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プロローグ   第1話   第2話


『恭子と洋榎』











末原「……」

由子「恭子、部活いくのよー」

末原「……」

由子「……恭子ー? きいてるのよー?」

末原「……ほっといてくれへんか」

由子「もしかしてまだ落ち込んでるのよー?」

末原「もしかせんでも落ち込んどるわ……」

由子「1回負けたぐらいでへこみすぎなのよー」

末原「1回ちゃう、去年も負けたから2回や……」

由子「いやそんなことはどっちでもいいのよー」

由子「とにかくサボりはよくないのよー。部活いくのよー」グイグイ

末原「メゲるわ……」


あの親睦会から3日がたった。

愛宕との対局の結果は私の惨敗。

去年のインターミドル予選と同じく、とくにみるべきところもなくあっさりと負けてしまった。


由子「いい加減げんきだすのよー」

末原「せやかてうち、あんだけ啖呵きっといてあんなあっさり……カッコ悪すぎやで……」

由子「たしかに勢いの割にあっさり負けてちょっとダサかったのよー」

末原「うぐぅ……!」グサッ

由子「それにしてもなんであんなこと言ったのよー」

末原「それは……」


それは……なんでやろな。

みんなまとめて愛宕に雑魚よばわりされて腹がたった?

それはある。

せっかく由子が企画した親睦会をフイにされるのが嫌だった?

それもある。


しかし、1番はどちらでもない。

愛宕の眼。

あのとき激昂した愛宕。

私はその愛宕の眼から強い意志を感じた。

強いやつと本気で勝負がしたい。

本気の『たのしい』麻雀がしたい。

そんな愛宕の強い思いが伝わってきた。

だから私は彼女に立ち向かった。

実力は足らないかもしれない。

しかし私だってお前と本気の勝負がしたい。

愛宕の想いに応えたい。

そんな気持ちになったのだ。

……なってしまったのだ。


末原「その結果がこれやからなぁ……」ハア……


正直勝てるなどとは思っていなかった。

しかし私だって姫松に入ると決めたときから練習は欠かしていない。
少しは強くなっているという自負もあった。

愛宕との差も少しは縮まったのではないか。

本気でぶつかれば一矢報いることぐらいはできるのではないか。

そんな思いがあったのだ。

しかし現実には完全に惨敗。

まったく歯がたたなかった。


あれだけの大口を叩いておいてあっさりと負けてしまった私に呆れたのか怒ったのか、愛宕は対局が終わるとなにも言わずに部室を出て行ってしまった。

それから今日まで部活中に顔をあわせる機会も何度かあったが、言葉は一言も交わしてはいない。


由子「こんにちはー」ガラガラ

末原「お疲れ様です……」


部室に入ると、すでに何人も部員がいた。
なかには早くも対局や牌譜検討を始めているものいる。


善野「あら真瀬さん、末原さん。こんにちは」


善野監督もすでに部室にいた。
私たちを確認すると、こちらに近づいてきた。


善野「きいたわよ末原さん。親睦会で愛宕さんと一悶着あったそうじゃない」

末原「う……はあ、まあ……」


どうやら善野監督もすでに愛宕との話はきいているようだ。
私は胃がしめつけられるような気分になった。


善野「で、どうだったの?」

末原「どう……とは?」

善野「対局の結果よ。打ったんでしょう?」

末原「そ、それは……」

由子「恭子のボロ負けでしたのよー」


言い淀む私のかわりに由子が答えた。
頼むからもうちょっとマイルドに言ってくれへんか。


善野「そう……。それは残念だったわねぇ」


そういいつつも監督はさして残念そうな様子にはみえなかった。
むしろどこかうれしそうな顔にみえるのは私の気のせいか?


