洋服屋、街を生きる。オーダーサロンタナカ店主blog

名古屋、錦3丁目のオーダースーツ、オーダージャケット、オーダーシャツのお店の店主です。名古屋のまんなかに生まれ、ずっとここで生活し六十年。オーダーメイドのこと、街の暮らしのなかで感じたことをつづっていきます。

当店のポリシー

今月から当店のスーツがさらに「前肩」になります。(2018/8/10)

日本人は欧米人より前肩体型なので、スーツを「前肩」に仕立てるといままでより着心地がよくなることはわかっていました。しかし立体物であるスーツを変形して前肩にする作業は思ったより簡単なことではありません。それでもいままでよりさらなる前肩を目指し、日本最高のモデリスタ柴山登光先生とともに2年前から研究と準備を進めてやっと今月から当店のすべての本バス毛芯のスーツをさらに前肩にすることができました。型紙が変わるわけでなく「製法」を徹底的に見直して前肩に仕立てる。柴山登光先生が指導するハンドメイドの技法をひと工程ずつ丁寧に工場縫製にも活かすことを目指しました。例えば毛芯を表地に据え付ける前のしつけ糸で縫う工程、実際毛芯を縫って据え付ける工程、袖を縫いつける工程、プレスの工程など複数の工程を柴山先生に一箇所ずつ見直し、実際に縫い方を指導して頂きやっと完成しました。縫製工場はもちろん変わりませんしパターン、サイズはこれまでと全く変わりません。
そしてこれは肩の着心地の改善だけにはなく、上着が首により吸い付くような着心地になり、より美しくスーツが見えることにもなります。
工程の見直しについて一部ご紹介します。

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右が今まで、そして左が前肩化したもの。
アームホールが前がふくらんで理想の「そら豆状」になっているのがわかります。
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現場でオペレータさんにひと工程ずつ縫い方を指導する柴山登光先生
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理にかなった方法で縫われた服は美しい。
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さらに前肩にしたスーツ。この部分がテーラーの腕の見せどころ。

バンチサンプルのリスクと現物素材主義の理由(2018/7/31)

多くのメーカーの見本帳、バンチサンプルをたくさん揃え選択肢を増やしたほうが良いと考えるテーラーも多いようです。そんななか当店は、ロロピアーナ社、エルメネジルド・ゼニア社、ヴィターレバルベリスカノニコ社、ドーメル社ドミンクス、御幸毛織など一流メーカーの正規代理店からスーツ、ジャケット素材を直接買い付け、素材現物を店頭に展示するのをメインととしております。(バンチの取扱も当然あります。)なぜ現物素材を揃えるのかを解説いたします。
1.バンチサンプルではイメージできにくい。
オーダーに慣れていない一般のお客様ではどうしても小さいバンチサンプルでは仕立て上がった洋服のイメージができないことが多いようです。
2.現物でこそわかること
バンチの中に並ぶ同じ素材のカラーバリエーションでも物性にブレがあることがあります。一例を申し上げますとネイビーはツヤがあるがミディアムグレーはツヤがほとんどないなど。こういうブレはバンチを見るだけではわかりにくいのです。
4.プロの目で選ぶ重要性
われわれは過去3万着のオーダーを経験しています。だからどういうメーカーのどういう素材が美しく仕上がるかを知っています。現物の買い付けも当然過去の験値が生かされています。オーダーが慣れていない一般的なお客様が多くの選択肢の中からその日のイメージで選ばれるとやはり仕上がり感が微妙な素材をお選びになるリスクも正直あります。
3.バンチは価格が高くなる。
特にイタリア、英国メーカーの場合、輸入コストは正直、一着に付き一万円以上はかかります。またメーカーの在庫コストも上乗せされます。シーズン前の買い付けの場合、インポートコストは数量がまとめてなのでぐっと割安になりますし、在庫コストはゼロとなります。価格は格段と違います。

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英国ヨークシャーから直輸入のドーメルアマデウス。
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手触りを確かめながら一着ずつカットしていく。

2018モデリスタ柴山登光先生との夕べ(2018/6/27)

先週6月23日(土)当店にて日本最高峰のモデリスタで現在の日本のセレクトショップ、クラシックスーツ界最前線に立つ指導者、柴山登光先生をお迎えしてセミナー&懇親会をいたしました。

ウェブサイトやブログでいままでもご紹介していますが、当店のスーツ、ジャケット、コートはすべて柴山登光先生がパターンを作成しそして縫製を監修しています。柴山先生がひとつの国内工場のすべての工程にわたり縫製指導をされているのですから、柴山先生が直接一着ずつ縫うわけではないので間接的にではありますが、当店は柴山先生のスーツをオーダーできる店と言っても過言ではありません。

