洋服屋、街を生きる。オーダーサロンタナカ店主blog

名古屋、錦3丁目のオーダースーツ、オーダージャケット、オーダーシャツのお店の店主です。名古屋のまんなかに生まれ、ずっとここで生活し六十年。オーダーメイドのこと、街の暮らしのなかで感じたことをつづっていきます。

名前のないものがたり(2018/2/21)

水曜休みの朝は読書。読んでいる本の中に興味深い記述を見つけたので紹介します。

鎖国下の江戸時代、青木昆陽はひとり蘭学を始めた。甘藷つまりサツマイモを全国に広め、貨幣学、経済学の本を著した。最晩年に弟子を取り数ヶ月で死去。
その弟子が中津の藩医、前野良沢で齢四十八。師の突然の死に呆然となるがそれから孤軍奮闘蘭学に取り組むなか一緒に学ぶ男が現れた。それが杉田玄白。そんなある日オランダ人から買った西洋の解剖図の真偽を確かめに小塚原の刑場に死罪になった罪人の腑分けを見物するため赴く。そこで見た人の臓物の位置・形状が西洋の解剖図と全く同じだったことで西洋医学の正しさを二人確信する。それ以前の解剖書は中国で書かれたもので内臓の位置形状が実際と違い当時の医者は中国人と日本人は体内構造がちがうのかと思っていたそうだ。
長崎に赴き解剖学のオランダ語で書かれた解剖学の原書ターヘルアナトミアを入手、全訳を目指すが最初は1日かかっても一行も訳せない。苦心惨憺を続けること一年、1日十行も訳せるようになってきた。それから四年間の二人の苦労の末、解体新書の全訳完成。
前野が蘭学のパイオニアなので当然著者名を前野良沢と記すはずが前野の固辞で著者名が杉田玄白になぜ固辞したか?

蘭書の翻訳があまりに困難だったため前野は太宰府天満宮にて完成を祈願。その際、決して自分の名を高く広めるためではなく私利私欲の事業ではないと神前で誓う。それが訳者名を固辞した理由だそうだ。
人が生きるなか重要な局面に至ると神社に祈願し誓いをたてるのは古来からの日本人のメンタリティ。ウィキペディアなどで見ると前野が翻訳を気に入っていなかったともあったがそれよりも太宰府説が真っ当なようです。

この興味深いストーリーは大川周明著「日本二千六百年史」で読みました。戦前は右翼思想家として知られ、A級戦犯で投獄されたのち東京裁判では精神病として釈放。その後コーランの全訳に成功するなど数奇な人の書いた戦前のベストセラー。日経などでエキセントリックな広告が載ってますが、時代性はあるにせよ、歴史上人物の評価、日本の仏教史など明晰な分析にちょっと驚きました。

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戦前の本で文体も古いがリズムがあって結構おもしろい。

ステファノビジ ガーゼソリッドネクタイ(2018/2/20)

当店はスーツ、ジャケットが引き立つネクタイという視点で選んだ世界の素晴らしいネクタイをご紹介しています。

今回ミラノ、ナヴィリオ運河近くのステファノビジ氏の工房からネクタイが届きました。

シルク100%で網目状に織られた「ガーゼ」素材を使い、シャツがすこし透けることで涼しさ、軽やかさを表現しています。スーツ、ジャケットを美しく見せるソリッド(無地)のネクタイのカラーバリエーションです。ハンドメイドで裏地を使わない「スフォデラート」仕立て。ニットタイのようにカジュアル過ぎずクラシックなジャケット、スーツスタイルをサポートします。春から夏にかけての着こなしを愉しむネクタイはいかがでしょう?

ステファノ・ビジ イタリア製
シルク100%ガーゼ ネクタイ
スペシャルプライス 一本13800円
(税込)

日本国内でしたら800円(税込)でご発送も可能です。


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「ガーゼ」タイはこのように透け感があります。

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「ガーゼ」ネクタイはスフォデラート仕立てです。スフォデラートとは裏地を縫い付けない製法のこと。ハリのある良い素材にのみ採用される作り方です。

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「ガーゼ」ネクタイ、ホップサック1
左から、1.ダークブルー 2.ライトネイビー3.ロイヤルブルー

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「ガーゼ」ネクタイ、ホップサック2
左から4.ブラウン5.ワイン6.ブラック
・ブラックは夏のフォーマルに使えます。

