2020年06月27日

トウルビヨン系 - サイアーラインで辿る日本競馬

続いてはトウルビヨン系。トウルビヨンはフランスで競走馬・種牡馬として大成功を収めた名馬でしたが、血統表中の全馬が英スタッドブックに遡れない馬をサラブレッドとしては認めない、いわゆる「ジャージー規則」によって同馬の産駒は英国では「サラブレッド系種」扱いでした。後にジェベルらの活躍によってこの規則は撤廃され、晴れてこの系統が正真正銘サラブレッドと認められるに至りましたが、それが今にヘロド系の血を伝えるほぼ唯一の存在となりました。

日本でも多くの種牡馬が輸入された系統で、特にそれが顕著だったマイバブー系は後述するとして、それ以外にも英ダービー馬*ガルカドール、愛ダービー馬*ターナボス、ベルモントSの*アンバロイドといった活躍馬が導入されましたが、父系を発展させるには至りませんでした。ただ社台の牝系に入って言い働きをした*ヒッティングアウェーなど、母系で持ち味を発揮した馬は多いです。
<トウルビヨン系父系図>

HerodHerod - Buzzard - Tourbillon

Gardefeu 1895
 Chouberski 1902
  Bruleur 1910
   Ksar 1918
    Tourbillon 1928
    |Goya 1934
    | Goyama 1943
    |  Tenareze 1953
    |   *ネルシウス Nelcius 1963
    |   | ・1966年 仏ダービー
    |   |*ソシアス Socius 1969
    |   | ツカサパワー 1976
    |   |  ・1980年 阪神障害S(春)
    |   |ダイタクチカラ 1974
    |    | ・1979年 名古屋大賞典
    |    |ダイタクロンシャン 1985
    |      ・1987年 デイリー杯3歳S
    |Djebel 1937
    ||Arbar 1944
    |||Abdos 1959
    ||| ・1961年 仏グランクリテリウム
    |||*アーコー Arcor 1959
    || | ・1962年 コンセイユミュニシパル賞
    || |フジアコー 1979
    ||   ・1985年 読売杯
    ||Clarion 1944  ━━━ Clarion line
    ||Le Lavandou 1944
    || Le Levanstell 1957
    || | ・1961年 サセックスS
    || | ・1961年 クイーンエリザベスIIS
    || |*アラングランジュ Allangrange 1967
    || | ・1970年 愛セントレジャー
    || |*クレバーフェラ Clever Fella 1967
    || || ・1972年 (2着)グラッドネスS
    || ||マエデンオー 1980
    || |  ・1982年 新潟ジュニアC
    || |*マイスワロー My Swallow 1968
    || || ・1970年 モルニ賞
    || || ・1970年 サラマンドル賞
    || || ・1970年 仏グランクリテリウム
    || ||*ゼロファイター Zero Fighter 1974
    || ||キョウエイレア 1979
    || || ・1984年 高松宮杯
    || ||ジネブラオー 1979
    || ||スーパースワロー 1979
    || || ・1984年 (2着)オールカマー
    || || ・1985年 (2着)中京記念
    || ||ラッキーキャスト 1979
    || |||タイプスワロー 1986
    || ||| ・1991年 全日本サラブレッドC
    || |||フジヤマケンザン 1988
    || ||  ・1992年 中日新聞杯
    || ||  ・1995年 香港国際C
    || ||  ・1995年 中山記念
    || ||  ・1995年 七夕賞
    || ||  ・1996年 金鯱賞
    || ||ワカテンザン 1979
    || || ・1982年 きさらぎ賞
    || ||ケープポイント 1983
    || || ・1989年 マーチS
    || || ・1990年 ニューイヤーS
    || || ・1990年 マーチS
    || ||モガミシール 1983
    || |*ロータスイーター Lotus Eater 1970
    ||   マーブルエース 1977
    ||    ・1982年 京都大障害(春)
    ||Djeddah 1945
    || Midsummer Night 1957
    ||  ・1960年 ケンブリッジシャーS
    ||Djefou 1945
    || *ラパス Rapace 1952
    || | ・1955年 仏ダービー
    || |マークエイト 1971
    ||   ・1973年 小倉3歳S
    ||   ・1973年 フェニックス賞
    ||My Babu 1945  ━━━ My Babu line
    ||Targui 1946
    || *バウンドレス Boundless 1960
    || | ・1963年 マナワツC
    || | ・1964年 グローミングS
