2022年11月29日

ダート競走の体系整備についてのまとめ

3歳ダート三冠競走が設立されるというのは少し前からアナウンスされていましたが、先日全体像が発表されましたので、まとめておきたいと思います。これまでも特に3歳ダート路線の貧弱さは指摘されていて、レース体系の充実が求められていましたが、なかなか実施に踏み切れなかった理由の一つに賞金の問題があったと思います。つまり、ダートでのみ賞金を積み上げた馬が出走枠の限られるクラシックに出走できてしまうのを避ける意図があったと思われますが、先日発表された「3歳春季GI競走における出走馬決定方法の改善について」で、これまでの収得賞金から「芝コースにおける1勝クラス以上の収得賞金」に変更されたことで、この心配もなくなりました。加えて、地方競馬の運営状況が非常に好調であることを受け、本格的にダート路線を地方に移行するという意図が見えますね。

それにしても、想像以上に思い切ったレース体系を整備したものだと感心します。これほど一気に中央勢が出られる重賞競走が増えたのはそれこそ交流元年と呼ばれた1995年以来ではないでしょうか。また現在「Jpn」の格付けは国際的にはグレードレースどころかリステッドですらない「LR=リステッド・リストリクテッド・レース(制限付きリステッド)」ですが、将来的には国際グレードを獲得し、国際的にも門戸を開いていくことになるようです。正直生産界のトレンドやセールの売れ行きにまで影響を与えそうな大きな変更だと思いますが、果たして来年以降、どんな戦いが繰り広げられるでしょうか。

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Organa at 22:44|Linkコメント(13)

2022年11月28日

2023年度新種牡馬リスト

早いもので今年ももうすぐ師走、ということで毎年恒例の新種牡馬リストです。来年デビューする新種牡馬は39頭で、昨年の48頭に比べるとかなりの減少というところですが、そもそもここのところしばらく30頭前後で推移してきたので、例年に比べるとこれでもかなり多いですね。とはいえ2023年度の日本の大物種牡馬はレイデオロくらいのもので、最多種付け数が200頭未満にとどまるのは何とカンパニーが139頭で最多だった2013年度以来10年ぶりということになります。ただ輸入種牡馬は社台の*ブリックスアンドモルタル*ニューイヤーズデイを筆頭に、アロースタッドの*カリフォルニアクローム、ダーレーの*サンダースノー*ホークビル、JBBAの*アニマルキングダムと豪華ラインナップで、新種牡馬リーディング争いが今から楽しみですね。

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2022年11月27日

週刊種牡馬ニュース 11/21 - 11/27

ジャパンCはエイシンフラッシュ産駒のヴェラアズールが父を彷彿とさせる末脚を披露し、見事GIウイナーにまで上り詰めました。エイシンフラッシュ自身はジャパンCに4度出走して一度も掲示板すら載ることはできませんでしたが、まるで自身のダービーを再現するかのような走りでしたね。仕上がり遅のイメージで種牡馬としてどこまで人気が出るかわかりませんが、芝では6戦4勝と全く底を見せておらず、このまま頂点まで突き抜けてほしいものです。外国馬は4頭出走しましたが、グランドグローリーの6着が最高でした。超の付く一流馬は出ていなかったとはいえ、シムカミルを除いてGI勝ちがあり、特にテュネスあたりはバイエルン大賞10馬身差圧勝ということでかなり活きのいい馬ではありましたが、やはり適性の差は非常に大きいということですね。

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2022年11月26日

サイアーラインで辿る伊ダービー史 - 1884年-1950年

サイアーラインで辿る世界ダービー史」シリーズ第八十三弾は伊ダービー。伊ダービーは1884年創設のため、創設から1950年までの勝ち馬を一気に紹介することにします。とにかくイタリアといえばフェデリコ・テシオ氏。その国のダービーをひとりで22勝もするブリーダーなど金輪際現れないのではと思わせるほど圧倒的な成績を残しました。そんなテシオ氏が残した数々の名馬のうち、現代競馬に最も大きな影響を与えているのが Nearco ですが、テシオ自身はあまり同馬のことを高く評価していなかったというのも面白い話ですね。ちなみに同氏が最も高く評価したと言われる馬は Cavaliere d'Arpino で、普段生産馬を種牡馬として用いない同氏が3代に渡って積み重ねて生産した馬があの Ribot ですが、テシオ氏自身は Ribot の活躍を見る前に亡くなりました。

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2022年11月25日

スターアッフェアー - 輸入名馬列伝

コックスプレートなど多数の大レースを制したオセアニアの名馬

輸入名馬列伝シリーズ第十六弾は*スターアッフェアー。日本での知名度はほとんどないように思いますが、コックスプレートをはじめアスコットヴェイルS、コーフィールドギニー、フューチュリティS、ウィリアムリードSと現在GIに格付けされている大レースを次々に制した名馬でした。同馬を導入したのは西山牧場で、その直前に輸入した*マタドアが大当たりであの社台グループを破ってリーディングブリーダーに輝くなど、まさに同牧場の絶頂期にあった時代。オセアニアで大流行している Star Kingdom の血を日本に導入すべく相当な名馬であった同馬を輸入したものと思われますが、残念ながら結果を残すことができませんでした。それどころかその後はさっぱりあたりを引き当てることができず、衰退していくことになります。