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「ガーゼ」ネクタイ、ビッグホップサック1
左から、7.ロイヤルブルー 8.ライトネイビー9.ダークブルー

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「ガーゼ」ネクタイ、ビッグホップサック
10.グリーン 11.ブラウン 12.ワイン
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このネクタイを今年のピッティイマジネウォモで買いつけた際ステファノビジ氏と。
当店は代理店を通さずにダイレクトに買いつけています。

日本製品の雄、ミユキの10マンススーツ(2018/2/19)

コストダウンのため中国生産にほとんど傾きかけた日本のアパレルメーカーも、誠実な製品づくりの日本製を求める消費者の声に押され日本製品が再評価されています。

我が名古屋に本社を持つ御幸毛織は海外に生産基盤を求めず、ずっと日本国内でものづくりを続けている稀有なメーカーでもあります。今回ミユキ毛織が発売した10マンス素材(=スリーシーズンと同じ意味です。)を当店でも買いつけました。春夏の素材は薄くパンツが破れることもありますがイタリア製品より日本の製造基準は厳しくミユキ毛織の製品は十分強度があります。1mあたり260gの綾織り、ウール100%素材は10%程度の伸縮性を持つナチュラルストレッチ性能ももちあわせています。

日本製品 御幸毛織製
ミユキ10マンス
スペシャルプライス オーダースーツ価格59800円(税込)


画像を拡大しておたしかめくださいませ。
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3534-2 チャコールグレー無地
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3556-2  ネイビーシャドーストライプ
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3556-2 ネイビーシャドーストライプ
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3560-2 ロイヤルブルーシャドーストライプ
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3582-2 ブラック/ネイビーオルタネートストライプ
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3596-2 ブラックシャドーストライプ
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3755-3 ブラックシャドーストライプ
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3781-3 ネイビーミニオルタネート
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3803-3 ロイヤルブルーチョークストライプ
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3825-3 チャコールグレーチョークストライプ
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3836-3 13mmネイビーオルタネート
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3840-3 ネイビーオルタネートストライプ

カノニコのバンチサンプル入りました。(2018/2/18)

17世紀後半にイタリア、ビエラ地方に設立された最古の毛織物会社といわれるヴィターレ・バルベリス・カノニコ社。100年以上続いて、創立当時からの子孫が経営という入会条件の難しいエノキアン協会にも堂々加盟しています。(エノキアン協会のウェブサイト、メンバーのページでVItale Barberis Canonico社をお調べください。ちなみにエノキアン協会、現会長は名古屋の鉄鋼商社岡谷鋼機の社長)古いだけでなく高級毛織物工場としては年間800万メートルという世界最大の量をプラトリヴェロで生産しています。


2018春のヴィターレ・バルベリス・カノニコのバンチはサンプルは複数の織物シリーズ(ボディ)により構成されています。上記の通り生産量も多いため良品にもかかわらずリーズナブルなプライスがヴィターレ・バルベリス・カノニコ社の最大の特徴。またこの2冊のバンチサンプルは国内在庫なのでバンチから取り寄せてもコストがあまりアップしません。この中で春におススメのボディをいくつか紹介いたします。下の価格はバンチサンプルでお求めの価格で、店頭にストック分の素材もある場合2000円安くお求めいただけます。

スーパー110`s

スーパー110`sは240g/mの綾織で秋冬に展開した「PERENNIAL」(260g/m)のやや軽量タイプ。表面なめらかで艶のあるスリーシーズン素材です。
スーパー110`s オーダースーツ価格67000円(税込)
チェック柄スーパー110`s オーダースーツ価格69000円(税込)
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スーパー110`s チェック
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スーパー110`s クラシカルストライプ

ラスティック
ラスティックはやや太めのウール100%の糸で平織りにしたハリ・コシのある素材。フレスコとも呼ばれ、本来夏素材ですが240g/mでしっかり織り上げられているため春から着用できます。ややザックリとした表面感がさわやかです。
ラスティック オーダースーツ価格67000円(税込)
チェック柄ラスティック オーダースーツ価格69000円(税込)
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ラスティック ストライプ系

