2016年02月19日
新種牡馬辞典 - マンハッタンスカイ
新種牡馬辞典、二十二弾はマンハッタンスカイ。マンハッタンカフェの初年度産駒で、ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオンの募集馬として目立った怪我もなく70戦近くを走りぬいた「無事これ名馬」です。このレベルのクラブ馬としては異例の種牡馬入りですが、当初よりワンシーズン限定での種牡馬入りとなっており、同クラブで最高獲得賞金額を更新した同馬に対する功労に報いたという意味合いも強いのでしょうね。数は少ないですが、産駒の活躍に期待したいところです。
マンハッタンスカイ
カミイスタット産 2004年生 黒鹿毛 父系:サンデーサイレンス系
父マンハッタンカフェについてはヒルノダムールの記事を参照。
母*デックは不出走馬。3歳時より日本で繁殖入りしており、母としてほかに中央で4勝をあげたオープン馬ヒルノデイバローを出している。母父 Go for Gin はリボー系種牡馬で、ケンタッキーダービーの勝ち馬。種牡馬として米GIジョッキークラブゴールドCの勝ち馬 Albert the Great などを出しており、細々と父系を繋いでいる。
祖母 Locate は米国産馬で、通算14戦3勝。重賞実績はなく、母としても目立った産駒は出していない。
<競走成績>
2歳7月にデビューしたが、堅実に掲示板には載るもののなかなか勝ち上がることができず、初勝利をあげるのに実に11戦を要した。ただ、未勝利勝ちの直後に臨んだ京都新聞杯はさほど差のない7着と素質の片鱗を見せている。オープン入りは4歳の4月。その後は新潟大賞典や金鯱賞で2着に入るなど着実に力を付けていき、暮れの福島記念では翌年の天皇賞馬マイネルキッツを下して重賞初勝利を飾った。その後はオープン特別を2勝するにとどまったが、年間10走以上のシーズンを4回続けるなど最後まで故障とは無縁の競走生活であった。
<供用実績>
引退後は岡田牧場にて種牡馬入り。オーナーサイドの要望によりはじめからワンシーズンのみの供用ということで、3頭の牝馬に種付けを行い無事に3頭の産駒が生まれている。クラブ馬なので採算の取れない種牡馬事業に手を出すのは難しいが、ワンシーズンのみなら負担も小さく、なおかつ生まれた産駒は安く提供できるという粋な計らいであろう。実際に3頭の産駒はみなユニオンにて募集されている。なお、種牡馬引退後は土佐黒潮牧場で功労馬となった模様。
<注目の産駒>
*ソプランマリダフの母は米国の重賞ウイナーで、欧州の芝でもそこそこの結果を残した上級馬。今のところ繁殖馬として目立った産駒は出していないが、イタリアの芝は日本に近いとも言われており、芝の活躍馬を送り出してもおかしくない。ノーザンジュンの母系はダートでの勝ち上がり率の高い一族で、ミスプロのクロスもあってダートで結果を残しそう。ヒシシャトルは名繁殖牝馬 Katies の末裔で、近親には多数の活躍馬がいる。マンハッタンカフェ×*ボストンハーバーはオープン馬ムクドクが出ている配合。
<傾向予想> 芝:○ ダ:○ 距離:中〜クラシック ピーク:3歳〜
自身は芝の勝ち星しかなかったが、全弟のヒルノデイバローはダートでオープン入りを果たしており、芝ダートともに可もなく不可もなくといった印象。ただ、母父にリボー系の Go for Gin というのがやや重く、高速決着にはやや分が悪い。時計のかかる馬場で1800mから2400mぐらいが最も得意とする条件だろうか。仕上がりはかなり遅そうで、2歳戦は苦戦するだろう。使われて良くなるタイプで、古馬になってもしぶとく走りそう。
