2010年01月15日

ハーツクライ

新種牡馬辞典、第七弾はハーツクライ。節目となる第50回有馬記念の勝ち馬ですが、このレースが「ハーツクライの勝った有馬記念」よりも「ディープインパクトが負けた有馬記念」と語られるのは何とも皮肉なものです。

ハーツクライ

日本産 2001年生 鹿毛 父系:Hail to ReasonSunday Silence
*サンデーサイレンスHaloHail to Reason
Cosmah
Wishing WellUnderstanding
Mountain Flower
アイリッシュダンス*トニービン*カンパラ
Severn Bridge
*ビューパーダンスLyphard
My Bupers
牝系

 My Bupers 1967
  |My Juliet 1972 ヴォスバーグH(米GII)、コティリオンS(米GII)
  ||Bold Julie 1979
  |||Blue Ground 1988
  ||||Kimberley Mine 1996 スプリングチャレンジ(南GI)
  ||Just Juliet 1982
  |||Just Fly 1990
  ||||Just Wonder 2000 シネマBCH(米GIII)
  ||Tis Juliet 1986 シュヴィーH(米GI)
  ||*ステラマドリッド 1987 エイコーンS(米GI)、フリゼットS(米GI)
  |||ダイヤモンドビコー 1998 ローズS(GII)、阪神牝馬S(GII)
  |Our Paige 1974
  ||Ginger Lass 1982 (3着)アスタルテ賞(仏GII)
  |||Ginger Candy 1987 (2着)コンテッサナ賞(仏LR)
  ||||Super Quercus 1996 ハリウッドダービー(米GI)、ハリウッドターフC(米GI)
  ||*アイリッシュシャドウ 1985
  |||シャドウクリーク 1993 (2着)シリウスS、(3着)フェブラリーS(GI)
  |Princess Juliet 1977
  ||Juliannus 1989 レイザーバックH(米GII)
  |*リファーズスペシャル 1980 セプテンバーS(英GIII)、種牡馬
  |*ビューパーダンス 1983
  ||アイリッシュダンス 1990 新潟大賞典(GIII)、新潟記念(GIII)
  |||ハーツクライ 2001
  ||スピードアイリス 1991 (2着)アンタレスS(GIII)
  ||シスタータイクーン 1992 (3着)デイリー杯3歳S(GII)
  |My Potters 1987 (3着)マクドナボーランドS(愛LR)
  ||Winona 1995 愛オークス(愛GI)

母アイリッシュダンスは牡馬に混じって重賞を2勝した名牝で、天皇賞でも上位人気に支持されたほどの馬。*トニービン産駒の活躍牝馬を賞金順に並べるとエアグルーヴ、ノースフライト、レディパステル、ベガ、アイリッシュダンスとなるが、このうちSSの死後に繁殖入りしたレディパステルを除く4頭にSSとの産駒が生まれており、ノースフライト以外の3頭からGI馬が出ている。さらに競走馬デビューした12頭のうち7頭がオープン入りするなどまさに「鉄板中の鉄板」の配合だった。全兄アグネスシラヌイは弟の活躍もあって種牡馬入りするという情報があったが、2009年末現在、まだ繁殖登録はされていない。

競走成績 19戦5勝 主な戦績:2005年最優秀4歳以上牡馬

日付競馬場レース名着順距離タイム
2004/1/5京都3歳新馬1/10T20002:06.0
2/15京都きさらぎ賞(GIII)3/14T18001:48.6
3/20阪神若葉S(OP)1/14T20002:00.2
4/18中山皐月賞(GI)14/18T20002:00.0
5/8京都京都新聞杯(GII)1/11T22002:11.9
5/30東京東京優駿(GI)2/18T24002:23.5
9/26阪神神戸新聞杯(GII)3/8T20001:59.4
10/24京都菊花賞(GI)7/18T30003:06.2
11/28東京ジャパンC(GI)10/16T24002:25.7
12/26中山有馬記念(GI)9/15T25002:30.5
2005/4/3阪神産経大阪杯(GII)2/9T20001:59.2
5/1京都天皇賞(春)(GI)5/18T32003:17.1
6/26阪神宝塚記念(GI)2/15T22002:11.5
10/30東京天皇賞(秋)(GI)6/18T20002:00.4
11/27東京ジャパンC(GI)2/18T24002:22.1
12/25中山有馬記念(GI)1/16T25002:31.9
2006/3/25ナドアルシバドバイシーマクラシック(GI)1/14T24002:31.8
7/29アスコットキングジョージVI & QES(GI)3/6T24002:30.5
11/26東京ジャパンC(GI)10/11T24002:27.7

3歳時からそこそこの活躍をしていたハーツクライだが、ベストレースはなんといっても4歳時の有馬記念。それまでGIで3度の2着がありながらなかなか勝ちきれないでいたが、ディープインパクトの古馬初挑戦に誰もが注目する中、直線半ばで先頭に立ったハーツクライがついにディープインパクトの猛追を退け初GI制覇を果たした。翌年のドバイシーマクラシックでも後続に4馬身差をつけて勝利、キングジョージでも3着に健闘するなど充実の一途をたどったが、帰国初戦、ディープインパクトとの再戦に沸くジャパンCでは喘鳴症の影響もあって10着に大敗しており、結局このレースを最後に引退することとなった。

引退後は社台スタリオンステーションにて種牡馬入りし、初年度は種付け料500万円(不受胎返還)で供用され、109頭の牝馬に種付けされた。この年は79頭の産駒が生まれたが、2年目は受胎条件400万円、3年目は受胎条件350万円という条件で供用され、それぞれ148頭、144頭に種付けといずれも初年度を大きく上回る牝馬が集まっており、産駒数も100頭を超えてきそうだ。4年目の今シーズンは300万円での供用を予定されており、年々減額されているのがやや気がかりではあるが、その分多くの牝馬に付けやすくなるだろう。注目の産駒は以下のとおり。