    || |ミリオンパラ 1968
    ||  | ・1973年 (2着)天皇賞(秋)
    ||  |バリメラヤマト 1979
    ||    ・1985年 中津記念
    ||*ガルカドール Galcador 1947
    ||| ・1950年 英ダービー
    |||オンワードセカンド 1961
    ||| ・1964年 神戸杯
    ||| ・1964年 毎日杯
    |||ヒガシソネラオー 1962
    ||| ・1967年 金杯(東)
    |||ヤマニンダイヤ 1962
    ||| ・1967年 中山大障害(秋)
    |||ハジメリュウ 1963
    ||| ・1966年 北九州記念
    |||オートトップ 1964
    ||| ・マックスビューティの牝祖。牝系残存
    |||マヤミドリ 1964
    ||| ・1967年 京都牝馬特別
    |||ヤマニミカド 1964
    ||Nyangal 1948
    || サガミフブキ 1963
    ||  ・1967年 (3着)中山記念
    ||  ・1967年 (3着)毎日王冠
    ||Hugh Lupus 1952
    | | ・1955年 愛2000ギニー
    | | ・1955年 英チャンピオンS
    | |Hethersett 1959
    | ||Blakeney 1966
    | ||| ・1969年 英ダービー
    | |||*ターナボス Tyrnavos 1977
    | || | ・1980年 愛ダービー
    | || |リュウフロリスト 1989
    | ||   ・1994年 関越S
    | ||*ハーケン Harken 1966
    | || ブリンキーバートス 1973
    | ||  ・1戦1勝、デビュー戦でレコードを樹立
    | |*ハッピーオーメン Happy Omen 1960
    | || ・1962年 ソラリオS
    | ||ビーティーエイト 1967
    | || ・1971年 小倉大賞典
    | ||キクノハッピー 1968
    | |  ・1971年 オールカマー
    | |  ・1972年 福島記念
    | |ローズイパス 1965
    |   ・1968年 大雪H
    |Tornado 1939
    ||Fontenay 1946
    || Tropique 1952
    || | ・1956年 エクリプスS
    || | ・1956年 コロネーションC
    || |*パヴェー Paveh 1963
    || || ・1966年 愛2000ギニー
    || || ・1966年 サセックスS
    || ||ハーバーウェー 1973
    || |  ・1977年 中日杯
    || |ジュピック 1967
    ||   ・1970年 優駿牝馬
    ||Tosco 1950
    |  ・1953年 フォンテーヌブロー賞
    |Coaraze 1942
    | Emerson 1958
    |  ・1961年 ブラジルダービー
    |  ・1961年 ダービーパウリスタ大賞
    |Timor 1944
    ||Tablon 1953
    || El Bonito 1962
    ||  ・1967年 トロピカルパークH
    ||Pronto 1958
    |  Uruguayo 1968
    |   ・1971年 亜ナシオナル大賞
    |   ・1971年 カルロスペレグリーニ大賞
    |Tourment 1944
    | Chingacgook 1952
    |  アラン 1966
    |Ambiorix 1946
     |Count Amber 1957
     | *アンバロイド Amberoid 1963
     |  ・1966年 ベルモントS
     |  ・1966年 ウッドメモリアルS
     |Ambiopoise 1958
     | *クリアアンバー Clear Amber 1967
     |  ・アンバーシャダイ、サクラバクシンオー、イブキマイカグラの牝祖。牝系残存
     |*ヒッティングアウェー Hitting Away 1958
      | ・1961年 ドワイヤーH
      | ・1961年 ウィザーズS
      |シャダイフラッグ 1973
      | ・ノースフライト、マリーゴッド、ミスキャストの牝祖。牝系残存
      |シャダイマイン 1973
      | ・ラインクラフト、アドマイヤマックス、ソングオブウインドの牝祖。牝系残存
      |オキノサコン 1974
      | ・1979年 東京障害特別(秋)
      | ・1980年 中山大障害(春)
      |カチウマタロー 1975
      | ・1979年 東京障害特別(秋)
      |プラトーフォンテン 1975
      | ・1980年 中山大障害(春)
      | ・1981年 東京障害特別(春)
      |グレートダービー 1975
       | ・1982年 (4着)中京障害S
       | ・1982年 (5着)阪神障害S
       |ダービーラウンド 1985
         ・1990年 (2着)川崎記念

