2024年03月18日
スターキングダム系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第三十二弾はスターキングダム系。Star Kingdom 自身は2歳戦ではそこそこの活躍を見せたものの、3歳以降はさっぱりという早枯れ馬で、英国では人気が出ずオーストラリアで種牡馬入りすることになりましたが、これが2歳戦を重要視する現地の馬産に大嵌りし、何度もリーディングサイアーに輝く大種牡馬となりました。特に2歳戦最高峰レースであるゴールデンスリッパーSを初年度から5連覇するなどその早熟性は他馬の追随を許さず、20世紀末あたりまではオーストラリアの主流血統として君臨していましたが、シャトルスタリオンでミスプロ・デインヒルなど遺伝力の高い早熟血統が次々に導入されると、あっという間に駆逐され現在では絶滅寸前にまで追い込まれてしまいました。同じ土着血統の Sir Tristram は成長力があってある程度距離をこなせるためか、今でもそれなりに勢力を保っているのとは対照的ですね。
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2024年03月17日
週刊種牡馬ニュース 3/11 - 3/17
スプリングSのシックスペンスはまるで祖父を彷彿とさせるような驚異の加速力を見せてデビュー3連勝を達成しました。ついにキズナから牡馬の大物産駒が登場といったところでしょうか。母がスプリントで活躍した馬で、代々つけられた種牡馬もスピード系ということもあって距離延長には若干の不安もありそうですが、それを補って余りあるポテンシャルの持ち主で、ぜひ直系3代クラシック制覇を達成してもらいたいものです。阪神大賞典はここまで3000m超級の重賞を2勝しているテーオーロイヤルが圧巻の走りを見せました。ダイヤモンドSはほとんど天皇賞(春)に結びつかないのでこのレースまでは半信半疑のところもあったのですが、これを見せられると本番でも大いに期待してしまいますね。
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2024年03月16日
コパノチャーリー - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第三十二弾はコパノチャーリー。半兄はダートの名馬コパノリッキーで、兄ほどの爆発力はありませんでしたが、オープン特別を2勝するなど9歳まで60戦以上を走り抜いたタフガイでした。これがゴールドアリュール産駒なら兄の代替種牡馬として多少は牝馬が集まったのかもしれませんが、父が種牡馬としては一定の結果を残しつつも突き抜けたものを見せることができなかった*アグネスデジタルということで、残念ながら牝馬はほとんど集まっていません。種牡馬入りしたのが熊本の本田土寿牧場ということで、もともと牝馬のパイが限られているというのもあるでしょうが、2年目以降はDr.コパ氏がわざわざ牝馬を送り込んで種付けを行うなど、頭数は少なくとも上位クラスで戦える産駒が出てくる可能性は十分あるのかもしれませんね。
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2024年03月14日
ハイペリオン系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第三十一弾はハイペリオン系。寄せ集めのエクリプス系がコンプリート出来たので、ここからは大父系としてのハイペリオン系に入っていきたいと思います。Hyperion 自身もかなりの強豪で、英クラシック二冠を制した名馬でしたが、種牡馬としてはさらにその上を行く大成功をおさめ、英愛リーディングにも輝きました。さらに同馬が偉大だったのは様々なタイプの名種牡馬の父となったことで、アメリカや欧州をはじめ、オセアニアや南米、果ては日本でもリーディングサイアーを輩出するなど、一時はテディ系などとともに世界の主流血統の座についていたほどでしたが、やはり圧倒的な遺伝力を誇るファラリス系の出現とともに父系は衰退しており、現在ではオセアニアのスターキングダム系およびアリストファネス系、さらには欧州のオーウェンテューダー系の末裔がひっそりと残っているにすぎません。
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2024年03月13日
クワイトファイン - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第三十一弾はクワイトファイン。父は三冠馬シンボリルドルフの息子で有馬記念で奇跡の復活を遂げた二冠馬トウカイテイオー、母父は史上初の父内国産馬としての三冠馬ミスターシービー、母母父は戦後初のクラシック三冠馬シンザン、母母母父はクラシック二冠馬タニノムーティエと代々種付けされた種牡馬が日本を代表する大競走馬ばかりで、古き良き時代の日本競馬を色濃く残す1頭となっています。父系のみの希少性に注目すればこのクラスの種牡馬はほかにもいるかもしれませんが、母系も含めてこれだけの重みがある馬はもう二度と現れることはなく、まさに走る世界遺産といってもいいのではないでしょうか。クラウドファンディングで種牡馬入りを目指すという手法もあって競走馬としての知名度に比べて多くの注目を集めることとなりましたが、あっというまに目標金額に達したところを見ると、多くの人がこの馬の産駒を心待ちにしていることがわかりますね。
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2024年03月12日