末原「まあ……そういうことです」

善野「それで、末原さんはどう思ったの?」

末原「……正直くやしいです」

末原「私だって中学最後の大会で愛宕に負けて、姫松に入る決心をしてから努力を怠ったつもりはありません」

末原「でもこないだの愛宕との対局では、正直ちっともあいつに近づけた気はしませんでした……」

由子「……」

善野「ふんふむ。末原さんが成長したのと同じくらい、いえ、もしかしたらそれ以上に愛宕さんもまた強くなっていたみたいね」

末原「はい……」

善野「ふんふむ……」


善野監督はもう一度うなずくと、顎に手を当ててなにか考え始めた。
まったく関係ないが監督のその仕草はどこか上品で美しかった。


善野「あら?」


と、そこで監督はなにかに気づいたようだ。視線は私たちの後方に向いている。

なにかと振り返ってみると、部室の扉の前に愛宕洋榎がいた。
今来たばかりなのか、カバンを肩にかけたまま黙ってこちらをみつめている。


善野「こんにちは愛宕さん。どうかしたかしら?」

洋榎「こんちは、監督。……いや、えっと」


愛宕は監督にあいさつした後、目を泳がせながらなにやら言い淀んだ。
いつでも誰に対してもハッキリとした態度をとる愛宕にしてはめずらしい様子だ。

そんな愛宕の様子になにかピンとくるものがあったのか、善野監督は私に耳打ちしてきた。


善野「もしかして末原さんに用があるんじゃないかしら」コソッ

末原「え? うちですか?」

善野「ええ、そんな気がするわ」

末原「……愛宕、うちになんか用か?」


私がそうたずねると、愛宕はなにか言いづらそうだったが、やがて意を決したようにこちらを向き直って言った。


洋榎「……部活の後、ちょっとツラ貸せや」

末原「え」

洋榎「部活終わったら昇降口で待っとるからな」

末原「ち、ちょっとまちや……」

私の制止もきかずに愛宕はいってしまった。

末原「なんなんやいったい……」


愛宕の方から振り返ると、監督と由子はなぜか鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。


善野「ふうん」

由子「ほほー」

末原「なんですかふたりとも……」

由子「これはデートのお誘いかもしれないのよー」

善野「若いっていいわねぇ」

末原「今のどこをどうみたらそうなんねんっ!」ビシッ








その日の部活は特になんの変哲もなく終わった。

あんな約束をした後だったので私はどうしても愛宕が気になってしまったのだが、愛宕の方はこちらに目をくれることもなく、いつも通り上級生と打っていた。

そして愛宕との約束の時間となった。


末原「……なんや緊張してきたな」

由子「ヘタレなのよー」

末原「せやかてあんなことがあったばっかやし……喧嘩売られたらどないしよ」

由子「たぶん愛宕さんはそんなことしないのよー」

末原「なんでわかんねんそんなこと」

由子「なんとなくなのよー」

末原「なんやそれ……」

由子「ま、明日くわしく話をきかせてほしいのよー。私は先に帰るのよー」

末原「……りょうかいや」


由子が帰ったあと、私はひとりトイレで鏡と向き合った。

愛宕はいったい私になんの用があるのだろうか、なにを言う気なのか。

もし本当に取っ組み合いの喧嘩になったらどうすべきか。

はっきりいって私は力には自信はない。愛宕も決して体格のいい方ではないが、運動神経はよさそうだ。
いざという時逃げられるだろうか。

いっそ由子について来てもらうべきだっただろうか。

しかし愛宕が呼び出したのは私ひとりだ。

だったらやはり私がひとりでいくべきだろう。

様々な考えが私の頭を駆け巡る。


末原「……ごちゃごちゃ考えてもしゃあないか」


結局私がだした結論は、なるようになれ。

愛宕の考えが一切わからない以上考えても仕方がない。行ってみるしかない。