今回、おしゃれに特に興味をお持ちの当店のお客さまを約20名ご招待して、わたしのピッティイマジネウォモ報告の後、柴山先生がナポリの工場に赴き毎年指導をおこなっている体験談、当店のスーツのヴァージョンアップについて当店内でお話いただきました。そしてそのあと伏見ブラッセリーグールトンにてワインとお食事を楽しみました。また当店の縫製を担当する九州の工場から2名が参加し、工場で縫われている服を実際のお客さまが着ている様子を確認するというなかなか無い経験をしていただきました。

工場を指導する柴山登光先生、お客さま、工場担当者そして当店が垣根なくコミュニケーションをとる有意義な時間となりました。ご来場いただいたかた本当にありがとうございました。

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柴山先生によるお客さまがオーダーされたジャケットの解説
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柴山先生のお話を熱心に聞くお客さま
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柴山先生とお客さまを店主がパチリ
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懇親会でかんぱーい
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懇親会で柴山先生にさらに詳しく質問するお客さま。

裏地が良い=良いスーツ(2018/5/14)

スーツの良し悪しを判断する場合、とりあえず内部に使用している裏地がキュプラ(ベンベルグ)100%かどうかを見てください。コストの安いポリエステル裏地、ポリ&キュプラ混紡の裏地を使ったスーツはさらっとした着心地ではなくムレを感じ、静電気も発生し不快で、決していいスーツと呼ぶことはできません。キュプラはコットンリンターを主原料として銅アンモニア法で作られた再生繊維に属する長繊維。断面が丸いため肌触りがよく、湿気を一度吸い込んでそれを外へ吐き出す「吸放湿性」が備わっています。衣服内の環境がキュプラ裏地によって良くなり、スーツ、ジャケットの着心地がどこかサワヤカなのです。詳しくはこちら

当店がスーツ、ジャケットに使う裏地はキュプラ100%のみです。ポリエステル裏地はありません。

オーダーサロンタナカでは無地キュプラ100%裏地のカラーバリエーションを無料で選ぶことができます。ちょっとオシャレに表地と違うカラーを選んでみてください。オーダーメイドらしさを味わえます。

甲州は富士吉田市でジャガード織機を使って織られた和を感じるキュプラ100%裏地でもプラス2000円(税込)でお選びいただけます。このたび、今までの9柄に加え2色追加しました。キレイな水色系で勝ち虫と称される「トンボ」の柄。そしてブルーと赤の鮮やかなアジアンテイストな柄です。

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MYK11 勝ち虫トンボ柄
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MYK12 アジアンテイスト柄
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たった2000円でこんなエレガントになります。

オーダーサロンタナカが予約制でない理由(2018/5/1)

気がつけばもう5月になりました。さわやかな初夏の風を感じながらご先祖様に手をあわせに月初めの母との朝の墓参に行きました。ゴールデンウイークは明日5月2日3日4日の3日間をのぞいて営業しています。帰省の際に当店に遊びに来ていただいた方もいらしゃいます。

近頃オーダーメイドに注目が集まり、ちょっとしたオーダーブームでお店も増えています。当店にご来店いただくお客さまもありがたいことに多く、多くのお客さまが遠方から市内からご来店いただいて本当に嬉しい限りです。

他のテーラーさん、オーダー店さんは予約制のお店もあるようです。そのほうがゆったりした時間のなかエレガントな雰囲気でオーダーできるということでしょう。よく電話で予約制ですかとご質問がありますが当店は予約制ではありません。わたしどもはもう40年近くこの地でオーダー店をしています。近頃は新しい若いお客さまが多いのですが、古いお客さまもときに当店のことを思い出してオーダーにご来店いただくこともあります。たとえ10年いや20年、あいだが空いていたとしてもせっかく来ていただいた古いおなじみのお客さまに、予約していますかなんて、申し訳なくて言うことができません。当店はいつもお客さまにオープンにしていきたい、そんな思いです。

近頃はお客さまが重なり、店内に何組かお客さまがいてお待たせすることもあります。申し訳ないと思っていますが夫婦二人で丁寧に順番に接客いたします。エレガントでない店かもしれませんが、オーダースーツのリアルをお伝えできる数少ない店だと思っています。なにとぞなにとぞごひいきに。
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メインサロンの奥にはもう一組のお客さまがくつろいでいたけるラウンジも。
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