久々のSS紹介記事ですよ。

今回は末爽小説の金字塔(フォロワーさん談)の紹介です。



凡人変人ルームシェア

作者 あるみねさん


あらすじ

大学に進学した末原恭子。
恭子はそこでかつての対戦相手である獅子原爽に再開する。

最初こそ食堂で週に1度会話をする程度の仲だったふたりだが、恭子のある悩みとそれに対する爽の提案を発端として関係が深まっていく。 

以下ネタバレを含みます。 

感想


個人的に私が二次創作のCP系の小説を書く際において大事だと感じてることに「そのふたりで無ければならなさ」を如何に表現できているか、ということがあるんですが、この作品はそれが100点満点だと感じました。
一見軽そうで苦労などとは無縁そうに見える爽くんが実はたくさんのバイトをしなければ生活できない苦学生であり、それ故に世を渡るすべを身につけているところ。
逆に一見苦労人にみえる末原さんが実は麻雀以外の部分では意外と恵まれており、さらに自らの魅力に無自覚で世間的に少し危ういところ。
これらふたりの性格と境遇をうまくマッチさせてこのふたりの組み合わせにしかない魅力を存分に出せている作品だと思いました。

その中でもとくに末原さんの女性的な魅力をうまく出せていると思います。
末原さんは賢く、精神的にもしっかりとした女性ですので他作品でもどうしても「かわいい」というよりかは「かっこいい」表現をされることが多いのですが、この作中の末原さんは思わず守ってあげたくなるような、どこか頼りなさというか危うさを持っていますね。
それを末原さんのキャラを崩さずに表現できているところに、キャラクターへの深い理解と、うまく動かすことができる確かな技量を感じました。


※ここから先はこの作品の感想というより私が勝手に思ったことなので別に読まなくても大丈夫です。

さてさて。この作品は題名の通り、末原先輩と爽くんが同棲を始めるという作品です。
ちなみにご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、このふたりが一緒に住み始めるという内容の小説は実は私も書いていたりします。これです。
故に自然と自分の小説と比べてながら読むことになったわけですがそこでちょっと思ったことがあったのでついでに書いとこうかと思った次第です。


突然ですが皆さんは獅子原爽という人物をどう解釈していますか?
私は正直に言うと彼女を原作で読んだ際、「他人の為にしか頑張ることができない人間」なのではないかと思ってしまったんですね。
強い能力と確かな知略を持ち合わせておきながら、もしもユキちゃんと出会わなければ彼女はインハイになど出ようとも思わず、一介の麻雀部もどきの1人として高校生活を終えていたことでしょう。
自分の為に頑張ることができない。
それが獅子原爽という人間の弱さだと、獅子原爽という人間の限界だと私は解釈してしまったんですね。
私の自分の書いた小説でもそのあたりについて書いています(伝わってるかどうかはともかく)

一方この凡人変人ルームシェアの作中にはこんな台詞があります。

「っていうより、これはさ、助けてもらってるだけなんだよ。だから遊びとか趣味とかじゃなくて、自分の利益のためじゃなくて、こう……他の人に必要なときに活用したいんだ」

この台詞を読んだ時、私は自分の解釈について作中の爽くんに返答されたような気分になりました。
カムイは知っての通り麻雀だけでなく日常生活にも応用できる、ひとつ使い方を間違えれば危険な力です。
それを理解しているが故にこの作中の彼女は自分の為に力を使わないのです。

つまりなにが言いたいかと言うと、
私が獅子原爽の弱さだと解釈した部分を、この作品では強い力を持ってはいるがその危険性もまた理解しているためあえて使わないという、むしろ強さとして解釈され表現されていたのです。

私はなにも自分の解釈が100%間違っているとは思っていません。
しかし、爽くんが人を助ける理由、自分の為に能力を使わない理由としてどちらがしっくりくるかというと断然この作品の爽くんの方だと感じました。

なにを大袈裟なと思われるかもしれませんが、同じ原作でまったく同じ題材の小説を書いたにもかかわらず、1番重要な部分の解釈がまるっきり正反対だったということに私は衝撃を受けたのです。
まあ、それが二次創作の楽しいところなのかもしれませんね。

ちなみにお前の解釈がアホなだけやないかという意見は間に合ってますのでいりません……。