2024年09月10日
ストームバード系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第百四十八弾はストームバード系。Storm Bird は2歳時にデューハーストSなど5戦無敗の成績を残した馬で、種牡馬としても大いに期待され、英オークスや愛ダービーを制した Balanchine やプリークネスSの Summer Squall など多数の活躍馬を送り出すことに成功しました。そのうちの1頭 Storm Cat はGIを勝っているものの決してチャンピオンクラスではなかったのですが、種牡馬としては父をはるかに上回る成功を収め、今や世界各国で産駒が活躍する大父系の祖となっています。しかし1頭突出した後継種牡馬が出ればそれ以外の系統が淘汰されてしまうのは競馬界ではよくあることで、Bluebird や前述の Summer Squall など一定の結果を残した種牡馬はほかにもいたものの、現在ではすっかり衰退してしまっており、もはやマイナー父系と言ってしまってもいいほどになっています。
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2024年09月09日
フェアリーキング系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第百四十七弾はフェアリーキング系。Fairy King 自身は1戦未勝利と競走馬としては全くの平凡でしたが、Sadler's Wells の全弟という恵まれた血統から種牡馬入りすると、凱旋門賞などGI5勝をあげた*エリシオ、ジャパンCなどGI8勝をあげた*ファルブラヴなど数々のGI馬を送り出し、仏リーディングにも輝きました。まさに未勝利界の最高傑作といったところですが、圧倒的勢力を誇る Sadler's Wells と丸被りすること、あるいは所詮未勝利馬の仔ということもあったのか、種牡馬の父として欧州での評価はあまり高い印象を受けず、現在生き残っているのは主にオセアニアに渡った勢力ということになっています。*エリシオや*ファルブラヴといった一流馬もいきなり日本で種牡馬入りしていますが、特に後者は活躍馬が牝馬やセン馬に偏るという事情もあり、いずれも後継種牡馬を残すことはできませんでした。
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2024年09月08日
週刊種牡馬ニュース 9/2 - 9/8
セントウルSはビッグアーサー産駒のトウシンマカオが豪快に差し切って親子制覇を達成しました。2歳から5歳までスプリントの一線級で活躍し続けるのもすごいですが、これで内国産4代目でのGI勝利、並びに種牡馬入りも十分見えてきたと言えるでしょう。紫苑Sはキタサンブラック産駒のクリスマスパレードがレコードで制しました。牡馬優位のキタサンブラックですが、牝馬でも超一流馬誕生となるでしょうか。コリアCとコリアスプリントはいずれも昨年の覇者であるクラウンプライドとリメイクが制し、ともに日本馬によるワンツーフィニッシュを達成しました。前者がリーチザクラウン産駒、後者が*ラニ産駒ということで、何とかその血を残してほしいものです。京成杯オータムHのアスコリピチェーノは3歳牝馬とは思えぬ横綱相撲で、今後マイル路線の主役になり得る逸材ですね。不来方賞はクラシックにも出走したサンライズジパングが貫録勝ち。ダート三冠の整備で春の芝組がダートに挑戦しやすくなっているかもしれませんね。
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2024年09月07日
トップサイダー系/ディキシーランドバンド系/エルグランセニョール系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第百四十六弾はトップサイダー系、ディキシーランドバンド系、およびエルグランセニョール系をまとめて紹介します。Topsider はリステッド勝ちがある程度の競走馬でしたが、種牡馬としては複数のGI馬を送り出すことに成功しました。日本には2頭の種牡馬が輸入されており、*デュラブ、*アサティスといずれもダート向き種牡馬として一定の結果を残しています。Dixieland Band もGIIまでの勝ち星しかありませんでしたが、種牡馬として複数のGI馬を送り出しており、ノーザンダンサー系のマイナー分岐として今も父系は生き残っています。日本にはアスコットゴールドC連覇の*ドラムタップスが輸入されましたが、ステイヤータイプということでほとんど牝馬を集めることはできませんでした。El Gran Senor は英2000ギニーなどGI3勝をあげた活躍馬で、英愛2000ギニーを制した*ロドリゴデトリアーノなどを出しました。世界的にはほぼ断絶状態となっていますが、日本ではまだ*ロドリゴデトリアーノの系統が生き残っています。