スーパー150`s
極細羊毛のみで作られた糸1mあたり270gを密に織り込んだスーパー150`sは滑らかで極めて着心地いい綾織り素材です。こんな高級素材でもカノニコはリーズナブルなプライスで提供いたします。無地、シャークスキン、穏やかなチェック中心に13柄の展開。
スーパー150`s オーダースーツ価格77000円(税込)

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スーパー150 ミニヘリンボン 無地系
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スーパー150 チェック2種

春オーダー素材の在庫状況につきまして。(2018/2/17)

春素材のスーツ、ジャケット、そしてパンツのオーダーに多くのお客さまがご来店いただいています。ほんとうにありがとうございます。昨日からはインポートシャツ、ロイヤルカリビアンのシャツの3000円OFFフェアも始まりました。

春ジャケット在庫状況更新いたしました。
ロロピアーナプロポステに所収のジャケットコレクションの2/17本日の在庫状況を掲載いたしました。まだまだたくさんございますがソールドアウトになったものもございます。ソールドアウトになった素材でもバンチサンプルなら価格は若干高くなりますが取り寄せもできます。ご検討くださいませ。


エレガンツァ ブルーウインドペン完売いたしました。
こちらは1反買いつけたのですが非常に早い出足で完売いたしました。オーダーいただいたお客さまありがとうございました。

ロロピアーナタスマニアン150
ロロピアーナタスマニアン150スペシャルプライス3色の中の濃紺無地はあと3着となりました。

エルメネジルド・ゼニア トラベラー
ブルー・グレー、オートミールの在庫が少なくなってきました。

納期について
本日オーダーいただいた、スーツ、ジャケット、パンツのできあがりは約1月半後で、4/のお渡しとなります。オーダーシャツの納期はそれよりも短く3週間程度です。

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まだまだ在庫ございますが、オーダーご希望のお客さまはお早目のご来店をおすすめ申し上げます。

インポート、ロイヤルカリビアンシャツ3,000円オフフェア(2018/2/16)

本日より3月17日(土)まで当店のシャツコレクションの中でインポートシャツと日本製素材ながらなめらかな質感のロイヤルカリビアンシャツを表示価格から3000円オフとなるオーダーシャツフェアを行います。インポートシャツはカンクリーニ、トーマスメイソン、テスタ、アルビアーテ、リバティなどファッション感度が高い天然素材が豊富にそろっています。この期間にオーダーされるお客さまも多い人気のオーダーシャツフェアフェアです。ご来店心よりお待ち申し上げております。
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左がロイヤルカリビアンシルバーライン 右がロイヤルカリビアンゴールドライン
価格の例
ロイヤルカリビアンシャツシルバーライン
通常価格14000円(税別)から3000円オフで11000円(税別)税込価格11880円
ロイヤルカリビアンシャツゴールドライン
通常価格16000円(税別)から3000円オフで13000円(税別)税込価格14040円

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カリビアンシャツゴールドラインの新柄 新柄でもこの価格から3000円オフとなります。

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トーマスメイソンの新柄 新柄でもこの価格から3000円オフとなります。

ロロピアーナ、サンセット(2018/2/15)

ロロピアーナ社の夏のカシミア48%シルク52%(1mあたり220g)でできたエレガントなジャケット素材サンセットが入りました。数少ない春夏のカシミア系として美しい色合いと着心地でリピーターも多い素材です。4色だけですがいい色ばかり。縫製仕様は立体感があり美しい本バス毛芯仕様背抜きにするのがおすすめです。

イタリア製 ロロピアーナ社 サンセット
スペシャルプライス オーダージャケット価格108000円(税込)

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676029 グリーン/ブルーチェック
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676030 ブルーグラデーションチェック
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676031 柿色/ブルーチェック
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665024 ロイヤルブルー/レッドチェック

以下のプロポステバンチサンプルでもお選びできますが、納期が約一週間余分にかかり、オーダージャケット価格は130,000円(税込)となります。

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スリムなテーパードの2プリーツパンツ(2018/2/14)

いまま当店の仕様ではスリムなパンツにはワンプリーツ(いまはタックの代わりにプリーツと言います。意味は全く同じです。)しか付きませんでした。この2月16日(金)からワンプリーツに加え、2プリーツのテーパードパンツがオーダーいただけるようになりました。プリーツが2本入り、腰回りがゆったりしてそしてヒザからスソにかけてスリムなテーパードがついたパンツです。かってのソフトスーツが流行った時の2タックパンツとは全く異なります。オプション料金など必要はございません。パンツ単体でも、スーツのパンツにもご利用いただけます。オーダーの際に2プリーツとお申し付けくださいませ。デニムフラワーなどにもオシャレです。

