洋服屋、街を生きる。オーダーサロンタナカ店主blog

名古屋、錦3丁目のオーダースーツ、オーダージャケット、オーダーシャツのお店の店主です。名古屋のまんなかに生まれ、ずっとここで生活し六十年。オーダーメイドのこと、街の暮らしのなかで感じたことをつづっていきます。

紳士服地、素材研究

2020秋冬ロロ・ピアーナ素材買付けました。(2020/7/8)

水木のお休みの前にロロ・ピアーナ社からことしの秋冬のフルコレクションが送られてきました。いつもなら4月終わりには買付が終わっているはずですがことしはコロナ禍でイタリアロロ・ピアーナ社は二ヶ月近く操業停止を余儀なくされ、こんな時期になりました。例年ロロ・ピアーナ日本現地法人のロロ・ピアーナジャパンのスタッフK氏が当店に来て、プレゼンの後、夜9時過ぎまでかかって買付をするのですが、ことしは出張自粛でK氏は名古屋には来られず。ですから無観客ならぬ無顧客で今日はお休みを返上して送られてきたサンプルと電話のやりとりで買付を完了しました。・・・つづきはこちらのブログで

ドーメル奥村社長来店(2019/12/14)

月曜の午後、突然来店された白髪のジェントルマンはドーメルジャポン奥村潔社長でした。
奥村さんは御幸毛織のCEOを10年近く勤めたあと、現在ドーメルジャポンの取締役社長に就任。御幸毛織、ドーメル社両社とも当店とは長い付き合いがあり、両者を渡って社長をされている奥村さんとは縁の深さを感じます。
御幸毛織は約40年前、本場英国で紳士服素材を製造するため、イングランド、ヨークシャー地方に毛織物製造工場「MINOVA」を設立。その実務を担当していたのが奥村さんでした。そして現在「MINOVA」は、単なるマーチャント(商店)から生産拠点所有を念願していたドーメル社が株を取得した上、DORMEUIL MANIFACTURE LIMITEDと名称を変更しアマデウスなどドーメルの主要な紳士服地を生産しています。
いわば現在の紳士服地業界の世界地図を知る中心人物のひとりの奥村社長から、当時の英国の事情や現在のドーメル社のことなどを聞き、有意義な時間を過ごしました。奥村社長、今年からは国際ファッション専門職大学の教授として若い世代の育成に力をいれています。
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奥村ドーメルジャポン社長はマエストロ西村の元上司でもあります。

柴山登光先生を訪ねる(2019/12/7)

水曜日に東京にいった目的は、日本最高のモデリスタ柴山登光先生が、先の11月「現代の名工」として卓越技能賞に選ばれ、表彰されたことにお祝いを申し上げると同時にご指導を仰ぐことでした。モデリストという道を日本で新たに開拓した先生が令和元年に「現代の名工」に選ばれるのは遅すぎるとも思われますが、まだまだこれからも美しい服作りを目指して指導をしていただきたいと願っています。

柴山登光先生とは
ハンドメイドテーラーとしてスタートして、その後、当時、本格的な英国服を工場生産していた名工場、エーボンハウス=シャンタルディユオモに工場長として勤務し、モデリスタの道をすすみました。モデリスタとスーツのパターンを設計するだけでなく、その設計どおりに服が縫製されるかどうかを監督する指導者です。この道の輝かしい先駆者はイタリア、ナポリのアットリーニ氏です。当店がずっと縫製を依頼している工場は22年前から柴山先生にモデリスタとして指導していただいています。そしてその頃から日本で最も有名なセレクトショップさんの服作りにもずっと関わっています。ミラノの世界的な洋服学校を日本に招き、講師長も勤モデリスタの証ミケランジェロ賞を2度受賞し、アットリーニ氏がナポリにあると同様、日本に柴山ありと知られています。

そんな先生が設計した本バス毛芯で作られた服を見た瞬間その素晴らしさに、この洋服を世の中に紹介することを私の使命としようと決意した日を思い出しながら、先生の受賞をお祝いしました。

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柴山先生宅にて
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現代の名工の証
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ミケランジェロ賞受賞の際に(御幸毛織ウェブサイトより)