注目の産駒一覧 (種付:109頭 登録:79頭)

母名備考
*アサカフジ半兄にキョウワロアリング(北九州記念)
アドマイヤテレサ母は中央5勝で阪神牝馬S4着馬
*アリシーナ半兄にウイングランツ(ダイヤモンドS)
アルバローズおじにローゼンクロイツ、いとこにローズキングダム
*ウォートルベリーおばにBelle Et Celebre(サンタラリ賞(仏GI))
エリモアメジスト半兄にエリモマキシム(新潟ジャンプS)
*オーピーキャット半兄にブラックタキシード(セントライト記念)
*カタリストめいにステラリード(函館2歳S)
サクラサクII半姉にエイジアンウインズ(ヴィクトリアマイル)
サワヤカプリンセス半兄にデュランダル、サイキョウサンデー
*スーティー母はビワハイジの全姉、いとこブエナビスタ
スカーレットローズ母はスカーレットブーケの全姉、おいヴァーミリアン
*ステラマドリッド母は米GI4勝、半姉にダイヤモンドビコー
*ストームティグレス半兄にオースミダイドウ(デイリー杯2歳S)
*セトフローリアンII半兄にタイガーカフェ、フサイチジャンク
タイキポーラ母はマーメイドSの勝ち馬
*デルモニコキャット母はハニーフォックスH(米GIII)の勝ち馬
ナリタレインボウおじにカルストンライトオ(スプリンターズS)
ノーザンプリンセス母はOPフローラS勝ち馬、いとこメイショウサムソン
ハートサムデイおじにテレグノシス(NHKマイルC)
ビハインドザマスク母はスワンSなど重賞3勝、いとこコイウタ
*ファイナルデスティネーション母は新1000ギニー(新GI)などGI2勝
*ファビラスラフイン母は秋華賞の勝ち馬
ヘルスウォール母はチューリップ賞の勝ち馬
*ベルピアノおじにAlysheba(ケンタッキーダービーなどGI9勝)
ペルヴィアンリリーおばにフサイチエアデール、いとこフサイチリシャール
ホールオブフェーム半兄にバランスオブゲーム(重賞7勝)
*ミスティーミス母はモールコームS(英GIII)の勝ち馬
*メイボール母はモーリスドギース賞(仏GI)の勝ち馬
*リアフォーモサいとこフサイチパンドラ(エリザベス女王杯)
*ルヴァーガール母はロックフェルS(英GII)の勝ち馬
レンドフェリーチェ母はOP紫苑Sの勝ち馬

さすがにディープインパクトには及ばないが、それでも例年なら十分上質といえるラインナップである。やはり兄姉からSS系種牡馬でGIホースが出ている母サクラサクII、母サワヤカプリンセスははずせない。あるいは母スーティーや母スカーレットローズのように名馬の母の全姉妹の仔というのも注目で、他にも母ビハインドザマスクや母ファビラスラフインなど、あれこれ目移りしてしまう。個人的な注目は母ステラマドリッド。*ステラマドリッドは上記ハーツクライの牝系表にも出てくるようにともに同牝系出身で、My Bupers の4×3というクロスが存在する。

「日本馬として唯一ディープインパクトに土を付けた」、これだけでGI勝利にも勝る戦績となる。ハーツクライは4歳の秋まではディープと同じく後方から追い込む戦法をとっていたが、それではディープに勝てないと判断した鞍上ルメールが先行策に切り替え、長く脚を使うスタイルで素質を開花させたのがあの有馬記念だった。残念ながらピークは長く続かず、再戦となったJCでは全くふがいない結果に終わったが、万全ならまた違った結果となっただろう。近年はSS全盛のころとは異なり、スローの上がり勝負となるレースは減ったと言われており、もし脚質が遺伝するとすれば種牡馬としてはハーツクライに一日の長があるのかもしれない。

対ディープインパクト、1勝1敗。唯一、対等な立場でディープに挑めるのがハーツクライであり、この勝負も見所ではあるが、もうひとつ忘れてはならないのがあと少しの所まで来ながら手が届かなかったキングジョージだ。管理する橋口師は非常に悔しがり、翌年のリベンジを誓ったが、残念ながらその夢は叶わなかった。その橋口師、「ハーツクライの仔でキングジョージを獲るまでは死んでも死に切れない」と語ったとか語らなかったとか。こうした心の叫びが現実のものとなる日がくるだろうか。

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1. [競馬]2010/01/15 競馬〜無傷の3連勝の中の4歳馬、次走は羅生門S  [ 昨日の風はどんなのだっけ? ]   2010年01月16日 22:07
無傷3連勝ナムラタイタン羅生門Sに登録 - 競馬ニュース : nikkansports.com ナムラタイタン|競走馬データ- netkeiba.com こういう使い込めない連勝馬って、どこかで壁があるものだけど、この馬はどこまで行くだろうか? あんまりそのまま重賞まで行くことないからね。 落

この記事へのコメント

1. Posted by 山 2010年01月16日 02:39
5 私はディープは中距離もこなせるステイヤー、ハーツクライはクラシックディスタンスをこなせる中距離ランナーだと思っているので、ディープとハーツなら迷わずハーツを付けたいと思う1人です。差といえば繁殖の質ということになりますが、十分ハーツクライが産駒3歳時にクラシックに乗せてディープ以上の産駒を出しそうな予感がしています。
2. Posted by Organa 2010年01月17日 10:34
確かにこの面子を見ると、全体的な量ではかなわないとしても、
1頭1頭の質という意味では立場が逆転する可能性は十分感じますね。

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