2013年12月15日

プーぎらい


 実は、わたしは「くまのプーさん」が好きではありません。ぃゃむしろ嫌いです。原作の挿絵の雰囲気もディズニー版の雰囲気も、まるっと全体的に見たときには「ふうん」と受け流せるのですが、ディズニー版のプーさんだけを取り立てて見るとき、生理的な恐怖感を覚えてしまうのです。
 この話は、わたしとのおつきあいが長い友人知人の皆様には割と今更情報で、「話せば長くなる」理由も周知の事実に近いものになっています。

 ところが、最近になって知り合った新しい人脈においては、この「プーぎらい」にまつわるエピソードの数々が、意外で斬新で面白いものに聞こえるらしい。
「プーさんの話、また最初から聞かせて」
 わざわざ飲み会の席でリクエストを受けることもあり、なんというかこう……お笑い芸人の持ちネタのひとつのようにカウントされているようです。
 本人にしてみれば、過去の恐怖体験やトラウマを含む話なので、あんまりペラペラ喋り散らしたくはないのですが(喋ることで追体験してしまうので)、笑い話にして浄化していくのも解消の手段なのかな……と思い始めました。

 というわけで、今回は、思う存分「話せば長くなる」ままに長々と、話してみたいと思います。

 できれば、ものすごく純粋にディズニー版のプーさんを愛している方については、お読みにならないほうがよろしいかと存じます。「思想の自由」と「言論の自由」を理解してくださる方のみ、お読みください。
 ――この記事、超ひさしぶりに炎上するかもなぁ……

    ◆

 大学1年生の英会話の授業にて。
 アメリカのTV番組のプーさんを題材に、ひたすらリスニングとロールプレイをするという過酷な授業がありました。
 音源を聴きながら、虫食いスクリプトを埋め、シャドーイングをして台詞を覚え、隣の席の人とペアを組んで会話を練習して寸劇形式で発表するという、めちゃめちゃ過酷な授業だったのです。

 ――って、ペアを組んだ「隣の席の人」が今もマイミクさんにいること、同じ授業を受けた元クラスメイトがマイミクさんやフォロワーさんにいるということに、急に気づいて感動しています。余談ですが。

 でですね。その「主題歌」といえば、今でもソラで歌えるほど、これでもか的に頭にこびりついているわけです。まさかと思いつつ YouTubeで検索したら、現物が見つかってしまったのでかなりビビっていますが、



 ひぇ〜〜(^^;
 コレだコレ! 正にコレ!

 記憶を頼りに歌詞を書き出してみると(上の動画で曲を聴いたら口からツルツル英語が出てきてビックリ)、

I've gotta get up, I've gotta get going.
I'm gonna see a friend of mine.
He's round and he's fuzzy.
I love him because he's just Pooh Bear,
Winnie the Pooh Bear
Lookin' for fun, chasin' some honeybees.
Pooh Bear, I know he's out there
Grumbly-tumbly, climbin' a honey tree.
Fun never ends for us, we're so adventurous.
Least every now and again.
And when we're alone and there's nobody home
It's nice to be able to count on a friend like
Pooh Bear, Winnie the Pooh Bear.
Wherever you go, oh won't you take me please?
Pooh Bear, I gotta be there.
It's me and it's you.
My silly old Winnie the Pooh.

 そう。この最後の1文。

「My silly old Winnie the Pooh.」

 アニメの中で、プーさんのことを頻繁に、「The silly old bear」呼ばわりするんですよ。直訳すると、「馬鹿げた古びたクマ」です。つまり、この歌の最後は、「お馬鹿で老けてて可愛い僕のプーさん」ということになります。
 この歌詞の和訳を最初に知ったとき、わたしと隣の席のクラスメイトは、
「年老いてて馬鹿げてるって……ボケ老人ってこと……?」
 とんでもない意訳をしてしまい、そのシュールな内容にドン引きしてしまったのです。
 いや、ほんとは「古びている」のは老人だからじゃなくて、子どもの頃からずっと大事にしていた、「歴史のある」という意味なんだけど。当時はほら、英会話初心者だったから。辞書を引いて最初に出てきた言葉にのみ頼って理解しようとしていたから。「old friend」ではなく「old lady」のほうの「old」でインプットされてしまったのです。

 生まれて初めて「くまのプーさん」の概要を詳しく知ったときの印象が、それでした。

    ◆

 それから数年が経って……。

 当時めちゃめちゃ仲良くツルんでいたメンバーの中の1人の男性が、いわゆるポッチャリ系で、ほっぺた周辺のシルエットがディズニー版のプーさんそっくりでした。
 それだけのことで、わたしは悪意も他意もなく彼に言いました。
「○○さんってプーさんに似てますよね」
「○○さんってプーさんみたいです」
「くまプーさんって呼んでもいいですか」
 自分としては、“言い得て妙”な表現を見つけたことが嬉しいだけのことで、ほんとうに悪意も他意も好意もヘチマもなかったのです。

 ところが、世間の常識というか、いわゆる「フツーの女の子」というものは、おしなべてクマ的なキャラクターが好きである、と。中でも、「プーさん大好き」であることが多い、と。
 そんなものに「似ている」と連呼された彼が、この後どのようなカン違いをしていくかについては、想像に難くありませんね。当時のわたしには思いも寄らなかったのですが、そりゃもう彼は、わたしも「プーさん大好き」女子に違いないと思い込み、「大好きなプーさんに似ている」彼のことも大好きに違いないと思い込むに決まっています。今にして思えば、本当に申し訳ないことをしました……。

