2025年01月21日
ティズナウ系 - サイアーラインで辿る世界競馬2024
サイアーラインで辿る世界競馬2024シリーズ第七弾はティズナウ系。シリーズ開始から数回で早くも三大父系のうちの2本のラインの紹介が終わってしまいました。Tiznow は重賞未勝利の父母をもつ平凡な血統の持ち主でしたが、BCクラシックを史上唯一連覇するなどGI4勝をあげ年度代表馬にも輝いた名馬でした。種牡馬としても大いに期待され、実際にベルモントSの Da' Tara やドバイワールドCの Well Armed を出すなど成功し、衰退傾向にあった米国のマッチェム系復興に大きく貢献しました。ただ、もともとが平凡な血統の出身であったからか、種牡馬の父としてはそれほど目立った成功を収めることができず、現在では再び滅亡の危機にさらされています。自身のように、血統は平凡でも競走馬として大きな一発を当てるような産駒が出てこないものでしょうか。
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2025年01月20日
インディチャンプ - 新種牡馬辞典'25
新種牡馬辞典、第八弾はインディチャンプ。数々の長距離馬を出すなどステイヤータイプの種牡馬として有名なステイゴールド産駒において、数少ないマイルでの活躍馬で、安田記念やマイルチャンピオンシップなどマイル重賞4勝をあげ、最優秀短距離馬にも選ばれました。もちろんオルフェーヴルやゴールドシップなどは競走馬としては破壊力抜群でしたが、なかなか種牡馬の父としては人気が出るようなタイプではなく、実績に比べて父系存続という意味では苦戦しています。インディチャンプはステイゴールドらしさはないものの、種牡馬に必要とされるスピードはステイゴールド産駒随一で、ノーザンファームも20頭以上の牝馬を初年度に送り込んだようにかなり同馬に対する期待は高いものと思われます。
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2025年01月19日
週刊種牡馬ニュース 1/14 - 1/19
日経新春杯はロードカナロア産駒のロードデルレイがロングスパートから3馬身突き抜ける圧勝で重賞初勝利をあげました。なかなか順調に使えず、5歳にしてようやく重賞初勝利となりましたが、パフォーマンスはまるで圧倒的支持を受けたGI馬が他馬を圧倒するような走りで、今後が非常に楽しみになりましたね。距離の融通も利きそうで、今年の王道路線で面白い存在になりそうです。京成杯は人気薄のイスラボニータ産駒ニシノエージェントが混戦を制しました。前走未勝利戦を勝ったばかりでしたが、鞍上の津村Jが前走に引き続きうまく能力を引き出した印象でした。イスラボニータ産駒はこれまで複数の重賞馬を出していますが、クラシックに重賞馬を送り込むのは今回が初めてということになりそうですね。
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2025年01月18日
リローンチ系 - サイアーラインで辿る世界競馬2024
サイアーラインで辿る世界競馬2024シリーズ第六弾はリローンチ系。マッチェム系の中でも北南米でラインを伸ばしている系統ということになります。Relaunch 自身はGIIIを勝っただけの競走馬でしたが、Phalaris フリーという奇跡的な血統もあって父系を大いに発展させました。北米での主流は重賞未勝利馬 Cee's Tizzy の仔 Tiznow ですが、これは後述するとして、南米では米GIメトロポリタンHを勝った Honour and Glory がシャトルスタリオンとして大成功を収め、さらにその息子でGII勝ち馬の Put It Back がブラジルのリーディングに輝く活躍を見せており、まだまだ複数のGIウイナーを送り出せるだけの勢いを保っています。ただ後継種牡馬自体はそれなりにいるものの、この次となるとまだ確固たる存在は出ておらず、まだまだ予断は許さない状況です。
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2025年01月17日
ベンバトル - 新種牡馬辞典'25
新種牡馬辞典、第七弾は*ベンバトル。ドバイターフ、バイエリシェスツフトレネン、コーフィールドSと世界各国でGI3勝をあげた活躍馬で、実績だけで判断するならコントレイルに次ぐ存在と言ってもいいでしょうが、ひとつひとつのGIの格でいうと残念ながらそこまで高くなく、ただそのおかげで引退後すぐの日本での種牡馬入りが実現しました。父は Dubawi で、このGI3勝以外にもダートのGIIマクトゥームチャレンジR2完勝からサウジC2着の実績もあり、芝ダート関係なく走れそうな印象がありますね。ビッグレッドファーム供用ですが、GI馬ながら世界各国を年間9走もする泥臭い走りはいかにもぴったりなイメージで、しぶとい走りを見せてほしいものです。
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2025年01月16日
インリアリティ系 - サイアーラインで辿る世界競馬2024
