2013年11月20日

内国産レッドリスト - ミルジョージ系

「内国産レッドリスト」シリーズ第十一弾はミルジョージ系。*ミルジョージ自身は競走馬としては不発に終わりましたが、産駒は芝ダート問わない活躍をし、リーディングサイアーにも輝きました。ジャパンマネーに物を言わせてミルリーフ系種牡馬を大量輸入したのも、同馬の成功あってのことでしょう。ただ、結局*ミルジョージを超える種牡馬は現れず、そのミルジョージ系も含め、いまや日本のミルリーフ系種牡馬は壊滅的状況となっています。
<ミルジョージ系> ★★★★★ (絶滅)

Mill Reef (USA) 1968
 *ミルジョージ Mill George (USA) 1975 4戦2勝 (1979〜2000)
   ・米国の条件戦を2勝 ・NAR特別表彰馬(2007)
  ロッキータイガー 1981 25戦10勝 (1987〜1993)
   ・東京王冠賞(大井) ・帝王賞(大井) (2着) ・ジャパンC(GI)
  スーパーグラサード 1982 39戦9勝 (1990〜1993)
   ・エプソムC(GIII) ・新潟大賞典(GIII)
  ミルコウジ 1982 8戦4勝 (1987〜1998)
    ・東京ダービー(大井)
   ホワイトシルバー 1988 50戦10勝
    ・東京大賞典(大井) ・東京記念(大井) ・グランドチャンピオン2000(大井)
   セントリック 1993 66戦9勝
    ・東京ダービー(大井) ・東京シティ盃(大井)
  イナリワン 1984 25戦12勝 (1991〜2003)
    ・天皇賞(春)(GI) ・宝塚記念(GI) ・有馬記念(GI)
   シグナスヒーロー 1992 62戦4勝
    (2着) ・アメリカジョッキークラブC(GII) ・日経賞(GII) ・七夕賞(GIII)
   ツキフクオー 1992 53戦16勝
    ・東京王冠賞(大井) ・アフター5スター賞(大井)
   イナリコンコルド 1995 54戦14勝
    ・東京記念(大井) ・大井記念(大井) ・金盃(大井)
  モガミヤシマ 1984 8戦4勝 (1990〜2000)
   ・NHK杯(GII) ・中山記念(GII)
  ジョージモナーク 1985 39戦11勝 (1993〜2000)
   ・オールカマー(GIII) ・関東盃(大井)
  ミスターシクレノン 1985 32戦5勝 (1992〜1998)
    ・鳴尾記念(GII) ・ダイヤモンドS(GIII) (2着) ・天皇賞(春)(GI)
   シロヤマスパーク 1994 78戦9勝
    ・若草賞(三条)
  オサイチジョージ 1986 23戦8勝 (1992〜1998)
    ・宝塚記念(GI) ・神戸新聞杯(GII) ・金杯(西)(GIII)
   テツノジョージ 1993 15戦5勝
    ・南部駒賞(水沢)
   ミホノミンクス 1996 36戦7勝
    ・サラ・プリンセス特別(笠松)
  ロジータ 15戦10勝
   ・東京ダービー(大井) ・羽田盃(大井) ・東京王冠賞(大井) ・東京大賞典(大井)
  エイシンサニー 1987 20戦4勝
   ・オークス(GI) ・4歳牝馬特別(西)(GII)
  ユートジョージ 1987 41戦8勝 (1997〜2000)
   ・NHK杯(GII)
  リンデンリリー 1988 7戦4勝
   ・エリザベス女王杯(GI) ・ローズS(GII)
  ヤシマソブリン 1991 34戦6勝 (1998〜2005)
   ・ラジオたんぱ賞(GIII) (2着) ・菊花賞(GI) (3着) ・ダービー(GI)
  ユーセイトップラン 1993 43戦8勝
   ・アルゼンチン共和国杯(GII) ・ダイヤモンドS(GIII)(2回)

*ミルジョージも*ノーザンテーストや*リアルシャダイと同じく日本人によって競り落とされた馬で、同馬のオーナーは中村畜産の代表である中村和夫氏。米国でデビューしたが、故障もあって4戦して条件戦を2勝しただけにとどまり、競走馬として結果を残すことができなかった。ただ、種牡馬としての活躍に期待され日本に輸入されると、イナリワン、ロジータ、エイシンサニーなど芝ダート問わず活躍馬を送り出し、1989年にはリーディングサイアーにも輝いた。特に地方では数え切れないほどの重賞勝ち馬を輩出しており、32歳で大往生した年にはNAR特別表彰馬にも選ばれている。

産駒は芝もダートもこなすオールマイティなタイプが多く、船橋から遠征したジャパンCで2着に入ったロッキータイガーのように、地方出身ながら中央重賞で活躍した馬も多い。その最たる例がイナリワンで、同馬は東京大賞典や東京王冠賞を勝った後中央入りし、天皇賞(春)や有馬記念などGIを3勝して年度代表馬にも選ばれた。弱点といえば気性の悪さとスプリント向けのスピードがないことぐらいで、生産者からは絶大な支持を受けており、全盛期の1980年代後半には100頭を優に超える牝馬を集めた。

