おかしら四捨五入40歳、さすがに変な夢を見る機会は減った……かと思いきや(笑)、相変わらず、見る夢の大半は剣と魔法の冒険ファンタジーなのである。
 ただ、さすがに睡眠時間が短くなったせいか、ストーリー性という意味では非常に雑になった。そして、たとえば大海原で巨大なタコと格闘しながら「インクジェットプリンタで印刷したカラー資料のインクが流れる」心配をしていたり、妙なタイミングで変に現実が干渉してくる。
 それでも、やっぱり自分の見る夢は、面白い……。
 実写CGやアニメで見慣れた人魚の、鱗の逆撫でした触感とか、磯臭さとか、実際に見たことがあるかのようなリアルさで再現される、ファンタジーの世界。目が覚めてから、「たしかに、人肌っつうても水の中にいるのがフツウな人魚の人肌は、そりゃ冷たいわな」などと感心してしまう。肌についた砂の粒や、海藻の切れ端は、きっと自分が海で泳いだ経験からきている再現なのだろうが、それほど好きではなかった海水浴の記憶まで余すところなく思い出すのだから、人間の記憶力って大したモンだと感心するのだ。

 そんなわけで、ここのところ3夜連続で見た、なんだかよくわからん「鍾乳洞と地底湖と海賊と人魚の話」を書き散らかしてみる。

    ◆

 基本的に、わたしは海賊(でも元考古学者か何かっぽい)。中性的というか無性別というか……意識的には今の自分に近いけど「男」っぽい振る舞いはしている。
 よくある海の洞窟っていうの? 帆船から小舟を下ろして、島の割れ目の洞窟に入っていくカンジ。途中から岩肌が粘土っぽくなって、だんだん「新発見の鍾乳洞に足を踏み入れた考古学者」みたいに話が変わってくる。
 とうとう小舟では進めないところまで辿り着いて、みんなで降りる。ぬるぬる滑る地面に足を取られながら、みんなで支え合って前へ進む。
 ふと、
「この洞窟、こんなに奥まで来たのになんで明るいんだ?」
 と気づく。
 もちろん夢ならではのご都合主義なんだけど、「なんで」と思ったからには理由がつくのがオレ流。もすこし先に進んだところに、光る地底湖があった。
 ああ、地底かどうかは分からいんだけど。
 鍾乳洞の奥の奥に、ひっそりと湖が広がっていて、その透明な水の底が、まるで昼間の世界のように明るいんだ。
「これ、どこか地上の世界と繋がってんじゃねえ?」

 当然わたしは潜ってみることにした。
 そうそう、わたし、夢の中で「飛べる」っつうのは常々自慢してるけど、大概の場合、「水の中で息ができる」能力もあるのよん。
 そんなわけで、わたしは片足首にロープを縛って、その先を仲間に持っていてもらう。危険を感じたら思いっきり暴れて、全力で引っ張って連れ戻してもらうために。そして、別の地上の世界を見つけたらピッピッピッと合図どおりに引っ張って、「おまえらもついてこい!」と伝えるためにね。
 その水は、淡水だった。つまり、海じゃなかった。
 冷たくて甘い森の味だと思った。

 大きく息を吸い込んで、潜った。
 しばらく進んで息が苦しくなったら、今度は思いっきり息を吐ききって、ちょっと覚悟をしてから、再び息すなわち水を吸い込むのだ。ちょっと苦しくて咳き込みそうになるのを我慢して、ゆっくり限界まで吸い込むと、体が「水棲人」になる瞬間がある。水の冷たさを肺で感じなくなれば、あとは普通に息ができる。普通の空気より少し重たいんだけどね。
 ――んなこたぁどうでもいい(笑)。

 特に敵が現れることもなく進む。
 水中に山や森が沈んでいて、そこを飛んで登っていく感じ。ただ体に水がまとわりつく重さが、いつもの「飛ぶ夢」とは違う。
 しばらくして、光り輝く水面が(水中から)見えた……かと思うと、あっちから人魚が何人も飛び込んできた!

