洋服屋、街を生きる。オーダーサロンタナカ店主blog

名古屋、錦3丁目のオーダースーツ、オーダージャケット、オーダーシャツのお店の店主です。名古屋のまんなかに生まれてずっとここ錦3丁目でくらしているオールドシティボーイです。オーダーメイドのこと、街の暮らしのなかで感じたことをつづっていきます。

2015 6月 ピッティイマジネウォモ

世界一美しい裏地店(7/7)

フィレンツェの目抜き通りトルナブオーニ通りの中程ストロッツイ宮殿からすぐ曲がった場所にある裏地店「マリック」で裏地を買い付けるようになってからもう6年になる。初めてここを通った時ショーウインドーから見える店内があまりに美しい色だったので思わず入ってしまった。最初、着色した紙だと思い店主にたずねたらそれはすべてキュプラ100%製の裏地だと言う。キュプラ100%裏地をつけるのは当店のポリシーにほかならない。それで試しに数着分買い付け、試験的にスーツにあしらってみてその肌触り、色合い、通気性などそのパフォーマンスに十分満足したので店主アンドレア氏との取引が始まった。以来ピッティイマジネウォモの際は必ずマリックに立ち寄り、裏地の相談をする。

長い取引となったがアンドレア氏の極めて几帳面な性格はよくわかった。だからキュプラ100%の裏地をあんなにも美しく揃えて並べられるのだろう。決して大きい店ではないが裏地でグラデーションになった店内は間違いなく世界で一番美しい裏地店だろう。イタリアの既製品ではキュプラでなく一格落ちるビスコースの裏地を使う事が多いがそこはアンドレア氏のプライドでキュプラ100%に限っている。そのこだわりのため、フィレンツェの有名テーラーはこぞってマリックの裏地を使っている。 先日は日本のBS朝日の番組「ヨーロッパ一番旅行記」でも有名テーラーセミナーラさんが愛用する店としてマリックの店が紹介された。また洋装店やイタリアの一般の主婦の来店も多い。

今回もマリックの裏地が色々入荷した。いままで在庫のあるものも含めるとかなりの色が当店で選べる。マリックの通常の裏地ならプラス4000円で当店のオーダースーツにつけることができる。チェック、ペイズリーなどスペシャルな裏地は6000円追加となっている。今回スペシャルな裏地として新しく、ジャガードで織った美しいチェリーブロッサムつまり桜の柄の裏地。けっして派手ではなく花のエレガントな香りが漂うような裏地が登場した。まるでアートのような裏地で一目で欲しくなってしまった。当店は日本国内の縫製だが、ロロピアーナの表地素材を使い、マリック裏地で仕立てるとイタリア・フィレンツェのテイストを感じるジャケットやスーツになるはず。
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フィレンツェのシニョーラの相談を受ける店主アンドレア。こんな美しい店は彼が綺麗好きゆえ。
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今回買い付けた裏地
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今回買い付けた美しい桜の柄の裏地。こんな上品でエレガントな裏地あるだろうか。まるでアート。
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くしくもマリックの近くストロッツイ宮殿まがったところででキュプラの宣伝をつけたタクシー発見。やっぱり裏地はキュプラしかないと思う。ポリエステルの裏地なんてつけるとムレていやだ。

ローマ、無知から始める学び。(7/4)

短いイタリア出張最後の日はローマで。ローマフィウミチーノ空港からのフライトは午後3時。せっかくのローマで過ごす午前の時間を無駄にしたくはない。とはいえローマはなんどもきてたいていの場所は行ったことがある。いろいろ考えアッピア街道を訪れる\ことにした。バスで乗換えて行くのはしんどいのでテルミニ駅前からタクシーに乗ってアッピア街道を目指す。ローマの財務官アッピウス・クラウディウスが立案し、紀元前312年に建設が始まった最初のローマ街道がアッピア街道。「すべての道はローマに通ず」といわれるが、アッピア街道は最初のローマ街道で「街道の女王」と呼ばれ、近代の道路の基本にもなったといわれる。タクシーの窓からローマ市街の起点となるサンセバスティアーノ門を見て胸が高鳴る。ここからどんな気持ちで2300年前の民は南にむかったのだろうか。アッピア街道沿いのシンボリックなモニュメント、チチェリア・マテーラの墓でタクシーを降り写真をパチリ。やっとここに来る事ができた。今の時点でアッピア街道については塩野七生さんの本を少し読んだだけでほとんど何も知らないと言ってもいい。偉大な人類の歴史の大きな一ページであるローマの歴史をあらためて学び直そう。
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アッピア街道、ローマの入り口のサンセバスティアーノ門
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アッピア街道マイルストン
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タクシーでしばしアッピア街道を走る。
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アッピア街道沿い チェチリアマテーラの墓

