2024年01月27日
レリック系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第十一弾はレリック系。ハリーオン系と同じく、今ではほぼ断絶状態にある系統ですが、特に日本では70年代から80年代にかけて一大勢力を築き上げました。その代表的な種牡馬が*シルバーシャークで、競走馬としても現在GIとして行われているレースを4勝した名馬でしたが、種牡馬としてもオールカマーのアサカシルバーや京王杯スプリングHのシーバードパークなど多数の重賞馬を送り出すことに成功しました。*ヴェンチアも成功種牡馬の1頭で、ダービー馬クライムカイザー、名牝イットーなど多数の活躍馬を輩出。クライムカイザーは共同通信杯のマイネルブレーブも出しましたが、いずれにしても父系は90年代には衰え、ほぼ21世紀に入ったところで途絶えています。ただ、前述のイットーは名牝系の祖として大成功を収めたほか、*シルバーシャークもオグリキャップやオグリローマンの母父となっており、母系向きの系統だったということになるでしょうか。
⇒続きを読む
⇒続きを読む
2024年01月26日
ウインブライト - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第十一弾はウインブライト。国内では中山、海外では香港の馬場に極めて高相性を誇った馬で、中山では重賞4勝、香港ではGIばかり走り3戦2勝2着1回とほぼパーフェクトな戦績を残しました。ビッグレッドファームやコスモヴューファーム、岡田スタッドの強力なバックアップもあってそれなりに多くの牝馬を集めることに成功していますが、逆に言うとバックアップがなければかなりさみしい数字で、今後名実ともに人気種牡馬になるためにも初年度産駒から活躍馬を出しておきたいところですね。ステイゴールド産駒の後継種牡馬はGI馬を出しつつもステイヤー気質が災いして今一つ突き抜けきれないところもあるのですが、このウインブライトは母父アドマイヤコジーン、母母父*ジェイドロバリーとスピードタイプの名が並び、意外と面白い存在かもしれません。国内ではGIを勝てず、香港でGI勝利をあげたところは父と同じで、最良後継になる可能性も十分あるのではないでしょうか。
⇒続きを読む
⇒続きを読む
2024年01月25日
ハリーオン系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第十弾はハリーオン系。ヘロド系がコンプリート出来ましたので、続いてマッチェム系に入っていきたいと思います。Hurry On は Man O' War と並んでマッチェム系の父系を大いに発展させた馬で、主に欧州やオセアニアで大繁栄しましたが、残念ながら現在はもはや絶滅寸前で、この先生き残る可能性は万に一つもなさそうな状況となっています。日本で繁栄したのも60年代から70年代にかけての話で、80年代にはすでに斜陽に入っており、サラブレッドの父系としては90年代には潰えてしまいましたが、一部のアラブが21世紀まで生き残っていたため今回紹介することになりました。90年代半ばになって突然日本に来日したサンドピットはブラジルで生きながらえていたハリーオン系の末裔で、ジャパンCでは2年連続で上位人気に支持されながら勝ち星をあげることはできず、GI9勝の実績をひっさげて米国で種牡馬入りするも結果を残せずハリーオン系再興の祖となることはできませんでした。
⇒続きを読む
⇒続きを読む
2024年01月24日
フィエールマン - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第十弾はフィエールマン。ディープインパクト産駒の牡馬として初めてGIを3勝した馬であり、個人的には社台スタリオンステーション入りもあるかと思っていましたが、制した3つの重賞がすべて3000m級のレースという実績では社台入りを勝ち取ることはできませんでした。ただ天皇賞(秋)で見せた32秒台の末脚は長距離一辺倒のステイヤーには決して出せないもので、巡り合わせが悪かっただけで中距離前後でGIを制す実力を持っていたことは間違いないでしょう。事実、社台入りこそ逃したもののノーザンファームは彼を高く評価しており、3年間で60頭もの牝馬を送り込むなど、ディープインパクトの有力後継として大きな期待を寄せられています。欧州なら確実に障害用種牡馬になっていたところですが、日本では昨年世界一となったイクイノックスを出したキタサンブラックが同じく3000m級のGIを3勝しており、何とかそれに続いてほしいところです。
