image


おひさしぶりです。誠淡です。


 





虎姫控室にて


誠子「はあ~あ……」

淡「今日もトバされちゃったねぇ」

誠子「自信なくすなぁ……」ハァ

淡「げんきだしなよ。ちなみに私は今日ほとんどトップだったけどね!」ドヤア

誠子「はげます気ないだろ……」


誠子「私これでも中学のときは結構活躍してたんだよ」

淡「え、 亦野センパイが? いっがーい」

誠子「おい」

誠子「でも白糸台には上なんていくらでもいるんだよな」

淡「うん! たとえば私とかね!」

誠子「……まあそうだけどさ」


誠子「そういえば大星ってそんなに強いのに中学のときは全然名前きいたことなかったな」

淡「まあ私中学では麻雀部に入ってなかったし、大会とかでてなかったからね〜」

誠子「え、そうなのか。じゃあ大星は中学のときはなにしてたんだ?」

淡「ん……」

誠子「べつの部活してたとか?」

淡「……」

誠子「大星?」

淡「それは……」


そのときだけいつも無邪気に笑ってる淡の顔が暗く沈んだようにみえた。

誠子(なんか悪いこときいちゃったかな……?)


ガチャ

菫「お、淡。ちょっといいか」

淡「あ、はーい。なんですかー」タタタッ


誠子(あ……)

誠子(結局なにも言わなかったな)

誠子(きかれたくないことなのかな……)

誠子(でもちょっと気になるな……)

誠子(それとなく周りの人にきいてみるか……)


つぎの日 教室

誠子「ねえ尭深」

尭深「なに?」

誠子「大星がどこの中学からきたとか知ってる?」

尭深「え、淡ちゃん? ううん……私はきいたことないな」

誠子「そっか……」

尭深「弘世先輩だったら知ってるんじゃないかな?」

誠子「弘世先輩か……うん、そうだね。ありがとう」



部室にて

誠子「弘世先輩、ちょっといいですか」

菫「うん? どうした」

誠子「大星のことなんですが」

菫「淡がどうかしたか」

誠子「大星の中学時代の話とかきいてますか?」

菫「淡の……? いや、そういえばきいたことないな」

菫「私が知っているのは中学の時は麻雀部には入ってなかったことと、照が見つけてひろってきたということだけだな」

誠子「ひ、ひろってきた……?」

菫「悪いがそれ以上詳しくは知らないな。照にきいてみたらどうだ?」

誠子「わかりました……ありがとうございます」


誠子(部長も知らないのか……それにしても宮永先輩がひろってきたってどういうことだ?)


誠子「あの……宮永先輩。ちょっといいですか?」

照「なに?」

誠子「その、淡の昔のことを教えてほしいんですが……」

照「昔の淡……」

誠子「ええ……宮永先輩が淡をひろってきたとかきいたもんで」

照「……」

照「……私も、淡と出会ってからまだ1年もたってない」

照「私が淡をひろってきたのは本当」

誠子「大星はそのときどんな感じだったんですか?」

照「それは……」

照「……やっぱり私からは話せない」

誠子「ええ?」

照「本人から直接きいたほうがいいと思う……亦野は最近淡と仲がいいし教えてもらえるかもしれない」

誠子「え、いや、あの」

誠子(教えてもらえなかったんだけどな……)


帰り道

誠子(結局よくわからなかったな……)

誠子(本人からきいたほうがいいって……どういうことなんだろう)

誠子(なにか重い過去でもあるのかな……だったらもうきかないほうがいいのかもな)

淡「亦野セーンパイ!」バシィ!

誠子「いて! わわ、お、大星!?」

淡「? どしたのそんなびっくりして?」

誠子「い、いや別に……」

誠子(お前のこと考えてたんだよ……)

淡「いっしょにかえりましょうよー」

誠子「ああ」


テコテコ

テコテコ


淡「~♪」

誠子(こうしてみてるとふつうなんだけどなぁ……)

淡「ん? どしたのじっとみて」

誠子「ん、いやべつに」

淡「私のかわいさにみとれちゃったー?」ニヘヘ

誠子「はいはい」

淡「ところで亦野センパイ」

誠子「ん?なんだ?」

淡「私の昔のことをかぎまわってたみたいですね~?」

誠子「ぶっ!? い、いや、そんなことは」

淡「隠さなくってもいいよー。もうバレてるから」

誠子「うう……ごめん」

淡「べつにいいけどねー。でも私のことそんなに気になりますか~?」ムフフ

誠子「い、いやそういうわけじゃ」

淡「……亦野センパイがどーしてもききたいっていうなら教えてあげてもいいけどー?」

誠子「え、で、でも……あんまり話したくないことなんじゃ……」

淡「……逆にきいてほしいって言ったら……きいてくれますか?」

誠子「え……」

淡「……」

誠子「あ、ああ。もちろん」

淡「ほんとに……?」

誠子「……うん」

淡「……」

誠子「……」

淡「……へっへー」クルン

誠子「え?」

淡「亦野センパイにはなーいしょ! べーだ!」

誠子「な、なんだよそれ~」

淡「おしえてあげないもーん」


結局淡は教えてくれなかった。

でも正直私はホっとしてしまった。

きいてくれますか? と言って私の顔をのぞきこんだ淡の表情が、とてもさみしそうで不安そうな顔だったから。

もしきいてしまったら……二度とこんな笑顔をみせてくれないんじゃないかって、そんな気がしてしまったから。

淡。お前がそんな顔をしなきゃならない過去っていったいなんなんだよ。

私にはわからないけど、でも、私はいつもそうやって笑ってるお前の方がいいな。

先をいく淡の笑顔をみながら、私はそんなことを思った。