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2022年11月24日

サイアーラインで辿る独ダービー史 - 1901年-1950年

サイアーラインで辿る世界ダービー史」シリーズ第八十二弾は1901年から1950年までの独ダービー。やはりこの時代のドイツといえば何といっても Dark Ronald でしょう。競走馬としてはそこまで目立ったものはありませんでしたが、ドイツの2400m至上主義にぴったりとマッチし、自身が5度のリーディングに輝いたのをはじめ、息子の Prunus が5度、Herold が2度、さらに Prunus の仔 Oleander が9度、Herold の息子 Alchimist が2度のリーディングに輝くなど、1920年代から40年代の30年間で23度リーディングを獲得しました。50年代以降は一時 Ticino に取って代わられますが、東西ドイツ分断を乗り越えた Birlhahn が再びリーディングに返り咲くと、現在にもその父系を生き永らえさせることに成功しています。

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2022年11月23日

シャトーゲイ - 輸入名馬列伝

日本に初めて輸入された米クラシック二冠馬

輸入名馬列伝シリーズ第十五弾は*シャトーゲイ。ケンタッキーダービーとベルモントSの二冠を制した馬で、プリークネスSは Candy Spots の2着に終わり、三冠達成はなりませんでした。種牡馬としては結果を残せず、12歳時より日本で供用されることとなりますが、朝日杯3歳Sを制したホクトフラッグ、小倉大賞典連覇など重賞4勝をあげたトウショウレオなどコンスタントに重賞馬を送り出すことに成功しました。日本に輸入された二冠馬のうち、言うまでもなく最高の種牡馬は*サンデーサイレンスですが、その次が何だかんだで*ウォーエンブレムで、同馬は3番手あたりに評価される種牡馬ということになるでしょうか。後に母父としてタマモクロスやメリーナイスといった名馬を送り出しており、日本競馬史に欠かすことのできない種牡馬となっています。

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2022年11月22日

サイアーラインで辿るケンタッキーダービー史 - 1901年-1950年

サイアーラインで辿る世界ダービー史」シリーズ八十一弾は1901年から1950年までのケンタッキーダービー。現在ではブリーダーズCクラシックとともに北米最高峰の権威を持ったレースとして知られていますが、創設からしばらくはそこまで重要なレースとはみなされていなかったらしく、米国史上最強馬の1頭 Man O' War は残る二冠を含め21戦20勝2着1回の成績を残したものの、ケンタッキーダービーには出走していませんでした。そもそも当初は三冠の概念もなかったようで、しばしばケンタッキーダービーとプリークネスSが同日に開催されており、初代三冠(となるレースをすべて勝った)馬である Sir Barton は何とケンタッキーダービーから中3日でプリークネスSを制しています。

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2022年11月21日

パヴェー - 輸入名馬列伝

愛2000ギニーとサセックスSを制した名マイラー

輸入名馬列伝シリーズ第十四弾は*パヴェー。愛2000ギニーと、当時は3歳馬と4歳馬のみの混合戦だったサセックスSを制した名マイラーでしたが、種牡馬としては産駒のデビューを待たずに日本に輸入されました。これまでに紹介した*ミンシオや*ソレイユ、*ネプテューヌスといった各国の2000ギニー勝ち馬も比較的若い年齢で日本に輸入されていますから、この当時のマイラーはクラシックディスタンスでは一歩足りない扱いであまり繁殖馬としての評価が高くなかったのかもしれませんね。しかし種牡馬としては全く箸にも棒にもかからないといったところで、今では完全に忘れ去られてしまった種牡馬の1頭でしょうか。なおサセックスSで同馬が3着に下した馬が後のリーディングサイアーである*テスコボーイでした。

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2022年11月20日

週刊種牡馬ニュース 11/14 - 11/20

マイルチャンピオンシップはGIでは今一歩足りない印象があったセリフォスが突き抜け、ついに念願のGI初勝利をあげました。さすが名手レーンJといったところで、重賞自体は今年2勝目ですが、GIではオークスで10番人気スタニングローズを2着、安田記念で8番人気サリオスを3着、宝塚記念で5番人気ヒシイグアスを2着、エリザベス女王杯で5番人気ウインマリリンを2着に持って来ており、GIでの頼りになりっぷりは健在ですね。なおセリフォスの父はかつてこのレースを連覇したダイワメジャーで、マイルチャンピオンシップで親子制覇を達成したのは今回が初となるようです。種牡馬としても面白そうなタイプですが、勝ちっぷりにかなり余裕があったので、さらに実績を積み重ねて社台SS入りを確実にしたいところですね。

