ救助を待つだけの状態に陥ってしまう二人の男。

 しかし、この物語で大切なのは、何をしたか。では無く何かをしようとした事では無いのだろうかと思う。アメリカの一都市が未曾有の危機に陥り、一人でも多くの人間が助けを求めていたあの状況において、打算抜きに動いていく警察官の勇気は言葉にならないほど。

 本当は、仕事をして、帰りに同僚と一杯やって、家に帰れば家族と団欒をする普通のお父さんなのだ。そんな人間存在の崇高さを滔々と語るこの作品の前半部分には感嘆させられてしまう。

 そして、閉じ込められてからは上からくる崩落の恐怖と、突然見舞われる予想外の危機に恐怖しながらも二人は何かと生きようとする。この二人のバックグラウンドにあるのは、彼らの愛する家族の姿だった。

 物語はアメリカ同時多発テロで起こった一遍を物語ったものかもしれない。しかし、根底にあるのはそれぞれの人間が互いに助け、信頼し、手を取り合う善の心の姿なのだと思う。この事件に限らず、彼らは何が起ころうとも同じように行動するだろう。それがどんなに難しく、勇気のいる事だと分かりつつも。

 閉じ込められる二人の男を演じたのはニコラス・ケイジとマイケル・ペーニャ。様々な事件に関わりつつも信頼を得てきたジョンという男をニコラス・ケイジは静謐に演じている。頼りなげな所は無く、家族を愛するストイックな男だ。

 一方でもう一人の男ウィルを演じたのは『クラッシュ』でも温かみのある男を演じたマイケル・ペーニャ。まだ警察官としては未熟ながらも、人を励まし、痛みを感じ取る印象的な演技をする。

 そして、この作品でラストに語られるのは、この二人以外にも、貿易センタービルに入り、人々を救出しようとした消防士や警察官が大勢いたという事。彼らの勇気はどこにも無い、紛れも無い結晶だと思う。

 オリヴァー・ストーンの視点は、あくまで柔らかくこの事件の為に救助活動をした人間達への賞賛と追悼の意味がこめられていると感じた。

 あの悲劇は二度と繰り返してはならないと強く願う一本の作品であった。

 ラストにこの事件で救助活動において亡くなった方々の名前がエンドロールの前に記されます。


監督 オリバー・ストーン
出演 ニコラス・ケイジ
   マイケル・ペーニャ
   マギー・ギレンホール
   マリア・べロ
スティーブン・ドーフ

9月13日 一ツ橋ホールにて鑑賞

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2006年08月24日

ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT2

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 ワイルドスピードの第三弾作品。

 実は、前2作を全く観賞しないで試写会に行ってしまいました。

 でも、この作品は凄かったです。色々な意味でもね。

 冒頭は切り口としてカッコいいんですけど、段々荒さの目立つ展開にビックリしながら観賞しました。

 ショーン(ルーカス・ブラック)は、違法なストリート・レースで地元警察に度々捕まる存在。

 彼は懲役刑を避けるために、軍人の父を頼り、単身日本の東京に渡る。

 早速、東京で初めて見るドリフト・レースに魅了され、裏社会ともつながりのあるチームのドリフト・キング(D.K)に挑戦をする。

 ショーンは敗北し、借金を背負ってしまう。そして、東京のアンダーグラウンドに関わっていくうちにドリフトをマスターしていくのだが・・・

 まぁ、ストーリーはこんな感じですが、この作品に限って言えば、脚本や演出がひどすぎる。ひどすぎて感心してしまうくらい。

 もちろんツッコミ所も満載で、映画のとんでもないバカな部分を寛容して楽しめるのなら、こちらとしてはその勝負に乗ったとでも言いたいくらいに演出が素敵すぎて感嘆の声を隠せない。

 もうね。観ている間は楽しくてしょうがなかったです。悪役っぽいやくざを後ろ盾にしているドリフト・キングという人がいるのですが、日本人なのに(俳優は香港の人だと思う)英語ばかり喋る・・・しかも主人公に敵愾心丸出しなのに、彼を気遣って英語喋るんですよ!この時点でこの作品の方向性が分かり、これはバカ映画みたいだし楽しまなきゃと思いました。

 しかも、この悪役の目付きが凄いね。このネチネチしたダサい視線には驚愕です。まぁ車と人が集まってワイワイ騒いでいる場所とかが良く出てくるんですが、こんな所実際にあるのだろうか!?と思ってしまうほど、違和感を感じる。

 そんな場所でストリートレースしたり、車ぶっ壊したりするんだから凄いですよ。レディ!セット!ゴー!のかけ声は妻夫木聡君ですが、このシーンしか出てこないので、ファンの方は予告だけで十分です。