女は度胸や。

私は両手で頬をピシャリと叩くとトイレを出て待ち合わせ場所の昇降口にむかった。










愛宕は約束通り、昇降口にいた。

壁にもたれかかったまま宙を見上げなにか考えている様子だった。


末原「きたで」

洋榎「ん、きたか」

末原「……」

洋榎「……」


黙って向かい合う私たち。

こちらを向いた愛宕の表情は笑顔でこそなかったが、少なくとも攻撃的なものではなかったので私はひとまず安堵した。


洋榎「ま、こんなとこで話すのもなんやし、ちょっと歩こか」

末原「ああ」


そう言って愛宕は背を向けて歩き出した。私も追従する。


洋榎「……」テクテク

末原「……」テクテク

洋榎「……」スタスタ

末原「……」スタスタ

洋榎「……」トコトコ

末原「……」トコトコ


き、気まずい……。

そういえば私と愛宕はふたりきりになるのはこれが初めてだ。

言葉を交わしたことも少なく、ましてや数日前には揉め事までおこしている。

会話など弾むはずもない。

しかしそれにしたって愛宕はもっと賑やかで常に喋っているようなイメージだった。

現に部活中でも目上の上級生に対しても臆せず話しかけている。

それが今はどうだ。喋るどころかこちらに見向きもしない。

やはり愛宕は私が嫌いなのだろうか。


洋榎「電車乗るで」


短くそう言う愛宕。
いったいどこに連れて行くつもりだ。

電車を降りてからまた少し歩いて私たちがたどり着いたのは一軒のお好み焼き屋だった。
こじんまりとしてはいるが、中々年季の入った歴史がありそうな店である。


洋榎「ここがうまいねん」


愛宕は店の引き戸を開け暖簾をくぐり入っていく。私も続けて入る。
途端にソースのいい香りが私の鼻腔と食欲を刺激した。


店員「いらっしゃいませー!」


この店の娘さんだろうか。
中学生くらいの店員の元気のいい声が私たちを迎えた。


洋榎「豚玉大盛り!」


愛宕は席に着くや否やお冷やを持ってきた先ほどの店員にすぐさま注文した。

ちょっとまてや、はやい。


洋榎「自分はなににするんや?」


だからまだ決めてへんっちゅうねん。


末原「えーと……うちはイカ玉で」

店員「はい! 豚玉大盛りとイカ玉ですね!」


元気よく答える店員さん。

それにしても注文票をつける手元を見ていたら気が付いたのだが、この店員さんお若いのにかなりのおもちをお持ちだ。

私はこの歳になっても胸のほうはさっぱり成長しないのだが、そういえば愛宕もそういう点では私といい勝負だ。

少なくともこの中学生くらいの店員には私と愛宕がたばになってもかなわないだろう。

麻雀の実力は雲泥の差でも、おもちではふたり揃って中学生に惨敗か……皮肉なもんやな。


洋榎「? どないしたんや?」

末原「いや、べつに」






末原「それで、うちになんかようか?」

注文をとった店員さんが去った後に、私はすぐに切り出した。
いい加減なんのために私を呼び出したのかきいておきたい。

洋榎「んー? ……いや、まあ、その……わるかったな、と思てな」

末原「え?」

洋榎「うちのせいでせっかくの親睦会をあんな感じにしてしもうたし……」

洋榎「みんなにひどいこと言うてもうたし……」

末原「……」


意外にも愛宕はしおらしい態度だった。
私のイメージではもっと勝気で何事もゆずらない頑固なタイプかと思っていたが、思いの外素直なところもあるらしい。


末原「まあ、それはうちのせいでもあるわ……」

末原「うちが変につっかかったせいでああなったんやし……」


愛宕にそういう態度をとられるとこちらも強くでるわけにもいかない。
私もなんとなく愛宕をフォローするようなことを言ってしまった。


洋榎「……」

末原「……」


先程とは別の意味で気まずい。


末原「で、でも謝るんやったらうちにだけ言ってもしゃあないで。みんなに言わんと」

