洋服屋、街を生きる。オーダーサロンタナカ店主blog

名古屋、錦3丁目のオーダースーツ、オーダージャケット、オーダーシャツのお店の店主です。名古屋のまんなかに生まれ、ずっとここで生活し六十年。オーダーメイドのこと、街の暮らしのなかで感じたことをつづっていきます。

映画

キネマが近くなる。(2019/5/23)

時が経つのは早いもので昨日は4月に逝去した義母の四十九日。法要とはいえちょうどこの日で喪が明けるので、葬儀の際のような黒スーツに白シャツ黒ネクタイにしなかった。義母の彼岸での安らぎを祈りヴィターレ・バルベリス・カノニコのスーパー120ブラック無地で仕立てた夏のスーツに、5mm巾ロンドンストライプのシャツとネイビーのソリッドタイを選ぶ。檀那寺での法要と昼食が終わり妻の実家に戻るとやはりいつもそこにいたはずの義母の不在で淋しさがつのる。

浜松から午後3時前に帰宅。で休憩もそこそこに新しくなったミリオン座に行く。CGばかりの遠い宇宙での派手な戦いの如き映画は好みじゃない。渋い映画を選んで上映するミリオン座はマイ・フェイバリットシネマ。フェリーニや「天井桟敷の人々」など記憶に残る映画はだいたいここで見た。以前は名古屋ヒルトンホテルの前だったのが次は御園通、そしてマルチスクリーンになって下長者町とだんだん近くなり当家から歩いて5分で着く。還暦を過ぎたことだし、時間をやりくりして今までより多く映画を見たい。

内容についての情報は全く知らず評判がいいので見た映画は「ROMA」。白黒フィルムでどんな展開かどきどきしたが、見終わってとてもいい映画を選んだことに満足した。50年以上前のメキシコの中流家庭の日常を描いた映画で、映画見終わってなぜか昭和30年代メキシコと遠く離れた名古屋で大家族の中で暮らした我が家の記憶が甦ってきた。

映画を見終わって暗いシネマをでると伏見は初夏の薄暮。ここは映画館だけではなくオフィス街の間にいいお店や酒場があるすきな街で、行ったのは映画館の背中合わせにある「うお徳」さん。くだんのミシュランガイドには載っていないが美味しい関西料理がいただけるお店。自慢の白魚の唐揚げとお造りで精進落しいたしました。
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淡々としたいい映画でした。
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ミリオン座に人が多いとうれしい。
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開場祝いの蒼い胡蝶蘭。
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うお徳では白魚の唐揚げは必ずいただく。
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そして熱燗
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造り うお徳
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大アサリのフライ うお徳

パンフレットを買ってしまったくらい気にいった映画。(7/31)

昨日は定休日。休みはいつもゴルフでつぶれるのも芸が無いので、一日フリーにしてみた。でもなかなか行くところが見つからない。こういうときは映画かなと思って伏見ミリオン座に自転車で出かけた。おめあてはウェスアンダーソン監督のグランドブタペストホテル。観客席が暗くなり、予告編、「映画泥棒」のあと本編が始まってすぐにこの映画は好きな映画だと分った。ずっと終わってほしくないとも思った。ふだん買った事はない850円のパンフレットまで買った。たぶんいままで生きてきてはじめて買ったかもしれない。みんなにおすすめかどうかそれは分らない。でも間違いないのはこの映画がたぶん僕のいちばん気持ちいいツボを刺激したのだろう。
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伏見ミリオン座にてグランドホテルブダペスト
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ジェノバの実在のホテル グランドホテルサヴォイア。やはり似ている。

この映画は架空の国という設定だが間違いなくヨーロッパのことが描かれている。映画を観ながら6月に一人で泊まったジェノバのホテル「グランドホテルサボイア」を思い出していた。内装が海洋系アールヌーボーとでも言えるものでとても美しくずっといたいホテルだった。近くの宮殿にはバルビの王女というヴァンダイクの名画もあり、映画にでてくる架空の名画「少年と林檎」に符合する。ウェスアンダーソン監督はここをモデルにしたとは書いていないので偶然だとは思うが写真を比べてみるとやはり似ている。東欧と南欧に別れているが映画のストーリーと自分の旅という2つの物語を左右ステレオで観ているような不思議な気分だった。
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美しいロビー グランドホテルサボイア ジェノヴァ イタリア 
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女性がきりもりするフロント グランドホテルサボイア ジェノヴァ イタリア 
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ホテル近くの王宮の中に展示されているヴァンダイク作「バルビの王女」。映画の中の架空の名画「林檎と少年」に奇妙に符合する。

街の子といわれて(7/18)