パンツのトレンドについて
ノータックのスリムなパンツがずっとトレンドでした。今でもスリムでスソにブレークの無い以前より短めのパンツはずっとトレンドですが、3年前あたりからプリーツ(タック)の入ったパンツをピッティイマジネウォモの展示、バイヤーが着ているのを見かけるようになりました。定点観測で流れる人たちのプリーツの有無を調べていましたら3割から4割くらいがプリーツ入りでした。たとえば基本的なデニムはノープリーツです。だからプリーツがトレンドだといえノープリーツが絶滅するわけではありません。プリーツの有無はお好みで楽しんでください。

画像のような脇尾錠がついたループ無しのパンツの設定も可能です。これはプラス1000円(税込)でできます。こちらもオーダーの際にお申し付けくださいませ。

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モデリスタ柴山登光がみつめる服(2018/2/13)

先週の木曜日、日本最高のモデリスタ、柴山登光先生のアトリエに訪問。このブログで何度も書いているように柴山登光先生には当店のスーツ、ジャケット、パンツそしてコートすべてのパターン製作をお願いし、縫製の指導、監修もお願いしている。
今回もさらに当店のスーツをレベルアップすべく、相談とアドヴァイスをいただきにうかがった。都内にある先生のアトリエに入るとまず目に入ったのが美しいラインのブラックスーツ。アトリエにある服なので手縫いのはずだが、手縫いの服特有の「縫い手のくせ」「手仕事の味わい」のような痕跡はまったくなくあくまでスッキリ、バランス完璧。あまりに美しい仕上がりなので上手な縫製工場で縫ったのですかと先生にたずねたら、アトリエスタッフの手縫いだとのこと。モデリスタは通常のテーラーのようにひとりの顧客のためではなく、工場で多くの方のために作られる服の基本形、プロトタイプを作る。美しい形なのはもちろん、リピートいただけるような快適な着心地それだけでなく、縫いやすく、同じように生産されやすいフォルム、メソッドでないと工場での正確な再生産は望めない。工場での正確な再生産がモデリスタの大命題。手縫いのオーダーよりひとつレベルの高い洋服であることがプロトタイプには望まれる。アトリエにある洋服はまさにそんな洋服だった。服の未来をみつめる服とでもいえるかもしれない。

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この一番右の服の美しさにちょっとびっくり。

今使っている当店のパターンは馬の尻尾の毛で織られた本バス芯を縫い付けた毛芯を使うことを前提としてナポリのスーツをお手本に柴山先生が制作した。4年前に大きくバージョンアップを施したがさらに着心地をよくするため現在、柴山登光先生、縫製工場のスタッフ、毛芯のメーカーの三者で検討に検討を重ねている。そのヴァージョンアップ作業に当店も参加している。先生から直接、説明を聞き、これからのヴァージョンアップの方向性が理解できた。バージョンアップは次の秋冬に間に合うといいなと思っている。

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柴山先生がみずから縫った新しい縫製法のジャケットの着心地に驚く。この製法を近く取り入れる予定。

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先生の仕立てた服を着て先生と共にパチリ。

朗報(2018/2/10)

当店は20才台の若いお客さまのご来店も多い。そんな中のひとりAさんは大学卒業してすぐのころから季節ごとに10年近くスーツ、ジャケット、コートをオーダーしに当店に通いつづけている若き常連さん。わたしより20歳以上年が若いがなぜか気が合って、何回か一緒に住吉の飲み屋「平八郎」に飲みに行ったこともあった。昨日Aさんがロロピアーナデニムフラワーをオーダーしにご来店。その際いつものように世間話など話していたらぼく結婚するんですとぽつっと一言。詳しくは聞かなかったが、Aさんとても落ち着いたいい方だからいい縁に恵まれたのだろう。彼の朗報に、店主夫婦ふたりでこころがほっこらしました。結婚したら夫婦で人生設計もあるだろう。これからは毎シーズンスーツやコートをオーダーはできなくはなると思うがそんなことよりAさんがいい人生を送ってほしいとこころから願っています。
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