2010年01月02日

ディープインパクト

さて、それでは毎年恒例の「新種牡馬辞典」、2010年度バージョンのスタートです。もちろん第一弾はディープインパクトから。数々の記録を打ちたて、人々に深い衝撃を与えた稀有の競走馬ですが、繁殖馬としての実力はどんなものでしょうか。

ディープインパクト

日本産 2002年生 鹿毛 父系:Hail to ReasonSunday Silence
*サンデーサイレンスHaloHail to Reason
Cosmah
Wishing WellUnderstanding
Mountain Flower
*ウインドインハーヘアAlzaoLyphard
Lady Rebecca
BurghclereBusted
Highclere
牝系

Highclere 1971 英2000ギニー(英GI)、仏オークス(仏GI)
 |*ミルフォード 1976 プリンセスオブウェールズS(英GII)、種牡馬
 |Burghclere 1977
 ||Capo di Monte 1982 ヴァインランドH(米GIII)
 |||Dream Ticket 1992
 ||||Magic Mission 1998 ロイヤルヒロインS(米GIII)
 ||*インヴァイト 1986
 |||リザーブシート 1995
 ||||ソリッドプラチナム 2003 マーメイドS(GIII)
 |||シンコーユタカ 1997 種牡馬
 |||ウインクリューガー 2000 NHKマイルC(GI)、種牡馬
 ||*ドレスデン 1988
 |||ペトラ 1994
 ||||ミッキーペトラ (2着)弥生賞(GII)
 ||*ウインドインハーヘア 1991 アラルポカル(独GI)
 |||Glint in Her Eye 1996
 ||||Jeremy 2003 サンダウンマイル(英GII)、ジャージーS(英GIII)
 |||*ヴェイルオブアヴァロン 1997 デラローズH(米GIII)
 |||ブラックタイド 2001 スプリングS(GII)、種牡馬
 |||ディープインパクト 2002
 |||オンファイア 2003 (3着)東京スポーツ杯2歳S(GIII)、種牡馬
 |||ニュービギニング 2004 (3着)毎日杯(GIII)
 |Beacon Hill 1978
 ||Brand 1989
 |||Banknote 2002 バーデナーマイレ(独GIII)
 |Height of Fashion 1979 プリンセスオブウェールズS(英GII)
 ||Alwasmi 1984 ジョンポーターS(英GIII)
 ||Unfwain 1985 プリンセスオブウェールズS(英GII)
 ||Nashwan 1986 英2000ギニー(英GI)、英ダービー(英GI)、エクリプスS(英GI)
 ||Manwah 1988
 |||Mustanfar 2001 レキシントンS(米GIII)、シカモーBCS(米GIII)
 ||Bashayer 1990
 |||Rahayeb 1996
 ||||Lahudood 2003 BCF&Mターフ(米GI)、フラワーボウルS(米GI)
 ||Wijdan 1991
 |||Oriental Fashion 1996 リボー賞(伊GII)
 |||Majderah 2003 ニューヨークS(米GII)
 ||Sarayir 1994 オーソーシャープS(英L)
 |||Ghanaati 2006 英1000ギニー(英GI)、コロネーションS(英GI)
 ||Nayef 1998 ドバイシーマクラシック(首GI)、英チャンピオンS(英GI)
 |Highbrow 1985 (2着)リブルスデイルS(英GII)
 ||Blueprint 1995 ジョッキークラブS(英GII)、サンルイレイS(米GII)
 ||Request 1997
 |||Ask 2003 オーモンドS(英GIII)、カンバーランドロッジS(英GIII)
 |Wily Trick 1988
 ||Elegant Fashion 1998 香港ダービー(香GI)

今でこそ超一流の評価を受ける牝系だが、ディープインパクト自体はそこまで評価が高かったわけではなく、競走馬としてデビューするころも「全兄ブラックタイド級までいけば御の字」くらいのものであった。あとに続く兄弟もそれなりに走ったが、重賞を勝ち切るまでにはいたらず、突然変異的な存在だった可能性が高い。母父 Alzao はイタリアのGIIIを勝った程度だが、種牡馬としては成功した。母父に Alzao を持つ種牡馬は他にタイムパラドックスがおり、評価はこれからというところではあるが、SS × Lyphard という配合ではバブルガムフェローなどが出ている。全兄ブラックタイド、全弟オンファイアも種牡馬として恩恵を受けており、ともに初年度は150頭以上に種付けしている。