洋榎「そやな、それはわかっとるんやけど……今日はお前と話してみたかったてのもあるしな」

末原「うちと?」

洋榎「せや」

末原「なんでや」


私と愛宕の接点といえば2度私がボロ負けしたことしかないはずだが、そんな私とどんな話がしたいというのか。


洋榎「はっきり言うで。お前は弱い」ビシッ


グサッ。


末原「……そうか、うちをイジメにきたんか」ウルウル

洋榎「い、いや、ちゃうて。弱いいうても現時点でうちと比べてって話やで。そんな凹みんなや……」アセアセ

末原「う、うん……」グスッ

末原「でも、せやったらなにが言いたいねん」

洋榎「お前みたいによわ……あんま強くないにもかかわらず、うちにあんなふうに向かってくるやつはあんまおらんかったからな」

末原「なるほど、うちを身の程知らずのアホ言いたいんやな……メゲるわ」ホロリホロリ

洋榎「やからちゃうて、泣くな! ……そうやのうて、うちが言いたいのはやな 」

洋榎「お前は見所があるっちゅう話や」

末原「……へ?」

洋榎「相手が格上でも突っかかる根性が気に入ったちゅうんや」

洋榎「実際の麻雀の打ち方も、まだ粗は多いけど筋はよかった。うちの勘やとお前はもっと強うなる」


よくわからないがどうやら私はこいつに褒められているらしい。


末原「はあ……」

洋榎「せやから、その……」

洋榎「と、とくべつにうちのツレにしたってもええんやでっ!」フンスッ

末原「……」

洋榎「……なんやその顔は」

末原「……いや、ごちゃごちゃいろんなこと言うからなにかと思うたけど」

末原「ようはうちと友達になろうっちゅう話やな」

洋榎「ひゃー、そんなストレートにいうなや! はずかしい! ……も、もしかしていやなんか?」

末原「いや、もちろんええで」

洋榎「そか、よかった!」ニコッ

末原「……む」


なんやこいつ、かわいいとこもあるやんけ……。


洋榎「……それともひとつきいとかなきゃならんことがあってやな」

末原「? なんや?」

洋榎「いやこれきいたら怒るやろな〜」

末原「なんやねん、ええから言えや」

洋榎「……ホンマに怒らへん?」

末原「ええからはよ」

洋榎「お前名前なんやったっけ?」

末原「は?」

洋榎「お前の名前。実はおぼえてへんねん」

末原「……」ハア……

洋榎「……やっぱり怒っとるやないか」

末原「あきれとるんや……」

末原「いやむしろメゲとるんや……そうか、うちは名前覚えられる価値もないんか……」

洋榎「い、いや、ちゃうねん! うち人の名前覚えるの苦手やねん!」

末原「ゆーこの名前は覚えとったのにな……」

洋榎「いや真瀬は髪型が特徴的すぎて1発で覚えてしもたんや!」

末原「たしかにうちも初めてゆーことあった時髪型のおかげで1発で顔と名前覚えたわ……」

洋榎「せやろ! インパクトありすぎやねんアレ! いったいどうなっとんのや!?」

末原「うちもゆーことはそれなりの付き合いやけどいまだにわからへんのや」

洋榎「ほんまかいな! これは姫末麻雀部七不思議のひとつやなあ……って、ちゃう! 今は真瀬の髪型はどっちでもええねん!」

洋榎「お前の名前や! はよ教えてんか」

末原「山田花子や」

洋榎「んな名前のやつ今時おるかい!」

末原「おい、全国の山田花子さんに失礼やろ」

洋榎「ええからはよ教えろや」

末原「……末原や。末原恭子」

洋榎「末原恭子……。わかった、恭子やな!」

末原「いきなり名前呼びかい」

洋榎「ええやないかべつに。恭子もうちのこと洋榎って呼んでええで?」

末原「え」

洋榎「うちが名前で呼んでんのにそっちが名字やったらおかしやろ、はよはよ!」

末原「ひ、ひ……」

洋榎「……」

末原「……」

洋榎「……」

末原「……ふう」

洋榎「呼べや!」

末原「だってなんやはずいし」

