2010年01月09日

ロックオブジブラルタル

新種牡馬辞典、第五弾は*ロックオブジブラルタルです。ディープインパクトの前ではやや印象が薄いですが、GI連勝の世界記録を樹立するなど世界的名馬の1頭であることは間違いありません。注目です。

*ロックオブジブラルタル Rock of Gibraltar

愛国産 1999年生 鹿毛 父系:Northern DancerDanehill
*デインヒルDanzigNorthern Dancer
Pas de Nom
Razy AnaHis Majesty
Spring Adieu
Offshore BoomBe My GuestNorthern Dancer
What a Treat
Push a ButtonBold Lad(IRE)
River Lady
牝系

 River Lady 1963
  |Riverman 1969 仏2000ギニー(仏)、仏リーディング
  |Push a Button 1980
  ||Offshore Boom 1985
  |||*ロックオブジブラルタル 1999
  ||Tasseled 1988
  |||Deploy Venture 1996 ゴールデンゲイトH(米GIII)
  ||Push a Venture 1994
  |||Offenbach 2002 ホーバートC(豪GIII)
  |Friendly Fiance 1986
  ||*ケイウーマン 1990 京都4歳特別(GIII)
  |||マチカネキララ 2002 (3着)札幌記念(GII)、エプソムC(GIII)
  |||モンテクリスエス 2005 ダイヤモンドS(GIII)

父*デインヒルは英愛・仏・豪の各国でリーディングに輝いたモンスターサイアーで、直仔のGI制覇だけで軽く150勝を超える。種牡馬の父としても大成功をおさめており、主要国だけでも Redoute's Choice 、Flying Spur 、Dansili 、Danehill Dancer といったところがリーディングサイアーに輝いている。その一方でダートには全くといっていいほど適性がなく、George Washington や Dylan Thomas 、Duke of Marmalade といった一流どころが北米やドバイの大レースに挑んでは敗れてきた。特に目立つ Northern Dancer の3×3というクロスだが、これを持つ*デインヒル種牡馬は他に*デザートキングがおり、日本では不振だったが海外では Makybe Diva などを出して成功している。

競走成績 13戦10勝 主な戦績:2002年カルティエ賞年度代表馬

日付競馬場レース名着順距離タイム
2001/4/21カラー未勝利1/6T5F1:07.5
6/19アスコットコヴェントリーS(GIII)6/20T6F1:15.6
7/1カラーレイルウェイS(GIII)1/7T6F1:14.4
8/22ヨークジムクラックS(GII)1/9T6F1:11.2
9/14ドンカスター英シャンペンS(GII)2/8T7F1:26.4
10/7ロンシャン仏グランクリテリウム(GI)1/5T14001:22.9
10/20ニューマーケットデューハーストS(GI)1/8T7F1:28.7
2002/5/4ニューマーケット英2000ギニー(GI)1/22T8F1:36.5
5/25カラー愛2000ギニー(GI)1/7T8F1:47.3
6/18アスコットセントジェームズパレスS(GI)1/9T8F1:40.9
7/31グッドウッドサセックスS(GI)1/5T8F1:38.2
9/8ロンシャンムーランドロンシャン賞(GI)1/7T16001:39.3
10/26アーリントンパークBCマイル(GI)2/14T8F1:36.9

2歳時からGIを連勝するなど活躍はしていたものの、そこまで超一流という成績ではなく、特に2戦目のコヴェントリーSでは生涯唯一の大敗を喫している。3歳初戦となった英2000ギニーでも久々ということもあって4番人気に甘んじていたが、同厩の1番人気 Hawk Wing をクビ差抑えて快勝、一躍注目を浴びる存在となった。ダービーには進まず、マイル路線を選択した*ロックオブジブラルタルは破竹の快進撃を続け、2歳時の仏グランクリテリウムからムーランドロンシャン賞まで脅威のGI7連勝を達成、これはGIの連勝記録としては最多である。欧州最強マイラーの評価を得た同馬はBCマイルへと駒を進めるが、道中の不利もあって2着に敗れ、有終の美を飾ることはできなかった。

とはいえ、引退後は鳴り物入りでアイルランドのクールモアスタッドにて種牡馬入り。同時にオーストラリアのクールモア・オーストラリアでもシャトルスタリオンとして供用された。5年目のシーズンとなる2007年からはJBBA静内種馬場で繋養されることが決まり、GI連勝の世界記録を作った超一流馬としてはかなりお得ともいえる種付け料420万円(不受胎返還)で供用され、147頭の牝馬に種付けを行った。しかし形の上では「種付け権」の購入にとどまり、また初年度産駒の活躍などもあって翌年には再びアイルランドに渡っており、結果的に1年リースのような形になってしまった。まずは海外供用時代の産駒については以下のとおり。