⇒続きを読む
⇒続きを読む
2024年01月23日
タカクラヤマ系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第九弾はタカクラヤマ系。これにてヘロド系はコンプリートです。タカクラヤマは天皇賞(春)などを制した活躍馬で、種牡馬として複数の重賞ウイナーを送り出すなどまずまずの成功を収めましたが、サラブレッドの父系としては全く伸びませんでした。そのタカクラヤマを父に持つ50%アラブのミトタカラはたった6年で廃止となった重賞・中山アラブ障害特別の初代勝ち馬で、サラブレッド相手に25%アラブを生産するために種牡馬入りしましたが、そのうちの1頭スマノダイドウが種牡馬として大成功をおさめ、半世紀近くに渡って繁栄する大父系を築き上げました。しかしこのスマノダイドウ、よく知られているように遺伝的に父の産駒であるとすると矛盾する点があり、おそらくその前に種付けして不受胎になったとされたサラブレッドの仔、つまりはアングロアラブの条件を全く満たしていない可能性が非常に高いとされており、競馬界の一つのタブーとなっています。
⇒続きを読む
⇒続きを読む
2024年01月22日
ミスターメロディ - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第九弾は*ミスターメロディ。数々の活躍馬を送り出しながら早世した Scat Daddy 産駒で、高松宮記念やファルコンSを制したほか、ダートでも勝ち星をあげるなど芝ダート両方で活躍しました。産駒がクラシックを勝つ姿はなかなかイメージできませんが、とにかく圧倒的な遺伝力を誇る系統だけに芝だろうがダートだろうがスピードの違いで押し切る産駒を多数出しそうで、初年度から170頭を超える牝馬を集めたのも納得ですね。ただ残念なことに受胎率がかなり低く、今のところ種付け数に対して5割に満たない産駒しか残せていませんが、それでも種付け頭数はそれほど減ることはなく、むしろ種付け料が年々上がっているような状況で、改めて同馬に対する需要の高さがわかりますね。同系統の*モーニンのように今年の2歳戦を席巻することになるでしょうか。
⇒続きを読む
⇒続きを読む
2024年01月21日
週刊種牡馬ニュース 1/15 - 1/21
アメリカジョッキークラブCはハーツクライ産駒の6歳戦馬チャックネイトが重賞初勝利をあげました。鞍上であるオーストラリアの女性騎手レイチェル・キングJは日本での重賞初勝利となりましたが、先に抜けたボッケリーニが勝つかと思われたところで最後の最後にハナ差だけ抜け出し、まさに男性ジョッキー顔負けの剛腕と言えそうですね。東海Sはウィリアムバローズが早め先頭から最後まで譲らず、重賞初勝利をあげました。重賞勝ちまでは時間がかかりましたが、ダートでは全く底を見せておらず、このまま頂点まで突き抜けられるでしょうか。地方ではダート三冠に向けた一戦、ブルーバードCが行われましたが、わずか9頭立てで出走したJRA勢3頭のワンツースリーとなりました。地方馬にとっては優先出走権を得るには1着が絶対条件ということで、着狙いの馬しか出走してこなかったような印象ですが、果たしてここから三冠にどうつながっていくでしょうか。
⇒続きを読む
⇒続きを読む
2024年01月20日