サイアーラインで辿る世界競馬2024シリーズ第五弾はインリアリティ系。現在におけるマッチェム系の本流ということになります。In Reality はフロリダダービーなどの勝ち馬で、種牡馬として芝ダート問わず活躍馬を送り出し、Man O' War の血脈を現代につなぐことに成功しました。主に北米では Relaunch が、欧州では Known Fact が枝葉を伸ばしましたが、後者についてもここでまとめておきます。Known Fact 産駒の*ウォーニングは日本に輸出後早世、その父系を繋いだ*ディクタットも日本導入後に受胎率が極端に低くなって即廃用と父系存続に日本が悪い意味で関わっているのが後味の良くないところではありますが、輸入前に出した産駒によって何とか父系を維持しています。ただ、現在の総大将である Dream Ahead も種牡馬入り当初に複数のGI馬を出しながら最近はさっぱりで、賞味期限が短い傾向にあるのが悩みの種であり、今後どこまで存続させることができるでしょうか。
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2025年01月15日
マテラスカイ - 新種牡馬辞典'25
新種牡馬辞典、第六弾は*マテラスカイ。重賞勝ちはプロキオンSとクラスターCのみで、それだけ見れば重賞ウイナーの中でも平凡な存在ということになるかもしれませんが、その2勝がいずれも日本レコードをマークする圧倒的なもので、さらにドバイゴールデンシャヒーンなどダート短距離界の最高峰レースで2着に入るなど、数字には表れないところで類まれなスピードを示した快速馬でした。さらに父が種牡馬として確実にスピードを伝える Speightstown ということで、初年度から100頭を軽く超える牝馬を集めるなどGI勝ちのないダート馬としては異例ともいえる高い評価を受けました。残念ながら3年目の繁殖シーズン後に10歳の若さで早世してしまいましたが、3世代の産駒から自身の世界レベルのスピードを受け継ぐ馬が出てきてほしいですね。
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2025年01月14日
マッチェム系 - サイアーラインで辿る世界競馬2024
サイアーラインで辿る世界競馬2024シリーズ第四弾はマッチェム系。早くもヘロド系がコンプリート出来ましたので、三大父系の二つ目に入っていきたいと思います。Matchem は Herod 、Eclipse を含めた三大根幹種牡馬の中では最も早くに誕生した馬ですが、競馬黎明期に絶対王朝を築き上げた Herod 、現代競馬の覇者 Eclipse に対し、いずれの時代にも頂点を獲ったことがない不運の系統と言えるでしょうか。系統としてのハイライトは米国で「時代を代表するアスリート」にも選ばれるほどの存在感を示した Man O' War の登場でしたが、同馬はオーナーの作戦によって種牡馬として種付け数を極端に絞っており、これがなければ米国で大父系を築き上げていたかもしれませんね。今では Eclipse に全く及びませんが、それでもまだ平地GI馬を出せる程度の勢いは保っています。
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2025年01月13日
週刊種牡馬ニュース 1/7 - 1/13
今週は明け3歳の重賞が二鞍。3歳牝馬によるフェアリーSはエピファネイア産駒のエリカエクスプレスが力強い伸び脚を見せ、重賞初勝利をあげました。かつてダンスファンタジアがマークしたレースレコードを1秒近く更新する好時計で、桜花賞に向けて大きく前進となりました。シンザン記念はキズナ産駒のリラエンブレムが豪快に伸びて重賞初勝利を飾りました。かなり長く脚が使えそうで、こちらもクラシックに向けていいスタートとなっています。2頭に共通するのは母父 Galileo の1戦1勝馬だったということで、まだまだここは良化途上、むしろ本番は12ハロンに伸びてからかもしれませんね。それにしても種付け料が1000万円まで引き上げられた2013年ダービー組が好調です。今年はこの2頭によるリーディングワンツーということも十分あり得そうですね。
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2025年01月12日
ミスチヴィアスアレックス - 新種牡馬辞典'25
新種牡馬辞典、第五弾は*ミスチヴィアスアレックス。とにかく圧倒的な産駒数とアベレージの高さで北米リーディングをひた走る Into Mischief の日本初となる後継種牡馬で、GIカーターHなどマイル以下の重賞を4勝した快速馬でした。Into Mischief は何頭か大物産駒もいますが、イメージ的にはそこそこの馬を大量に出す種牡馬といったところで、その意味ではGI1勝だけ、種付け料も120万と手ごろな同馬を連れてきたのはまさにちょうどよい感があってよかったのですが、初年度こそ130頭を超える牝馬を集めたものの、その後は大幅に種付け数が減少し、わずか2年で1/3に減ってしまいました。ただ初年度産駒が活躍すれば十分復活の目はあると思われるので、頑張ってほしいところです。
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2025年01月11日
インディアンリッジ系 - サイアーラインで辿る世界競馬2024