昨日は朝早くゴルフがすんで、もう午前11時には家に戻った。それが早朝ゴルフのいいところでもある。午後はゆっくり買ってあった本でも読もうと思っていたが、母と妻は映画に行ったのでちょっとうらやましく、調べたら伏見の映画館でFADING GIGOLO 「ジゴロインニューヨーク」がまだ間に合う。急に空が曇り激しい雷鳴が轟ろき、滝のような雨が降って来た 。ヒョウでも降ってこないかなと窓辺で見ていたが思いのほかすぐやんでしまったので自転車で映画館に向かった。
 切符を買って入ったら、映画泥棒が流れていてすぐに本編が始まった。ザラザラとした画面が秋のニューヨークの風景によく合う。セクシーなテーマをさらりと流すのがウディアレン映画の楽しさだがこの映画はウディアレンは役者として出演しているのみ、監督は主演の
ジョン・タトゥーロで風貌がちょっと我が父に似ている。この映画は人種、宗教の入りまじったニューヨークを生きる人を描いていたので名古屋の街の中心で暮らしている身としては共感できる映画だった。巨大な怪物のCGによる作り物が大都市の街やビルディングをばんばん壊す映画はたとえ正義の味方であっても悲しみを孕んだ存在であっても好きになれない。そういえば我がブログのタイトル、洋服屋街を生きるについて話していなかったのでちょっと話してみたい。

元チェリッシュでサンデーフォーク設立メンバーである奥山けいぞうさんは鋭いファッションセンスをお持ちでこころから尊敬していて、おしゃれについてなどウイットに富んだ話しはいつも参考にさせていただいている。何年か前、何についてそういったのかは忘れてしまったが、酒場で奥山さんはぼくのことを、おまえはシティボーイだからなあといわれ
正直とても嬉しかったのを強く覚えている。それまではあまり意識することは無かったのだが、それを言われて以来街で生きている事、街で生きている意味を良く考えるようになった。それが「洋服屋、街を生きる」のタイトルとなった。
清濁を併せ飲んで街を生きる。
名古屋の一番有名ともいえる繁華街、錦三で生まれ育ち、仕事をしている。スナック、クラブ、居酒屋、飲食店が並び風俗の店もあり、夜には客引きも現れるけっして美しい街ではない。朝になるとホストや酔っぱらいがふらふらしている。コンビニにいくと身体のおっきなオカマさんが買い物をしているし、顔にたくさんのピアスをした人たちも楽しそうに自転車に乗っている。緑が全然ないこの錦三という街でロハスな暮らしはもちろん出来ないし、
清く正しく正義が貫ける生き方も出来そうもない。 でもこういう街に住んだから子供が不良になったということをここに住んでいる町内の人たちのなかで聞いた事も無い。我が息子や娘もこのカオスの街でおかげさまで健全に育ってくれた。この街におそわった清濁を併せ飲むという考えが心のなかに育って行ったのかもしれない。
肩寄せ合いながら街を生きる。
狭い地域の中にたくさんの人が仕事をして、そこに集い、そして住む場所、それが都会であり街である。いろいろな思い、欲望が渦巻いている場所である。ひとびとの暮らしがジグゾウパズルのように混みいっている。ここは大声で権利を主張し肩肘張って生きる場所ではない。限られた場所で自分を失わず、譲り合いながら暮らす場所である。車道も歩道も多くの人がいる。郊外の高速道路を走るクルマのように伸びやかにアクセルを踏む事はできない。のびのびはできないながら肩寄せ合って生きるあたたかさは間違いなく存在する。
酒場では知った顔に出会える。なじみの店ができたらここに来るまでどんな暮らしをしてきたか聞かれる事もなくこころを開き話しをすることもできる。これは狭い場所で徘徊するものの喜びにほかならない。街の暮らしはおせっかいではないが冷やかではけっしてない。
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伏見の映画館にて
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セクシーに生きる。
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そして優しく生きる。
 

なにもない休みには映画はしご(1/4)

今日は正月休みの最終日だったがゴルフや旅行など何も予定入れなかった。日常の生活には小さなそしてたくさんの予定や約束ががおりかさなっている。何も約束のない日は心の健康にとってとてもだいじだとおもって何も無い休日を作ってみた。とはいえ何かしたい性格なのでのんびりなにもせず過ごす事は出来ない。朝まずゴルフの練習場でなまった体に少しだけ刺激を与えた後、ミッドランドシネマにいく。キャプテンフィリップスという映画を選んで切符を買おうとしたら前から二列目しかないということでずっと上を向いてスクリーンを見ると体調が悪くなると行けないと思いあきらめる。すこし時間をつぶせば伏見のミリオン座でジムジャームッシュの新作「オンリーラヴァースレフトアライブ」をやっていたのでみる。吸血鬼譚仕立てのラブストーリーだが吸血鬼と言ってもまったくホラーめいたものはなく、アクションもない疲れた顔のカップルの穏やかな愛情が満ちた話だった。アンティーク家具が並んだ中に古いエレキギターやアナログなアンプや録音機器があふれたスタジオのように仕立てた部屋で枯れた味わいのジョークをちりばめながらストーリーは進んで行く。やたらCGを使っていてかえってリアリティのなくなったハリウッド映画よりこういう映画のほうが好きだ。
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こういうビターな味わいの映画が好き。