競走成績 14戦12勝 主な戦績:2005年・2006年年度代表馬

日付競馬場レース名着順距離タイム
2004/12/19阪神2歳新馬1/9T20002:03.8
2005/1/22京都若駒S(OP)1/7T20002:00.8
3/6中山弥生賞(GII)1/10T20002:02.2
4/17中山皐月賞(GI)1/18T20001:59.2
5/29東京東京優駿(GI)1/18T24002:23.3
9/25阪神神戸新聞杯(GII)1/13T20001:58.4
10/23京都菊花賞(GI)1/16T30003:04.6
12/25中山有馬記念(GI)2/16T25002:32.0
2006/3/19阪神阪神大賞典(GII)1/9T30003:08.8
4/30京都天皇賞(春)(GI)1/17T32003:13.4
6/25京都宝塚記念(GI)1/13T22002:13.0
10/1ロンシャン凱旋門賞(GI)失/8T2400-:--.-
11/26東京ジャパンC(GI)1/11T24002:25.1
12/24中山有馬記念(GI)1/14T25002:31.9

同馬が*サンデーサイレンス産駒の最高傑作の1頭であることを疑う人はほとんどいないだろう。デビューしてから日本での全てのレースで上がり最速を記録。落馬寸前のスタートから立て直した皐月賞、勝ちパターンのインティライミを並ぶまもなく交わし去ったダービー、かかり通しながら最後突き抜けた菊花賞、リンカーンに生まれた時代が悪かったと言わしめた天皇賞(春)、悠然たるレース振りで引退の花道を飾った有馬記念、いずれのレースも競馬ファンに強烈な印象を残した。それだけに古馬初挑戦となった3歳時の有馬記念でハーツクライに敗れたときは場内が異常な雰囲気に包まれたし、結果論であるが凱旋門賞が同馬の戦績に大きな傷をつけるものとなったのは残念であった。

とはいえデビューから引退までにわたってほぼ完璧な成績で現役を終えたディープインパクトは日本史上最高額となる51億円のシンジケートが組まれ、社台スタリオンステーションにて種牡馬入りした。初年度はアグネスタキオンと同額で当時の最高額となる種付け料1200万円で供用され、215頭に種付けされた。2年目も同じく1200万円で供用され232頭に種付けされたが、3年目は1000万円に減額されており、種付け数も200頭を割っている。さらに2010年は900万円での供用になる予定。なお、一般的な繁殖シーズンではない9月以降に種付けされた牝馬も多く、9月・10月生まれの産駒もいる。

血統的に注目の初年度産駒は以下のとおり。なお、さすがに良血馬が多いので、基準としては母自身が重賞馬か、兄姉から重賞馬が出ている馬に限っているが、それでもこの数。

注目の産駒一覧 (種付:215頭 登録:147頭)

母名備考
アルーリングアクト母は小倉3歳Sの勝ち馬。半姉にアルーリングボイス
*アンチョ半姉にWonder Lady Anne L.(CCAオークス(米GI))
*ヴィクトリークライ母はヴィシー賞(仏GIII)の勝ち馬
エアグルーヴ母はオークスなどGI2勝。半姉にアドマイヤグルーヴ
エアデジャヴー母はクイーンSの勝ち馬。半姉にエアメサイア
エアトゥーレ母は阪神牝馬Sの勝ち馬。半兄にキャプテントゥーレ
*エイシンテネシー母は金杯(西)の勝ち馬
エリモエクセル母はオークスの勝ち馬
オースミシャイン半兄にアズマサンダース(京都牝馬S)
オースミハルカ母は府中牝馬Sなど重賞4勝
*カーリング母は仏オークス(仏GI)の勝ち馬。半兄に*ローエングリン
*カーレス半兄にTawqeet(コーフィールドC(豪GI)などGI2勝)
キッスパシオン半姉にアドマイヤキッス(ローズSなど重賞4勝)
*ケイウーマン母は京都4歳特別の勝ち馬。半兄にモンテクリスエス
*コマーサント母はE.P.テイラーS(米GI)の勝ち馬
ゴールデンサッシュ半兄にステイゴールド(香港ヴァーズ(香GI))
*サミットヴィル母はメイヒルS(英GIII)の勝ち馬
*シーズアン母はチェヴァリーパークS(英GI)の勝ち馬
*シシーダルザス母はデルマーオークス(米GI)の勝ち馬
シャイニンレーサー母はマーメイドSの勝ち馬。半姉にシャイニンルビー
シルクプリマドンナ母はオークスの勝ち馬
*スーヴェニアギフト母はランダルースS(米GIII)の勝ち馬
スカーレットブーケ半兄にダイワメジャー、半姉にダイワスカーレット
*スカイアライアンス母はナタルマS(加GIII)の勝ち馬
*スキーパラダイス母は京王杯SCの勝ち馬。半姉にエアトゥーレ
*ストレイキャット半姉にタガノエリザベート(ファンタジーS)
スプリットザナイト半兄にアドマイヤモナーク(日経新春杯)
セダンフォーエバー半兄にサクラプレジデント(札幌記念、中山記念)
*タックスヘイブン半兄にヒシアトラス(平安S、マーチS、エルムS)
タバサトウショウ半姉にスイープトウショウ(宝塚記念などGI3勝)
チェリーラブ半兄にマイネルレーニア(京王杯2歳S、スワンS)
*デアリングダンジグ半兄に*ピットファイター、半姉にデアリングハート
*トキオリアリティー半兄にアイルラヴァゲイン(オーシャンS)
*ドナブリーニ母はチェヴァリーパークS(英GI)の勝ち馬
*ビーフェアー母はブラジルオークス(Brz-I)などGI3勝
ビワハイジ母は阪神3歳牝馬Sの勝ち馬。半姉にブエナビスタ
*ファーザ半兄にフリオーソ(ジャパンダートダービーなどGI3勝)
*フォレストレイン半姉にFreedonia(ポモーヌ賞(仏GII))
*ブロードアピール母はシルクロードSなど短距離重賞6勝
*プリンセスオリビア半兄にFlower Alley(トラヴァーズS(米GI))
*プンティラ母は独オークス(独GII)の勝ち馬
*ポトリザリス母は亜オークス(亜GI)などGI2勝。半姉ディアデラノビア
*マジックコード母はバレリーナBCS(加GIII)3連覇
*マルバイユ母はアスタルテ賞(仏GI)の勝ち馬
*マンファス半兄にキングカメハメハ(NHKマイルC、ダービー)
*ミュンシー母はサンタラリ賞(仏GI)の勝ち馬
*ミルグレイン半兄にファイングレイン(高松宮記念)
*ムーンライトダンス母はインターナショナルS(愛GIII)の勝ち馬
メジロドーベル母はオークスなどGI5勝。はじめての牡馬産駒
ヤマニンシュクル母は阪神ジュヴェナイルFの勝ち馬
*ラスティックベル半姉にフサイチエアデール(4歳牝馬特別など重賞4勝)
*ラヴアンドバブルズ母はクローエ賞(仏GIII)の勝ち馬
*リーサ母はチリ1000ギニー(Chi-I)などGI2勝
リキセレナード母は小倉3歳Sの勝ち馬
*レディオブチャド母はマルセルブーサック賞(仏GI)の勝ち馬
レディバラード母はクイーン賞・TCK女王盃の勝ち馬
レディパステル母はオークスの勝ち馬
*ローザロバータ半兄に*フライングアップル(スプリングS)
ロゼカラー半姉にローズバド、半兄にローゼンクロイツ
*ロッタレース半姉にフサイチパンドラ(エリザベス女王杯)
ロンドンブリッジ母はファンタジーSの勝ち馬。半姉にダイワエルシエーロ