「ひさしぶりー!」
「待ってたのよー」
 半ば強制的に陸に引き上げられ、わたしは呼吸を陸上用に戻す。さっきとは逆で、水を思いっきり吐き出してゲホゲホしながら空気に肺を慣らしていくのだ。
「あたし達のこと覚えてない?」
「昔はあんなに仲良しだったのに、ひっど〜〜い!」
 なんというか……人魚のキャバ嬢に囲まれた感じ……。
 とりあえず足を合図どおりにバタつかせたら、あっと言う間に小汚い海賊の子分が現れた。あれ? 仲間って考古学者じゃなかったっけ?
「おかしら、でかした! 伝説の楽園ってココなんだな!」
 そうなのか……?

 人魚のネエちゃん達に、ここがどういうところなのか尋ねたいのに、馬鹿野郎どもが面白がって追い掛け回すもんで、「カリブの海賊」の今となっては幻のトルトゥーガのシーンみたいで、収拾がつかない。ってか、今、人魚ちゃん達「走り回って」なかったか?

 人魚人魚って言いつつ、なんだか普通に立ったり歩いたりする、ニュータイプな人魚です。
 その矛盾を調整するために、たぶん、全員女性で、ズルズルに長いドレスを着て下半身を隠していらっしゃる。スカートの中でヒレをビチビチ跳ねて歩いていたんだろうか?
 なんというか、わたしの中で「昔のヨーロッパ」だと思う景色なんだな。RPGによくある中世ヨーロッパ風であり、海賊全盛期。
 でも、閉じ込められた世界。月は登るし日は沈む、山も川も森もある世界だけど、それほど遠くないところに巨大な岩の壁がある。360°ぐるりと囲まれている。外界との唯一の通路があの地底湖なのだ。そして、そこは潜水能力か潜水技術を持った人間しか行き来できない。

「人魚って女ばっかりなんだな! 俺達モテモテじゃん!」
 とはしゃぐバカにグーパンチくらわして。

 わたしのことを「姪」だと言い張る、年老いた(人魚の)女性に出くわした。その世界のオシャレなんだろうなぁという、ちょっと複雑でカラフルな衣装を、やたらと着せ替えて遊ばれた。肌触りは嫌いじゃないが、分厚くて重たくて……湿っぽい服。
「髪も結い上げて社交界デビューしましょうねー」
 と現れたのは、現実世界で行きつけの美容院のカリスマオジサマ美容師さん。そして、頭のてっぺんから後頭部にかけてブラシをかけた瞬間……ブチブチブチッ!! と、半分ごっそり抜けた。
 鏡で見た自分の姿はまるで「チャンスの女神」だった。長ーい前髪、後ろ半分つるっぱげっていう。
 ショックを受けるより、このあたりから目が覚め始めていたようで、
「髪が抜ける夢って縁起よくないですよね?」
 とマスターに泣きつく。
「もう、いっそのこと剃っちゃってください! 証拠隠滅! わたしはハゲてない!」
 夏木マリみたいな斬新な髪形にしたかったが、それじゃ仕事に行けないよなーとか思っている。

    ◆

 そして意識が現実に近づき、目覚まし時計の野鳥のさえずりに叩き起こされ、最初にしたのは頭髪チェック、な。いちおーちゃんと生えてたよ。ははは。
 それにしても、わたしの頭の中の映像を、すべてCGで実写再現できたら、相当きれいな映画が撮れると思うけど。漫画で描けってことなのかな。めんどくせえな。
 ガハハと大口を開けて笑う海賊子分Aの、前歯の筋に煙草のヤニがついているのとか、日焼けして鼻の頭の皮が剥けているのとか、砂っぽくて手肌の毛穴がツブツブ汚れているのとか、とってもリアルな映像なのでした。

 結局、話のオチがない衝撃展開にておしまい!(笑)
 



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