 そうしたことから、先に述べた恐怖体験やらトラウマやらって物騒な事件に発展していったのです。
 さんざんカン違いさせておいて、告白されたら「全然そんなつもりはなかった」って、あたしゃ小悪魔ギャルか。しかも、自分のアホが原因で相手を思い詰めさせてしまったのだとはつゆも思わず、ピシャリと明確に拒絶してしまったために、事態は更に泥沼化していったわけです。
 夜中の電話に実家への郵便など、常軌を逸した行動にビビって、眠れぬ夜を過ごしたこともありました……。

 わたしの中で「プーさん」が恐怖の対象となったのは、この一連の騒動がキッカケなのでした。
 この一件以来、10年以上が経過した今も、我が大岡家は「プーさん禁止令」が下りたままです。かわいいキャラクターものが大好きなパパ上もママ上も、プーさんだけは、我が家の敷居を跨がせません。弟君がカノジョからもらってきたTDLみやげのプーさんキャンディーも、中身だけもらって缶カラは即「資源ごみ」です。徹底しています。逆に言うと、それぐらいのことを、くまプー男にされたということですね。
あとは御想像にお任せします。

    ◆

 しばらくして、原作の絵柄のプーさんグッズが出回るようになりました。

新旧プー対決!


 改めて見比べてみると、原作プーさんって“まっぱだか”なんですよね。
「うわ〜〜、“まっぱ”プーだ“まっぱ”プー!」
 既にプーさんに嫌悪感を抱いていたわたしは、原作プーを見て、散々に罵りました……が、なんとなくしっくりこないものを感じたのです。
 ――それじゃ、ディズニー版のプーさんがきちんと服を着ているか、というと……答えはノー。トレードマークの赤いシャツいっちょです。つまり、下半身は“まっぱ”のまんま、思いっきり露出している。

 Σヽ(゚∀゚;)

 ろ……露出狂……ッ!!
 あの、「ほーら見てごらん!」のオッサンと同類ッ!!

 むしろ“まっぱだか”の原作プーさんのほうが不自然じゃないように思えたのは、ヒトとしては実に正しい感覚なのでした(笑)。

 わたしの中で、このとき初めて、

・ボケ老人
・ストーカー男
・森の露出狂

 3つのキーワードが結びつきました。そして、プーさんに対する生理的嫌悪感が、確実なものになったのです。

    ◆

 もちろん、プーさんがいかに愛らしい存在であるのか、どうして女性や子どもがプーさんを好きになるのか、頭で理解はできています。「一般的に可愛いとされる」基準を満たしていることを、客観的に判断はできます。
 プーさん好きな友人のためにプーさんグッズを選ぶのは平気ですし、プーさん年賀状だって受け取って嫌な気持ちにはなりませんでした(わざわざ自分からは選ばないけど)。職場の子ども用品には自らプーさん柄を選びました。今だって例の「主題歌」が頭の中でグルグル回って愉快な気分になっています。
 でも、どうしてもダメなんです。プーさんのキャラクター造形、あの声、あの言動が、心の底で恐怖の記憶と結びついて、じっくり考えてしまうと、どうしても、受け容れられません。

 将来、我が子が保育園や幼稚園でプーさん大好きッ子になって帰ってきたら、どうしよう。そう思うと、まだ結婚もしていないのに気分が暗くなります。

 ・゚・(ノД`;)・゚・ みゃあぁ〜〜!!(悲鳴)

    ◆

 わたしが真剣に語れば語るほど、聞き手は笑いを噛み殺し、やがて笑い転げ、まともに相手をしてもらえません。
 まぁ……、わたし自身も最近は、そういう事態を楽しんでいるんですけどね。

 ただ、思い出すたびに、あの気持ち悪い手紙の文面まで思い出して悪寒が走る体質だけは、早いうちに改善したいと思っています。結構重症なのよ。
 


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oresamagician at 00:00コメント(2)トラックバック(0)徒然語録  

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コメント一覧

1. Posted by オスカー   2013年12月20日 16:11
こんにちは。私もプーさんは好きじゃないので、うなづきながら読んでしまいました。原画(?)のプーさんは大丈夫です が…ディズニーアニメの絵柄が全体的に苦手で、なぜあんなに夢中になるのかわかりません…!
しかし、なんてこわいプーさんの話だったのでしょう…思い込みって本当にオソロシイ((((;゜Д゜)))平穏無事な乙女の毎日が続きますように!
2. Posted by ちゅろ@おかしら   2013年12月21日 23:32
 ≫オスカーsama

 こんばんは! ここにもプーさん好きじゃない派がおいでだったとは驚き&喜び。
 今でこそディズニーリゾートやディズニー映画に慣らされて可愛いと思えるようになっていますが、もともとディズニーの絵柄は日本人向けじゃないんじゃないかなぁとか思ったり(笑)。海外のキャラクターでは、わたしはスヌーピーが大好きです。
 プーさんにまつわる個人的昔話、おっかないですよねー! ただホント、以前は怖い怖いで毛嫌いしてましたが、思い返せば自分で撒いた種でもあるなぁと深く反省してます。
 もう、これ以上何事もなく、過ごしたいです……。

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