アッピア街道からきびすを返しタクシーで市内へ。サンジョバンニ・ラテラーノ聖堂の前で降りた。 ここはローマカトリックの頂点の聖堂でかっては教皇庁が置かれていたり、ヴァチカン市国が成立したラテラーノ条約を締結した場所でもある。大きな聖堂をゆっくり見てから隣の聖なる階段教会 「スカラ・サンタ」に行く。門から入ると二階への階段が聖なる階段でキリストが裁判の日に登ったエルサレムのピラト邸の階段をコンスタンティーノ皇帝の母ヘレナが326年にローマに運んだと言われるいわゆる聖遺物である。ここは決して足の裏を使って歩いてはいけないとされ、敬虔な信者がヒザをつかってゆっくりにじり上がっている。わたしは仏教徒でキリスト教の信者ではない。しかしこの階段を上るのは一つの巡礼・修行であると考えた。聖人の遺徳を偲び清らかな気持ちで登ってみよう。階段を登りきったところにあるキリストのフレスコ画を仰ぎながら手を合わせながらひとりひざまずいて登っていると
いっしょに登っているカトリック信者はきっと法悦の境地で異教徒のわたしでさえ厳かな気分になる。ヒザが赤くなりながらゆっくり登り切ったとき世間の垢で汚れた心がすこしだけ浄化された気がした。
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サンジョバンニラテラーノ大聖堂
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サンジョバンニラテラーノ教会の中
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スカーラ・サンタ教会 (聖なる階段教会)
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聖なる階段なので足の裏をつけてはならない。木の階段をヒザで登る。

まだ午前10時前、日本に戻るフライトの時間まではすこし余裕があったのでスペイン広場までタクシーで向かった。ここはザ観地で手にスマホの自撮り棒をもった男女も多い。コンドッティ通りのカフェグレコでエスプレッソを飲んだあとスペイン階段脇のキーツ・シェリー博物館に入る。英国詩人であるキーツが若くして病んで、寒い英国からローマに避寒にきて住んだ館。入ってみると詩人の自筆の原稿、ゆかりの品、デスマスクなどが窓からみえるスペイン広場の喧噪の世界とはちがうちいさいが静謐な空間がひろがる。キーツの英詩は読んだ覚えもないが、これも帰ったら読んでみたいと思った。今は英国の詩人について無知だがこういう場所に身をおくと後でここの行った事を想い出しながら興味深く読書できるはず。ここを出たあとはメトロでテルミニ駅に戻り、テルミニからフィウミチーノ空港までは電車レオナルドエクスプレスで。午後3時には機上の人となった。

これで2015年6月イタリア出張レポートは完結です。

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ローマの中心コンドッティ通 250周年をむかえるカフェ・グレコ
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カフェ・グレコのエレガントなバリスタ
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有名なスペイン階段の横にあるキーツ・シェリー博物館
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キーツの手書きの書簡
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キーツのデスマスク 
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キーツ・シェリー博物館からスペイン階段の喧噪を眺める。

フィレンツェ、おきにいりの素敵なホテル(6/30)

旅は人をリフレッシュさせる。いい宿に泊まればなおさら。たとえば日本なら加賀温泉のあらや滔々庵が好き、そしてイタリアならフィレンツェの街の真ん中のアルベルゴ(イタリア語でホテル)ヘルベチア&ブリストル。10年前に妻とまだ小学生低学年だった娘とここに泊まりここのエレガントさ、ホスピタリティの高さに魅了された。ピッティウォモの時期はホテル代は高く、閑散期の三倍になる場合すらある。ピッティ開催期間このホテルなら一泊6万円以上するはずだが今回はウェブで二ヶ月前になぜか一泊35000円で見つかりすかさず予約。一人旅のときはだいたいエコノミーなホテルに泊まっていたがさすがに50も半ばをすぎればそこそこの宿で身体と心を休めたい。このホテルに泊まれる事がこの夏の短い旅の大きな楽しみとなっていた。