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2024年09月06日
ヴァイスリージェント系/ビーマイゲスト系/ザミンストレル系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第百四十五弾はヴァイスリージェント系、ビーマイゲスト系、およびザミンストレル系をまとめて紹介します。Vice Regent は全くの平凡な競走馬でしたが、年度代表馬にも選ばれた*ヴァイスリーガルの全弟という血統から種牡馬入りし、兄をも凌ぐ種牡馬成績を残しました。息子の Deputy Minister が父系を大きく発展させて現在に至ります。Be My Guest もGII勝ちが最高と決して一流馬ではありませんでしたが、種牡馬としては大成功を収め、英愛リーディングに輝きました。日本では*ペンタイアや*ダンスホールのラインとして有名ですね。The Minstrel は英愛ダービーやキングジョージなどを制した一流馬で、日本にも直仔だけで6頭もの種牡馬が輸入されるなど大いに注目されましたが、それなりに結果を残したのはGIII勝ちまでの実績しかなかった*プルラリズムくらいのものでした。
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2024年09月05日
ノーザンダンサー系 No.3 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第百四十四弾はノーザンダンサー系の続き。90年代に入るころには Nijinsky や Danzig 、Lyphard といった有力分岐が出てきたこともあり、直仔であっても一流馬を導入するチャンスが出てきました。そうして輸入されたのが英ダービー馬*セクレトです。期待ほどではないということで見限られての輸出という側面もあったと思いますが、青森供用ながら年間60頭を超える牝馬を集めるなど人気を博し、種牡馬として青森県産馬初のGI馬タムロチェリーを送り出すことに成功しました。*タートルボウルはジャンプラ賞の勝ち馬で、種牡馬として複数のGI馬を送り出しており、ノーザンダンサー系の分岐としてはマイナーな Night Shift のラインを繋いでいましたが、11歳時より社台で種牡馬入り。複数の重賞馬を送り出すなど中堅級としてまずまずの結果を残しましたが、小粒な産駒が多く、5世代で早世したとあって父系の存続は厳しそうです。
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2024年09月04日
ノーザンダンサー系 No.2 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第百四十三弾はノーザンダンサー系の続き。*ノーザンテーストの成功などを受けてますますノーザンダンサー系の需要が高まった日本の生産界ですが、ノーザンダンサーの血はダイヤモンドよりも価値があると言われた時代にそう簡単に実績馬を導入することはできず、やむなく条件クラスの産駒を種牡馬として迎え入れることになります。それでも米国で3勝をあげただけの*ノーザンディクテイターが重賞4勝をあげたリキアイノーザンなど複数の重賞馬を送り出すと、これまた全くの平凡な競走馬だった*コリムスキーからダービー馬メリーナイスが誕生、さらには不出走馬だった*スイフトスワローは芝ダート問わず活躍馬を送り出し地方リーディングにも輝きました。ただ、あくまでこれらは本物ではない「代替種牡馬」であり、産駒があまり繁殖馬として重用されることもなかったので、サンデー以前の内国産不発の時代を作った要因にもなったと言えるでしょうか。
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2024年09月03日
