2014年09月17日

名種牡馬プレイバック - クモハタ

「名種牡馬プレイバック」シリーズ第九弾はクモハタ。自身はダービー馬とはいえそこまで競走馬として目立った成績を残したわけではありませんでしたが、海外からの種牡馬の輸入が禁止された恩恵もあり、日本産馬として史上初のリーディングサイアーに輝きました。その次に内国産馬によるリーディングサイアーが出てくるのは半世紀後のことですから、いかにそれが偉大なことかというのがわかりますね。その繁殖成績が認められ、代表産駒のメイヂヒカリともども顕彰馬に選ばれました。
<クモハタ系>  トウルヌソル系 (1988年絶滅)

Gainsborough (GB) 1915
 *トウルヌソル Tournesol (GB) 1922
  クモハタ 1936 21戦9勝
    ・ダービー
   カツフジ 1943 48戦25勝
     ・天皇賞(秋) ・京都記念(秋)
    セルフジ 1952 32戦7勝
     ・目黒記念(春) ・カブトヤマ記念
    トキツヒロ 1956 25戦6勝
     ・鳴尾記念 ・阪神大賞典
   クニハタ 1945 39戦17勝
    ・目黒記念(秋)
   ニューフォード 1945 40戦12勝
    ・菊花賞 ・天皇賞(秋)
   ヤシマドオター 1946 28戦12勝
    ・桜花賞 ・天皇賞(秋) ・中山記念(秋)
   ハタカゼ 1947 47戦26勝
     ・天皇賞(秋) ・目黒記念(春) ・同(秋) ・毎日王冠 ・カブトヤマ記念
    トパーズ 1954 44戦9勝
     ・オータムH
    ユウセイ 1954
     ・道営記念(札幌) ・金杯(札幌) ・金盃(大井) ・大井記念(大井)
    ハタノボル 1956 31戦7勝
     ・カブトヤマ記念
    リュウショウ 1956 41戦4勝
     ・京都4歳特別
    トリシン 1958 25戦6勝
     ・京王盃スプリングH
    マルニロール 1958 41戦8勝
     ・京都記念(春)
   キヨフジ 1948 18戦6勝
    ・オークス
   ダイニホウシュウ 1948 57戦44勝(国営のみ) ※アングロアラブ
    ・勝利数のJRA記録(44勝)
   ミツハタ 1948 36戦16勝
    ・天皇賞(春) ・目黒記念(春) ・毎日王冠 ・東京盃 ・セントライト記念
   キヨストロング 1949
    ・京都記念(春) ・中山記念 ・カブトヤマ記念 ・NTV盃(船橋)
   クインナルビー 1949 44戦17勝
    ・天皇賞(秋) ・鳴尾記念(春) ・鳴尾記念(秋)
   タカハタ 1949 44戦26勝
    ・朝日杯3歳S ・日本経済賞 ・目黒記念(春) ・ダイヤモンドS
   コウラン 1950
    ・阪神大賞典
   ワカクサ 1950 46戦28勝
    ・阪神3歳S ・神戸盃
   ヒヤキオーガン 1951 48戦9勝
    ・日本経済新春杯 ・中京記念 ・阪神大賞典
   タカハギ 1952 25戦6勝
    ・セントライト記念
   フクリュウ 1952 36戦16勝
    ・日本経済賞
   マサハタ 1952 39戦11勝
    ・クモハタ記念
   メイヂヒカリ 1952 21戦16勝
     ・中山グランプリ ・菊花賞 ・天皇賞(春) ・朝日杯3歳S
    ハーバーヒカリ 1959 38戦12勝
     ・目黒記念(春)
    オーシャチ 1960 43戦14勝
      ・東京大賞典(大井) ・大井記念(大井) ・東京オリンピック記念(大井)
     アイアンハート 1971 38戦17勝
       ・カブトヤマ記念 ・新潟グランプリ(新潟)(2回)
      アイアンフジ 1980 56戦3勝
       ・史上唯一の内国産5代目サラ系競走馬
     ホクテンパール 1981 81戦9勝
      ・トウルヌソル系最後のサラ系競走馬
    キクノヒカリ 1960 37戦5勝
     ・ダイヤモンドS
    ミオソチス 1960 30戦5勝
     ・東京盃 ・オールカマー
   ケニイモア 1953 51戦9勝
    ・中山大障害(春) ・中山大障害(秋)
   トシワカ 1953
    ・ダイヤモンドS
   ハタリュウ 1954 27戦6勝
    ・京都4歳特別
   ヨドサクラ 1954 27戦5勝
    ・京都盃

クモハタはデビューからわずか9日でダービーを制した馬で、しかも極端な体調不良の中勝ち星をあげた驚異の存在だったが、その後も脚部不安が付きまとい、結局制した大レースはダービーだけであった。ただ、半姉にクレオパトラトマスがいるという血統もあって種牡馬として期待され、ダービー勝ち馬こそ出せなかったものの父を上回る6度のリーディングサイアーに輝く活躍を見せた。後にその繁殖成績が評価されて顕彰馬にも選ばれている。クモハタ自身は馬伝染性貧血のため17歳で殺処分となったが、その後アグネスタキオンまで半世紀にわたって内国産馬によるリーディング獲得ができなかったことを考えると、その功績は永遠に称えられるべきものだろう。