 あと演技も酷いです。主人公役のルーカス・ブラックは『スリング・ブレイド』とかで子役の頃からやっているので、それなりに観れた演技!?ですが、周りの脇役とかが凄い違和感丸出しの演技。『間宮兄弟』で好演していた北川景子なんて、ハリウッド進出とかいいながらも完全にエキストラ扱いですから、それはそれで良かったのかもしれません。これは役者の素質が問題なのでは無くて、完全に演出に殺されていますね。

 まぁツッコミ所を探しながら、気ままに楽しむのなら良い作品だと思います。

 そして、この作品の醍醐味はやはりカー・レースでしょう。カー・レースのシーンはドリフトに念頭を置いて描かれていきます。ドリフトってイメージするとタイヤがズザーと行く感じを思い浮かべますが、見所はそのドリフトが描く放物線の美しさでしょうね。渋谷のQフロント前のドリフト曲線は美しいです。頻繁に出てくるドリフトですが、車の後部と壁がスレスレの所で描いていく曲線にうっとりします。

 カメラポイントはどちらかというとドライバー目線で描かれている感覚ですかね・・・『頭文字D THE MOVIE』のカーレースシーンはキレイに見せようとしたカメラワークですが、この作品はどちらかというと車と車のクラッシュや、ほぼ実写で仕上げた感じのレースシーンで泥試合の感が強いです。

 土屋圭一というドライバーがテクニカルアドバイザーという形で参加しているそうですが、この作品はかなりスタントの功労が強いです。ここまでの走行シーンを作り上げたのは彼らの尽力して無かったと思うので、拍手モノですね。

 そんなカー・レースを題材としつつも、恋愛や暴力が絡んできますが、そこら変は付随するオマケみたいなものですから、のんびり観れば良いと思います。

 車好きの友人と観に行ったのですが、その後の酒の席ではずっとツッコミ所について喋り盛り上がってしまいました。そういう意味でも中々楽しめる作品でした。


監督 ジャスティン・リン
出演 ルーカス・ブラック
   バウ・ワウ
   ナタリー・ケリー
   ブライアン・ティー

8月22日 東京国際フォーラムにて観賞

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2006年07月22日

笑う大天使3

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 それは、湖に浮かぶ由緒正しき、聖ミカエル学園というお嬢様が集う学校。

 子供の頃から、女手一つで育てられ、母を亡くした司城史緒(上野樹里)の前に・・・今まで存在すら知らなかった兄・一臣(伊勢谷友介)が現れる。

 司城家は実は、旧・伯爵家の家柄で兄に引き取られた史緒が転入した学校は、登校時に「ごきげんよう」と声をかけられる超お嬢様学校だったのだ。

 そんな史緒は、根っからの庶民。猫かぶりの生活に辟易しそうになりながらも、麦チョコをほおばるのだが・・・そんな折、お嬢様ばかりを狙う誘拐事件が頻発していた。

 由緒正しき、お嬢様学校。というと何か構えてしまいます。実は、僕の通っていた大学の女子高等科がまさにそんな感じの学校で、僕はサークルの同期の女の子(女子部あがり)の女の子に、「やっぱり家ではお父様。お母様と呼ぶの?」とか「ごきげんようって普段使う?」とか禄でもない質問をした覚えがあります。

 逆に、大学名を言うと、同じ質問が他の人から帰ってきたりするのですが・・・大学自体は味のある粗野な庶民の集まりです。

 そんな超お嬢様学校に、元々庶民であった関西弁を隠す少女が転入したのだから、大変です。あまりのキツキツさに、自習をサボってカップラーメン食べてたら、友人に発見されてしまうのですが・・・この友人も家は金持ちなのに、庶民の味をこよなく愛するナイスなお友達だったという訳です。

 基本的に、前半は聞きなれない敬語?のオンパレードですからね。クスッと笑いが漏れてきそうな不自然さが素敵です。それと同時にお嬢様学校ならではの百合っぽい部分が描かれていきます。後輩?同期?かは分かりませんが、憧れや可愛らしい女性に心酔しているかのようなシーンのオンパレードで入り込めない人は、本当に入り込めないかもしれません。(僕は無理・・・でした)

 そういった、今まで観た事が無いような清廉潔白なお嬢様学校の様子と史緒、斉木和音(関めぐみ)、更科柚子(平愛里)のだべる様子のギャップが楽しく、庶民には調度良いスパイスになります。