洋榎「なんでやねん! 名前呼ぶだけやろ!」

末原「うち人のこと名字でしか呼ばん主義やねん」

洋榎「さっき真瀬のことゆーこって呼んどったやろがっ!」

末原「お前の名前おぼえにくいねん」

洋榎「たった3文字やろが! ひ! ろ! え!」



店員「あ、あのう……もう少し静かにしていただけませんか……?」

末洋「「すんません」」

店員「それと豚玉大盛りとイカ玉お待たせしました!」

末洋「「ありがとうございます」」



洋榎「恭子のせいで怒られてしもたやないか」ジュジュー

末原「大声でツッコンどったんはそっちやろ」ガッガッ

洋榎「お前がへんなボケするからや」ハフハフ

末原「名前覚えてないお返しや。入学から何週間たってると思てんねん」モグモグ

洋榎「やから悪かったて。ここに来る途中もどうやってききだすかずっと考えとってん」ウマイナ

末原「妙に黙りこくっとると思っとったらそれが原因か」アア

洋榎「けっきょくふつうにきいてもうたし」ソッチモウマソウヤン

末原「最初からきけや」ウマイデ

洋榎「まあそれはそうと……恭子、うち考えたんやけどな」ヒトクチクレヤ

末原「なんや?」アーン

洋榎「明日から部活終わった後うちと練習するで」ウマイナ モグモグ

末原「え?」

洋榎「さっきも言うたけど、恭子はまだまだ強くなれる」

末原「……そやろか」

洋榎「ああ、うちもまだまだやけど、恭子になにか教えてやれることもあるやろ」

末原「そらうちはありがたいけど……ええんかそんなことしてもらって」

洋榎「うちもちょうど自主練の相手が欲しかったとこや。かまへんで」

末原「そか……」

洋榎「せや、真瀬も誘うで。ほんで三麻しようや」

末原「3人だけでええんか? せっかくやったら4人誘ってふつうに打ったほうが……」

洋榎「いやいや、たまには普段とは違うことをしたほうがええ」

末原「そうなんか?」

洋榎「しらんけど」

末原「しらんのかい」

洋榎「もしかしたら将来ここぞってときに役に立つかもしれんで」

末原「ホンマかいな」

洋榎「それに、あんま多すぎてもやりにくいやろ。とりあえず3人くらいでええわ」

末原「まあ、うちはどっちでもええけど」

洋榎「決まりやな」フフ

末原「? なに笑ろてんねん」

洋榎「いや、なんやたのしくなりそやな思て」

末原「なんやそれ……」

洋榎「まあ、ええやないか」

そう言って彼女は笑う。

私はひとりで勝手に納得し、勝手にうれしそうにしている彼女に呆れ笑いながら、以前監督に言われたことを思い出していた。


ふたりはいいライバルになれるかもね。


善野監督がどういう意味で言ったのかは私にはわからない。

私と愛宕の間には大きな差がある。

それは去年の夏、そしてこの間の対局で思い知らされた。

実力的に言えば彼女は雲の上の存在だ。

しかし、その雲の上にいる彼女も、今はこうして私の目の前に、すぐそばにいる。

なぜ、彼女が自分から私にこうして近づいてきたのかはわからない。

しかしなんにせよ、そのおかげで私は今、彼女を見ていることはできる。

彼女といっしょにいることでなにか得られるだろうか。

彼女といることで私にどんな変化がもたらされるのか。

彼女は私にとってどんな存在となるのか。

もし監督の言うように、私が愛宕洋榎のライバルに、彼女の横に並び立てる存在となれたとしたら、私の周りはどうなっているだろうか。

そのときの私にはなにができるのだろうか。

私の頭の中を様々な思いが駆け巡る。


洋榎「はよ食わんと冷めるで」

末原「わかっとるわ」


……しかし考えていても仕方がない。

今はひとまず頭を使うのはやめて、目の前のお好み焼きを食べるとしよう。

悩むのはそれからでもいい。


洋榎「これからよろしく頼むで、恭子」

末原「ああ、こちらこそ。洋榎」


私たちの3年間は、まだ始まったばかりなのだから。