その反面、後継種牡馬たちは牝馬を集めるのに苦労した。父*ミルジョージが20歳を超えても60頭を超える牝馬を集めていた上、気性難や地方向き血統という印象が災いし、ほとんど種牡馬らしい成績を残した馬はいなかった。年度代表馬イナリワンとて例外ではなく、日経賞などGIIで2着に入ったシグナスヒーローを出すのがやっとというところ。一応東京ダービー馬ミルコウジが1993年の地方リーディングに輝いているが、同馬もたまたま南関東の重賞勝ちが重なっただけという印象で、この年を除けば最高位は25位。決して安定して活躍馬を送り出すタイプではなかった。

孫世代に中央重賞を勝つような馬は現れず、種牡馬入りした馬もゼロとその与えた影響の大きさとは裏腹に、いまや父系は跡形も残っていない。母父としても一流馬を送り出したが、セイウンスカイやカネツフルーヴなど、どちらかというと泥臭いイメージが沸いてくるのも同馬の影響だろうか。最近でも父が地方の二流馬ゴールドヘイローであるトウケイヘイローが重賞3連勝で天皇賞(秋)に殴り込みをかけたのは記憶に新しいところである。同馬の活躍も母父の名を聞けばなるほどなというところで、これからも母系でその強烈な個性を発揮してほしいところ。

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この記事へのコメント

1. Posted by ノエルザブレイヴ 2013年11月20日 23:16
中村氏はハギノカムイオーの所有にも関わった人で大ベテランの生産者というイメージがありますが、まだまだ元気なようなのが凄いところですね。

今残っている日本のミルリーフ系種牡馬ってシュイベモアくらいですかね。「根こそぎ」の傾向が昔から見られるのが日本の競馬界の悪い癖の一つでしょうか。
2. Posted by Organa 2013年11月20日 23:25
ミホノブルボンも昨年末に抹消されましたし、残っているのはシュイベモアだけのようですね。一応シャーリーハイツを経たのもアリならコンデュイットがいますが。
3. Posted by ゼロウィン 2013年11月21日 00:21
地方ネタになっちゃいますけど、あのアジュディミツオーですら肌馬が十分に集まらないですからね。
アブクマポーロも1年目は40頭程度集まりましたが2年目以降は激減してホロシリで乗馬になっちゃいましたし、コンサートボーイもインテリパワーもとっくに種牡馬辞めてます。
それどころかカネツフルーヴやヴァーミリアン、カネヒキリでさえ苦戦してます。

地方の馬主にしてみれば中央以上に稼ぐことに重点が置かれるので中央下がりの良血馬を買ったりとか安く馬を手に入れる分には事欠かないので地方の名馬の仔にこだわらないんですよね。
4. Posted by KKK 2013年11月21日 07:42
はじめまして、いつも楽しみに拝見しております。東京王冠賞を制したイナリワン産駒のツキフクオー(1992 53戦16勝)を入れて頂けると嬉しいです。
当時、親子制覇で話題となったのを懐かしく思い出しました。
5. Posted by サムライユウザン 2013年11月21日 08:06
6. Posted by サムライユウザン 2013年11月21日 08:11
すみません。間違って送信しました。
<(_ _)>

父ゴールドヘイロー、母父ミルジョージのトウケイヘイローは、血統的に見たら、これぞ中村氏の生産馬というかんじですね。

次走は香港カップという情報もありますが、ラッキーキャストというマイナー種牡馬を父に持つフジヤマケンザンに続いてほしいものです。
7. Posted by ノエルザブレイヴ 2013年11月21日 13:18
連投失礼いたします。

ミスタープロスペクターを除いたネイティヴダンサー系、というのは取り上げていただくに足るでしょうか。
あるいはヒンドスタンやライジングフレームといった古い時代に栄えた系統はいかがでしょうか。
8. Posted by 天馬2 2013年11月21日 22:45
はじめまして。天馬2です。
いつも楽しく、興味深く拝見しています。
内国産父系が絶滅していくのは悲しいですねー
何とかサクラユタカオーのラインは
残ってほしいものです。
ということで、今週末ショウナンワダチ!
そうとう期待しています。
9. Posted by Organa 2013年11月22日 23:25
>ゼロウィンさん
カネツフルーヴはともかく、ヴァーミリアンやカネヒキリはその辺のGI馬よりはるかに頭数を集めていますよ。この辺は「ノーザンファーム」のブランド力というか、「クラシックでも十分通用しそうな良血だが、そうでなくとも確実にダートでつぶしが利く」という点が生産者に非常に受けているように思います。

>KKKさん
はじめまして。ありがとうございます。イナリワン産駒にツキフクオーを追加しました。この東京王冠賞が一世一代の大勝負だったんですね。

>サムライユウザンさん
父は大井の条件戦で5勝、母も大井の1勝馬。さらに母父も米国の条件戦を2勝しただけと、こんな雑草血統の塊のような馬が国際GI出走ですもんね。フジヤマケンザンのときも驚かされましたが、ぜひいい結果を残してほしいですね。

>ノエルザブレイヴさん
一応「内国産ライン」に限定しているので、たとえば「ダンシングキャップ系」とか「ホープフリーオン系」みたいな形で個別に紹介しようとは思っています。古い父系もできるかぎり取り上げる予定にしています。

>天馬2さん
はじめまして。ありがとうございます。ショウナンワダチ、ベゴニア賞に出走予定なんですね。デビュー戦と同じ舞台ですし、好勝負を期待します。もしここを勝つようなら朝日杯FSにショウナンカンプ産駒が複数出走する可能性も…。

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