まさに豪華絢爛。さすがに種付け料1200万円を誇るだけあって、どこぞの馬の骨というような馬は1頭もおらず、全て筋が通っている。極端な近親配合にならない、それなりに実績のある牝馬はほぼ全て種付けされたような印象がある。注目馬を何頭かに絞るのさえ難しいが、やはりはずせないのは母エアグルーヴ、母スカーレットブーケ、母ビワハイジあたりだろう。個人的な注目は12冠ベイビーとなる母メジロドーベル。これまで目だった産駒は出ていないが、初の牡馬ということで期待。あるいは、あの脅威の末脚がいかに遺伝するか、母タバサトウショウや母*ブロードアピールにも注目したい。

繁殖牝馬の質はもちろんのこと、全体的な産駒数でも新種牡馬の中では群を抜いており、これでそれなりの結果を残すことができなければ、今後の繁殖生活に暗雲が立ち込めることは間違いない。そのあたりの評価の基準はかなりハードルの高いものになるはずだ。それ以上に、有力な繁殖を独り占めにしている分、一時的な日本馬のレベル低下を招くといっても過言ではないだろう。今のところ馬産地での評価はものすごく高いというわけでもなさそうだが、それはディープインパクト自身もそうだったからそれほど問題はないだろう。父に似て小柄な産駒が多いらしい。

とはいえ、他馬と比べてこれだけの繁殖牝馬の質と量の差がある以上、例え未勝利馬クラスのポテンシャルしかなかったとしても新種牡馬リーディングはまず間違いないと思われる。新種牡馬リーディングを獲得しながら失敗の烙印を押されかけた*シンボリクリスエス・キングカメハメハもその後しっかりGI馬を輩出している以上、早計は禁物だが、それでもただ単に「質より量でリーディング獲りました」というようなクラスの種牡馬に収まってほしくないというのが正直なところである。ポストサンデー候補として、日本競馬史に新たな伝説を作ることができるだろうか。

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この記事へのコメント

1. Posted by りろんち 2010年01月02日 23:00
昨年は新種牡馬外伝でお世話になりました。

自分からお願いした連動企画ではありましたが、実は結構なしんどさがあったのが実際で・・さすがに今年は全頭のフォローはできそうもありません。

ところどころでまた関連した記事を書かせてもらうかもしれませんが、どうぞご了解くださいませ。
2. Posted by Organa 2010年01月03日 11:34
どうもです。今年もよろしくお願いします。

なかなか人のペースに合わせるのが大変じゃないですか?
私は時間があるときに一気に書き上げてしまってから
それを小出しにする感じで更新してましたので。

今年もマイペースに更新していきますので、いつでもどうぞ。

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