 
主人公の妹がyoutubeで聞いていた聞き覚えの有る曲。

映画を見た後どうしようか考えるために新年今日から営業の「平八郎」でひとりワインを飲む。家に戻ってビデオでも見るか、また映画を見るか迷って、結局はしごで「バックコーラスのディーバたち」原題20 feet from stardom という映画を見るためパルコのセンチュリーシネマに行く。映画館に入ったらスクリーンはたて2mよこ3mくらいしか無く拍子抜けしたが映画が始まると素晴らしい音楽をささえるバックコーラスの女性たちの生き様に感激しながら見ていった。ことしもたくさん心動かすものを見聞きしたいがこの映画は間違いなくことし最初の感激といえる。こスポットライトをあて紹介したのはフィルスペクターに重用されたダーレンラブ、グラミーウイナーのリサフィッシャー、ストーンズギミーシェルターのバックボーカルで名をあげた、メリークレイトン、マイケルジャクソンのTHIS IS ITにでていたジュティスヒルなど。バックコーラスと言っても、印象的なリフレインやピンクフロイドの虚空のスキャットなどは彼女たちの歌の方が印象に残る事が多いほどポップスやR&Bにとって重要なパートといえる。彼女たちの歌、生い立ち、昔の映像、今の歌、そしてスティービーワンダー、ミックジャガー、ブルーススプリングディーン、スティング、ベッドミドラーなどのインタビューから彼女たちの歌の信じられないくらいのすばらしさ。とはいえトップアーティストにはなれなかった苦悩などを活き活きと描き出していた。見てほんとうによかったなと思える作品だった。
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リサフィッシャーの名前に聞き覚えがあったので今朝自宅のCDラックを探していたら彼女の唯一のCD持っていました。メインのミュージシャンのコレクションには漏れがあるけどこういうのを押さえているのがわたしなんだなあと再確認してちょっと嬉しい気分。そしてなんと生年月日1958年12月1日 (55歳)とあってなんとわたしよりジャスト3日だけおねえさん。今後の健闘を祈る。

このメンバーでグループを結成して世界をライブしてまわればまちがいなくスーパースターになる。ライブに行きたい!
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リサフィッシャー、我が家のCDラックにひっそりと。


 
 


  

全員映画館に集合、な夜。(2/11)

昨晩はお店を6時半に看板にするやいなや家族全員4人タクシーにのりこみムーンライズ・キングダム」を見に伏見、ミリオン座に向かった。映画を見ると予告編(映画泥棒も)を見る。予告編を見るとまた映画に行きたくなる。このお正月、3本映画を見た。そのときこの水曜にみた「マリーゴールド・ホテルにようこそ」とこの「ムーンライズ・キングダム」の予告編で、必ず見ようと決めていた。先週金曜が封切りだったので駆けつけたのだ。そうしてどうだったかといえば、ネタバレするので言わない。でも僕はこういう映画好きだね。満足したね。特に気に入ったのは映画の色調。1960年代を描いているのだが微妙にソフトフォーカスなイエローががった色が美しくノスタルジックな空気を引き立てていた。あとひとつ、みんな短いパンツを履いているのが可笑しい。役者がかぶっている帽子もいいよ。興味のあるかたは見に行ってください。
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伏見・ミリオン座ロビー

映画がはねて帰り道、お腹をすかせてイタリアーンってのもいいがまだまだ寒いので味噌煮込みの「山本屋本店・広小路伏見店」に。行くとオフィス街の日曜日にもかかわらずにぎわっていた。母はここはヒルトンホテルと観光ホテルの間で「名古屋飯」を食いにくるお客さんが沢山くるはずの秀逸な立地だと言う。なるほどなと思った。
実は山本屋本店は呑み助には悪くない。うどんが出るまで食べ放題となっている漬物で一杯飲めるし味噌煮込みの堅い麺は主食というよりつまみにしてイケる。ぼくは山本屋本店ならビールだな。
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山本屋本店にて家族で宴会の図
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