重賞を勝ったり、あるいはGIを勝ったりしても種牡馬入りできない活躍馬がいる中で、はじめからワンシーズンに限定して種牡馬として供用するというのは今までにないパターンである。活躍馬がなかなか種牡馬入りできない背景としてコストの問題が挙げられるが、これなら比較的経済的負担も少なく、かつクラブ馬であればそれなりに安く産駒を提供でき、さらに一口オーナーはかつての所有馬の仔に投資できるというメリットがある。ファンにとってもいろんな種牡馬の産駒を見られるというありがたい話で、もっとこういう形態が流行らないかと思う。
カミイスタット産 2004年生 黒鹿毛 父系:サンデーサイレンス系
<血統構成> 5代内クロス : | Turn-To 5×5 |
マンハッタンカフェ 青鹿毛 1998年 | *サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
*サトルチェンジ | Law Society | |
Santa Luciana | ||
*デック Deck USA 鹿毛 1997年 | Go for Gin | Cormorant |
Never Knock | ||
Locate | Cox's Ridge | |
Find |
父マンハッタンカフェについてはヒルノダムールの記事を参照。
母*デックは不出走馬。3歳時より日本で繁殖入りしており、母としてほかに中央で4勝をあげたオープン馬ヒルノデイバローを出している。母父 Go for Gin はリボー系種牡馬で、ケンタッキーダービーの勝ち馬。種牡馬として米GIジョッキークラブゴールドCの勝ち馬 Albert the Great などを出しており、細々と父系を繋いでいる。
祖母 Locate は米国産馬で、通算14戦3勝。重賞実績はなく、母としても目立った産駒は出していない。
<競走成績>
年 (歳) | 戦 | 勝 | 主な実績 |
2006年 (2歳) | 5 | 0 | |
2007年 (3歳) | 13 | 3 | 1着 松前特別(1000) T2600 1着 鶴嘴特別(500) T2000 1着 未勝利戦 T2200 |
2008年 (4歳) | 15 | 2 | 1着 福島記念(GIII) T2000 1着 メルボルンT(1600) T2000 2着 金鯱賞(GII) T2000 2着 新潟大賞典(GIII) T2000 |
2009年 (5歳) | 15 | 1 | 1着 巴賞(OP) T1800 2着 万葉S(OP) T3000 2着 福島民報杯(OP) T2000 |
2010年 (6歳) | 10 | 1 | 1着 函館競馬場グランドOP記念(OP) T1800 |
2011年 (7歳) | 7 | 0 | |
2012年 (8歳) | 3 | 0 | |
計 | 68 | 7 |
2歳7月にデビューしたが、堅実に掲示板には載るもののなかなか勝ち上がることができず、初勝利をあげるのに実に11戦を要した。ただ、未勝利勝ちの直後に臨んだ京都新聞杯はさほど差のない7着と素質の片鱗を見せている。オープン入りは4歳の4月。その後は新潟大賞典や金鯱賞で2着に入るなど着実に力を付けていき、暮れの福島記念では翌年の天皇賞馬マイネルキッツを下して重賞初勝利を飾った。その後はオープン特別を2勝するにとどまったが、年間10走以上のシーズンを4回続けるなど最後まで故障とは無縁の競走生活であった。
<供用実績>
年度 | 種付料 | 種付数 | 生産数 | 登録数 | 供用場所 |
2013 | プライベート | 3 | 3 | 3 | 岡田牧場 |
引退後は岡田牧場にて種牡馬入り。オーナーサイドの要望によりはじめからワンシーズンのみの供用ということで、3頭の牝馬に種付けを行い無事に3頭の産駒が生まれている。クラブ馬なので採算の取れない種牡馬事業に手を出すのは難しいが、ワンシーズンのみなら負担も小さく、なおかつ生まれた産駒は安く提供できるという粋な計らいであろう。実際に3頭の産駒はみなユニオンにて募集されている。なお、種牡馬引退後は土佐黒潮牧場で功労馬となった模様。
<注目の産駒>
母名 | 性 | 備考 |