VBCのセミナーへ大阪まで瞬間移動(2019/10/3)

ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(VBC)社が紳士服地商社「マルキシ」を窓口に「テキスタイルアカデミー」を大阪で開催するというニュースを知り参加。午後3時半の新幹線に乗り会場についたのは午後5時半すこし前。会場は若いテーラーでいっぱい。かってこういう会に参加すると年配のおじいちゃんテーラーが多かったことを思うとまさに隔日の感でまさにオーダーメイドブームといってもいいのでしょう。ヴィターレ・バルベリス・カノニコ社は良質な素材をリーズナブルな価格な価格で提供することで現在年間1000万m生産と世界最大級の毛織物会社になりました。テキスタイルアカデミーは「サルトリア・イタリアーナ」の著作で知られる長谷川喜美さんの司会でおこなわれ、同社の歴史や製造過程への理解、そして製造される毛織物への知識を深める内容でした。テーラーで作られる洋服は服地、ボタン裏地毛芯などの資材、そして縫製など本当に多くの手間がかかっています。それこそ数千のノウハウの蓄積でスーツが成り立っています。その知識を深め、お客様にお伝えすることは、お客様がスーツを理解して大切に着ていただくことにつながります。今回のセミナーでもちろんすでに知っていることも多かったのですが新たに知ったこともありました。当店もこういった情報をこれからもひとつずつ集めてお客様にご紹介していきます。
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100名を越える若いテーラーが参加。
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織物の検査の様子。VBCはイタリア、ビエッラのプラトリベロの工場に450人のスタッフで運営。検査部門だけで80人のスタッフがいるそう。織物検査だけはAIでは出来ず、人の目と手でやる作業。どうりでVBCの素材はキズが少ないはず。
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VBCセミナーでいただいた資料とフランネルで作った可愛い筆入れ。
VBCセミナーは午後8時で終わり、地下鉄で梅田へ。お勉強のあとはやはりお楽しみのお酒。夕方はすこし肌寒くなってきたので地下街の「たこ梅」さんでおでんをつまみながら熱燗をいただくことに。ああ幸せな秋の宵。10時半には自宅にもどる大阪瞬間移動でした。
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かんとだき好きです。
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たこ梅さんの味は大阪の味
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この錫のぐい呑なら何杯でもいけますよね。

古い友だち来店(2019/10/2)

10月になった初日の昼過ぎ、お客様を接客している時、二人のジェントルマンが来店。ひとりは以前ロロピアーナジャパンのスタッフだった牧野さん。今ではLVMH傘下のエレガントな素材メーカーとして日本でも有名なロロピアーナ社だが25年前はほとんど誰も知る人などいなかった。そんなロロピアーナ社から一通の手紙が舞い込んだ。名古屋キャッスルで展示会をするという。紳士服地のプロだった父親はとてもいい会社だから取引しようとホテルに行き。そこにいたスタッフが牧野さんだった。当時紳士服地の問屋さんなどお洒落な人はまずいなかったが、スパンカシミアで仕立てたジャケットを粋に着こなす彼のおしゃれさににまず驚いた。まだクラシコイタリア前夜である。今ではセレクトショップスタッフの着こなしなど雑誌で紹介されているがそれを遥かに凌駕していた。以来次第にロロピアーナ社とも取引が拡大し、イタリアにも招待された。何年か後牧野さんは退社したのだったが、それからグアベロ社のエージェントを経て、現在ピアチェンツア社素材のエージェントをしている。彼が連れてきたイタリア人はなんとピアチェンツア社の重役であり1773年から続くピアチェンツア家の御子息、エットレ・ピアチェンツア氏
だった。ピアチェンツア社のセールスプロモーションでの来日とのこと。イタリア語が話せる人が来たというのでスイッチが入りテンションが上がってしまった。ロロピアーナ在籍中の牧野さんと仲が良かっただけに昔の写真を見ながらあの頃お互い若かったなあと思い出話にも花がさいた。

ピアチェンツア社の素材はヨーロッパの紳士たちに評価が高く、当店でもこれから紹介出来るかもしれない。
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