先日、電車で移動中に、「妖怪まどあけおんな」に遭遇した。

 その女は、電車に乗り込んでくるなり
「窓開けまーす!」
「窓開けさせてくださーい!」
 と声高らかに宣言すると、その車両の、開けることのできる窓を、片っ端からバシバシ開け始めた。
 気持ちは分かる。感染症対策として窓開け換気が推奨されているのに、この車両の窓はほぼ締め切り状態だったから。
 でもね、と、わたしは言いたい。この日のこの時間、ずうっと霧雨が降っていたのよ。窓を開けたら、そこから霧雨が吹き込んでくるのよ。それでもなお、人が満席に座っている座席の窓まで開け放ちますか。

 わたしも座席に座っていたんだけど、あまりの出来事に驚いて、呆然と成り行きを見守っていた。
 順番に窓を開け放ちながら、遂に妖怪がわたしの目の前に立ち、
「開けますよー!」
 と両手を広げて襲いかかってきた瞬間、何やらジャラリとした硬い物が、わたしの額と眼鏡を打った。
「いてっ!(>_<)」
 思わず声を上げたが、妖怪は無視。バブルの残り香を振り撒きながら、次の座席に襲いかかっていった。

 ジャラリとした武器の正体は、アクセサリーなんです。やたらとでかいビーズと鎖が何重かになったような、バブリーなネックレス。それが、わたしの顔の前に胸元を見せつけるような格好で窓を開けようとした瞬間に、重みで揺れて、わたしの顔面を直撃したと。

 妖怪ババアは、車両内の窓を開けまくって満足すると、バブル期からタイムスリップしてきたかのようなサラリーマン風の男性の隣に座り、すげーばかでけー声でおしゃべり開始。ワハハのガハハのキャハハで、マスクしてても飛沫が漏れそうな勢いのマシンガントークにございました。

 もう、どこからツッコんだらいいか分かりません。
 わたしは首筋にじっとりと霧雨が降り注ぐのを感じながら、妖怪まどあけおんなとそのツレのバブルマンを見つめるのみでございました。

 


おもしろかったらポチッとヨロシク

人気ブログランキング