ノーザンダンサー系 No.1 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第百四十三弾はノーザンダンサー系。いよいよ四大メジャー父系の3つ目に入っていきたいと思います。かなりの長丁場になりますが気長にお付き合いください。Northern Dancer はケンタッキーダービーやプリークネスSなどを制した活躍馬で、種牡馬としての初期は生まれ故郷のカナダで供用され、種付け数もさほど多くありませんでしたが、その中から英三冠馬 Nijinsky が出るなど産駒が次々に活躍し、一気に世界的な存在へと上り詰めました。とにかく芝・ダート・距離・国問わず活躍馬を出しまくり、英愛および北米でリーディングサイアーに輝きましたが、それだけではなく種牡馬の父としても圧倒的な遺伝力を発揮しており、誕生から半世紀以上が経った今でも勢力は拡大する一方です。まさに20世紀最高の種牡馬と呼ぶにふさわしい存在ですね。
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2024年09月02日
ディープインパクト系 No.3 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第百四十二弾はディープインパクト系の続き。長かったターントゥ系もこれでようやくコンプリートです。ここまでくるとまだまだ種牡馬としてデビューしていない馬も多いのですが、その中でも最大の注目は何といってもコントレイルでしょう。父系を繋ぐためには種牡馬としての能力が必要なのはもちろんのこと、需要を食い合う相手がいないことが最大のポイントで、その意味でディープインパクトの死後にデビューした同馬に期待がかかるのは当然ですね。個人的には2020年のダービーを勝った時点でこの馬を2030年のリーディングサイアーとして名指ししましたが、果たしてそこまでうまくいくでしょうか。もう1頭、ディープインパクト伝説を作ったのがラストクロップの Auguste Rodin です。マルセリーナから12世代連続でクラシックホースを輩出し、さすがに24頭の種付けではもう1世代は厳しいかと思わせての本場・英ダービー制覇ですからね。
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2024年09月01日
週刊種牡馬ニュース 8/26 - 9/1
新潟記念はサトノダイヤモンド産駒のシンリョクカが重賞初勝利をあげました。2歳時には阪神JFで2着に入るなど期待されましたが、その後はスランプでここは人気の盲点になっていました。父は今のところ期待外れの印象が強いですが、これがプラスになればいいですね。札幌・小倉の2歳Sはそれぞれキズナ産駒のマジックサンズと*ディスクリートキャット産駒のエイシンワンドが勝ちました。マジックサンズはキズナの1000万円世代で、早くもクラシック候補の登場ですが、今年も1200万円の種付け料で218頭の牝馬に種付けを行ったようで、ディープインパクト後継の第一人者の座はまだまだ譲らないといったところですね。なお小倉2歳Sの2着馬クラスペディアは未勝利馬での連対で、これで収得賞金が入り0勝ながらオープン馬となりました。地方ではキングオブサンデーが北海道3歳優駿で初勝利をあげるなど重賞で初勝利というのは時々ありますが、これがGIとなると前代未聞ですね。今後のレースに注目したいです。
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2024年08月31日
ディープインパクト系 No.2 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第百四十一弾はディープインパクト系の続き。数えきれないほどのGI馬を出しているディープインパクトですが、なかなか王道GIを複数勝つような牡馬産駒が現れず、自身から比べれば小粒な産駒での後継種牡馬争いとなっていました。そんな中でようやく出てきた大物産駒がサトノダイヤモンドで、菊花賞・有馬記念と連勝して種牡馬入りしましたが、今一つ期待に応えられず、すでに社台SSを出されてしまいました。イスパーン賞を圧勝したエイシンヒカリもイマイチで、マイルGI2勝のミッキーアイルも走るのは牝馬ばかりとなかなかうまくいきませんが、ドバイターフでようやくGIを制したリアルスティールからダートで連戦連勝でケンタッキーダービーでも3着に入ったフォーエバーヤングが出ており、これが大成すれば後継種牡馬として面白そうです。重賞未勝利ながら次々に重賞ウイナーを出しているシルバーステートも繁殖の質が上がった今後の世代のデビューが楽しみですね。
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2024年08月30日