*ソプランマリダフ | 牝 | 岡田牧場の生産馬。母は Persian Bold 産駒の英国産馬で、通算17戦5勝。米GIIブラックヘレンH(D9F)を勝ったほか、伊オークス(T2200)で3着に入っている。ユニオンにて700万円で募集されている。 |
ノーザンジュン | 牡 | 岡田牧場の生産馬。母は*クロフネ産駒で、地方1勝。おじに中央で4勝をあげたキングブラーボがいる。ユニオンにて800万円で募集されている。 |
ヒシシャトル | 牝 | カミイスタットの生産馬。母は*ボストンハーバー産駒で、中央1勝。近親にヒシアマゾン、アドマイヤムーン、スリープレスナイトなどがいる。ユニオンにて600万円で募集されている。 |
*ソプランマリダフの母は米国の重賞ウイナーで、欧州の芝でもそこそこの結果を残した上級馬。今のところ繁殖馬として目立った産駒は出していないが、イタリアの芝は日本に近いとも言われており、芝の活躍馬を送り出してもおかしくない。ノーザンジュンの母系はダートでの勝ち上がり率の高い一族で、ミスプロのクロスもあってダートで結果を残しそう。ヒシシャトルは名繁殖牝馬 Katies の末裔で、近親には多数の活躍馬がいる。マンハッタンカフェ×*ボストンハーバーはオープン馬ムクドクが出ている配合。
<傾向予想> 芝:○ ダ:○ 距離:中〜クラシック ピーク:3歳〜
自身は芝の勝ち星しかなかったが、全弟のヒルノデイバローはダートでオープン入りを果たしており、芝ダートともに可もなく不可もなくといった印象。ただ、母父にリボー系の Go for Gin というのがやや重く、高速決着にはやや分が悪い。時計のかかる馬場で1800mから2400mぐらいが最も得意とする条件だろうか。仕上がりはかなり遅そうで、2歳戦は苦戦するだろう。使われて良くなるタイプで、古馬になってもしぶとく走りそう。
重賞を勝ったり、あるいはGIを勝ったりしても種牡馬入りできない活躍馬がいる中で、はじめからワンシーズンに限定して種牡馬として供用するというのは今までにないパターンである。活躍馬がなかなか種牡馬入りできない背景としてコストの問題が挙げられるが、これなら比較的経済的負担も少なく、かつクラブ馬であればそれなりに安く産駒を提供でき、さらに一口オーナーはかつての所有馬の仔に投資できるというメリットがある。ファンにとってもいろんな種牡馬の産駒を見られるというありがたい話で、もっとこういう形態が流行らないかと思う。
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この記事へのコメント
1. Posted by う゛ぃみー 2016年02月20日 17:19
土佐黒潮牧場のサイトを見ると、マンハッタンスカイは去勢されちゃってるみたいですね。
もしこの3頭の産駒の中から活躍馬が出ても、種牡馬としての復帰はないってことでしょうか。
仕方のない話ですが、ちょっと残念です。
もしこの3頭の産駒の中から活躍馬が出ても、種牡馬としての復帰はないってことでしょうか。
仕方のない話ですが、ちょっと残念です。
2. Posted by ロイ 2016年02月20日 20:27
牡馬のままだと管理の負担がかかりますし、ましてや行き先が養老牧場となると去勢は必要でしょうね。
3. Posted by 即身仏 2016年02月21日 08:44
ある意味潔い使い方ですね。
こういうのは会員さんにとっても面白い試みでしょうし、父同様丈夫に走る仔が出ますかね。
こういうのは会員さんにとっても面白い試みでしょうし、父同様丈夫に走る仔が出ますかね。
4. Posted by あの頃が懐かしい 2016年02月21日 17:37
ヒルノデイバローと全兄弟ですか。
弟は芝も砂もマイル以下でなんでこの血統で。。。
気性ですかね。
弟は芝も砂もマイル以下でなんでこの血統で。。。
気性ですかね。