ダマスカス系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第三十弾はダマスカス系。一応今回で「エクリプス系」として大雑把にまとめていた系統はがコンプリートということになります。Damascus はテディ系の中でも極めてマイナーなラインの出身で、その父 Sword Dancer までは細々と一子相伝のような形で父系が繋がっていたにすぎませんでしたが、同馬の代で爆発的に後継の数が増え、現代にまで至る大父系を築き上げることに成功しました。超大物産駒は数えるほどだったものの、早熟性と成長力を併せ持ち、米国を中心に多数のGIウイナーを輩出しましたが、次第にメジャー父系の遺伝力の前に駆逐されていき、現在では即絶滅とはいかないまでももはや競馬主要国のGI戦線で存在感を示す体力は残っていないというところまできています。日本でも*オジジアンなど一瞬の輝きを見せた種牡馬はいましたが、後が続きませんでしたね。
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2024年03月11日
キタノコマンドール - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第三十弾はキタノコマンドール。ブリーダーズCなど世界の大レースを制し、世界的な名牝となったラヴズオンリーユーを引き当てるなど、今や日本を代表するクラブ法人になったといっても差し支えないDMMバヌーシーですが、できた当初はどちらかというと話題性が先行するイメージで、それもいきなり創設初年度から2億円近い高額馬で世界の北野が名付け親となったこのキタノコマンドールを募集したところから始まっているような気がします。キタノコマンドールは高額馬にふさわしい血統の持ち主で、全姉に重賞2勝をあげ牡馬に交じってGIでも健闘したデニムアンドルビーがおり、競走馬として大成はできませんでしたがデビュー2連勝でオープンを勝ち、3戦目となる皐月賞でも5着に入った実力はさすがのポテンシャルの高さと言えるでしょう。産駒はわずかながら同じDMMバヌーシーで募集されている馬もおり、自身が果たせなかった夢を実現させることができるでしょうか。
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2024年03月10日
週刊種牡馬ニュース 3/4 - 3/10
金鯱賞はプログノーシスが連覇を達成。ここまで札幌記念など2000mのGIIを3勝していますが、GIではイクイノックスや Romantic Warrior らが立ちはだかり、今のところは先頭でゴールを駆け抜けることはできていません。ただ、イクイノックスが引退した今こそGI奪取のチャンスが巡ってきたと言えそうですね。フィリーズレビューは Too Darn Hot 産駒の愛国産馬*エトヴプレが人気薄ながら快勝し、桜花賞への切符を手にしました。ディープインパクト産駒がいなくなったあたりからこうしてマル外の健闘が目立つようになってきた気がします。阪神スプリングジャンプはマイネルグロンが圧倒的なパフォーマンスを見せ、怒涛の重賞3連勝を達成しました。あのかつての絶対王者と同系統、同鞍上で経歴もかなり似通っており、ここからしばらく王者として君臨しそうな風格を漂わせていますね。
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2024年03月09日
エルシド系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第二十九弾はエルシド系。*エルシドはアングロアラブ・グランドナショナルなるレースを制した馬らしく、日高農協にて種牡馬入りするや次々に活躍馬を輩出し、大成功を収めました。その影響力はあの*テスコボーイにも匹敵するといわれるほどで、アラブ競馬が廃止されるまでの半世紀近くにわたって主流血統であり続けた系統ということになります。20世紀後半にはアラブの主戦場が地方に移ったため、オグリキャップやタマモクロスらの登場で巻き起こった第二次競馬ブーム以降に競馬ファンとなった人にはあまりなじみがないかもしれませんが、最後の最後まで中央アラブの第一人者として競馬界を引っ張ったムーンリットガール(f)もこの系統の出身で、府中3歳Sでは後のクラシック出走馬とさほど差のない競馬をしたほか、アラブ競馬廃止後もしばらく中央に残り、GIスプリンターズSでは重賞ウイナーにも先着を果たしました。
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2024年03月08日
ダイシンサンダー - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第二十九弾はダイシンサンダー。やはりこのクラスの種牡馬になるとオーナーのプライベート種牡馬が多くなりますね。「ダイシン」の大八木信行オーナーの持ち馬で、重賞勝ちどころかオープンでの勝ち星もありませんでしたが、オープンや重賞で幾度となく掲示板に載り、8歳まで走って1億円以上を稼ぎ出した馬主孝行な馬でした。これまでも大八木オーナーはオープンクラスまで出世した牡馬は重賞実績にかかわらずかなりの確率で種牡馬入りさせていますから、同馬の種牡馬入りに関しても全く驚きはありませんね。父はアドマイヤムーンで、*サンデーサイレンスの3×3やマンハッタンカフェの祖母 Santa Luciana のクロスが特徴的な同馬ですが、いったいどんな産駒を送り出すのでしょうか。
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2024年03月07日