ザテトラーク系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第八弾はザテトラーク系。ザテトラーク系といえば日本でも*セフトがリーディングサイアーになるなど大成功を収めましたが、とはいっても戦前の生まれであり、サラブレッドのラインとしてはとうの昔に絶滅してしまっています。それでも今回紹介するのは一部のアラブがしぶとく21世紀まで生き残っていたからであり、特にスマノダイドウ(ただしテンプラ疑惑あり)がアラブの血統図を入れ替えるほどの大活躍を見せたため、さらに系統を分割するほどの一大勢力となりました。現在でも母系に名を残している馬もちらほらと見えますが、この系統を象徴する名馬と言えば何といってもトキノミノルということになるでしょうか。The Tetrarch の3×4のクロスを持ち、クラシック二冠を含む10戦無敗、うち7度でレコード勝ちという快速馬で、もし種牡馬入りしていればこの系統の命運を大きく変えていたことでしょう。
⇒続きを読む
⇒続きを読む
2024年01月19日
ノーブルミッション - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第八弾は*ノーブルミッション。競走馬としても英チャンピオンSやサンクルー大賞などGI3勝をあげて欧州古牡馬チャンピオンに輝いた名馬で、種牡馬としてもトラヴァーズSなどGI2勝の Code of Honor の父となり、血統的にも全兄があの14戦無敗の歴史的名馬 Frankel というピカピカの良血馬である同馬が導入されると聞いたときはかなり驚きましたね。ただ、いかに Frankel 産駒が日本で好調だといっても元をたどればガリデイン配合、*ノーブルミッション自身も5歳時にようやくGIを制した遅咲きタイプであり、今や種牡馬選定競走としては敬遠されつつある12ハロンが主戦場だったということもあって今の日本の馬場からすればいかにも重いタイプなのは否めず、初年度に128頭を数えた種付け数もわずか2年で30頭そこそこに落ち着いてしまいました。さらに今後は*アダイヤーや*フクム、グレナディアガーズといった Frankel 直仔もライバルに加わるなど、初年度から相当な活躍を見せないと挽回は難しいのではないでしょうか。
⇒続きを読む
⇒続きを読む
2024年01月18日
パーソロン系 No.2 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第七弾はパーソロン系の続き。種牡馬として日本競馬史上に名を残す活躍を見せた*パーソロンですが、メジロアサマやダービー馬サクラショウリこそ出していたものの、どちらかというと牝馬が優勢でフィリーサイアーとの評価で固まりつつありました。そんな中、繁殖生活も晩年に近づいた20歳時の種付けで出した名馬が無敗のクラシック三冠馬であり、後に前人未到の七冠馬と呼ばれることになるシンボリルドルフでした。さらにシンボリルドルフは無敗の二冠馬トウカイテイオーを出すことに成功し、種牡馬としても結果を残しましたが、残念ながら父系は発展せず、現在では有志の手によりクワイトファインが辛うじて種牡馬を続けているだけというのが現状です。個人的にはサクラショウリの産駒で、サクラユタカオーの近親であった二冠馬サクラスターオーが種牡馬入りしていればどんな産駒を残していたのか、ぜひ見てみたかったですね。
⇒続きを読む
⇒続きを読む
2024年01月17日
フォーウィールドライブ - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第七弾は*フォーウィールドライブ。待望の American Pharoah の後継種牡馬で、同産駒初のブリーダーズカップ勝ち馬として初年度から100頭を大きく超える牝馬を集めることに成功しました。日本では*カフェファラオやダノンファラオ、*ペルアアが出るなど特にダートで質の高い産駒を多数送り出しており、高い人気を誇る American Pharoah ですが、世界的にはGI馬こそそこそこ多いものの、初年度20万ドルで供用された種牡馬としてはかなりさみしい結果しか残せておらず、その勢いに陰りが見られるのが現状ですね。*フォーウィールドライブもブリーダーズカップ勝ち馬とはいえ、米国では最も層が薄いカテゴリだと思われる芝スプリントの2歳戦であるGIIジュヴェナイルターフスプリントの勝者であり、ここにきて少しずつ頭数を減らしているのが気がかりではありますね。とはいえ、日本のダートに絶対的な適性を誇ることは間違いないので、初年度から活躍馬を出していきたいところです。
