昨日は雨が上がった後は快晴で気温がどんどんあがり、クルマの中にいたらもう汗が吹き出て、夏が来たと勘違いするほど。こんな季節だから夏のおしゃれの準備にご来店の方も増えてまいりました。

夏の装いの準備の頃は、昨年10月から着てきた秋冬素材のジャケット、スーツ、コートを片付ける準備をしなくてはいけません。良いウールをつかった洋服はシーズン中頻繁にクリーニングに出すのは避けて、着用後のブラッシングで清潔に保ってくださいとアドバイスをしています。くりかえしのクリーニングは溶剤でウールに含まれる油脂分を取り去ってしまうおそれがあり、風合いが変わることがあるからです。ただ着る季節がおわり、タンスの中にしまう際には基本的にクリーニングをしてからの保管をおすすめいたします。その際クリーニングは、なるべくチェーン店でなく個人で営まれている、街で評判のいいクリーニング店にお出しになることをおすすめいたします。もしチェーン店しかない場合はなるべくグレードの高いランクをお選びになるといいでしょう。

スーパー170など細番手ウールのスーツや、カシミア100%のコートなど、とっておきのレアな素材のクリーニングができるハイグレードな素材専門のクリーニング店もあるようです。越前市(旧武生市)のクリーニング・ヤギ、店主八木徹さんはおしゃれに強いこだわりがあるため、洋服と素材をとてもたいせつにするクリーニングを行っています。「テキスタイルケア」と呼ばれるこの店のクリーニングはまるでハンドメイドテーラーであるかのように手が込んでいます。店主八木さん自ら行う工程はこんな感じ。

1.まずお客様から預かった洋服のホコリ取りから。上着ポケットの内側、パンツのダブルの折り返しなど丁寧にスポンジを使ってホコリ取りをおこないます。こうすることにより洗濯の際、ホコリが原因の再汚染がおこりにくくなります。
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ホコリ取り
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パンツの内側の縫い目も丁寧にホコリ取り

2.水洗い、アイロン後にもサイズ通りに仕上がるよう事前に丁寧に採寸をしていきます。
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3.洗った際の型崩れを防止するためしつけ針を打ちます。
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4.洋服が傷まぬよう、PH5の弱酸性の洗剤と仕上げ剤を使い、やさしく手で水洗いします。ドライクリーニングでは油汚れは落ちますがどうしても汗などは落ちないため水洗いが効果的となります。
5.その後、特製ハンガーにかけて、夏は丸1日、冬は2日とゆっくり時間をかけて自然乾燥させます。
6.スチームアイロンを使わず、電気アイロン(焼アイロン)を使い、店主自ら、手作業でアイロンをかけていきます。この際、作業前に採寸したデータを参照してその通りに仕上げていきます。
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これが焼きアイロン
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上着一着に一時間以上かけてていねいにアイロンをかけていきます。

「テキスタイルケア」クリーニング スーツ、コート共8000円(税別)
クリーニング・ヤギ
 越前市本町7-5 電話0778-22-1411 
ウェブサイトはこちら
営業時間午前8時〜午後8時(祝日午前10時〜午後6時)日曜休み
もしご興味がありましたらお電話で八木店主にご相談くださいませ。

八木さんと相談して、オーダーサロンタナカでお仕立てした洋服に限り、クリーニング・ヤギさんにお送りいただいて「テキスタイルケア」を施した場場合、帰りの送料は無料となります。わたし自身も6年前仕立てたロロ・ピアーナのウールカシミアのコートをクリーニングしていただきましたがツヤが全く損なわれない理想的な仕上がりでした。
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八木店主

上の工程からドライクリーニングでスチームアイロンを使う工程にするお値打ちライン「オリジナル・ケア」ならスーツ、コート共3000円(税別)です。お値打ちラインでも八木店主のハンド仕上げです。この場合は「テキスタイルケア」とは違い。送料はご負担ください。なお着数がまとまれば送料は相談にのるとのことで一度八木店主にご相談ください。
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テキスタイル・ケアを施した六年前仕立てたロロ・ピアーナのウールカシミアコート。つくった当初のツヤと柔らかさを八木店主の技術で再現。
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娘の中学卒業式のために誂えたロロ・ピアーナトップラインのダブルブレストも三年が経過しすこし色褪せ、くたびれてきたが八木さんによってもともとあったエレガントさをとりもどした。