フィレンツェの街のエレガントなブティックがならぶ通りトルナブオーニ通の真ん中近くすてきな展覧会が開かれるストロッツイ宮の前、決して大きくないがルネッサンス期に建てられたパラッツオをヘルベチア&ブリストルはホテルとして使用している。フロントでチェックインするとき偉大なホテルでもスタッフがいかめしい態度では客は緊張してしまうがここではいつもシニョールタナカあなたをお待ちしていましたよとというやさしい気持ちと微笑みで応対してくれる。ロビーはまるで図書館の如き落ち着いた空間で街の真ん中にありながら喧噪とは隔離されている。部屋に入ると紅色のクラシックな織物が張られた壁、窓枠には鍛冶屋で一つずつ手作りの金物が取り付けられている。ひとつづつの設えをながめるのもこのホテルの楽しみ。すべての人がそう思うかどうかは分らないが、このホテルに泊まる一日がぼくの大事なA DAY IN THE LIFEであることはまちがいない。


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正面は西洋の街にはよくあるパラッツオ
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まるで図書館のようなロビーの落ち着いた空間
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泊まった歴史上の人物のポートレート
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赤い織物が壁紙として張られた可愛い部屋
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部屋の壁にはこんな浮き彫りの彫刻
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窓にあしらわれた金具はハンドメイド
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朝、日本人には日経が部屋の扉に。そんな心配りがうれしい。
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朝食はイングリッシュブレックファスト
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ロビーの壁には由緒ある西洋絵画 

ピッティウォモ88スナップ集・スーツラヴァー達(6/27)

ジャケット&パンツスタイルが多かった今年2015年のピッティイマジネウォモ88だったがスーツスタイルももちろん多かった。やはりヨーロッパにはスーツを愛する方が多い。友人と食事があるからスーツ、妻と出かけるからスーツ、買い物に行くからスーツとことあるごとにちょっとシャレてスーツを着る文化がある。フランクに見せたいからか職場でも短パンTシャツのようなカジュアル傾向が強いアメリカンとは違うところ。この時期フィレンツェで出会ったスーツラヴァー達の姿を着こなしのご参考までにどうぞご覧下さいませ。ちょっと着こなしのコツを取り入れるだけであなたのスーツスタイルはずっと向上することうけあいです。
期間限定で公開いたします。

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グレーのビスポーク仕立てのスーツが美しい。おとなしいスーツの色合いだからオレンジ色のネクタイで。
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白と紺が等幅のロンドンストライプシャツに紺ソリッドのネクタイはおしゃれの世界共通言語。
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サーモンピンクのコットンスーツ
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リネンのダブルブレスト。ベージュのスーツだがサックスと紺のタイにしているところに注目。サックスのシャツはオールマイティです。
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チェックのスーツを濃紺のソリッドタイが印象を引き締めている。
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ネクタイを締めない場合は必ずポケットチーフを挿してください。だらしないという印象から180度変わりおしゃれになります。
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ネクタイをずらしていますね。このあたりも確信犯。まちがいなくオーダーでしょう。ヨーロッパではワイドスプレッドが標準のシャツとなります。
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プリントのスーツ。100%ファッション業界の方です。
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ポケットチーフを多めに胸ポケットから出すと華やかな印象に。
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まだまだ上着の丈は短くなるようです。ネクタイは茶のドットなのでマローネアズーロ
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ブランドのマネキンとして歩いているのでしょう。
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夏になるとリネンですね。粋ですね。
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フィレンツェのファッションリーダー、シモーネリーギさんはシックなリネン100%のスーツに派手なトートがかっこ良し。
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ファンキーなブラック&ホワイトストライププリントのスーツ。
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シックなグレーストライプのスーツにサーモンピンクのシャツがキュート。靴下も同色でさらにキュート。
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どうして私が登場したかわかります?このふたり実はスーツに同じ素材ロロピアーナサマータイムの色ちがいを使っています。会場で見つけお声をおかけて写真をとらせていただきました。
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キレイな仕立てのグレーダブルブレストに素敵な民族衣装のお帽子がお似合い。がっしりした鞄をお持ちです。
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人は年齢を経るほどに太いストライプ幅が似合ってきます。
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シアサッカのスーツを着た素敵なレディ。
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夏の陽にライトグレーのスーツが映える。サックスのシャツに淡いネクタイがジェントリー。
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サックスのダブルブレスト。
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ライトグレーチェックのスリーピース。
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生成りの麻100%のスーツを着ている素敵なレディ。極太パンツがモードな印象。
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ロイヤルブルーは夏のピッティのいまや定番に。
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グレーのダブルブレストにブラウンのネクタイで渋く。
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こなれたデニムのスーツがいいね。
 

