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プロローグ  第1話


『愛宕と末原』











あーあ、おもんない。


ホンマおもんないで。


名門、姫松とはいえ1年はこんなもんかいな。


どいつもこいつも雑魚ばっかやないか。


1年どうしの親睦会やいうからきてやったわええけど、こんなんじゃぜんぜんたのしめへん。


誰かうちをたのしませてくれるおもろいやつはおらんのやろか。


この、愛宕洋榎を。







末原「1年だけで親睦会?」

由子「そうなのよー」

由子「明日の練習休みになったでしょ? いい機会だし1年生だけで集まってたのしくあそぶのよー」

末原「そういえばまだ顔と名前が一致せんやつもけっこうおるな……」

末原「でも親睦会たってなにをするんや?」

由子「とりあえず部室にお菓子とか持ち寄って麻雀して、そのあとカラオケでもどうかなーって思ってるのよー」

末原「けっきょく麻雀するんかい! ……まあ、ええんやないか?」

末原「ちなみに何人くらい参加するんや?」

由子「今のところ10人くらいなのよー、でもまだ声かけてない人もいるのよー」

末原「ふーん。……ん?」



洋榎「~♪」テクテク



由子「あ、愛宕さんなのよー」

末原「鼻歌なんか歌っていい気なもんやなあ」

由子「愛宕さんも誘ってみるのよー」



由子「愛宕さーん」

洋榎「ん? なんや?」

洋榎「たしか……真瀬やったか? なんかようか?」

由子「実は明日1年生の親睦会を開くことになったのよー。それで愛宕さんもどうかなーって」

洋榎「親睦会なあ……どないしよかなー」ウーン

洋榎「んん?……」チラッ

末原(ん? こっちをみた?)

洋榎「……」ジロッ

末原(ジロジロみんなや)キッ

洋榎「……」ギラギラ

末原「……」ギロギロ

由子「ち、ちょっと、ふたりともなにとつぜんにらみあってるのよー!」

洋榎「……ふん、目つき悪いやっちゃな」

末原「……お互い様やろ」

洋榎「けっ……」

末原「……ふん」

洋榎「まあええわ……。おい真瀬、親睦会うちも参加したるわ」

由子「ほ、ホント? ありがとうなのよー」

由子「詳しいことはまたメールするのよー」

洋榎「……」

末原「……」

洋榎「……自分、もうちょい愛想よくしたほうがええんとちゃうんか?」

末原「は? おおきなお世話や……自分こそ変な言いがかりつけてつっかかるんはやめたほうがええで」

洋榎「……けっ」スタスタ

末原「ふん……」プイッ




由子「いきなりなにメンチきりあってるのよー」

末原「むこうが先ににらんできたんや」

由子「恭子が怖い顔してるからなのよー」

末原「してへんってそんなん……」



善野「そうねえ、末原さんはもうちょっと笑顔のほうがいいかもねえ」


末原「ひゃあ! か、監督、おったんですか!?」

由子「いつのまになのよー」

善野「せっかくカワイイんだから末原さんはもっとニコニコしてたほうがいいと思うわ」

末原「か、カワイイて……//」カア

善野「たぶん愛宕さんもそう言いたかったんじゃないかしら」

末原「ええー……さすがにちゃうと思いますけど」

善野「ふふ、まあいいわ」

善野「でも末原さんと愛宕さんはなんだかいい関係になれそうね」

末原「うちと……あいつがですか?」

善野「ええ、もしかしたらふたりはいいライバルになれるかもね」

末原「ライバルですか……」

善野「親睦会たのしんでね。部室の雀卓はすきにつかってかまわないから」

由子「はい、ありがとうございますなのよー」


そう言い残して監督は行ってしまった。




私と愛宕洋榎がライバルに……?

とてもそうは思えなかった。
私とあいつでは実力が違いすぎる。
初めてあったときもそうだったが、監督は私のどこを評価してくれているのだろうか。



由子「私も監督と同意見なのよー」

末原「アホ言わんでや……うちと愛宕がライバルやなんて」

由子「いや、そっちの話やなくて」

末原「へ?」

由子「恭子は普段からもっとニコニコしてたほうがかわいいのよー」

末原「っ……おおきなお世話や//」







翌日、予定通り麻雀部の1年生の親睦会がはじまった。

あつまったのは私と由子、愛宕をふくめて10人ほど。

1年生だけということあってか、部活中とはちがい皆リラックスした様子で雀卓を囲んでいる。


しかしそんな中、愛宕だけはどこか不満げな様子で卓についていた。



洋榎「それロンや。……これでまたうちの勝ちやな」

モブ「わー、やっぱり愛宕さんは強いなー」

モブ「ぜんぜんかなわないよー」

洋榎「……」ハア……



由子「愛宕さんさっきから勝ちっぱなしなのよー」

末原「ああ……でもなんかおもしろくなさそうやな」

由子「たしかにむすっとしてるのよー」

由子「ちょっと声かけてみるのよー」スタスタ



洋榎「……」ムスー

由子「愛宕さん、どうかしたのよー?」

洋榎「……真瀬か。いや、べつにどうもせんわ」

由子「そ、そう? なんか機嫌わるそうだったから……」

洋榎「……」ハア……

洋榎「なあ真瀬……わるいんやけど、うちもう帰ってええかな?」

由子「ええ!? どうしてなのよー?」

洋榎「んー……いやその、なんちゅうかな……」


末原「ちょい待ちや。愛宕」

洋榎「ん? なんや自分か……なんや?」

末原「まだ始まったばっかやないか。なんで帰んねん」

洋榎「なんでもええやん。自分にゃ関係ないやろ」

末原「理由くらい言えや理由くらい」ジロ

洋榎「いちいちやかましいやっちゃなー」ギラ

末原「なんやと?」

洋榎「あ? なんや?」ガタッ

由子「ち、ちょっとふたりともやめるのよー!」

洋榎「……つまらんねん」ボソッ

末原「え?」

洋榎「どいつもこいつも雑魚ばっかや! お前らと打ってても全然おもろないんや!」

洋榎「ましてやこんな遊び半分の麻雀なんかじゃうちは全然満足できへんねん!」









あーあ、言うてもうた。


ホンマは適当な理由つけて帰ろ思うてたのに、ついカッとなってしもうた。


みてみい、さっきまでの和やかな雰囲気はどこへやら。すっかりお通夜ムードやないか。


それもこれもお前のせいやぞ。


えーと……



……アカン、名前忘れてしもた。


と、とにかく、お前がつっかかってきたせいで空気わるうしてしもうたんうやで。


紫髪の目つきの悪い奴。


どうしてくれるんやホンマ。


末原「……そうか、雑魚ばっかでつまらんか」


そうや、つまらんねん。


末原「……卓につけや。愛宕」


あ?


末原「そんなガチでやりたいんやったらうちが相手したるわ」


はあ?


なにを言うとんやこいつ。


うちに名前も覚えられとらんくらいのやつが、うちとガチでやってまともな勝負になるとでも思うとるんか?


アホちゃうん?


せっかく美人なんやから、黙ってニコニコ笑っとればええねん。


末原「まさか逃げるんか?」


なのになんでわざわざそないなこと言うねん。


末原「……」キッ


なんでそないな眼でうちを見るねん。


そないな眼で見られたら……やりとうなってしまうやないか。


おもろい。


ホンマおもろいやんけ……!







第3話