⇒続きを読む
⇒続きを読む
2024年01月16日
パーソロン系 No.1 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第六弾はパーソロン系。情報量が多いので、前半と後半の2回に分けて紹介したいと思いますが、ここにきてようやく現役馬が残っているラインの登場となります。*パーソロンは日本競馬史上に残る名種牡馬で、数々の八大競走勝ち馬を送り出してリーディングサイアーにも輝きましたが、繁殖生活前半で残した最も印象深い馬は何といってもメジロアサマでしょう。天皇賞(秋)など重賞6勝をあげた活躍馬で、当然種牡馬としても期待されましたが、繁殖能力が極めて低く種牡馬としてはほとんど使い物にならないことが判明しました。しかし天皇賞制覇への強い執念を抱くオーナーは同馬で天皇賞馬を生産する夢をあきらめず、長い年月をかけてようやく残した十数頭の産駒から天皇賞(秋)のメジロティターンを出すことに成功、さらにティターンは天皇賞(春)を制したメジロマックイーンの父となり、天皇賞親子3代制覇を達成しました。しかしそれ以上が続かず、現在はほんのわずかな現役馬が残るのみとなっています。
⇒続きを読む
⇒続きを読む
2024年01月15日
タワーオブロンドン - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第六弾はタワーオブロンドン。Raven's Pass 産駒の持込馬で、スプリンターズSなどマイル以下の重賞を5勝した快速馬であり、しかもそのうちの2勝はレコード勝ちという近年まれにみるスピードスターでした。現在の日本の短距離界はロードカナロアやビッグアーサー、ミッキーアイルなど内国産系統が優勢で、ビッグアーサーを除いて他のクラシック勢とも血統が競合していましたが、このタワーオブロンドンはあまり日本に入ってきていないゴーンウェスト系ということで、このカテゴリではかなり血統的なアドバンテージがあるように思います。母系も近年ディーマジェスティやオセアグレイトなど活躍馬が次々に出ている*シンコウエルメスの系統で、かなり期待が持てそうですね。
⇒続きを読む
⇒続きを読む
2024年01月14日
週刊種牡馬ニュース 1/9 - 1/14
日経新春杯はブローザホーンが豪快に差し切って重賞初勝利をあげました。馬体が軽い割にはなかなか仕上がらず、初勝利に9戦を要したような馬でしたが、ここにきて完全に本格化といったところでしょうか。2600mの札幌日経オープンを制しているようにさらなる距離延長も全く問題なさそうで、今年の春天で楽しみな1頭ですね。京成杯は京都2歳S4着のダノンデサイルが変わり身を見せて快勝。日曜東西でエピファネイア産駒が重賞を制し、一気にリーディングに立ちました。この時期ですからまだまだ何とも言えませんが、去年は不調でリーディングトップ10転落の危機にも見舞われたくらいですから、少なくとも今年はいいスタートを切っているといえそうです。愛知杯はミッキーロケット×ミッキークイーンというミッキーゴージャスが初重賞勝利。父・母ミッキーそろい踏みでGIまで突き抜けるでしょうか。
⇒続きを読む
⇒続きを読む
2024年01月13日
マイバブー系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第五弾はマイバブー系。日本でトウルビヨン系と言えばやはりこのマイバブー系ですね。日本で初めて導入されたマイバブー系種牡馬である*パーソロンが歴史的な大成功を収めたため、次々にこの系統の種牡馬が輸入されることになりましたが、今回はその*パーソロンを除く残りの系統についてまとめておきたいと思います。*パーソロンに次ぐ成功を収めたのは自身ミドルパークSや英2000ギニーを制した一流馬で、種牡馬としてセントライト記念のタイホウシローなど複数の重賞馬を送り出した*アワバブーということになるでしょうか。また*パーソロンの全兄弟も軒並み輸入されましたが、その中には不出走馬や未勝利馬も交じっており、いずれも*パーソロンの代替種牡馬として名をあげることはできませんでした。
⇒続きを読む
⇒続きを読む