サイアーラインで辿る世界競馬2024シリーズ第三弾はインディアンリッジ系。Indian Ridge はGIIキングズスタンドS勝ちが目立つ程度のスプリンターでしたが、種牡馬としては年度代表馬にも選ばれた Ridgewood Pearl らをはじめ、Sadler's Wells 全盛の時代に数々のGIウイナーを輩出することに成功し、ヘロド系種牡馬として大きな輝きを見せました。このままスピード父系として発展していけば良かったのですが、残念ながらそのスピードは孫の代にはなかなか遺伝せず、時折出てくる大物もセン馬や中長距離タイプということで父系の衰退はどんどん進み、今や絶滅を待つのみというところまで来てしまいました。そんな中で*パールシークレット(現時点ではまだ繁殖登録されていませんが、あえてこう書きます)が日本に輸入されるというニュースには度肝を抜かれましたが、その潜在的なスピードをどこまで引き出すことができるでしょうか。
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2025年01月10日
ダノンプレミアム - 新種牡馬辞典'25
新種牡馬辞典、第四弾はダノンプレミアム。今年種牡馬デビューするディープインパクトGI馬4頭のうちの2頭目ですね。1頭目であるコントレイルと比べると実績には天と地の差がありますが、レコード勝ちしたサウジアラビアロイヤルC、上位5頭がすべてGI馬となった伝説の朝日杯FS、そして後のダービー馬ワグネリアンに完勝した弥生賞と無傷の4連勝を飾っており、クラシックへの期待感という意味ではコントレイルを上回るものがあったかもしれません。残念ながら故障などがあって3歳以降はGIを勝つことができませんでしたが、もし弥生賞時点で引退していたならアグネスタキオンやフジキセキらと並ぶ評価を受けていた可能性もあったでしょう。ぜひ産駒に活躍してもらい、故障さえなければクラシックでも勝負になっていたことを証明してもらいたいものです。
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2025年01月09日
クラリオン系 - サイアーラインで辿る世界競馬2024
サイアーラインで辿る世界競馬2024シリーズ第二弾はクラリオン系。ほぼ唯一といっていいヘロド系の生き残りであるトウルビヨン系において、ひとまず主流と言える広がりを見せている系統ということになりますが、その中で一定のスピードを示した Indian Ridge を除いた系統を今回紹介していきたいと思います。孫の代に Indian Ridge を出した Lorenzaccio とともにトウルビヨン系を発展させたのが Luthier で、こちらは仏リーディングにも輝くなど大成功を収めましたが、どちらかというとスタミナ寄りで子孫は主に障害路線で活躍しており、2024年もGIウイナーを含む複数の重賞ウイナーを送り出すなどまだまだ元気いっぱいですね。その総大将ともいえる Diamond Boy は150頭近い牝馬を集めることに成功しており、まだまだ今後の活躍が期待できそうです。
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2025年01月08日
ダノンスマッシュ - 新種牡馬辞典'25
新種牡馬辞典、第三弾はダノンスマッシュ。父ロードカナロアは言わずと知れた大種牡馬で、アーモンドアイやサートゥルナーリアといった中距離のチャンピオンを送り出していますが、本職は何と言ってもスプリンター。その意味では同馬が現状で最も父に近いタイプの後継種牡馬ということになるでしょう。スプリンター種牡馬として扱うには父は高額すぎるので、その意味では同馬の存在意義は高く、実際に初年度は220万円の種付け料で150頭近い牝馬を集めることに成功しましたが、その後ステルヴィオやファストフォースといったより安価な快速タイプが種牡馬入りした影響もあったのが、2年間で50頭近く減らす結果となっています。ただ、同馬と言えば何といっても香港スプリントの親子制覇。そもそも牡馬が勝つことが極めて少ない同レースにおいてこれは唯一無二の記録であり、ぜひその記録をさらに伸ばしてほしいところです。
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2025年01月07日
ヘロド系/トウルビヨン系 - サイアーラインで辿る世界競馬2024
記念すべきサイアーラインで辿る世界競馬2024シリーズ第一弾は Tourbillon すら経ないヘロド系、および現在の主流といえる Clarion を除いたトウルビヨン系です。主流と言ってもサラブレッド全体の1%にも満たないシェアしかありませんが、それでも何とか Clarion は重賞に産駒を送り出すレベルの勢力は辛うじて保持しているのに対し、今回紹介する分は Herod のメールラインを維持するという希少性のためだけに供用されているような馬がほとんどで、来年にも現役種牡馬がいなくなっても全くおかしくないような状況となっています。日本でもかつては*パーソロンがリーディングに輝くなど栄華を極めた系統ですが、現在では現役種牡馬はクワイトファインただ1頭となってしまいました。それでも種牡馬を続けている限りは何が起こるかわからないのが競馬ですし、来るべき日のために1頭でも多く、1年でも長く種牡馬を続けてほしいものです。
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