アステリュー系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第二十八弾はアステリュー系。Asterus は仏2000ギニーや英チャンピオンSを制した活躍馬で、種牡馬としてもフランスやドイツでクラシックホースを出すなど成功、1934年には仏リーディングにも輝きました。父系としても Asterus の孫にあたる Sunny Boy がフランスで、ひ孫にあたる Kaiseradler がドイツでそれぞれリーディングに輝くなどそれなりに発展し、一部は21世紀まで生き残っていたと思われますが、今ではさすがに途絶えてしまったものと思われます。日本に輸入されたサラブレッド種牡馬は多くありませんでしたが、仏ダービー馬*タマナーが阪神3歳Sのヒデハヤテらを、モルニ賞の*ダラノーアが二冠牝馬ニットウチドリらを出すなどそれぞれ複数の重賞ウイナーを出して成功しましたが、やはり父系を発展させるには至りませんでした。一方でアラブ種牡馬も複数輸入されましたが、そのうちの1頭*エルシドが歴史的な大成功を収めたことにより大父系を築き上げることになります。
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2024年03月06日
サングラス - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第二十八弾はサングラス。父は*スタチューオブリバティで、重賞では一度も掲示板に載ることができませんでしたが、8歳時にオープン特別のバレンタインSを勝つなど9歳一杯まで59戦をしぶとく走り抜いた無事これ名馬ですね。ただ裏を返せば競走馬としては強くアピールするものがなく、父*スタチューオブリバティもそこまで特徴のある産駒を出したわけではなかったので、普通に考えれば種牡馬としてやっていくのはなかなか厳しいところでしょうが、それだけオーナーにとっては思い入れの強い馬だったということでしょうね。ちなみにサングラスの綴りはいわゆる目を守るための眼鏡のことではなく、"Sun Grass" で「太陽の芝」となっています。
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2024年03月05日
アセルスタン系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第二十七弾はアセルスタン系。テディ系のなかでも特に欧州のクラシック路線に特化した重厚な系統で、凱旋門賞を連覇した Tantieme 、ガネー賞やサンクルー大賞をぞれぞれ連覇した Tanerko 、キングジョージやワシントンDC国際なども制した Match 、英ダービーやロワイヤルオーク賞を制した Relko など、50年代から60年代にかけて欧州で大旋風を巻き起こしました。日本では重賞勝ちのない*フィディオンがメジロ牧場にて供用され、菊花賞や有馬記念を制したメジロデュレンを出すなど「らしい」活躍を見せましたが、スピード化の波についていくことができず、現在では父系としては跡形もなくなっています。そのスタミナとともに非常に激しい気性難を持っていたことでも有名ですが、母父として牡馬に交じって重賞を勝ちまくったメジロモントレー(父*モガミ)を出し、さらに同馬が名馬モーリスの祖母となったことにより、現代にも影響を与えています。
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2024年03月04日
ロンドンタウン - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第二十七弾はロンドンタウン。カネヒキリの代表産駒の1頭で、佐賀記念、エルムSとダート重賞を2勝したほか、韓国のコリアCに2年連続で出走し、2年続けてレコードを更新する快走を見せて2連覇を達成しました。その韓国での適性の高さが評価されて引退後は韓国にて種牡馬となるはずでしたが、ちょうど新型コロナ感染が爆発的に広がっていた時期と重なってしまい、一度は立ち消えになってしまいました。その後しばらく空白期間があり、ラストランから1年半以上たった2021年になって突然種牡馬登録され、アロースタッドで供用されることとなりましたが、2022年にはコロナも随分落ち着いたということで再度輸出の話がまとまり、3年越しの韓国での種牡馬入りが実現しました。日本では一桁の種付けにとどまっていましたが、韓国では30頭近い牝馬を集めており、やはり日本よりも多くの牝馬を集めているようです。
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2024年03月03日
週刊種牡馬ニュース 2/26 - 3/3
弥生賞は伏兵コスモキュランダが制し、アルアイン産駒として重賞初勝利をあげました。アルアインは種牡馬として若干地味な印象もありましたが、思えばディープインパクト産駒のクラシックホースですし、これくらいはやれて当然でしたね。チューリップ賞はスワーヴリチャード産駒のスウィープフィートが目の覚めるような豪脚で重賞勝ち。祖母スイープトウショウに続く同レース制覇となりました。年が明けて急に勝ち星が減っていたスワーヴリチャード産駒ですが、350万円の安馬でここまで走らせるとは、やはりポテンシャルは高かったようです。オーシャンSはトウシンマカオとビッグシーザーでビッグアーサー産駒のワンツーフィニッシュとなりましたが、内国産3代目種牡馬の産駒による重賞ワンツーってどのくらい例があるのでしょうか。パッと思いつくところではショウナンアチーヴの勝ったニュージーランドTがありますが、この時もバクシンオー産駒のショウナンカンプのワンツーでしたね。
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