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2022年11月19日

サイアーラインで辿る仏ダービー史 - 1901年-1950年

サイアーラインで辿る世界ダービー史」シリーズ八十弾は1901年から1950年までの仏ダービー。幾度か戦争の影響を受けており、第一次大戦中はトロワザン賞として、第二次大戦中はシャンティ賞としての代替開催を経ながらも現在まで施行され続けています。さほど当時はレースとしての価値が高くなかったという愛ダービーとは異なり、こちらは世界的な一流サイアーとなった馬も多数輩出しており、なかでも重要なのは現代にもその直系を存続させることに成功している TeddyTourbillon の2頭ということになるでしょうか。英国では19世紀中にかなり衰退していたと思われるハイフライヤー系やモナルク系からも勝ち馬が出ており、改めて血統の奥深さを感じますね。

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2022年11月18日

セントクレスピン - 輸入名馬列伝

凱旋門賞勝ち馬として初めて日本で供用された活躍馬

輸入名馬列伝シリーズ第十三弾は*セントクレスピン。クラシックには縁がありませんでしたが、古馬に交じって凱旋門賞やエクリプスSを制した馬で、種牡馬としても英牝馬二冠の Altesse Royale を出すなど結果を残した一流馬でした。日本には15歳の高齢で導入されると、先に輸入されていたタイテエムの活躍もあって多くの牝馬を集めましたが、いきなり初年度産駒から天皇賞馬エリモジョージを出したほか、母系でスペシャルウィークを出したことで現代競馬にも大きな影響を与えています。輸入直後は種付けのできない状態だったものの、たまたま整体の心得のあった調教師がいて背骨のゆがみを矯正したところ種付けが可能になったという逸話も残されていますが、もし偶然が重ならなければ日本競馬にとって大きな損失になっていたことでしょう。

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2022年11月17日

サイアーラインで辿る愛ダービー史 - 1901年-1950年

サイアーラインで辿る世界ダービー史」シリーズ七十九弾は1901年から1950年までの愛ダービー。以前も紹介したようにかつての愛ダービーは一国のクラシックというよりはローカルな重賞といった程度の価値しかなく、1962年に一気に賞金の増額を行ったことで一流レースのポジションを得たということでしたが、それもそのはず、豪華絢爛なラインナップだった同時期の英ダービーと比べると世界的なビッグネームはかなり少なく、今や完全に忘れ去られてしまったような馬が目立ちますね。そんな中で目立つのは後にアイルランド調教馬として初めて英ダービーを制し、1世紀近くに渡る大父系を築き上げた Orby でしょうか。またかつての日本には*プリメロ*ヒンドスタンという2頭のダービー馬が輸入されましたが、当時の日本ではそれでも飛び切りの名馬だったようで、それぞれ日本競馬史に残る大種牡馬となりました。

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2022年11月16日

ネプテューヌス - 輸入名馬列伝

仏グランクリテリウムや仏2000ギニーなどを制した快速マイラー

輸入名馬列伝シリーズ第十二弾は*ネプテューヌス。デビューから6戦5勝2着1回という素晴らしい成績で仏グランクリテリウムや仏2000ギニーを制した快速馬でしたが、その後距離延長をこなすことができず、結果的には尻すぼみな成績に終わりました。半兄が仏ダービーやキングジョージなど12ハロン戦でも結果を残した名馬 Right Royal で、大きな期待を受けて種牡馬として輸入されると、高松宮杯など重賞3勝をあげたネーハイジェットなど多数の活躍馬を輩出することに成功しました。ただ最後まで産駒はGI勝利とは縁がなく、母系に入っても出したGI馬はスリーロールスくらいで、コンスタントな安定感とともにここ一番の勝負強さのなさも伝える種牡馬といえるでしょう。特に象徴的なのがマイネルの基礎牝馬オカノブルーの父となったことで、子孫から10頭以上の重賞連対馬を出しながら今なおGI馬は出てきていません。

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2022年11月15日

サイアーラインで辿る英ダービー史 - 1901年-1950年

だいたい独自の血統が残っていそうな国のダービーは紹介し終えた感があるので、ここからは20世紀前半のダービー馬について見ていこうと思います。ということで「サイアーラインで辿る世界ダービー史」シリーズ七十八弾は1901年から1950年までの英ダービー。さすがにこの時代になると英ダービーが繁殖馬選定競走としてきちんと機能していて、Rock SandGainsboroughMannaBlenheimHyperionBahramBois RousselOwen TudorDante など錚々たるメンバーがこのレースを制し、後に種牡馬として大成功を収めました。しかし現在の英愛における主流血統であるガリレオこそ英ダービーを勝ちましたが、それまでその直父系で英ダービーを制した馬は一世紀以上に渡って現れず、最後に制したのは何と1887年生まれのベンドア。しかも同馬は他馬とのすり替えがほぼ確実視されている馬ですから、これはある意味英ダービーの呪いとでもいうべきものでしょうか。

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