代表産駒は第1回有馬記念(当時は中山グランプリ)などGI級レースを4勝したメイヂヒカリで、同馬もまた種牡馬として活躍し、東京盃のミオソチス、目黒記念のハーバーヒカリなど多数の重賞ウイナーを送り出した。メイヂヒカリ産駒のオーシャチは南関の活躍馬で、さらにその産駒でカブトヤマ記念の勝ち馬アイアンハートが内国産4代目種牡馬として供用されている(サラブレッドとしては他にメジロマックイーン産駒のグランアクトゥールがいるのみ)。グランアクトゥール産駒は競走馬としてデビューしなかったので、このアイアンハートの一粒種アイアンフジが史上唯一の内国産5代目のサラ系競走馬ということになる。

それ以外にも天皇賞馬ハタカゼが京都記念のマルニロール、カブトヤマ記念のハタノボルなど多数の重賞ウイナーを送り出しており、1958年にはリーディング3位に健闘している。また、同じく天皇賞馬カツフジも目黒記念のセルフジ、鳴尾記念のトキツヒロなどを出すことに成功した。ただ、いずれも父系を拡大させるほどの勢いはなく、1970年代後半にはほとんどその姿を消した。なお、アングロアラブであったダイニホウシュウは今なお残るJRAの最多勝利記録保持馬で、12戦11勝(うちレコード勝ち5回)の快速馬ゼネラルパークの父となり、アラブの父系としては1990年代後半まで生き残っていた。

現在でもクモハタの血は母系の中で生き残っている。最も有名なのはオグリキャップで、同馬の5代母が天皇賞(秋)をレコード勝ちしたクインナルビーであった。さらに牝馬ながらに天皇賞と有馬記念を制し、年度代表馬にも選ばれた名牝トウメイは母父がメイヂヒカリ、母母父がトキノチカラということで母系に*トウルヌソルの4×4という特徴的なクロスを持っていた。先日オグリキャップを母父に持つストリートキャップが新馬勝ちを収めたが、ぜひ種牡馬入りできるほどの活躍をしてこのクモハタの血を再活性化させてほしい。

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この記事へのコメント

1. Posted by ノエルザブレイヴ 2014年09月17日 21:29
こうして見るとこのラインは濃いメンバーがそろっていますね。「走る広告塔」ヒヤキオーガン(マルマンガスライタの方が有名かもしれないですが重賞勝ちがあるとは…)といい、オグリキャップと同じ時期に笠松で過ごしていたらしいホクテンパールといい…。

しかし、JBISの五代血統表を見たんですけどアイアンフジやホクテンパールの血統表はなかなか凄まじいものがありますね。


話は変わりますが、私この前偶然寄った古本屋で山口瞳の「草競馬流浪記」買ったんです(50円という恐るべき破格値でした)。で、山口瞳が当時(80年代前半)地方競馬に取材に行って実際に馬券を買ったレースに出ていた馬の名前がちょこちょこ出ているんですけど、そこに出ているそれこそ80年代の昼の中津辺りで走っていたような馬でも検索かければ血統と大まかな成績くらいはすぐに分かるんですよね。全くいい時代になったものだと思います。
(ちなみに最終回で取り上げられていたのは1983年の函館記念でドウカンヤシマが勝っていたのですが、まさかそれが「ドウカンヤシマ伝説」の始まりになろうとは山口瞳も思ってはいなかったでしょう)
2. Posted by elfte 2014年09月17日 21:49
文字通りの「日本の生きる競馬の足跡」ですねぇ。
オーシャチにはサラブレッドブリーダー2の初期に確実にお世話になります。
(まあ、同時期のクラシックがシンザンにぶん回されているので、古馬の重賞狙いですが)
小学生当時にゲームをやっていた時期には実感できませんでしたが、これだけ時間が経つとスタッフの愛が分かります。
(同時にマニアック過ぎて付いてこないわけだとも理解できますが(苦笑))
3. Posted by 狂犬芭蕉 2014年09月18日 00:03
ヒヤキオーガン、馬名の由来が小児五疳薬の商品名なのを知ったのは最近でした。今はラッパのマークの大幸薬品の商品となっています。
4. Posted by ゼロウィン 2014年09月18日 23:18
あれ?
クモハタって確か伝貧の診断がひっくり返ったんじゃない?

・・って思い、少し調べましたがクモワカでした(;´∀`)
しかしクモワカの娘がワカクモだったり、本当によく馬名申請とおるなと思います。
5. Posted by Organa 2014年09月19日 21:52
まさに日本競馬の真髄を見ているようです。そういえば先日クラグオーがステイヤーズCを制しましたが、このまま何とか無事に種牡馬入りし、このアイアンフジ以来となる内国産5代目サラブレッドが走る姿を実際に見てみたいものですね。

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