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京咲です

 
部室


京太郎「ちーす」ガラガラ

咲「あ、京ちゃん」

京太郎「お? 咲だけか」

咲「うん、今日はみんな遅れるって」

京太郎「へえ、めずらしいな」

咲「うーん……」カチッカチッ

京太郎「お、ネト麻してんのか」

咲「うん……部長がひとりのときはネット麻雀で練習しときなさいって。でもあんまりうまくいかなくて」

京太郎「相変わらずだな。そんなに違うもんか?」

咲「ぜんぜん違うよぉ……ホントにこれ麻雀なの?」

京太郎「麻雀だろ」

咲「でもぜんぜんカンできないよ?」

京太郎「ふつうはそんなにできないんだよ……」

咲「それにチーがしづらくて」カチカチ

京太郎「チー?」

咲「あ、ほら……ホントは123でチーしたかったのに234でやっちゃった……」カチ

京太郎「あー、選択するとこ間違えたんだな」

咲「あ……振り込んじゃった」ロン!

京太郎「あちゃー、結局ラスか」

咲「やっぱりむいてないよぉ……」

咲「ホントに意味あるのかなぁこれ……」

京太郎「……」

京太郎「いいか、咲。全国にはいろんなやつがいるんだ」

咲「え?」

京太郎「その中には咲の力が通用しない相手もいるかもしれない」

咲「……」

京太郎「このネット麻雀はそんなときのための備えでもあるんだ」

咲「京ちゃん……」

京太郎「……なーんて、ぜんぶ部長の受け売りだけどな」

咲「なーんだ」アハハ

京太郎「もいっかいやろうぜ。今度は俺も手伝ってやるからさ」

咲「うん、やってみる」






咲「……」カチッカチッ

京太郎「……」

咲「あ、京ちゃん、チー」

京太郎「おう。789でいいか?」

咲「うん」

京太郎「ちょっとマウス動かすぞ」ギュッ

咲「あ、手……」

京太郎「よっと。こういうときはこっちをクリックするんだ」

咲「……」

京太郎「おーい、咲? 聞いてるか?」

咲「あ、うん。ありがと京ちゃん」

京太郎「?」

咲「……」





咲「……」カチカチ

咲「あ、京ちゃん。またチー」

京太郎「ん? おう、567でいいのか」

咲「うん」

京太郎「よっと」ギュッ

咲「えへへ……」

京太郎「? なに笑ってんだ?」

咲「ううん。なんでもないよ」







結局、今日はみんな部室には来ず、下校時間まで俺達はふたりでネット麻雀で練習をした。

今日の咲はなぜかやたらとチーをしたがり、その度に俺は咲の手の上からマウスを握り、操作を手伝ってやった。

成績自体はそんなによくなかったけど、咲はなぜか上機嫌だった。

ネット麻雀に慣れたのかな? よかったよかった。