馬名生年備考
Book of Kells2004STCタロックS(豪GII)T2000
Diamondrella2004ファーストレディS(米GI)T1600
Eagle Mountain2004香港C(香GI)T2000
Gamble Me2004MRCサラブレッドクラブS(豪GII)T1200
Genuine Devotion2004ローカストグローヴH(米GIII)T9F
Mount Nelson2004エクリプスS(英GI)T10F7Y
Murtajill2004AJCスカイラインS(豪GIII)T1200
Musidora2004VRCザヴァニティ(豪GIII)T1400
Pillar of Hercules2004MRCノーマンロビンソンS(豪GIII)T2000
Proart2004WATCスカヒルS(豪GIII)T1400
Rockwood2004AJCフランクパッカープレート(豪GIII)T2000
Sliding Cube2004AJCサンドメニコS(豪GIII)T1000
Solid Billing2004AJCサマーC(豪GIII)T2400
Theann2004サマーS(英GIII)T6F
Utrecht2004クローエ賞(仏GIII)T180
Yellowstone2004ゴードンS(英GIII)T2400
High Rock2005コンデ賞(仏GIII)T1800
Kitty Matcham2005ロックフェルS(英GII)T7F
Rock Kingdom2005AJCエプソムH(豪GI)T1600
Rock Me Baby2005AJCライトフィンガーズS(豪GII)T1200
Rock of Rochelle2005ルネッサンスS(愛GIII)T6F
Starlish2005アンドレバボワン賞(仏GIII)T2000
Sweeter Still2005セニョリータS(米GIII)T8F
Three Rocks2005ミンストレルS(愛GIII)T7F
Unilateral2005ファースオブクライドS(英GIII)T6F
Varenar2006ラフォレ賞(仏GI)T1400
*ロードロックスター2006(3着)京都新聞杯(GII)T2200
Blessed Luck2007ドルメロ賞(伊GIII)T1600

重賞勝ち馬だけでもかなりの数に上るが、GI勝ち馬は確認できただけで5頭。いずれも芝で、距離は1400から2000まで。ほぼ父から連想される適性距離に当てはまっているものと思われる。中には2400で重賞を勝った馬がいるが、それなりに走れる、くらいに考えていいだろう。逆に1200以下のレースは父も走っていたようにかなり得意のようである。さすがにこれだけの名馬だけに20頭以上の産駒が○外として輸入されているが、1000万〜準オープンの壁が破れない産駒が多く、まだこれといって目立った産駒は出ていない。勝馬率は非常に高いが、ダートはからっきしである。日本での注目の産駒は以下のとおり。

注目の産駒一覧 (種付:147頭 登録:93頭)

母名備考
*アラデヤ半兄にマイネルスケルツィ(ニュージーランドT)
ウメノファイバー母はオークスの勝ち馬
エアメサイア母は秋華賞の勝ち馬
エイシンアイノウタ半兄にマイネルシーガル(富士S)
オイワケヒカリ母はフローラSの勝ち馬
キャッチザゴールド母はステイゴールド(香港ヴァーズ)の全妹
グローリアスデイズ母はGII2着2回でリンカーンの全妹
*ゲルニカ母は亜1000ギニー(亜GI)などGI4勝
シーイズトウショウ母はセントウルSなど短距離重賞5勝
ショウナンハピネス母はOPホープフルSの勝ち馬
シルクプレアデスおばにシーザリオ(オークス、アメリカンオークス)
*スターズインハーアイズおじにディープインパクト、半兄ダノンパッション
スマイルトゥモロー母はオークスの勝ち馬
*タイキマフィン母は*タイキシャトル(GI5勝)の全妹
タイムフェアレディ母はフラワーCの勝ち馬
タフネススター母はカブトヤマ記念の勝ち馬
ダンシングサンデー母の全姉ダンスパートナー、全兄ダンスインザダーク
チアフルスマイル母はキーンランドCの勝ち馬
ディアウィンク半兄にナカヤマフェスタ(セントライト記念)
*ナイサー母は愛1000ギニー(愛GI)の勝ち馬
ニホンピロポリーナ半兄にニホンピロサート(ダート重賞5勝)
*ヒシピナクル母はローズSの勝ち馬で*ヒシアマゾンの全妹
フィーユドゥレーヴ母は函館2歳Sの勝ち馬
*マイアミガルチ半兄にユキノサンロイヤル(日経賞)
マイケイティーズ半兄にアドマイヤムーン(ジャパンCなどGI3勝)
マストビーラヴド半姉にラインクラフト(桜花賞・NHKマイルC)
メガミゲラン母はOPアンドロメダSの勝ち馬
メジロランバダ母は日経新春杯、中山牝馬Sの勝ち馬
ヤマカツリリー母はフィリーズレビューの勝ち馬

繁殖牝馬のレベルはかなり高い。なんといってもディープインパクトら上位の種牡馬が付けられない*サンデーサイレンス牝馬との配合が目立ち、その中でも大注目は初仔となる母エアメサイア、ラインクラフトの下になる母マストビーラヴド、アドマイヤムーンの下になる母マイケイティーズの3頭だろう。いずれもマイルから2000くらいまでに強そうな配合で、*ロックオブジブラルタルにとっては最高の相手だ。個人的な注目は母シーイズトウショウ。こちらも初仔だが、いかにも桜花賞にロックオンしたような配合で、どれだけのスピード馬が出るのか楽しみ。

父*デインヒルもまた同じように1年間だけ日本で供用されたことがあるが、そのときの成績は複数国でリーディングに輝いた種牡馬としてはやや物足りないといわれることが多い。しかし輸入された当時(1996年)はまだヨーロッパでブレイクする前の話でそこまで繁殖の質が高かったとは思えず、さらに大物はいなかったものの年度別の成績で言えば*サンデーサイレンス、*トニービンに次ぐ堂々の3位にランクインしており、これら名種牡馬と肩を並べる存在だったといえる。それに比べると*ロックオブジブラルタルはまだ牝馬にも恵まれており、種牡馬として父を越える可能性は十分にあるだろう。

"Rock of Gibraltar"とは言うまでもなくイベリア半島の南端に位置する巨岩のことで、かつては難攻不落の要塞として機能しており、そのこともあって*ロックオブジブラルタル自身も「ザ・ロック」という愛称で呼ばれる。ほんの数年前までは輸入種牡馬がリーディング上位を占めていた日本競馬界も、去年の中央リーディングではついに10位までが日本馬で占められるという時代となったが、マイルでは難攻不落とも言える成績を残した「ザ・ロック」が今度は日本馬の砦を崩すことができるだろうか。

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