ピッティウォモ88スナップ集・ジャケットスタイル(6/26)

今年6月16日から19日までフィレンツェサンタマリアノッヴェラ駅北、バッソ要塞にて開催のピッティイマジネウォモに行って来た。ピッティウォモはショーのためのショーではなくあくまで男達が実際に街で着る「リアルクローズ」が世界中からあつまる展示会である。嵐の天気予報とはうらはらに摂氏25度前後のからりとした極めて快適な気候の中、モードを先取りした男達が集まり、そしてその彼らをスナップする大量のカメラマンが来場した。彼らの着ている服は来年の夏にむけた世界のショップやメンズ雑誌を飾ることとなる。今年はまるで花が咲いたようにジャケット&パンツスタイルの男達が多かった年でもある。そんな男達のスタイルをスナップした。

期間限定で公開いたしますので着こなしの参考にしてみてください。

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まず最初はあまりにも素敵なカップルだったので。
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この時期フィレンツェの街にはこういうスタイルの男達が集まる。
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メイン会場前には花が咲いたように着飾った男女が。
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夏のピッティ、長い靴下をはく男が極端に少なくなる。やはりそれは暑いイタリアの気候ゆえ。
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ワイルドなおひげ
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目にも鮮やかなラヴェンダーのダブルブレスト
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落ち着いたグリーンは昨年同様よく目にした。
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サスペンダー軍団。夏のワンポイントに悪くないかも。
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シチリアのオレンジのようなレッドジャケット。
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ハットとおそろいのチェックジャケット
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鮮やかなプリントジャケット
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シックなページュジャケットに煉瓦色のタイをあわせて。
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左、短い丈のウインドペンジャケットにデニム、かならずポケットチーフ。
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クリーム系のプリントジャケット
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白に紺のトリミングのトリミングをあしらったジャケットと右はあざやかなグリーンジャケット
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生成りの麻ジャケットにきっちりネクタイ締めて
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サックスの麻ジャケットはやはりさわやか
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ジャケットでもネクタイを締めるとまた雰囲気は変わる。
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ジャングルの柄のプリントジャケットはジレとそろえて。
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サックスのダブルブレストも短くコンパクトに。グレージュのパンツなら落ち着く。
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ロケンローなコーデ
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すてきなストライプジャケット
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おなじみミラノ・アルバザールのリーノさんの周りにはカメラマンだらけ
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白のリネンジャケットと素敵なストライプパンツ
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左の男性のジャケットも素敵だが、女性のネクタイ姿もいいね。
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すごいコーデ、ちょっとまねできない。
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シンプルなジャケットと花柄のシャツは来年も絶対ある。
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この方もおなじみの方。ロイヤルブルーはどんどん明るく。
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スーパーショート丈ジャケット。この色のジャケットよくみました。
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ラペルの幅が太いジャケット。ゼニアクロスプライか。
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自然なリネンツイード、夏のエルボーパッチ新鮮かも。
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バーガンディのギンガムのスーパーショート丈ジャケット
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これなら遠くからでも目立つ。
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ストライプのプリントジャケットとウォッシュをかけたブルーダブルブレスト
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スーパーショート丈のブルー&ホワイトのギンガムジャケット
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左はダブルブレストでも丸くカット
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ピッティウォモ来場者の7割はサングラスをしている。

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