Tourbillon の最良後継は Djebel だが、その Djebel 唯一の直仔として輸入されたのが英ダービー馬*ガルカドールで、同馬はハイフライヤー系の Sir Bevys 以来71年ぶりに英ダービーを制したヘロド系競走馬であった。フランスで種牡馬入りも目が出ず、後に日本に輸入されて重賞2勝のオンワードセカンド、中山大障害のヤマニンダイヤなど複数の活躍馬を送り出した。父系は続かなかったが、今でもマックスビューティの牝系などに残っている。

Le Levanstell 産駒の*マイスワローは2歳時に7戦無敗の成績を残した偉大な早熟馬で、種牡馬としては隻眼のキョウエイレア、きさらぎ賞のワカテンザンを出した程度だったが、名牝*タイプキャストとの間に生まれた不出走馬ラッキーキャストが海外重賞も制したフジヤマケンザンを出して父系を辛うじて繋いだ。しかし今ではその血は途絶えている。

それ以外にも仏ダービー馬*ネルシウス、愛セントレジャーの*アラングランジュ、仏ダービーの*ラパス、愛ダービーの*ターナボス、愛2000ギニーの*パヴェー、ベルモントSの*アンバロイドと各国のクラシックホースが続々と輸入されたが、いずれもことごとく失敗に終わり、中央重賞馬の1頭も出すことはできなかった。

*ヒッティングアウェーはドワイヤーHなど重賞8勝の活躍馬で、種牡馬としては2頭の中山大障害勝ち馬を含め数多くの名障害馬を輩出した。ただそれ以上に目立ったのが母系に入っての働きで、ラインクラフトやノースフライト、アドマイヤマックスといった快速馬の母系にその名を残している。*ヒッティングアウェーと父が同じ Ambiopoise もアンバーシャダイの母、サクラバクシンオーやイブキマイカグラの祖母となった*クリアアンバーを出しており、その名を歴史に刻んだ。




この記事へのコメント

1. Posted by ノエルザブレイヴ 2020年06月27日 21:54
またまた面白い企画をありがとうございます。今後も楽しみにさせていただきます。

デアリングタクトの快進撃で話題になったミスオンワードを母に持ち、2歳時はシンザンより評価が高く、クラシックでもまずまず活躍、と良さそうな要素を多数持ち生産者もオーナーブリーダーでありながらもオンワードセカンドが種牡馬入りできなかったことが個人的には意外ですね。(確かに当時は内国産馬は種牡馬として期待されていない時代ではありましたが)
2. Posted by 煩悩108 2020年06月28日 03:28
初期の持ち馬オンワードゼアが有馬記念優勝から海外遠征に出るも調教中の故障で3年ご無沙汰のまま帰国して(後に成功するも)種牡馬として当初はコケ、北海道営で現役復帰。シンザン三冠で全兄オンワードスタンを種牡馬にするも人気なし。

そもそもオンワードゼアは14歳までオンワード牧場の牝馬と種付けさせてもらえず、オンワードスタンは一切オンワード牧場の牝馬と種付けさせてもらえず。オンワードセカンドの頃は内国産馬を自家用種牡馬にするという発想はなかったんじゃないかな。ヨソから種牡馬としての引き合いがあれば売却するというスタンスで。
3. Posted by こすも 2020年06月28日 07:40
AmbiorixもMy Babuも、
ターントゥの近親である事は偶然なのだろうか?
4. Posted by Organa 2020年06月28日 22:45
より競走成績のいい半弟アポオンワードすら種牡馬入りさせていなかったので、晩年負け続きのオンワードセカンドでは厳しかったのでしょうね。

>こすもさん
ほかにも Alycidon 、Klairon など名だたる名種牡馬が出ている系統ですね。それだけ優秀な血筋だったのでしょう。

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