ディープインパクト系 No.1 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第百四十弾はディープインパクト系。いよいよ本命登場といったところですが、さすがに量が多く、3回に分けての紹介となります。ディープインパクトは父が死亡する年の3月に生まれた産駒で、無敗のクラシック三冠を達成。真の後継種牡馬として大いに期待され、牝馬三冠を含むGI6勝をあげた名牝ジェンティルドンナ、世界競馬史上初の父子二代での無敗のクラシック三冠を達成したコントレイルなど次々に活躍馬を送り出し、2012年から11年連続でリーディングサイアーに輝きました。その産駒は国内のみならず世界中に拡散しており、特に母の生まれ故郷である欧州のクラシックと抜群に相性がよく、英愛仏のセントレジャー系を除くクラシックでは勝っていないレースをあげたほうが早いという状況になっています。まさに日本史上最強の内国産種牡馬であることは疑いようがありませんが、あとはどこまでこの父系を継承することができるかですね。
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2024年08月29日
ステイゴールド系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第百三十九弾はステイゴールド系。ステイゴールド自身は活躍馬ではあるものの、何とか7歳の暮れに香港ヴァーズでGI初勝利をあげたように超一流馬ではありませんでしたが、父としてはクラシック三冠を含むGI6勝をあげ顕彰馬にも選出されたオルフェーヴル、クラシック二冠にグランプリ3勝などGI7勝をあげたゴールドシップらを出すなどサンデー系屈指の破壊力を誇るホームラン種牡馬として大成功を収めました。オルフェーヴルも種牡馬としてBCディスタフを制したマルシュロレーヌやドバイワールドCを制したウシュバテソーロを出すなど一発の大きさはさすがですが、近年の競馬に必要とされる早熟性やスピード、コンスタントさに欠けるところがあり、なかなか種牡馬の父としての需要が高まっていかないのが現状です。この系統としては珍しいスピードタイプのインディチャンプがこければいよいよ雲行きが怪しくなっていきそうです。
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2024年08月28日
ハーツクライ系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第百三十八弾はハーツクライ系。ハーツクライは有馬記念・ドバイシーマクラシックと連勝した活躍馬ですが、二桁着順も3回あるなど惨敗も多いタイプでした。それでもあのディープインパクトに国内で唯一土をつけたということもあって社台SS入りを果たすと、さすがに圧倒的な繁殖レベルの差のあるディープインパクトには差をつけられましたが、それでもGI3勝あげレーティング世界一にもなったジャスタウェイ、GI4勝をあげ年度代表馬にも選ばれたリスグラシュー、米国で芝ダート両GI制覇を達成したヨシダなど多数の活躍馬を送り出すことに成功しています。ジャスタウェイは一応GI馬を出してはいるものの、やや後継種牡馬争いから脱落した感もありますが、ここにきて大阪杯やジャパンCを制したスワーヴリチャードが種付け料200万円ながら次々に活躍馬を送り出しており、一気に種付け料が1500万円まで引き上げられるなど父系存続に向けて大きく前進しています。
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2024年08月27日
フジキセキ系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第百三十七弾はフジキセキ系。フジキセキは*サンデーサイレンスの初年度産駒からいきなり現れた無敗のGI馬で、その圧倒的な強さからクラシック三冠候補とまで言われましたが、故障のためクラシック前に無念の引退となりました。当然種牡馬としても大いに期待されましたが、当初は父*サンデーサイレンスの正統後継としては物足りない成績で、一時は期待外れの烙印を押されたこともありました。ただ短距離やダートなど、次第に同馬の特徴が理解されるようになると再び種牡馬としての評価が高まり、最終的にはJRA通算1500勝以上(歴代7位)、16世代連続でのJRA重賞勝ち(歴代1位)など次々に内国産種牡馬としての記録を塗り替える大種牡馬となりました。すでにひ孫世代の産駒がデビューするなど世代交代も進んでいる系統ですが、残念ながら代を経るごとにトーンダウンしている感は否めず、何とかここから大物産駒を引き当ててさらにラインを伸ばしてほしいところです。
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