 そんな中で、行われるガーデンパーティ!?で、事件が起きるという展開なのですが・・・

 前半のプロットでお嬢様達の実態を描き、後半には猫かぶりお嬢様三人が大活躍するアクションシーンが満載です。実はここが一番楽しめる。いかにも強そう・・・な敵相手に三人がそれぞれの持ち味を生かしてバトルしますからね。

 ただ、ストーリーテリングの粗さ加減とCGの使い方に難点があるので、入り込みにくい方はダメかも。全体的に荒唐無稽なフィクションなので、基本ベースで楽しむなら雰囲気とアクション。そんな作品です。

 主人公演じる上野樹里は聡明な感じを演じると素敵ですよね。好きな役者さんです。そして彼女の関西弁のスパイスや庶民ぶりが絶妙です。関めぐみと平愛里は、良く知らない役者さんなのですが、この二人のサポート加減も面白かったです。伊勢谷友介が無表情ながらも好男子を演じていて『ハチミツとクローバー』とのギャップに期待ですね。

 ラストには、ほんのり来るのですが、上野樹里の涙が語るエピソードは中々良かったです。

 まぁこんなお嬢様学校と言えども、そこにいる一人一人の心は、実に潔く、ハートは熱いですから。何か応援したくなっちゃいますね。

監督 小田一生
出演 上野樹里
   関めぐみ
   平愛里
   伊勢谷友介
   松尾敏伸
   菊池凛子
 
7月21日 シネアミューズ イースト/ウェストにて観賞

warau-t
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劇場公開作品

【2010年2月】

パレード★★★★

ルド and クルシ★★★

抱擁のかけら★★★

おとうと★★★★

インビクタス/負けざる者たち★★★★


【2010年1月】

ゴールデンスランバー★★★

ボーイズ・オン・ザ・ラン★★★★

フローズン・リバー★★★★★

Dr.パルナサスの鏡★★★

ミレニアム ドラゴンタトゥーの女★★★

板尾創路の脱獄王★★★

かいじゅうたちのいるところ★★★

(500)日のサマー★★★★



【2009年12月】

誰がため★★★

蘇りの血★★★

アバター★★★★

のだめカンタービレ 最終楽章 前編★★★

THE 4TH KIND フォース・カインド★★

インフォーマント!★★★

ジュリー&ジュリア★★★★

パブリック・エネミーズ★★★

カールじいさんの空飛ぶ家★★★★


【2009年11月】

ニュームーン/トワイライト・サーガ★★

戦場でワルツを★★★★

2012★★★

イングロリアス・バスターズ★★★★★

脳内ニューヨーク★★★★

Disney’s クリスマス・キャロル★★★

ゼロの焦点★★★

大洗にも星は降るなり★★★

スペル★★★★★

【2009年10月】

わたし出すわ★★

風が強く吹いている★★★

母なる証明★★★★★

沈まぬ太陽★★★★

アンヴィル!夢を諦めきれない男たち★★★★★

パイレーツ・ロック★★★★

さまよう刃★★★

クヒオ大佐★★★

戦慄迷宮3D THE SHOCK LABYRINTH★★

狼の死刑宣告★★★

悪夢のエレベーター★★★

エスター★★★★

パンドラの匣★★★★

カイジ 〜人生逆転ゲーム★★★

私の中のあなた★★★★

ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜★★★

ワイルド・スピード MAX★★★

【2009年9月】

ドゥームズデイ★★★

男と女の不都合な真実★★★

あの日、欲望の大地で★★★★

アドレナリン:ハイ・ボルテージ★★★

空気人形★★★★

カムイ外伝★★★

プール★★

ウルヴァリン:X-MEN ZERO★★★

サブウェイ123 激突★★★

【2009年8月】

マーターズ★★★★

グッド・バッド・ウィアード★★★★

女の子ものがたり★★★★

ナイトミュージアム2★★★

20世紀少年 <最終章>ぼくらの旗★★

30デイズ・ナイト★★★

南極料理人★★★★

ノーボーイズ、ノークライ★★★

96時間★★★★

トランスポーター3 アンリミテッド★★★

キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語★★★

縞模様のパジャマの少年★★★★★

色即ぜねれいしょん★★★★

HACHI 約束の犬★★★

3時10分、決断のとき★★★★★

G.I.ジョー★★★

ボルト★★★★

サマーウォーズ★★★

コネクテッド★★★★


【2009年7月】

バーダー・マインホフ 理想の果てに★★★★

セントアンナの奇跡★★★

セブンデイズ★★★

アマルフィ 女神の報酬★★

ハリー・ポッターと謎のプリンス★★★

サンシャイン・クリーニング★★★★

モンスターVSエイリアン★★★★

ノウイング★★★

ごくせん THE MOVIE★★

MW -ムウ-






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